神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話   作:プラハ

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Vol.02 時計じかけの花のパヴァーヌ 第1章
冒険の始まり


 ねえ、どうして空は青いと思う?

 

 誰かが僕に聞いて来る。僕は科学的な見地から答えを言った。

 

 はあ……何その答え~、全然面白くな~い! いい空が青いのはね……。

 

 その時誰かが言ったことを僕はまだ覚えている。

 

 「ど、どうしようっ!? 先生に当たっちゃったかも!?」

 

 「プライステーションは無事!?」

 

 屋上で空を眺めながら風を感じていると、下からモモイの声が聞こえてきた。屋上から下を見下ろすと、地面に『先生』が倒れていた。近くにはプライステーションが落ちているので、モモイが窓の外に投げたそれが『先生』の頭部にクリーンヒットしたのだろう……。

 

 「何やってるんだ2人とも……全く……」

 

 モモイとミドリが『先生』を運んでいる姿が見えた。恐らくはゲーム開発部に運ぼうとしているのだろう。俺としてはモモイたちが最近ゲーム制作を頑張っていることを知っていたので、それを邪魔をしたくなかったので、今日はゲーム開発部に顔を出すつもりは無かったが、予定変更だ。『先生』には聞かないといけないことがある。所詮ただの噂話だが、それがもしも本当なら、俺は皆を『変態』の魔の手から守らないといけない。だから俺はゲーム開発部の部室へと向かうことにした。

 

 「ゲーム開発の進捗はどう?」

 

 「あ! エルナ! どうしてここに?」

 

 「屋上で昼寝してたら、2人の声が聞こえたから何事かと思ってな」

 

 ゲーム開発部の部室に入ると、『先生』がクッションを頭に敷いて寝かされていた。そこそこの衝撃があったせいか、頭には少しこぶが出来ている。俺は1階にあった自動販売機で買った缶ジュース『ミレニアムサイダー』を頭にあてる。本当は氷嚢とかがいいんだろうが、残念ながらそんなものはない。まあ気休め程度にはなるだろう。

 

 「しかしなんたってこいつがここに? もしもユウカが呼んでたとかだったらやばくないか……?」

 

 「それは大丈夫だよ。先生を呼んだのはお姉ちゃんだから」

 

 「モモイが? 何だってそんなことを?」

 

 俺がそう聞くと、モモイは得意げな表情になって語り始めた。何でも『廃墟』に『G.Bible』と呼ばれるかつて伝説のゲームクリエイターと呼ばれた人が作り上げたものらしく、詳細は不明だが『最高のゲームを作る方法』が入っているらしい。都市伝説の類ではないかと思ったが、最後に『G.Bible』が稼働したとされる場所が廃墟らしい。それにしても『廃墟』か……。一般の生徒には立ち入りが禁止されている場所だ。

 

 「見慣れない天井……」

 

 「あっ! 目覚めた! 気がついたか? 君は運がいいな!」

 

 「お姉ちゃんが急に変な喋り方をするから、先生が戸惑ってるでしょ?」

 

 「アンタ頭は大丈夫か? 一応気休めだがそれで頭でも冷やしておいてくれよ」

 

 『先生』に『ミレニアムサイダー』を手渡す。モモイとミドリは言い争いを始めてしまった。俺は何をやってるんだと頭を抱えていると『先生』と目が合って、久しぶりだと挨拶をしてきたので、俺も久しぶりだと返した。あいつらは元気にやっているかと聞くと、『先生』は俺に写真を見せてきた。アビドス対策委員会の皆が笑顔で写っている写真だ。メッセージのやり取りはたまにしていたが、こうして笑っている姿を見られると言うのはとてもいいものだ。まあ、シロコからは3日に1回くらいのペースで銀行強盗の計画を一緒に練ったり、ノノミに至っては毎日ご飯をちゃんと食べているのか確認のメッセージを送ってくる。おかげで体重が3キロ増えて今では30キロになっている。そのせいかは分からないが最近体の調子がいい。

 

「元気そうでよかった……」

 

「エルナって先生と知り合いなの?」

 

「この人とは少し話した程度だな。知り合いとまではいかねえなぁ」

 

 そう言うと『先生』は膝をついて落ち込んでいた。何というか相変わらずリアクションが大きいんだよなぁ……。何というか大きな子どもを見ているみたいだ。モモイとミドリは先生に自己紹介を始めている。そして『先生』は俺を見る。

 

「エルナもゲーム開発部なの?」

 

「ん? 俺は今のところは未所属だな」

 

「エルナって結構いろんなところから勧誘されてるよね? なんで断ってるの?」

 

 セミナー、ヴェリタス、エンジニア部と俺は色んなところから誘いを受けているが、全部断っている。理由は色々あるが、一番大きいのは……。

 

「まあ俺様には解明しなくちゃいけないことがあるからな。基本的に断ってるんだ」

 

「解明しなくちゃいけないこと?」

 

「あれ? そういえば、モモイとミドリには言ってなかったっけか? 俺様が解明したいのは『世界』そのものだ!」

 

 俺が得意げな表情でそう語ると、モモイとミドリそれから『先生』は少しの間固まって、生暖かい視線で俺を見た。もしかして思春期特有の病だと思われている!? いやいや、それならモモイだって割と大概だと俺は思うんだが……。

 

「ええい! その生暖かい視線はやめろ! 俺様は本気だ。『世界』を解明するということは『世界』を手にするのと同じだ。つまり、どんなことでも思い通りにできるようになるってことだ」

 

「つまり……世界征服?」

 

「まあ似たようなものだな! ってその視線をやめろ! 俺様は別に中二病じゃないんだぞ! っというか早く本題に入ったほうがいいんじゃないか?」

 

 何を言っても扱いが変わりそうにないので、俺は話の流れを無理やりぶった切った。早速『廃墟』に行こうと宣言するモモイに対して『先生』はもう少し事情を詳しく話してほしいと説明を求めたので、モモイたちは『廃墟』へと向かう理由を語り始めようとすると、ゲーム開発部のドアが開かれた。

 

「それに関しては私から直接ご説明しましょうか?」

 

 ユウカがゲーム開発部に現れた。あまりにもタイミングが良すぎるので、もしかすると部屋の前でずっと待機していたのだろうか……? 俺がそう聞くとユウカは少しだけ顔を赤く染めてそっぽ向いた。待機してたのか……。ユウカはモモイに『冷酷な算術使い』と呼ばれたことに憤慨してモモイを睨みつける。ちなみに俺はモモイから『ミレニアムの特異点』と呼ばれている。俺自身この異名はあまり好きではないが……。

 

「コホン……。まさかこんな形で先生と会うことになるなんて……。もっと色々話したいこともありますが、それはまた後にするとして……モモイ」

 

 ユウカは軽く咳払いをしてから『先生』に軽く挨拶をするとモモイのほうに視線を向ける、モモイとミドリはユウカの迫力に呑まれているのか、若干涙目だ。ユウカは廃部を食い止めるために『シャーレ』を巻き込むなんて諦めが悪いと言った。…………、廃部!?

 

「は、廃部ってどういうことだユウカ先輩!?」

 

「エルナは知らなかったのね。簡単に言うとゲーム開発部は部員が規定人数に達してないことと、ミレニアムの部活として見合う成果を証明できるものも無いまま、何か月も経ってるのよ」

 

「な、なるほど……」

 

 ユウカはセミナーの会計、つまり組織運営側の人間だ。その中でも予算に携わっているユウカとしては、成果もなく部員の規定人数を満たせない部活に予算を出すことはできないということなのだろう。言っていることは正論だが、俺としてはゲーム開発部が無くなって、皆が悲しむ顔は見たくない。だが、俺が入部することでどうにかできる問題でも無さそうだ。

 

 「だから、廃部になっても異議はないはずだけど?」

 

 「異議あり! すごくあり! 私たちだって全力で部活動をしてる! だからあの、何だっけ「情状酌量か?」 そうそれ! それがあっても良いはず!」

 

 「全力で活動してる……? 笑わせないで!」

 

 そう言うとユウカは大きな声をあげて、やれ校内に変な建物を建てて、カジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めただの、レトロゲームを探すと言って『古代史研究会』を襲撃したりとゲーム開発部が行ってきたことを言ってくる。俺がモモイとミドリに視線を向けると、2人はバツの悪そうな表情で視線を逸らした。お前らそんなことしてたのかよ……。

 

「時には結果よりも心意気を評価してあげることも必要……」

 

「負け犬の言い訳なんて聞きたくないわ」

 

 モモイとユウカが言い争いを始める。ユウカがミレニアムでは『結果』が全てだと言い放つと、モモイとミドリはちゃんと『結果』は出していると反論した。『先生』が『テイルズ・サガ・クロニクル』とは何なのか聞いてきたので、俺が説明することにした。

 

「『テイルズ・サガ・クロニクル』はゲーム開発部が作ったゲームでね! みんなのゲームへの情熱と愛と夢が詰め込まれた作品で、プレイしてると夢の中にいるような気分になれる最高のゲームなんだ!」

 

「え、えぇ……」

 

 何故かユウカがドン引きしている。ははぁ、なるほどなるほど。どうやらユウカはレビューだけを見て『テイルズ・サガ・クロニクル』について知ったつもりになっているらしい。全く嘆かわしい事だ。

 

「はあ、ユウカ先輩にはがっかりだ。実際にやってもいない癖にそんなことを言うなんてなぁ?」

 

「確かにその通りだわ。でも、たくさんの評価が収束した結果がクソゲーランキング1位っていうのが何よりもの証明でしょう?」

 

「ある程度操作できるようなものを真実扱いされてもなぁ? 名前も声も知らない奴の意見なんて参考にならねえ。こういうのは自分の目で実際に確かめることに意味があるんだよ。それじゃ、かんぺき~とは言えないなぁ?」

 

「何ですって!?」

 

 俺はユウカと睨み合う。モモイとミドリは部屋の隅で震えている。俺は鞄からパッケージを取り出してユウカにそれを手渡した。ユウカの顔が少しだけ引きつっている。もちろんそれは『テイルズ・サガ・クロニクル』だ。そしてどの媒体でもプレイできるようにありとあらゆるパッケージ向けのディスクを作ってある。

 

「ユウカ先輩もやれば分かる……そして感じればいい……!」

 

「私も欲しい!」

 

「ふふふ、あんたもお目が高い……! 普段から布教できるように沢山持ってるからな!」

 

 俺は『先生』に『テイルズ・サガ・クロニクル』を渡すと、『先生』は嬉しそうに喜んでいた。ユウカは顔を引きつらせながらも『テイルズ・サガ・クロニクル』を受け取って、ポケットにしまった。後で感想を聞くのが楽しみだ……。

 

「と、とにかく! 自分たちの活動にも意義があるのだと主張したいのなら、証明してみなさい! それが出来たら廃部は撤回するわ」

 

「つまり大会とかで結果を残せばいいってこと?」

 

「まあ出せればの話だけどね?」

 

「分かった。全部結果で示す。そのための準備だって、もう出来てるんだから!」

 

 俺は感嘆の声をあげる。モモイは『ミレニアムプライス』に『テイルズ・サガ・クロニクル2』を発表することを宣言した。開発が進んでいたことは知っていたがまさかあと2週間で完成させられるほど進んでいたとは思わなかった。ユウカは楽しみにしていると言い残してゲーム開発部から去っていった。そしてモモイは廃墟に向かう理由を『先生』に説明し始めた。

 

 「なるほど、そういうことなら私に「ちょっと待って」」

 

 「エルナ?」

 

 「廃墟に行くのはいいんだけど。その前に聞きたいことがあるんだよね」

 

 俺は『先生』に鋭い視線を向ける。ここから一切の虚偽は許すつもりは無い。どうかただの与太話で合ってほしいと、俺は期待を込めて、とある質問をした。

 

「これは噂話なんだけど、ゲヘナの風紀委員の足を舐めたって本当?」

 

 俺がそう聞くと『先生』はむせた。ゲヘナが『先生』の悪評をあえて流すことで他の学園にマイナスイメージをつけさせることで独占するために流した噂話だと思っていたが、どうやら本当のことだったらしい。

 

 「これには深い理由が……!」

 

 「ふーん……、理由ねえ。いいよ聞いてあげる」

 

 俺がそう言うと『先生』は必死に言い訳を始める。なんでも、一刻も早くゲヘナの風紀委員長に接触したかった『先生』は足を舐めた風紀委員が風紀委員長に会いたければ、土下座でもして足を舐めろと言うので舐めたらしい。な、なるほど……。一応筋は通っている。嘘を付いているようにも見えない。だが、だからと言って普通足を舐めろと言われたからと言って、舐めるだろうか……? そこはかとなく不安だ……。

 

 「分かった。一応は納得した。でも、まだ信用したわけじゃない。俺様も『廃墟』に行く。目を離したら何するか分からねえし、何か間違いがあったら困る」

 

 「でもエルナちゃんって武器持ってないよね? 廃墟は危険だって噂があるけど大丈夫なの……?」

 

 ミドリが心配そうな表情でそう聞いて来るが、何も心配することはないと俺は言った。それに昨日丁度完成した武器があると言うとモモイとミドリは同行することを許可してくれた。

 

 「そういうことだから、もしもモモイとミドリに変なことをしたら……潰すから」

 

 「ど、どこを……?」

 

 「言わないと分からない?」

 

 俺が笑顔でそう言うと『先生』は顔を真っ青に染めて、コクコクと頷いた。そうして、俺たちは『廃墟』へと向かうことになった。

 

 

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