神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話   作:プラハ

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VS C&C

 作戦が始まった。第一段階はアリスが単騎で生徒会に襲撃を仕掛け、エレベーターのセキュリティロックを破壊するというものだ。正直、そんなことはして欲しくなかったのだが、セキュリティを突破するためには必要なことだ。どうやらトロイの木馬を侵入させることには成功したらしい。まずは一安心だ。俺は作戦会議のことを思い返していた。

 

 「『鏡』がある差押保管所は最上階の西側にある」

 

 ただし、そこまで行くにはおよそ442台の監視カメラと52体いる警備ロボット、それからブラック企業から押収した戦闘ロボット数十体を突破する必要がある。監視カメラについてはハッキングすることで突破可能だが、セキュリティシステムは外部ネットワークに接続されていないため直接突破するのは難しいだろう。またエレベーターに無理やり侵入しようとすると最上階の全てのセクションにシャッターが下ろされるらしい。

 

 聞けば聞くほど絶望的な状況だが、どんなものにも弱点はある。

 

 「外部電力を遮断すれば、自然と外部のネットワークにつながるから、一時的にハッキングの隙が生まれる。私たちが作った超小型EMPなら、そのすきを狙ってあらゆるシステムを無効化することが出来る」

 

 ヒビキがただし無効化できる時間は『6秒』だけだと言った。ハレはその言葉を聞いて『6秒』もあれば十分だと口にした。そして作戦の内容が次々と語られていく。ただしここまで俺の名前は一度も出てきていない。モモイはそれが気になったのか、どうするのかと聞いた。

 

「君は好きに動いて貰って構わない」

 

「え!? 本当に大丈夫なの……?」

 

「この期に及んで一人で突撃とか掛けようとか思ってないから大丈夫だって……」

 

 ウタハが俺に向かってそう言うと、モモイが心配そうにそう言った。俺は渡された資料を見ながら考える。どう動くべきなのか……? この手の作戦を考えたことがないので迷う。何故なら大抵の物事はスペックのごり押しで何とか出来てきたからだ。もちろんスマートに解決する手段がないわけではない。

 

 それこそ、エレベーターの指紋認証もシャッターのセキュリティもパワー以外の方法で解決することは俺なら可能だ。正直な話、モモイとミドリに付いていきたいという気持ちはあるが、今の作戦を踏まえた上では最善とは言えない。そうなると答えは1つだ。

 

 「ウタハ先輩、用意してほしいものがあるんだけど……」

 

 俺はウタハにとあるものはあるのかと聞いたらあると答えた。これで俺の作戦に一切の障害はなくなった。あとは作戦を実行に移すだけだ。俺はとあるビルの屋上でその時を待っていると、スマホに電話が来た。ウタハからだ。

 

「エルナ、例のものは用意できたが……」

 

「ウタハ先輩、ありがとう。あとは手はず通りに」

 

 俺はそこまで言って電話を切った。少し遠くにある廊下をモモイとミドリ、それから『先生』が通過していくのが見えた。どうやら作戦は今のところうまくいっているらしい。そして、それを狙っているスナイパーの存在も俺には見えている。角楯カリン、C&Cの後方火力支援担当。カリンが引き金を引こうとするその瞬間、俺は引き金を引くと、すぐに飛び上がってレーザーを避けた。さすがは凄腕のエージェント、不意打ち程度で倒せるような存在ではないらしい。すぐにこちらに銃口が向けられたので俺はこの隙を逃さずにもう一発撃った。

 

 ――*――

 

 悪寒がしてそこから飛びのくとそこにはレーザーが飛んできた。恐らくは私の狙撃位置を予想して背後から不意打ちを仕掛ける作戦だったのだろう。だが、不意打ち程度で倒されるほど私はそう甘くない。私は相手の狙撃位置に向かって銃を向け、スコープを覗き込もうとして……。

 

「な!? マガジンを撃ち抜いたのか……!?」

 

 レーザーがマガジンを貫通していった。恐らくこのマガジンはもう使い物にならないだろう。それにリロードをさせてくれる時間はなさそうだ。私のいる場所にレーザーの雨が降り注ぐ。相手が誰かは分からないが、相手のほうが高所をとっている以上、こっちのほうが不利になる。幸い隣の建物には相手の狙撃から隠れられる大きな看板がある。これでリロードができる時間を稼ぐことが出来るだろう。隣の建物まで移動しようとすると、レーザーが体を掠めていく。

 

「動いている的を狙うのは苦手のよう……なっ!?」

 

 隣の建物に映った瞬間、私の足元に大きな影が現れる。上を見上げると大きな看板が倒れてきていた。どうやら看板の支柱をほぼ同時に撃ち抜いて倒したらしい。このままでは私は看板に押しつぶされるだろう。だが、私はこの程度の修羅場は今まで何度も潜ってきた。たかが看板程度恐れるに足りない。すでにリロードは完了している。看板のど真ん中を撃ち抜いて、わずかに落下速度を遅らせて、そのすきに看板の下を走り抜け、次のビルへと移ろうとしたその時だった。足元から何かが崩れる音がした。

 

「まさか……最初からこれを狙っていたというのか!?」

 

 ここまでの行動は全てブラフ。相手の狙いは私が隣のビルに飛び移る瞬間、足場を崩して落下させることだった。体が宙に投げ出される。落下に備えて受け身の準備をするが、感じたのは柔らかい感触だった。これはマットか……?

 

「まさか本当にここに君が落ちて来るとはね……」

 

 すぐそばから声が聞こえる。薄暗いせいで最初は誰か分からなかったが、すぐに目が慣れたたため、相手の正体が分かった。エンジニア部の白石ウタハだ。ウタハはスマホを耳にあてて「後はこちらに任せてくれ」と言うと、電話を切った。

 

「……は?」

 

 機械の駆動音らしきものが聞こえたかと思うと、銃弾が放たれる。避けようにも足元が柔らかいクッションのため踏ん張ることが難しい。銃弾が体に当たる。すかさずこちらも反撃する。どうやらかなり硬い素材でできているらしく貫通はしなかったが、弾丸の勢いで倒れてしまったのか足をバタバタとさせている。これでマットから移動する隙ができた。だが、戦況的に不利だと言う状況に変わりはない。

 

 風切り音がする。この音は……。その場から飛びのく、着弾と同時にそれは爆発した。

 

「曲射砲!? くっ……」

 

 どこから飛んで来ているのかは定かではない。この状況を切り抜けて再び狙撃位置に付くことはもう不可能だろう……。

 

「本当に末恐ろしいね彼女は……戦闘力が高いことは知っていたが、ここまでとはね……」

 

「彼女……?」

 

「君もよく知っているだろう。エルナだよ」

 

 栄道エルナ……、千年難題の1つを解き明かした天才児。あのヒマリですら何1つ情報を得ることが出来なかった謎の転校生。大きな音ともに最上階から閃光が過ぎていくと、その場所に向かって人が飛んでいくのが見えた。

 

「さて、作戦終了までここで時間を稼がせてもらおうか」

 

 ――*――

 

 「後はこちらに任せてくれ」

 

 「ありがとうウタハ先輩」

 

 俺はそう言って電話を切る。俺が事前にウタハへ頼んでいたこと。それはとある地点にマットを敷いておくことだ。相手の狙撃位置は事前に予測出来ていた。だから俺はそれを有利な位置から一方的に狙撃する。それで倒せればそれでよし、倒せないなら相手は大きな看板がある隣の建物に移るだろうということは分かっていた。ここで大きな看板を倒せば相手さらに隣のビルに移らなければ看板に押しつぶされる。だが、そこまでの距離は少し離れているため、相手はギリギリのところで跳躍しなければならない。そこを相手が踏むその瞬間にそこを撃ち抜けば相手はバランスを崩して落ちていくという作戦だ。

 

 恐らくはマットがなくてもどうにか出来ただろうが、怪我をさせるつもりは微塵もない。あくまでも俺の役目は時間稼ぎで、もう1つは俺が1番目立つ存在になることでアリスから目を逸らさせること。これでカリンはもう狙撃位置に付くことはできない。

 

「さて、行きますか……丁度穴も出来たことだし」

 

 最上階に人が入れるだけの穴が空いて、そこから閃光が空に流れていった。恐らくはアリスの放ったものだろう。ということは今あそこにモモイとミドリがいるということになる。恐らくは誰かの作戦が失敗したということになるのだろう。このままいけば20分後には皆確保される。計画ではそうなっていた。でも、ここには俺がいる。

 

「スラスター出力最大……! 補助ブースター点火」

 

 キーンという音が鳴り響く。『ディーオデードくん』は本来であればこの距離を飛ぶことはできない。普通に飛べば重力によって引っ張られ、壁に勢いよく激突する羽目になる。まあ、アリスが窓を破壊してくれなかった場合はそうするつもりだったが……。使い捨ての補助ブースターを搭載したことでこの程度の距離なら問題なく届くはずだ。俺は夜空を翔ける。そしてそのままモモイたちの元へ突撃した。

 

「な、何なの!?」

 

「真打登場ってやつだよ、ユウカ先輩」

 

 ユウカが驚愕した表情で俺を見る。アカネは後方火力支援が1度もないことを不審に思っていたが、ここでようやくその理由を悟ったのだろう。俺は鋭い視線に晒されていた。俺はモモイたちの前にユウカたちから守るように立って、武器を構える。相手側の戦力は、ユウカとアカネ、それから戦闘ロボットが23機。

 

「モモイ、先に向かって! ここは俺様が何とかする」

 

「でもっ!」

 

「まあ倒すわけじゃない。足止めするだけだから……ねっ!」

 

 床を踏み砕いてセクションごと1つ下の階へと落下する。戦闘ロボットは落下したことによって殆ど壊れてしまったようだ。俺はモモイに早く行けと視線を送ると、モモイたちは迷いながらも先に向かって行った。砂ぼこりの中から咳ばらいをするユウカの声が聞こえる。あーあ、それじゃどこにいるか丸わかりだよ。

 

「な、何て馬鹿力なの!? というかいくら何でもやりす……」

 

「やっほー、ユウカ先輩。そんで、おやすみ」

 

「ユウカ!」

 

 俺はユウカを手早く気絶させると、抱えていたアスナを床に降ろした。このまま放っておくと瓦礫に埋もれてしまう可能性があったので仕方なくではあるが……、怪我をして欲しいわけではないので当然の行動だ。アスナは目をぱちくりとさせると、俺にお礼を言った。

 

「さて……どうする? もう残ったのはアカネ先輩だけみたいだけど?」

 

「まさかここまでやるとは思いませんでした。ですが……」

 

 返礼はグレネードだった。俺は空中に飛んで回避すると、こちらに向けてハンドガンを構えている姿が見える。だけど残念。発射された弾丸は俺から逸れていく。アカネの表情が驚愕に彩られるが、すぐに冷静に戻ったのかバックステップして俺の攻撃を回避しようとしたので、俺は『ディーオデードくん』のスラスターを吹かして一気に距離を詰める。

 

「なっ!?」

 

「残念でしたっと」

 

 『ディーオデードくん』でアカネを気絶させる。アスナは信じられないといった表情で俺を見ていた。回復して追ってこられても面倒だ。ここで気絶させておくべきだろう。俺が振り下ろそうとしたところで、俺はそこから一気に飛びのくと、無数の弾丸がそこを通り抜けていった。

 

「うちのメンバーが随分世話になったみてえじゃねえか」

 

「へえ……あんたが噂のネル先輩か……」

 

 後ろを振り向くとそこには不敵な笑みを浮かべたネルの姿があった。一目見て分かる。この人はさっきまでの人たちとは別格だ。でも決して勝てない強さではない。ただ、今の装備では倒すのに時間が掛かりそうだ。まあ時間を稼ぐなら、簡単なことだろう。

 

 「皆からアンタのことを聞いた時から思ってたんだよね。キヴォトスでも屈指の戦闘力を持つって言うアンタに」

 

 「へえ……ソイツはいい度胸じゃねえか。じゃあお望み通り捻り潰してやるよ」

 

 お互いに睨み合いながら、間合いを探る。恐らく相手は小柄な体を生かして戦う高速アタッカータイプ……接近戦を仕掛けて来るはずだ。あと最初に見た時から思ってたんだよね。キャラが少し被ってるって……! お互いに呼吸を吸って吐く、そして戦いの火蓋は切られた。ネルはこちらに牽制するように両手に持ったサブマシンガンを放ってくるが、弾は全て掻き消えると、一瞬攻撃の手が止まったのでその隙にバーニアを吹かせて一気に接近するが、ギリギリで避けられた。

 

「超電磁装甲に、ビームガンソード……おいおい……いつからここはSFになっちまったんだ?」

 

「俺様天才なので」

 

「理由になってねえだろ!」

 

 お互いに笑い合いながら攻撃を続ける。お互いに攻撃を決めらないまま膠着状態が続く。俺はあえて体制を崩したフリをするとネルは一歩後ろに下がったので、そこをめがけて撃ち抜くが、避けられる。うわぁ……今の避けるとかどんな感してるんだ……。

 

「嘘……部長と互角にやり合う人がいるなんて……」

 

「てめえの武装は燃費が悪い。だから攻撃と防御の一瞬だけしか展開してねえ。つまりエネルギーが切れちまえばただのガラクタだ」

 

「確かにネル先輩の言う通り、俺様の武装はエネルギーが切れたらただのガラクタ。でもそれまであんたの弾薬が持てばの話だ」

 

 エネルギーの残量は残り30%……。相手の弾薬の残りは不明だがそれほど残っているわけではないだろう。恐らくここから先、それに超電磁装甲のもう1つの弱点が近接戦であることにも気が付いているはずだ。これ以上戦っても長くて面倒な戦いが続くだけだ。そう思っていると俺のスマホが2回に分けて震えた。これは簡単に言えば作戦成功を意味するものだ。つまり後は撤退するだけ、ここで戦い続ける必要はない。

 

 「ここで終わりにしましょっか。これ以上戦うのは面倒だし、今度お互い万全な状態でやりましょうよ」

 

 「は?」

 

「というわけで、さらばっ!」

 

「なっ! 待ちやがれ!」

 

 俺はネルに背を向けると差押保管所に続く通路まで飛んだ。後ろからサブマシンガンの弾が飛んでくるがそれは全て超電磁装甲によって逸らされていく。通路に立って後ろを振り向くとすぐそこまでネルが迫っていたが、俺はすかさずシャッターを閉めると、ゴチーンと言う音の後に、大きな怒声が聞こえてきた。

 

「さて……、さっさと合流するか……。…………?」

 

「駄目ですよ?」

 

 隣のシャッターが開くとそこには笑顔のノアがいた。げえっと声をあげると、笑顔のままそんな風に反応されると少し傷つくと笑って言った。馬鹿な……、ノアは閉じ込められていたはず……。いや、まさか……!?

 

「エルナちゃんの思っている通りです。ユウカちゃんに開けてもらいました」

 

「き、気絶したフリをしてたなんて……! だ、だけどノア先輩1人で俺様に勝つなんて不可能!」

 

「確かにその通りです。私ではエルナちゃんには勝てません。ですが……」

 

 ノアはそう言うとポケットから1つの機器を取り出した。猛烈に嫌な予感がする……! 動けずに固まっているとノアがボタンを押した。

 

 『大丈夫じゃない……。僕のゲームガールカラーSPが爆破……、楽しみにしてたのに……、倍率1000倍の抽選にも勝ったのに……、すっごい楽しみだったのに……』

 

 思わず膝から崩れ落ちる。あ、あの時の……! ノアはこう言っているのだ、これをばら撒かれたくなければ、投降しろと……。

 

 「ちなみにバックアップは3個取ってあるので、これを壊しても無駄ですよ?」

 

 「ですよね~」

 

 ノアが詰め寄って来て、俺の肩にぽんと手を置いた。ノアは満面の笑みを浮かべている。俺はがっくりと肩を落として投降した。ま、まあ結果的にモモイたちを逃がすことには成功しているから良しとするか……。こうして俺はノアに抱えられて『反省部屋』へと送られる羽目になるのだった……。

バッドエンドIFって書いたほうがいいですか?

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