神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
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体内で『光の剣』が炸裂する。内臓が掻き混ぜられたみたいな気分だ。体の中に風が通るという感覚はとても気持ちが悪い。喉の奥に血がせりあがってくるが気合で堪えた。俺を見るみんなの表情は真っ青に染まっていた。
「エルナ! 大丈……ってあれ……?」
「ギリギリで間に合ったぜ……」
モモイが困惑する。何せモモイの視点では俺の体には何もなっていない。飛び散った血も、お腹に開いた風穴もまるで最初からなかったかのように。
普段人間が見ている光景は電磁場の波を色として捉える。つまり、電磁場の波を操作できるなら今そこにある真実を隠すことなんて容易いということだ。例え今モモイたちが見ている光景が虚構のものであっても目に見えるこの光景が真実になる。鍵は目の前で起きた事象をありえないものを見るような表情を浮かべている。
「不可解。攻撃は命中したはず……?」
「超電磁バリアを高密度かつ一点に集中させたってだけだ」
「あ、あれ……? 血が飛び散って……」
「火花か何かを血と見間違えただけだろ。この通り俺様は無事なんだからな」
もちろん嘘だ。俺はニヤリと笑みを浮かべ、『ディーオデード』の切っ先を鍵に向ける。恐らく今の状態は鍵が一時的に管制システムを乗っ取っているのだろう。つまり一度意識を喪失させれば再び管制システムをアリスに戻すことが出来るだろう。現状それが出来るのは多分俺だけだ。ビームは装甲に阻まれる。継ぎ目を狙おうにも継ぎ目がない。
それに
「ですが相当消耗したはず。ここで排除します」
「ここじゃ狭い。場所を変えるぞ」
「ぐっ……! この力……どこまで……!」
ここで戦い続ければ確実に皆を巻き込んでしまう。だから俺は鍵の体を右手で掴むと右足で壁を破壊して、外へと落ちる。無名の守護者たちはアリスを守るようにこちらへと向かってくる。さっきの一撃で超電磁バリアは暫く使い物にならない。無名の守護者たちからビームが放たれ、体に火傷が出来るが構わずにアリスの元へと突撃しようとするが距離を詰めることが出来ない。
「はぁ……はぁ……」
「これで終わりです」
『光の剣』がこちらに向けられる。完全に取り囲まれたこの状況で避ける手段は皆無だ。発射されるその瞬間、声が聞こえてきた。
「おい、チビ。そこまでだ、大人しく寝てろ」
「ネル先輩か……。助かりました……」
「あん? お前ならあの状況でもどうにかできただろ」
「はは……、買いかぶり過ぎだっての」
ネルは流れるような動きでアリスを気絶させた。無名の守護者たちはメイド部のメンバーたちによって破壊された。ネルと目が合うと、驚いた表情で俺を見た。ああ、どうやら今見ているものが偽物だと気が付いたらしい。はは……、流石だ。これで誤魔化すことが出来るのはあくまで視覚によるものだけで、それ以外は誤魔化すことが出来ない。恐らくは嗅覚か聴覚で俺の状態を感じ取ったのだろう。俺は口元に人差し指を当てて黙っているようにと伝える。
「お前……!」
「エルナ! 大丈夫!?」
「ああ、メイド部の人たちのおかげでなんとかね……」
モモイのほうに笑いながらそう言うと背中からネルの差すような視線を感じる。どうやら皆にケガはないらしいので本当に良かった……。ただ俺を見つめる視線はどことなく迷っているような感じがする。まあ、そうだよね。やがて意を決したのかモモイが口を開いた。
「エルナは……アリスに何が起きたのか知ってるんだよね?」
「知ってるよ。でも言えない……」
「ど、どうして!?」
「……………………」
「まあ落ち着けよ。コイツも疲れてるみたいだし、話なら明日にでもすればいいだろ」
ネルが助け舟を出してくれた。正直答えることはできなかったので、とても助かった。それにケガのことも黙っていてくれるみたいだ。モモイたちはまだ不満そうな表情を浮かべていたが一応は納得してくれたらしい。
――*――
体が重い。怪我の処置をしていないので血を流しすぎたせいだろう。今日は少し疲れた。
「やっと帰ってきまし……どうしたんですか!?」
「あはは、ヒマリ先輩もそんな顔するんだな」
「そんなことを言っている場合ではないでしょう! 早く病院に……!」
救急車を手配しようとするヒマリの手を止める。病院に行けば折角ここまで隠し通してきたことが無駄になる。俺は今にも崩れ落ちそうな体を引きずって、治療道具を取り出してお風呂場へと向かう。まずは体内に残留している弾丸を摘出しなければ……。血で真っ赤に染まった服を全部脱ぎ捨てる。
「はぁ……はぁ……次……」
弾丸の摘出は終わった。次は傷口の縫合と、流れた血を流さないと……。こんなに重傷を負ったのは初めてのことだったのでうまくできるか不安だったが、案外何とかなるものだ。この分であれば1週間もあれば完全に治るだろうが、あいにくそんな時間はない。鍵がアリスに接触した以上、動き始めるのは時間の問題だ。俺はヒマリに今日起きたことを話すが、ヒマリはどこか上の空だった。
「おい、もしかして寝不足か……?」
「違います!」
「じゃあ、何でさっきからそんなに上の空なんだよ。お腹でも空いているのか?」
「エルナの頭の中の私がどう思っているのかがよく分かりました……。って違うでしょう! どうしてそんなに平然としていられるんですか!? 誰が見ても重症でしょう! 誰も何も言わなかったんですか!?」
「ああ、そういうこと。『CODE:XVIII』」
傷口が最初からなかったかのように消えていく様子を見てヒマリは絶句した。あくまで幻を見せているだけで実際には無くなったわけじゃないと俺は右手を消して、その右手でヒマリの手に触れるとヒマリは目を伏せてプルプルと震え始めた。
「つまり一時間くらいそのままだったということでしょうか?」
「……? 質問の意図が分からねえがそういうことになるな」
「何を考えているんですか!? 下手をすれば命を落としかねない行為だと言うのに……」
「でも死んでないし、何かを失ったって訳じゃないんだから別に支障はないんだから問題ないだろ。そんなことよりこれからの作戦を考えるぞ」
「は……? それは本気で言っているのでしょうか?」
信じられないと言った表情でヒマリは俺を見る。冗談でそんなことを言うわけがないだろうとヒマリに告げるとヒマリは大きくため息をついて奥の部屋へと向かおうとする。
「今のあなたと話すことなんてありません」
「何言ってんだよ。こんな大変な時に……!」
「同じことを2回も言わせないでください。ああそれとご飯は出前を頼みますので届いたら部屋の前に置いておいてください。それでは」
ヒマリはそう言い残すと奥の部屋に閉じこもってしまった。意味が分からない。どうしてあんな急に怒り始めてしまったのか理解できない。アリスと鍵が接触することを防げなかったことに怒っているのだろうか……? まあいい、今は明日以降どうするか考えないと。そっちの方が重要だ。
――*――
翌日強烈な倦怠感と熱っぽさが体を襲うが、それを構うことなくゲーム開発部へ顔を出すとモモイとミドリ、ユズが部室の前で立ち尽くしていた。どうしたのかと聞くとアリスが部屋の中に閉じ籠っているらしく、今先生がアリスと話している最中だとモモイは言った。あの底抜けの生徒大好き人間ならアリスを何とかできるだろう。俺がそう思っているとカツカツと足音が聞こえてきた。
「どうして貴女がここに……!?」
リオ会長は信じられないものを見るような目で俺を見た。
「どうしても何も閉じ籠ってる友達を心配して来たからに決まってんだろ」
「貴女……自分が今どんな状態か分かってるの!? ここにいる場合じゃないでしょう!」
「何のことか分からねえな」
すっとぼけるがリオは俺の今の状態について知っているらしい。ということはどこかから見ていたということか……。
「どういうことですか……?」
「なるほどそういうことなのね……。道理で誰も貴女のことを心配しないはずだわ」
「こっちを動揺させようたってそうはいかねえなぁ」
「誤魔化すのもいい加減にしなさい! 貴女は命にかかわるレベルの大けがを負っているじゃない!」
「え……?」
ついに決定的な一言が出てしまった。しかも一番聞かれたくなかった人に聞かれてしまった。アリスは呆然とした表情で俺を見ていた。
「アリスが……エルナに怪我を……」
「じゃああれはやっぱり見間違いじゃなかったってこと……?」
俺に視線が集まる。リオ会長はアリスに向かってそれが逃れられない真実だと告げて、やっぱり危惧したとおりになってしまったと言うと、先生に向かってこんな出会い方になってしまったことは非常に残念だと告げた。そして、真実を教えにきたと。
「やめろよ」
「貴女がもっと早く真実を教えなかったからこんなことになったのよ。単刀直入に言うと少女の外見を備えた『ソレ』は、普通の人間ではないわ」
「やめろって言ってるだろ! 真実なんか知ってどうなる!? こいつらに絶望を味わえって言うのか!?」
「ええ確かにそうかもしれないわ。でも知らないほうがずっと残酷でしょう? 貴方たちがアリスと名付けたソレは『
アリス……貴女はこの世界を滅ぼすために産まれた『魔王』なのよ。
アリスの目の前に突きつけられた真実は勇者に憧れている少女にとって最も残酷な真実だった。
「魔王として産まれたからなんだ。魔王になるかどうかはアリスが決めることだ」
「じゃあ貴女はアリスが魔王になった時、責任を取れるの?」
「………………」
何も答えることはできなかった。だって、リオ会長の言っていることは正論だからだ。だから何も言い返すことは出来なかった。リオ会長はアリスが『
「この脅威を解決する方法は一つだけ。アリス、貴方が消えればいい。この世界に貴方は存在してはいけない」
「……そ……んな……」
「ふざけるな! そんなことが許されてたまるものか! この世界に存在しちゃいけない存在なんてない!」
「それは貴女がアリスと同じ
思わず固まってしまう。恐らくはカマかけのつもりだったのだろう。しかし、俺の反応でリオ会長は確信を持ってしまったらしい。
「エルナが……作られた……?」
「ずっと不思議だった。いくら調べても栄道エルナという存在がいた痕跡を一切見つけることが出来なかった。でも今ようやく確信に至ったわ。ミレニアムに来るまで貴女は存在しなかったか、どこかの研究所に居た。そう考えれば全ての辻褄が合う」
若干的外れではあるものの、俺が作られた存在であると言う事実は『本当』だ。俺はアリスと同じで『滅ぼす』という目的を与えられて産まれた兵器だ。俺の名前もそこから取っているのだから。リオ会長は語る俺とアリスの違いは、俺が『人間』でアリスが『ロボット』だということ、俺には世界を滅ぼすだけの力が無くて、アリスにはあるということを。
「エルナがアリスに優しくしてくれたのはアリスと同じだったからなのですか……?」
アリスは大粒の涙を流しながら俺にそう問いかける。確かに最初はそうだった。でも今は違う。絶対に違う。一緒にゲームをしたことで得られた大切な友達だ。それだけは絶対に『真実』だ。
「違うよ。それは絶対に……。同じ作られた存在だからじゃなくて、ゲームを通して心のつながりが出来た大切な友達だから……」
「でも、その大切な友達を傷つけたのはアリス……貴方よ。『勇者』とは、友人に剣を向ける存在かしら? むしろ貴方のやったことは魔王ではなくて?」
「アリス! これ以上は聞かなくていい! 生徒会長がこんな人だったなんて……!」
モモイとミドリはアリスの前に立つ。先生はリオに止めるようにと言う。しかし、そんなことで止まるような人ではない。事実から目を背けるのは思いやりではないと反論する。それはただの『現実逃避』で、負うべき責任の放棄は極めて非合理的な行動であるとリオ会長は言うと、先生は合理、非合理の問題じゃないと返す。
「それじゃあアリスは……どうすればいいんですか……?」
「全ての元凶はアリス、貴方がここに居るから起きている。もう言わなくても分かるでしょう? 貴方のヘイローを破壊すれば解決するという事よ」
皆は驚愕する。何せリオ会長の言っていることはつまり、アリスを殺すと言っているのと同じことだからだ。そもそもアリスにヘイローがあること自体がおかしいと狂気に包まれたAIと同じ猶更放っておけないとリオ会長が言うと、先生はそれ以上の言葉は許さないと、リオ会長は少し落ち込んでいる表情を見せる。自分のことが嫌いな人間は多かったと、つまり自分に問題があるということなのだと、だけど理解されなくても構わない。それで皆を守れるならと言った。
「さあ、貴方の出番よ。美甘ネル」
リオ会長がそう言うとネルがゲーム開発部の中に入ってきた。アリスはネルのことがまだトラウマなのか怯えた表情を浮かべている。モモイたちはネルの存在を見て絶望した表情を浮かべている。先生がネルに声をかけるとリオ会長がC&Cは直属のエージェントだから悪く思わないで欲しいと言った。そこに私情を挟まず、ただ粛々と従うだけだと。正直な話皆を守ってネルと戦えるかと言われればそれは不可能だ。
「たとえ外部に助けを求めても、この周囲はすでにAMASで掌握しているわ。救援が間に合う事はない」
AMASが現れる状況は絶望的だ。リオ会長はネルにアリスを捕まえるように指示を出した。俺は『ディーオデード』を構えてネルの前に立ち塞がる。冷や汗が背筋を伝う。しかし、ネルは動こうとしない。
「ふっ……、やってられるかよこんな仕事!」
そう言ってネルはリオ会長の方に発砲したが、リオ会長まで到達する前にAMASがそれを防いだ。ネルに何のつもりかと尋ねると、今までも依頼内容を気に入ったことはあまりなかったが、同じ学園の生徒を、しかも何もわかってないやつを誘拐するなんて依頼はやってられない、もうお前に付き合う義理はないと言い捨てた。
「裏切るつもり?」
「てめえの指示が気に入らねえだけだ」
「そう……そういうことなのね……」
だが、それで終わるような相手ではなさそうだ。リオ会長はこうなることを最初から想定していた。だから、最初からC&C全員ではなく、ネルだけを呼び出していたと。そしてリオ会長はトキ――、最後のC&Cメンバーを呼び出すと同時にネルの背後に人影が現れたので、俺はネルを抱えて後ろに下がると同時にネルがいた地点が爆発した。
「誰だてめえは!?」
煙の向こうにいる人影に向かってネルが叫ぶ。そして煙が晴れるとそこにはメイド服を着た少女トキがいた。トキはスカートをたくし上げてはじめましてと挨拶をする。いきなり背後から攻撃を仕掛けてきた舐めてる後輩に激高したのかネルが突撃を開始する。ならここはトキはネルに任せて俺はAMASを相手にしよう。
「ネル先輩! AMASは俺が片づける! だからネル先輩はあっちを!」
「はぁ!? お前怪我してんだろ!」
「大丈夫。あの程度の敵なら俺にとっては雑兵みたいなもんだし」
AMASの数はおよそ20ってところか。これなら問題なさそうだ。AMASを視界に収める。ここが広い外だったなら今の状態で倒すのに時間が掛かっただろう。だがここは廊下だ。つまり敵はほぼ一直線に並んでいる。これなら一掃できるだろう。『ディーオデード』を一つにして、やり投げの要領で構える。
「超電磁スピアー!」
俺の腕からローレンツ力で加速された『ディーオデード』が発射されると廊下にいるAMASを一掃しながら突き進んでいく。しかし何機か残ってしまったみたいで、こちらに機銃を構えている。でも、残念。戦場で武器を手放したままでいるわけがない。『ディーオデード』は回転しながら俺の所まで残ったAMASを切り裂きながら帰ってきた。これでAMASは全て倒した。あとは1人だけ。
「トキ、『武装』の使用を許可します」
「承知しました。準備完了、『モード2』に移行します」
トキの布面積が減る。ネルがトキに向かって発砲するがそれは容易く回避された。何度も発砲するが当たらない。そしてネルの背後にトキが迫る。
「させるか!」
「…………!」
それをさらに背後から俺が撃って妨害する。しかしそれは回避された。それに追従するように俺はトキと距離を詰める。お腹から痛みが走る。どうやら傷が開いたらしい。それでも構うものか、ここで引けばアリスが殺されてしまう。『ディーオデード』を横なぎに払うが跳躍して避けられる。だがそれは予測済みだ。
「ネル先輩!」
「あぁ!」
空中なら避けられないはずだ。ネルは空中にいるトキへと発砲するがトキは自分が持っている銃を撃つことでその反動を利用して弾丸を回避する。だが体勢は崩れた。着地の瞬間を狙う。ネルと視線が合う。挟み込むようにトキに攻撃を仕掛けるが全部回避され、その隙を突かれてネルが拘束されたので俺は直前で攻撃を止める。トキは一度俺に敗れている。2度同じ手は使えないだろう。
ネルは離せともがくがトキは離さない。無駄な抵抗はお勧めしないと勧告する。そうしている間にAMASの増援が来て、リオ会長はアリスを回収するように命令するが、俺はそれに立ち塞がる。体が重く熱い、うまく思考できない。もう誤魔化すだけの余裕はない。制服は開いた傷口から零れ出る血によって真っ赤に染まっている。
「いい加減にしなさい! その体でこれ以上戦い続けたら死んでしまうわよ」
「知らないって言ってるだろ!」
「なるほど……貴方はそうやって誤魔化してきたということなのね。アリス、早く来なさい。でないと貴方のせいで貴方の大切な友達が死ぬわよ?」
「アリスのせいで……エルナが……」
「耳を貸すな! あれは嘘だ!」
俺はアリスにそう言う。させない、何としても。だって誓ったんだから。絶対に『大切なもの』はもう2度と失わせないと誓った。それにここで死ぬつもりは毛頭無い。大きく息を吸って吐く。
「
「もう……やめて……」
「アリス……何を……?」
アリスがリオ会長の元へと歩いていく。アリスの手を掴むが振り払われる。アリスは涙を流しながら笑みを浮かべていた。ま、まさか……。
「アリスのせいでこれ以上誰かが傷つくのなら……アリスが消えるとします」
「待て! 行くな……!」
「エルナがアリスのせいで怪我をしたと知った時……胸がとても痛かったです。どうしてこんなことになってしまったのか、アリスにはよく分かりません。でも、話を聞いてやっと理解しました。アリスがこのままずっといたら……きっとエルナはまた怪我をする。そして今度は死んでしまうかもしれません」
「あの人の言葉をうのみにする必要はないんだ! 見ての通り僕は……!」
「もう嘘をつくのはやめてください!」
「…………!」
アリスが大声で叫ぶ。俺は何も言えなかった。だってアリスがとても傷ついた表情をしていたから。そんな顔をして欲しくなかったから、ここまで頑張ってきたのに……。どうして……、どうしてこんな……。
「アリス……本当は知ってました。エルナがアリスのせいで大けがを負ったこと。エルナがアリスを傷つけないためにそれを隠したこと。本当は知ってました。でも、それを認めるのが怖くて……見ないふりをしてました」
「大丈夫です。アリスは生命体でもミレニアムの生徒でもありません。だからいなくなっても大丈夫です。アリスは……勇者……ではないから……いなくなっても……だい……じょうぶ……です。だから今までありがとうございました」
「みんな……アリスと一緒に冒険してくれてありがとうございました。アリスは……今まで本当に……幸せ……でした」
「待って! 行かないで……!」
アリスは一礼すると去って行く。俺はただアリスが去って行くのを見ることしかできなかった。いやまだだ。まだ終わってない。こんなところで、こんな形で終わっていはずがない。崩れ落ちそうな体を『ディーオデード』で無理やり支える。
「エルナ、どこに行くの!?」
「アリスを取り戻しに行くに決まってるだろ」
「怪我してるんでしょ! 駄目に決まってるじゃん!」
「あれは嘘だ。俺たちを動揺させるための……」
「だったら、どうしてそんなに苦しそうな顔をしてるの!? 今にも倒れそうじゃん!」
ゲーム開発部から外に出ようとするとモモイたちが立ち塞がる。こうしている時間が勿体ないと言うのにどうして分からない。
「どいてよ。これ以上は君たちが立ち入っていい領分じゃない。ここから先は僕だけが何とかする。だからどいて」
「嫌だ! 絶対にどかない!」
「どかないって言うのなら無理やりにでも……!」
武器を向けて、圧をぶつけるとモモイたちは一瞬ビクリと震える。だけどそれでもどかない。
「いい加減にしろよてめえ……!」
「ふーん、ネル先輩も僕の邪魔をするんだ……じゃあしょうがないよね」
今回の勝利条件は倒すことじゃない。逃げ切れば僕の勝ちだ。なら、多少無理をしてでも強引に突破する。
「お前ら……! 来るぞ……!」
ネルがモモイたちに声をかける。絶対に突破する。邪魔立てはさせない……!
TIPS
『CODE:XVIII』
顕現するは幻惑の光。
あらゆる真実は虚飾によって彩られる。
『
発動コストは20と真っ当な手段では発動不可能なEXスキル。発動するためには何らかの手段でコストを10以下まで減らす必要がある。
機械系の敵を吸引後、音速を超えるスピードで放たれた槍が狭い円形の範囲内にいる敵に槍が突き刺さった後、その後広い円形の範囲内にいる敵に眩い光に包まれていく。
機械系の敵の場合防御力を無視する。間違っても人に撃ってはいけない威力をしていることと、攻撃後の被害総額の観点からよっぽどのことがない限り使わない。
本人曰く街中で撃った場合の被害総額をシャーレが負担する場合、先生が最低でも10年は無駄遣いができない体になるとのこと。
『超電磁スピアー』
発動コストは4。音速に近いスピードで武器を投げる。直線状にいる敵にダメージを与えた後、武器が回転しながらエルナがいる場所まで戻ってくる。その間5秒間はエルナが攻撃不可能状態になる。
威力・範囲ともに
『栄道エルナの名前の元ネタ』
非配偶者間人工授精(AID)から栄道
ゲノム編集によって産まれた赤ん坊のエイミー、ルル、ナナの頭文字から取ってエルナと名付けた。
それは自分という存在が人工的に作られたという事を示す名前であり、ただの皮肉でしかない。
主人公の名前の元ネタをこの時点で知っていた人がいたら花丸をあげます
バッドエンドIFって書いたほうがいいですか?
-
いる
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いらない