神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
お気に入り登録、評価、ここすき、感想、誤字脱字報告
いつもありがとうございます!
宵闇の乱入者と17歳児
夜も更けてすっかり真っ暗闇になってしまった校舎内を俺は歩いて、とある場所へと向かう。目の前には閉じている扉がある。だがそれが
「世界を終焉に導く兵器」
「『かわいい後輩』ですよね♪」
「可愛い見習い勇者だろ? 可愛いってところには同意するが、見る目がないな」
「な!? 貴女は!? いったいどうやって……」
「それは今別に重要な話じゃねえだろ?」
リオは驚愕した表情で俺を見つめていた。ヒマリはどこか余裕そうな笑みを浮かべている。恐らくは俺が今日ここに来ることを察していたのだろうか。俺は机の上に座る。生徒会長を務めているだけあってリオはすぐに冷静さを取り戻したらしい。あるいは、この状況でもなんとかできる手札を持っているかだ。リオは俺とヒマリの意見を承服しかねるようだ。
「そう……やはり貴女も知っていたのね」
「ああ、その通りだ。俺様はあんたらの暗躍を止めに来た。これ以上余計なことをするって言うなら……」
俺は両手に持った『ディーオデード』をリオとヒマリに向ける。所謂最後通牒と言うやつだ。まあこれはただの脅し。撃つつもりは微塵もない。リオはあれがどういうものか知っていながら、何故庇うような真似をするのかと聞いてきたので俺は笑う。
「リオ会長の目的はアリスの殺害だな? 友達が殺されると知ってて、何もしないやつがいると思うのか?」
「そう……貴女はもっと賢いと思っていたのだけど、残念だわ」
リオの後ろにAMASと刻印されたロボットが現れる。それを見たヒマリはリオが最近作っているおもちゃだと言うと、リオはこのままあなたたちを返すわけにはいかないと言うとAMASたちが俺とヒマリを取り囲む。
「まぁ……そうでしょうね。あなたならそうすると思っていました」
「……!? 私のオフィスが……ハッキングされた……!?」
一気に部屋が真っ暗になる。どうやらヒマリはこの隙に逃げ出すつもりらしい。リオはすぐにAMASに俺とヒマリを捕まえるように指示を出すが、動くものはもういない。何故なら俺がもう全部倒してしまったからだ。ヒマリは病弱美少女に不可能なんてないと言おうとしたところでAMASが全滅していることに気が付いたのか少し不満そうな表情をしているが、すぐに逃げ出した。ここでヒマリを逃がすと面倒なことになりそうだと思った俺はヒマリを追いかけることにした。
「まぁ、超天才病弱美少女の私には無意味ですが♪」
「本当に無意味か確かめてみるか?」
「い、一応私は味方なんですが……」
「それは俺様が決めることだ」
ヒマリの後ろから足音が聞こえてくる。恐らくは追手だろう。俺はスラスターを吹いてヒマリを飛び越える。飛び越える瞬間、ヒマリはキュッと目を瞑っていた。空中にいる俺はそのまま追手に向かってビームを放ったが、どうやら躱されてしまったらしい。舞い上がった土煙の中からメイド服を着た少女が姿を現した。確か名前は飛鳥馬トキ、俺と同じ1年生だ。
メイド服を着ているということはC&Cの5番目のメンバー。鏡奪還作戦の時に姿を現さなかったということは、リオの補佐としての役割を持っているのだろう。何かしら切り札のようなものがあるはずだ。撤退してもいいが、恐らく相手の目的はこちらを捕縛すること。ヒマリを連れて撤退することは難しい。ここで無力化するしかない。
「C&C所属、コールサイン04。ご挨拶申し上げます」
トキがスカートをたくし上げて挨拶すると同時にこちらにアサルトライフルが向けられ、銃弾が発射される。銃弾は俺に当たる前に方向を変えて斜め後ろに着弾する。しかし、トキは全く表情を変えずにこちらに突撃してくる。どうやらこちらの武装について事前によく聞いていたらしい。でも、それだけで勝てるほど俺は甘くない。俺は『ディーオデード』を振り下ろすがそこにトキの姿はない。
「高速移動……じゃねえな」
トキの動き自体は目で追えた。確かに動きはそれなりに速かったが、あれはまるで
「厄介ですね……その装甲……」
「諦めて降参しろ」
返礼は蹴りだった。急接近してきたトキは俺の後ろに回り込むように動くと回し蹴りをしてきたので後ろに飛んで避けると、こちらに踏み込んで拳が飛んでくるので、それを掴む。凄い力で離そうとするが俺の方が力は上だ。
「不用意に踏み込んだな。肉を切らせて骨を切るという言葉があるが、最強種たる俺様はそんなことしなくても骨を切れる」
「くっ……」
「じゃ、おやすみ~」
発光が迸るとトキは気を失っていた。相手が切り札を使う前で良かった。切り札を切られていれば戦いはもっと長引いていたはずだ。前方から慌ただしい音が聞こえてくる。少し時間を使い過ぎたらしい。機械の駆動音が聞こえてくるが、突如として停止した。ヒマリの方を振り向くとすごい得意げな表情でこっちを見ていた。
「天才美少女として、エルナにばかり良いところは譲れませんからね♪」
「ヒマリ先輩、まだそれ言ってんのかよ……」
どちらにせよこれで時間は十分に稼げたはずだ。そう思っているとヒマリが急に爆走を始めると、こっちを向いてまるで私に追いつけますか? と言っているみたいだった。まあ、普通に追いつけるんですけど……。隣を並走するとヒマリは驚いた顔で俺を見ている。
「時速90キロですよ!? 何で普通に追いつけるんですか!?」
「セーフハウスにでも引き籠られたら困る。ヒマリ先輩には聞きたいことがいっぱいあるからなぁ?」
「その話なんですが……私を暫く匿って貰えませんか?」
「はぁ!?」
並走を続けながら会話を続ける。何でも情報を渡す代わりに匿って欲しいらしい。というか最初からヒマリは俺の家まで行くつもりで、帰ってきた俺を驚かすつもりだったらしい。ヒマリに俺が帰宅するよりも早くセキュリティを破れるわけないでしょと言うと、ヒマリは額に青筋を浮かべると、できますけど!? と憤慨した。それから5分ほど走り続けて、俺が住んでいるマンションの部屋の前までたどり着いたので、ヒマリに5分以内に開けてみろと言うと、ヒマリは俺のドアの前まで移動した。
「ふふふ、天才清楚系病弱美少女ハッカーの私の実力を見せてあげましょう」
ヒマリはそう言うと俺の作り出したセキュリティシステムに挑み始めた。鍵開けのシステムは単純だ。キーの操作盤にはAからHまでのアルファベットと1から8までの数字が書かれており、その下にはKQRBNPと書かれている。ヒマリはこの数字の意図に気が付いたのかPを押した後、E、4と入力する。すると画面にはPE5と表示された。簡単に言えば、これはチェスだ。ただし相手は俺の作った人工知能が相手となる。
人間はもうチェスでは人工知能に勝つことはできない。何故なら人工知能は全ての盤上のパターンを記憶しているからだ。チェスにおけるパターン数はおよそ10の120乗記憶しており、その中で最も評価値の高い手筋を打ってくる。だがチェスは先手が圧倒的に有利なゲームだ。なので10の120乗を記憶していれば勝つことはできるだろう。
「ふふふ、中々楽しい勝負でした。ですがこの私には及ばないようですね。チェックメイトです」
「はい、残念でした~」
入力を始めてから3分ほど経った頃、決着がついたのか得意げな表情でヒマリは詰みを宣言したが、それでは駄目なのだ。俺の家の鍵を開けるための条件は人工知能に勝つことではなく、人工知能の手筋を予測し特定の盤面にすることだ。『ERROR』と表示されているキーの操作盤を呆然と眺めているヒマリを尻目に俺はキーの入力をしていく。本当はこんなことしなくても開けられるがたまにはいいだろう。ジャスト2分で俺は特定の盤面を作り出して扉の鍵を開けた。
「何してんだよ。扉開けて待ってるんだから早く入って来いって」
「エルナは5分で開けてみろと言いました。ですがまだ5分経っていません! つまり、まだ私に挑戦する時間は残っているということになります」
「えぇ……」
ヒマリはまだ諦めていなかった。俺に扉を閉めるように言ったので俺は言葉の通りに扉を閉めた。俺は2分ほど待ってから扉を開けようとすると、扉の向こうからあと少しだけ待っていてくださいと言われた。
「いい加減にしろーっ! もう5分はとっくに過ぎてるんだぞ!」
「嫌です! 絶対に開けるまで諦めません……!」
ヒマリは頑なに諦めようとはしない。仕方がないので俺はため息をついて待っていると、それから4分後ついに扉のロックが解除された後、ヒマリは得意げな表情で俺を見た。この人自由人過ぎるだろ……。まあいい、俺はこれでこのセキュリティを突破したのは2人目だと告げるとヒマリはショックを受けていた。ちなみにこのセキュリティを突破したのは俺以外にはアスナだけだ。何でも適当に入力したらなんか開いたと言っていた。
「とりあえずさっさと入ってくれよ」
「ええ、お邪魔します」
ヒマリは俺の家に入るとキョロキョロと辺りを見回していた。かと思うと急にため息をついた。何だよと聞くと、ヒマリはこの部屋にはあまりにも物がなさ過ぎる。ベッドと変なぬいぐるみくらいしか置いてないじゃないですかと言ったので、あれはペロロ様って言うらしいと教えると、それくらい知ってます! と声をあげた。多分、お腹でもすいているんだろう。俺は戸棚からカロリーバーを、冷蔵庫から紙パックの野菜ジュースを出すとヒマリの前に置いた。
「あ、あの……これだけ……ですか……?」
「栄養バランス的には何の問題もないだろ」
「他に何かないんですか?」
「別の味がいいってことか? それ以外だと、今家にあるのはフルーツとバニラと……あとメープルくらいだな」
俺がそう言うとヒマリは下を向いてしまった。こんな味気ない食事は嫌だと駄々をこね始めたので、明日買いに行くから我慢しろと言うが聞く耳を持たない。出前で何か頼んで下さいと言うが、もう時間はだいぶ遅い。出前なんてやっていないと言うと、何か買ってこいと言い始めた。
「じゃあ、コンビニ弁当かレトルトでいいか?」
「ダメに決まっているでしょう! 大体私は客なんですよ? 丁重にもてなすのが役目でしょう?」
「あーじゃあもう面倒だからご飯抜きで」
「なっ……、そっちがその気ならこちらにも考えがあります」
何をするつもりなのかと聞くと、喚き散らすと言ったので、この部屋は防音だから好きにしろと言うと、少し間をおいてから嫌だ嫌だと喚き始めたが俺はそれを無視してゲームを始めた。これはユズからおすすめされたゲームだ。ユズがおすすめするだけあってとても面白い。あと少し後ろがうるさかったので俺はヘッドホンをつけて完全にゲームの世界にのめり込んだ。
「ふぅ……」
丁度一段落ついたので、ヘッドホンを外すと見るからにしょんぼりとした表情のヒマリが机の上で項垂れている。机の上には未開封のカロリーバーがあったので食べなかったらしい。放置していれば諦めて食べるだろうと思っていたが……。ヒマリは俺が見ていることに気が付くとぱあっと明るい表情を浮かべたので、ちょっとお手洗いに行くだけだと伝えるとしょんぼりした顔に戻った。この人のメンタルどうなってるんだよ……。
「あーもう分かった分かった……、何か適当に買ってくるから文句とか言うなよ?」
「和食をお願いします」
得意げな表情でそう言うヒマリに俺は無言でデコピンをすると、『全知』とは程遠い声をあげて頭を抑えたかと思うと、涙目で俺を半目で見る。
「ミ、ミレニアム最高の頭脳に何かあったらどうするんですか……」
「はぁ……とにかく24時間やってるスーパーでうどん買ってくるわ……。はぁ……何で僕がこんなこと……」
この後、5分でうどんと具材を買ってきた俺は10分ほどで肉うどんを完成させた。俺のうどんを食べたヒマリはつゆはもう少し甘いのが良かっただの、もっと具がいっぱい欲しいだの、デザートは無いのかと言うので、俺はニッコリとほほ笑んでデコピンの構えをすると頭を抑えて黙り込んだ。俺はため息をついてかりんとう饅頭を差し出すと心底嬉しそうにそれを食べていた。
「満足しました……」
「そーですか……。はぁ……そろそろ本題に入るぞ」
「ええ、これからの話を始めましょう」
急に真面目な表情になったヒマリに俺はさっきまでとっていた態度との落差に頭が痛くなってきた……。それから俺とヒマリはお互いに持っている情報のすり合わせをしつつ、真面目な話をした。ずっとこの状態でいてくれればいいのにと俺は心の底からそう思った。
バッドエンドIFって書いたほうがいいですか?
-
いる
-
いらない