神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話   作:プラハ

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それぞれの作戦開始宣言

 ヴェリタスから依頼されたデータについて結果が出たとの事だったので、俺たちはヴェリタスの部室へと向かった。データの解析結果を語る前にハレは自分たちの実績について語った後、その結果について喋り始めた。

 

「単刀直入に言うね。モモイ、あなたのゲームのセーブデータを復活させるのは無理」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁん! もうダメだーーー!」

 

「そっち!? 『G.Bible』のほうはどうしたんだよ!?」

 

 俺は事前にセーブデータの復活は無理だと教えていたが、どうやらモモイは諦めきれなかったらしい。単純に消えただけなら、復活させられる可能性はあるが、上書きされた場合は不可能だ。俺が少し呆れているとコタマが現在、マキが作業中だと教えてくれた。ちなみにマキは俺と同じクラスメイトでたまにご飯を食べる仲でもある。泣いているモモイを放置して、ミドリは『G.Bible』がどうだったのかと聞くと、持ち帰ってきたものは確かに『G.Bible』で間違いないとの事だった。

 

 さらに根拠として、ファイルの作成日や転送日時、ファイル形式、さらにはIPアドレスも一致しているとの事だった。また、転送された形跡は1回だけなので、間違いなくオリジナルだということも分かったらしい。ミドリは興奮気味にマキを褒め称える。俺だってこれくらいできたのに……。

 

 「でも問題があって……ファイルのパスワードについてはまだ解析できてないの」

 

 「じゃあ結局見られないってことじゃん!?」

 

 「パスワードには心当たりがある!」

 

 「本当に!?」

 

 「鍵はお前らだぞ? マキ、『G.Bible』ってパスワードを指定回数以上間違えるとデータが消えるとかってあるか?」

 

 マキにそう聞くとマキはないと答えた。『G.Bible』とは作成者本人が使う物じゃない。つまりランダムなパスワードではないと予想できる。恐らく未来にこれを読むであろう人のために作ったものなので、パスワードは意味のある言葉が設定されている。そしてそれが解けるのは真にゲームを愛するものだけ。俺がそう言うとモモイたちは感嘆の声をあげる。

 

 「パスワードを掛けるのは人間だ。ランダムで決めたものじゃない限りは、大抵、その人っぽいパスワードが掛けられてるもんだ。語呂合わせとか、特定の日付とか、好きなものの名前とかな。パスワードを解くには論理的な思考も必要ってことさ!」

 

 「なるほどね~。さっすがエル! その発想はなかったよ」

 

 「まあな! というわけで、真にゲームを愛するお前たちなら絶対開けられるはずだ!」

 

 俺の言葉を受けてモモイたちは早速パスワードの解除を試みる。ゲーム機の発売日、ゲームタイトル、キャラクター名など思い思いの言葉をパスワードとして入力していくが、表示される言葉は全て『パスワードが違います』だった。モモイから半目で見つめられる。

 

「パスワードを解くには論理的な思考も必要ってことさ(キリ)! って言ってたのに! 全然だめじゃん!」

 

「は、恥ずかしい……あんなにカッコつけたのに……」

 

「ま、まあそういう日もあるって!」

 

 マキが背中をぽんと叩いて励ましてくれた。マキはパスワードの解析はほぼ不可能だが、セキュリティファイルだけを取り除いてコピーすればできるかもしれないと言った。

 

 それが本当なら凄いことだ。ファイルにパスワード掛けるとそのファイルは暗号化される。例えば『ABC』と書かれている場合、その文字は『BCD』と言った感じで別の文字に置き換わってしまう。たとえパスワード入力を無理やり突破することが出来てもファイルの中身が分からないようになっているのだ。

 

 俺もパスワードの解析自体は可能だが、その方法は量子コンピュータを用いた総当りか暗号方式を特定した後解読するという方法になる。どちらも数十億通りの中から答えを探すということになるため、おそらくは最低でも3日は掛かる。

 

 それを僅かな時間でどうにかできるシステムを作り上げた人はかなりの天才だろう。少なくとも情報系の分野においては認めるのは非常に悔しいが俺よりも上だ。

 

 マキはそのためには『Optimus Mirror System』通称『鏡』というツールが必要だと言う。ミドリがそれはどこにあるのかと尋ねるとマキは困った表情で自分たちが持ってたと言った。

 

「もしかして押収された……?」

 

「そうなんだよエル! この間ユウカが急に押し入って来て『不法な用途の機器の所持は禁止』って!」

 

「色々持っていかれましたからね……私の盗聴器とかも」

 

 盗聴器については持っていかれてもしょうがないんじゃなかろうか……。ただ1つ気がかりなのはユウカがどうやって『鏡』の存在を知ったかについてだが、そして何故それを押収したのかについてもだ。ハレは『鏡』は暗号化されたシステムを開くのに最適化されたツールだと言っていた。

 

 不正に入手したシステムに用いるのであれば、不法な目的で使うことになるが、例えばパスワードを忘れてしまったファイルを開きたいなんて時には重宝するツールだ。使い手次第では善にも悪にもなるものではあるが、押収するほどのものでは無い。

 

 つまり何らかの目的があって押収したということになる。

 

「私はただ先生のスマホのメッセージが確認したかっただけです。そのために『鏡』が必要で……不純な意図は全く無かったのですが……」

 

「不純しかねぇよ! そりゃユウカも押収するわ!」

 

 思わず頭を抱える。まさかとは思うが盗聴器もそういう目的で使っているのだろうか……? 何と言うか俺は少しだけ『先生』が不憫だと思った。後で俺謹製のセキュリティソフトを渡してもいいかもしれない。

 

 何てことを考えているとマキが早く取り返さないと部長に怒られると言っていた。ヴェリタスの部長は明星ヒマリという人だ。何でも『全知』というミレニアムで3人しか授与されていない学位を持っている。俺にも『全知』の学位を付与するという話があったが、俺にはその言葉はあまりにも遠すぎるからと断っている。

 

 ちなみに俺はヒマリとは何度か会話をしたことがある。と言っても俺のタブレットにハッキングを仕掛けてきたので『ハッカー殺しくん』で返り討ちにしたり、いきなり呼び出してきたかと思えば『超天才美少女バトル』とか言う訳の分からない勝負を仕掛けてきたりと、あまりいい思い出はない。

 

「私たちも『鏡』を取り返したい。『G.Bible』のパスワードを解くためには、あなたたちにとっては『鏡』が必要……そうでしょ?」

 

「さて、行くか……」

 

 モモイが引きつった表情でどこに行くつもりなのかと聞いてきたので、俺は笑って誤魔化すと、モモイとミドリ、ユズが三人がかりで俺にしがみついた。ほかの人たちは何が何だかという表情を浮かべている。

 

「みんなもエルナを止めるの手伝って! このままだと1人で生徒会に突撃しちゃうって!」

 

「いくら何でも無謀すぎるって!」

 

「無謀じゃねえし! 勝算くらいあるっての!」

 

「一応聞いておくけど、勝算って……?」

 

 俺はこの鏡奪還作戦が仕組まれたものであるということを隠して、恐らく相手側は夜に侵入してくることを予期して警備を敷いてくるはずなので、今が一番手薄なはずだと伝える。もちろん作戦は正面突破一択だ。

 

 マキが差押品保管室を守っているのが『メイド部』だと言うとさらに締め付けが強くなってきた。差押品保管室は最上階にあり、そこに行くためには指紋認証付きのエレベーターに乗る必要がある。そこを突破したとしても、当然敵は待ち構えているし、最上階はセクションごとに区切られており、緊急時にはシャッターが降りる仕組みになっており、それを無理に突破しようとすると強力なチタン製のシャッターが降りてくる仕組みになっているらしい。

 

「何も問題なくない?」

 

「「「「「「大ありだよ!!」」」」」」

 

 俺がそういうとアリスと先生以外の全員が声を揃えてそう言った。

 

 Q.最上階にはどうやって行くつもりなの?

 

 A.エレベーターの天井を壊してワイヤーを伝っていく。または外壁から登って行って窓を破壊して侵入する。

 

 Q.……シャッターはどうやって突破するつもりなの?

 

 A.強力なチタン製と言っても、所詮はミリかセンチ程度。それなら簡単に壊せる。

 

 Q.…………メイド部はどうするつもりなの?

 

 A.全員倒す。だって俺様最強だから。絶対負けないし。

 

 「「「「「「……………………」」」」」」

 

 あらかた質問に答え終わるとアリス以外、みんな黙り込んで天を仰いでいた。一番シンプルで一番早い方法なのに……。どうしてそんな反応をするのだろうか……? まあ、これで拘束はゆるんだので今のうちに行かせてもらうとしよう。俺はアリスに静かにと口に人差し指を当てるジェスチャーをしてドアのほうへと向かう。

 

「エルナが外に出ようとしてます!」

 

「アリス!? 黙ってて言ったのに!」

 

「確保~~~~っ!!!」

 

「うわっ! なにするやめっ……」

 

 モモイの一声で俺は8人がかりで動きを封じられ、椅子に拘束されてしまった。何重にもぐるぐる巻きで拘束されているため簡単には抜け出すことはできなさそうだ。それに首には『私は勝手に生徒会へ襲撃を掛けようとしました』と書かれたホワイトボードが掛けられている。

 

「エルナって天才だけど、たまに馬鹿になるよね」

 

「……!? ば、馬鹿……、ぼくがばか……」

 

 モモイに言われた言葉が胸に突き刺さる。あまりにも衝撃的過ぎて、一瞬意識を失いそうになってしまった。モモイはメイド部に挑むのは走ってる列車に乗り込めとか、燃え盛る火山の中に飛び込めと言われたほうがマシだと言った。

 

「どっちも簡単じゃん。火山の中に飛び込むなら装備がいるけど、走ってる電車に乗り込むのはそんなに難しいことじゃないし……」

 

「もー! エルナは黙ってて! 話が進まなくなるから!」

 

「はい……」

 

「と、とにかく何も正面から喧嘩する必要はないんだから。ミレニアム生らしくスマートに行かなくっちゃね!」

 

 あくまでも目標は『鏡』を取り返すことで、メイド部と戦うことじゃないとマキは語ると、コタマがメイド部を盗聴した結果、現在メイド部の部長である美甘ネルが不在だということが分かっているらしい。であるのなら、猶更今が一番いいタイミングではないだろうか……。ふふふ、縄には切れ込みを入れているのであとは力でどうにかできる。あとはみんなが油断したタイミングで向かうだけだ。

 

「エルナがバインド状態から回復してます!」

 

「い、いつの間に!?」

 

「かなりきつく縛ってたのに!?」

 

「ゆ、油断も隙もない……。アリス! エルナを拘束して!」

 

「分かりました。アリス拘束します!」

 

 アリスはそう言うと俺と向かい合わせになるように俺の上に座ると、足と手を背中に回して抱きつくように拘束してきたので、抵抗を試みるがアリスの腕はピクリとも動かない。諦めて力を抜くが、アリスの拘束がどんどんきつくなってくる。

 

「ア、アリス……? そろそろ力緩めてくれない?」

 

「いいえ。拘束を強化します」

 

「モ、モモイ! このままじゃ色々大変なことに……!」

 

 俺はモモイに助けを求める。その間にもアリスの拘束がきつくなっていき、骨がミシミシと悲鳴を上げ始めた。ダメージはそれほどでもないが、こうも異性が密着し続けると、力が入らなくなっていく。

 

「心拍数の上昇、及び体温の上昇を確認」

 

「そんなこと確認しなくてもいいって! はやく緩めてっ!」

 

「うーん……却下で! 力は今のままでいいからね!」

 

「モモイ!?」

 

 そうして俺はこの体勢のまま話を聞くことになった。こ、こんなはずでは……。この一連の騒動の目的は恐らくアリスの正体を探るためだ。俺としては何としてもこの作戦は阻止したいが……。それを説明したとしても証拠が提示できない以上、ただの憶測でしかないため納得させることはできないだろう。だから1人で行きたかったのだが……。モモイはこの作戦がいかに難しいものであるか分かっているみたいだ。何せ相手はプロだ。技量に違いがありすぎる。

 

「やってみよう。お姉ちゃん」

 

「えぇ!? でもネル先輩がいないからって、相手はあのメイド部だよ!?」

 

「分かってる。でもこのままゲーム開発部を無くすわけにはいかない。あの部室はみんなで一緒にいるための大切な場所……だから少しでも可能性があるなら……私はやってみたい」

 

 ミドリは決意のこもった表情で、たとえそれがどれだけ危険なことだとしても守りたいと言い放った。そっか……、俺はどうやら余計なお世話をするところだった。あの部室を大切に思う気持ちはきっとモモイたちのほうが上だ。正直懸念事項はある。だが、それは俺がカバーすればいい。それが『友だち』としての『役目』だから。

 

「できるさ、俺たちなら。そうだろ?」

 

「エルナの言う通りです。伝説の勇者は世界の滅亡を食い止めるために、魔王を倒します。アリスは沢山のRPGを通して、勇者たちが魔王を倒すために必要な、一番強力な力を知りました」

 

 モモイたちはレベルアップだとか装備の強化、盗聴、EMPショックだとか言い出した。前半はまだ良いとしても、後半はほとんど関係ないだろ……。

 

「一緒にいる、仲間です」

 

「アリスの言う通りだな! 人間1人で出来ることなんてたかが知れてる。だがお前たちはけして1人じゃねえ。こうして協力してくれる仲間がいる。だったらどんな不可能だって乗り切れるに決まってる」

 

「エルナちゃん……、そんな恰好で言われてもカッコつかないし、そもそもさっき一人で行こうとしてたよね……?」

 

「うるさーいっ! あの時はあれが一番最善だったってだけだ!」

 

 ミドリが茶化してくる。俺だって好きでこんな風になってるわけじゃない。俺はアリスにもうどこかに行くつもりは無いので、いい加減離れて欲しいと言うが、アリスはこうしていると何だかMPが回復する気分になるので離したくないと言った。…………それならしょうがないか……。どうせアリスの気分次第なんだ。飽きたら離すだろう。

 

「やろう! 生徒会に潜入して『鏡』を取り戻す!」

 

 モモイがそう宣言した後、何かいい計画がないかハレに質問すると、計画の実行には準備がいるらしい。盗聴とEMPショック、あとはさらに『仲間』が必要らしい。ただヴェリタスとはそんなに親しくないらしく『先生』が頼みの綱だと言っていた。まあ恐らくは彼女たちだろう。

 

「アリス~そろそろMPも満タンなんじゃないか……?」

 

「アリスは高火力光属性アタッカーなのでMPの量は膨大です。まだ全然回復できてません」

 

「モモイ~何とかしてくれないか……?」

 

「うーん、私たちじゃアリスを引き剥がすのは無理だし、このまま連れて行こっか!」

 

「正気かよ!?」

 

 俺はアリスに引っ付かれたまま椅子に載せられて、エンジニア部まで運ばれることになった。エンジニア部に辿り着くまで、俺は視線の的だった。これから一体どんな顔して廊下を歩けば……。

 

「君の言う通り、その方法なら私たちじゃないと難しいだろうね。うん、分かった。協力しよう」

 

 エンジニア部はどうやら協力してくれるらしい。何でもそのほうが面白そうだからと答えた。それにもっと『先生』と仲良くなりたいから……とも。ウタハの視線がこちらを向いている。

 

「ところで、彼女たちは何故さっきからあんな様子なんだい?」

 

「実は色々あってああなってるんです……」

 

「なるほど……やはりそうだったのか……」

 

 ……何か凄まじく誤解された気がするが、人の噂も七十五日と言うし、いつかは解けるだろう。まあこれでメンバーはそろった。ヴェリタスの部室に戻ると、モモイがいつから作戦が始まるのかと聞くとハレはもうすでに始まっていると答えた。どうやら作戦の第一段階はアリスが担うらしく、アリスは渋々と言った表情で俺から離れて行った。はあ、ドッと疲れた……。さて、俺は俺で密かに作戦を実行しよう。名づけるなら『木を隠すなら森の中作戦』と言ったところだろう。誰が企んでいるのか大体の察しはついているが、目論見通りには絶対にさせない……!

 

 

 

 




 次回『VS C&C』 エルナが大暴れします

TIPS
 『ハッカー殺しくん』
 エルナが開発した全3段階における対人間ハッカー用セキュリティプログラム。
第1段階はそこそこの腕前があるハッカーであれば突破可能だが、実はフェイクであり、ある程度の頭脳の持ち主なら罠だと気付けるようになっている。

第2段階は初心者ハッカーでも時間を掛ければ突破可能。ただし、時間が死ぬほどかかる。ちなみに内容は『10万個表示された画像の中から上に表示された画像と同じもの探して選択する』というもの。なお、表示される画像はわずかに色が違う、少しだけ線が長いなどの違いしかない。

また、一つ選択するたびに某クイズ番組ばりの溜めで正解不正解を教えてくる。一つでも間違えると最初からやり直しになり画面には「こんなものにマジになっちゃって馬鹿なの?」などの煽りのメッセージが表示される。

全部選択し終えた後、次へボタンまでスクロールすると、次へボタンの上に10万1個めの画像が表示されるので注意。

ちなみにこのタイミングで相手が冷静さを失ったと判断したら、逆ハックが開始される。

第3段階はウィザード級ハッカーでないと突破不可能。ただし、この段階で逆ハックは完了しており、ハッキングに使用した端末から最大音量でちょっとエッチな動画が再生される。

ヒマリは2時間で2段階目まで突破したが、煽られ続けた結果冷静さを失ったしまったため最大音量ちょっとエッチな動画再生トラップの餌食になってしまった。

なお2回目は2時間で全てのトラップを回避し、エルナのタブレットに侵入が成功するが、すでにエルナが全てのデータを削除していたので、残っているのは『はずれ』と書かれているテキストファイルだけだった。

『超天才美少女バトル』
 ただのクイズ対決。お互いにクイズを出し合って先に答えられなかった方が負けというシンプルなルールで行われた。16時間にも及ぶ長い対決の末、ヒマリが体力の限界を迎えてしまったため、エルナが勝った。
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