神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
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ミレニアム学園からだいたい2時間ほど歩いて、俺たちは目的地である『廃墟』まで辿り着いた。周囲には巡回中のロボットが大量に発生しており、何か言語のようなものを交わしていたまあ人間に当てはめるなら、異常なし→了解みたいな感じだろう。モモイによると目的地はこの先にあるらしい。さて、行くか……。
「エルナ! どこ行くの!? っていうか武器持ってないじゃん!」
「目的地はこの先なんだろ? まあ、そこで見てなよ」
静止の声を無視して、一歩踏み込む。推進力を100%前方に、そして一気にトップスピードへと到達し、俺は音もなく、ロボットを一機頭部を蹴り飛ばして完全に沈黙させる。すぐに異常に気がついたロボットたちが俺に向かって発砲しようとしたところで、前方からミサイルが飛んできていることに気がついて散開する。そのミサイルは俺が飛び出す前にここに飛ばすように指示したものだ。俺はミサイルとともに並走する。
ミサイルがぱかりと開くと中から俺専用の武器が現れた。その名も『ディーオデードくん』、最近完成させた2丁ビームガンブレードだ。
総重量およそ80キロ、美しい丸みを帯びた黒いフォルムに本体にスラスター機能を搭載したことで空中での軌道変更や高速での移動を可能としている。
俺はスラスターを吹かしてロボットと達を斬り裂いて行く。そしてあっという間にロボットたちは全滅した。しかし、ロボットたちの足音がどんどん聞こえてくる。
「キリがないな……。よし! 一旦どこかに逃げよう!」
俺はビームの斬撃を飛ばしてこちらに向かっていたロボットを一掃すると1度モモイたちの元へ戻る。モモイたちは口をポカンと開けて固まっていた。
「な、なにさっきの!? バビューン! ズガーン! シュパーンって!」
「ふふふ、これは俺様の武器『ディーオデードくん』2丁ビームガンブレードだ!」
「か、かっこいい……!」
「これのかっこよさが分かるとは……! 色々拘ったからなこれは……!」
「エルナちゃんってこんなに強かったんだ……」
モモイと『先生』は俺の『ディーオデードくん』を持ちたがったので、モモイにだけ触らせた。『先生』は少し寂しそうな顔をしていたが見てれば分かると言うと首を傾げていた。
「おっも……!」
「それ1個でだいたい80キロくらいあるからね」
モモイは何とか持ち上げる事には成功していたが、それだけで精一杯だった。『先生』は持たせたがらなかった理由を納得したのか苦笑いしながら『ディーオデード』を撫でるだけにしたらしい。
「ってうわ! いっぱい集まって来てるじゃん!」
「あっちに工場みたいなのが見える!」
『先生』が指を指した方向に工場のような建物が見えた。そうしている間にもロボットはどんどん集まってくる。ここまでいるともはや気持ち悪いくらいだ。
「全部倒すのは簡単だけど、あとどれ位いるか分かんねぇからな。一旦あそこに逃げるか……」
「こんなに狙われてるのってエルナちゃんのせいなんじゃ……」
「新しい武器のお披露目ってこう……インパクトが大事じゃん?」
「その気持ちは凄く分かるけどっ!」
「今はそんな話は後! ロボット達を突破してあそこに逃げ込もう! 先生、戦闘の指揮をお願いします!」
「任せて!」
どうやら『先生』の指揮の元戦うらしい。俺はそれを無視してロボットたちの群れへと突っ込んでいく。
「エルナ!?」
「あんたの指示を待つより攻撃した方が速いし、俺様自分より弱い人の指示に従いたくないんだよねぇ〜」
「分かった。エルナは自由に戦っていいよ。私はそれを全力でサポートする」
正直怒られるだろうなくらいには思っていたが、返ってくる反応は全く違った。最初は焦っていたが、直ぐに切り替えて自由にやっていいなんて言えるとは……。
「いいね。そういう潔いの俺様嫌いじゃないぜ?」
俺がロボットを斬り伏せて、撃ち抜いてを繰り返していると、ちょうど届かない位置にいるロボットがモモイとミドリによって撃ち抜かれていく。凄いな……! もう俺の速さと戦闘力を把握して適切な指示を出してくるなんて……!
そして俺たちはロボットの包囲網をあっという間に突破して工場内部へと辿り着いた。
「はぁ……、はぁ……着いた……!」
「あれ……? あのロボットたち急に追ってこなくなった……?」
「もしかしたらここに『何か』あんのかもな」
ロボットがこの辺を巡回していたのはここにある『何か』を守るためにそうしていたのかもしれない。そしてここに入ってこないということは壊されたら困るものがあるということだ。それにしては防衛力が弱すぎる気がするが……。
考え事をしていると俺の前に『先生』が立っていた。もしかして指揮に従わなかったからお説教にでも来たんだろうか?
「ありがとうエルナ」
「はぁ!? 何言ってんの!? 俺様あんたの指示ガン無視してたんですけど!?」
突然俺に向かってお礼を言い始めたので困惑する。
「だって私たちの事守ってくれたでしょ?」
「そういえば……一回も銃弾に当たって無かったかも……?」
「ありがとうエルナちゃん、守ってくれて」
「強いやつは弱いやつを守らなければならないんだから当然だっての! っていうか俺様が守ったのはモモイとミドリだけだから! あんたが無事だったのはモモイとミドリの近くにいたからで、俺様は別にあんたを守ってた訳じゃねぇから! そこんとこ勘違いしねぇように! 分かった!?」
バレないようにこっそりとやっていたのになんでバレてしまったのか……。目には見えないように銃弾の軌道をねじ曲げたり、弾丸が発射する前にロボットを破壊したりとしていたが露見するような行動はしてなかったはず……。
モモイとミドリはニヤニヤとした表情を浮かべて俺を見てくる。『先生』に至っては怒りとかそういう感情は一切感じられない。純粋な『感謝』だけが伝わってくる。
「とっとと先に行くぞ!」
みんなの視線から逃れるために前に進むと、どこからともなく『接近を確認』という音声が響いてきたので、思わず飛び上がって驚いてしまった。周囲を確認するが付近にスピーカーやカメラ、センサーの類は見当たらない。モモイとミドリの方を見ると肩を振るわせて大笑いしていた。『先生』は笑ってはいないがほっこりとしているように見える。
「きゅうりに驚くネコみたいで可愛い」
「きゅうりに驚くネコ!? 訳が分からん……」
意味が分からない言葉の羅列に困惑していると『先生』はタブレット端末を取り出してモモチューブを起動する。おすすめ欄には猫やロボットアニメの動画などが並んでいるのが見える。『先生』はお気に入りにしている動画から『きゅうりに驚く猫の動画』を再生する。動画にはご飯を食べている猫の後ろに飼い主がきゅうりを置いてそれに気がついた猫が飛び上がって驚くという動画だった。
「いやいやっ! 俺様こんなに飛び上がってないって! っていうか猫ってなんだよ猫って! 俺様もっとかっこいい動物がいい!」
「ライオンとか?」
「かっこいいけど、猫だろ!」
「うーん、サーバルとか?」
「それも猫!」
「うさぎじゃないかな?」
「猫じゃないじゃん! 猫、猫、って来たら次も猫じゃないのかよ!? かっこいい動物ですらないし!」
モモイとミドリはネタに走ったことが分かるが『先生』は真面目な顔でエルナは髪が白くて目が赤いからうさぎみたいだし、可愛い系だからかっこいいのは似合わないなんて言い出した。
「はぁ〜〜〜〜!? 俺様かっこいい系だから! 可愛い系とかありえないんだけど! あんたの目は節穴か〜?」
「エルナちゃん顔真っ赤だよ?」
「これは違うぞミドリ! 顔が赤いのは怒ってるからだぞ! 照れてなんてないって!」
動悸が速くなる。ストレスで心拍数が上がっているのを感じる。落ち着け……。俺は『先生』をじとっと睨みつけるが『先生』は何処吹く風と言ったような表情で首を傾げていた。
「落ち着いたし、先に進もうぜ!」
「なかったことにするんだ……」
「うっさい! ここに来た目的は忘れたのか!」
そうして、少し進むとまた音声が響いてくる。
『対象の身元を確認します。才羽モモイ。資格がありません』
「え? え!? どういうこと!?」
『対象の身元を確認します。才羽ミドリ。資格がありません』
「一体どういう……」
『対象の身元を確認します。■■■先生…………、資格を確認しました。入室権限を付与します』
1拍置いてから謎の音声はそう告げた。『先生』は『連邦生徒会長』に呼ばれる形でキヴォトスに来た。つまりこの仕掛けを施したのは『連邦生徒会長』ということになる。だが、一体なぜこんなところにどんな目的でそれを仕掛けたのか分からない。それこそ
「入室権限を付与って言われても開く気配ないよなあの扉……」
『下部の扉を解放します』
「きゃああぁぁっ!」
そうして俺がみんなの方に近づいた瞬間、ガチャンという音ともに、みんなが俺の目の前から消えた。と言うよりは落ちていった。俺は『ディーオデードくん』のスラスターを最大出力で吹かすとモモイとミドリの元へ向かう。後ついでに『先生』も……。
『対象の身元を確認します。DBに一致するデータがありませんでした』
「モモイ! ミドリ!」
俺はモモイとミドリを掴むことに成功した。速度を落としたいがあいにく両手は塞がっている。一応足でも動かせるので、足で操作しようとすると何かが両足にしがみついて来た。
「おいおい! あんた何やってんだ!?」
「高いところ怖い……!」
「そんなこと言ってる場合か! これじゃ速度落とせねぇぞ!」
速度が落とせない以上地面への衝突は避けられない。どんどん床が近づいてくる。しかし落ちていくにつれて、落下スピードはゆるやかに落ちていく、そしてゆっくりと着地した。
「び、びっくりしたー……」
「あ、ありがとうエルナちゃん」
「まあ、落下スピードを遅くする仕掛けがあったみてえだし、結局俺様の助けなんて必要なかっただろうけどな」
「エルナが何かやったんじゃないの?」
「…………いや、俺様じゃねえ。どうにかする手段は皆無だったからな。って、あんたはいつまでしがみついてんだよ! 離せ!」
俺はおなかに顔を埋めながら俺の体にしがみついている『先生』を無理やり引きはがす。わずかに吐息を感じたので、もしかしたら匂いを嗅いでいたのかもしれないと思っていると、『先生』はキリっとした表情で「癖になるいい匂いだった」と親指を立てながら言い放った。
「その言い方だと、まるで俺様が変な匂いしてるみたいな言い方じゃねえか! 毎日シャワー浴びてるし、服だってちゃんと毎日洗濯してるから! 変な匂いなんてするはず……しないよ?」
少し不安になったので、裾の匂いや腋の匂いを自分で嗅いでみるが、と件変わった匂いはしない。だが、自分の匂いというのは自分では分かりにくいものだ。俺はモモイとミドリのほうに視線を向けると、スッと顔を逸らした。
「冗談! 冗談だって! ちゃんといい匂いだから! 優しくて甘い感じのいい匂いだから!」
「ごめんエルナちゃん、ちょっとからかってみたくなっただけだから……」
し、心臓に悪すぎる……。いやでも、気を使ってるだけの可能性もある。俺は「だったら証明して欲しい」と言うと、『先生』が一歩踏み出したので、鋭い視線でけん制すると動きを止めた。モモイは一歩後ずさって俺から少し離れる。
「エルナって、なんか……エ、エッチな匂いがするから……」
「エッチな匂い!? 何だよそれ!?」
「あ、それ分かるかも」
モモイが顔を赤らめながらそう言うとミドリがそれに同意した。一瞬崩れ落ちそうになるが、とあることを思い出したので何とか持ち直す。野生動物のメスは子孫を残すために集団の中で強いオスに集まるものだ。そして、俺は『最強』で、人間はもともと野生動物だった。つまり、俺の中の圧倒的強さを、モモイとミドリが魅力的な匂いとしてそれを感じ取ったと考えるとおかしくはない。
「ふふふ、また一つ謎を解き明かしてしまった……」
「エルナがエッチだってこと……?」
「違ぇよ! あんた何言ってんだ!?」
『先生』の頓珍漢な発言に俺は思わず頭を抱える。このままでは埒が明かないと俺は先に進むと、そこには巨大な鉄の扉があった。さっき落ちてきた場所はすでに閉じていたので、この先に出口があればいいが……。そう思って重たい鉄の扉を素手でこじ開けるとゴゴゴという音が響く、そして扉を開けた先でまず見えたのは太陽の光。つまり、外に繋がっているということなので、ひとまずここから出る手段について考える必要性はもうないだろう。
だが『問題』なのはもう一つ。陽光の中心にとても長い黒髪の少女が『すっぽんぽん』で眠るように佇んでいた。