神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
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俺たちはついに要塞都市『エリドゥ』の中央タワー、アリスが囚われている場所までたどり着いた。タワーの前にはメイド部のメンバーが集まっていた。ネルは俺に視線を向けると、何やってんだお前と言われた。正体がバレているようだったので、どうか黙っていて欲しいと言った。考えてみれば俺にメイド服を送ってきたのってアカネだから気が付かないわけがないか……。
「貸し1つだからな……」
「う……はい……」
ネルは黙っていてくれるらしい。良かったと安堵すると、メイド部の他メンバーも『貸し1つ』を要求してきたので仕方なく了承する。今回の件で関係各所に『貸し』を沢山作っている気がする……。暫くは忙しくなりそうだ……。『先生』がトキについてメイド部に聞くとどうやら逃げられてしまったらしい。ということは、ここで待ち構えているのだろう。
やはりと言うべきか、入口の前にはトキの姿があった。どうやらリオ会長はここで切り札を切るらしい。トキに指示を出した。
「パワードスーツシステム『アビ・エシェフ』へ移行します」
「アビ……エシェフ……?」
トキがメイド服を脱ぎ捨てると同時に空からキーンという甲高い音の後に、コンテナが降ってくる。コンテナの中には厳ついパワードスーツが格納されている。それをトキが着用した。ガトリング砲が2門、背中には2丁のレーザーライフルが装着されている。まずは挨拶と行こう。俺はスカートの端を持ち上げてカーテシのポーズを取る。
「スカートの中からミサイル!? 一体どうやってしまってたの!?」
「殿方がレディーのスカートの中を気にするなんて無粋だぞ? んじゃ、まずは挨拶代わりだ喰らいやがれ! でございます」
「多弾頭ミサイル!?」
スカートの中から飛び出てきたミサイルがパカリと先端部分が開くと、そこから無数のマイクロミサイルがトキに向かって四方八方から殺到する。しかし、到達する前に全てガトリング砲で撃ち落されていく。これは……。
「このデータ量は……ありえない……! 要塞都市エリドゥ全域の電力と演算機構が、全部あの『機体』に集中している……!? 最新鋭の演算機能で強化されたその性能は未来を予知し確定することさえ可能とするわ」
「未来予知……!? そんなのラスボスが持ってる能力じゃん!?」
「そんなのチートじゃないですか!」
もう戦略とか戦術を話すような段階ではないとチヒロが言う。どうやら今のままの装備であれを倒すのは不可能だ。でも、弱点がないわけじゃなさそうだ。現にさっきのマイクロミサイルの攻撃中相手は攻撃に行動を移せなかった。相手の行動は全て演算によって成り立っている。つまり演算が追い付かないほどの手数で責めれば、倒せるかどうかはさておき、攻撃を当てることは可能だ。ガトリング砲の砲門が『先生』に向けられる。
「しょうがない……こっちも『切り札』を切らせてもらおうか……」
「切り札……?」
「『DEUS』セットアップ」
本当はDEUS無しでどうにかするつもりだったけど、四の五の言っている余裕はなさそうだ。メイド服を脱ぎ捨てる。体が光に包まれ、空からはDEUSのパーツが飛来して体に装着されていく。DEUSのフルスペックを引き出せば勝てる相手だが、それをしようとすれば間違いなく傷口が開く。DEUSを最大速度で飛行させた場合の瞬間的なGは100G以上の負荷が体にかかる。今の俺では耐えることはできないだろう。
『先生』は俺をキラキラした目で見つめていた。
「痴女だ! 痴女がいる!」
「ち、違う! これは能力を最大限発揮するために必要なだけで好きでそんな格好しているわけじゃ……っ!」
トキからガトリング砲の射撃が飛んでくるので俺はそれをビットで防ぐ。DEUSはまだ70%ほどしか完成していないため、いくつかの武装はまだ未実装だが、機体スペックはこちらの方が上で、制空権もこちらが握っている。だが、ソフトウェア面は向こうがこちらを上回っている。戦いが長引けばこちらの情報が解析され対策されるうえ、相手は塞都市エリドゥ全域の電力を使って動かしている以上、エネルギーが切れる心配もない。長期戦になれば不利になるのはこちらの方だろう。
それに俺は痴女ではない。体表を出来るだけ露出させておくことで知覚伝達範囲を広げるために必要なのであって、好きでこの格好をしているわけじゃない。
「ビット展開」
機械の翼から全部で6個の可変式飛浮遊ビット『アクチュエーター』を呼び出す。アクチュエーターは、ソード、レーザー、シールドの3つの形態に変化する。俺は3つはレーザー砲撃を行うかつ、すぐにシールド形態へと移行できるよう周囲に待機させ、残りの3つはトキに接近攻撃を仕掛けるために飛ばすが、全部回避される。今の状態は拮抗状態にあるが、少しずつ形勢はトキの方に傾いていくだろう。
「今の状況じゃ戦況を5分の状況に持ち込むので精いっぱいだ! だから、みんなは1回撤退して戦略を立て直すために撤退して! そのための時間は俺がここで稼ぐ!」
「どうして!? みんなで協力すれば……!」
「分かってんだろあんたもこのままじゃ勝てないって」
「それは……」
『先生』は俺をここに残していくことに難色を示したが、このままじゃ突破できないという事は頭では分かっているらしい。仮にここから逃走してもトキが追ってくることはないだろう。向こう側の目的は『足止め』、ここで穴熊を決め込むつもりだ。つまりここで倒さない限りアリスの元までたどり着くことは出来ない。俺はビットを全てレーザータイプに変形させるとトキの足元に向かって放つ。当然避けられるが、これで視界は塞がった。
「今のうちに行って!」
「すぐに戻ってくるから!」
『先生』たちが撤退していく。土煙の中からは無傷の『アビ・エシェフ』が姿を現した。さて、『先生』が少しでも情報を得られるように色んなパターンを見せてやらないと……。俺が高度を上げるとトキがレーザーを放ちながら追従してくるがシールドビットを展開して跳ね返して距離を稼ぐ。
「よりもよって屋上なんて……狭いところであればどうにかできるとでも?」
「ビットが囲んで……! ですが無駄です! 回避できますから――」
「飛んだな?」
速度を急上昇させて『アビ・エシェフ』の懐に入り込む。トキが驚愕した表情で俺を振りほどこうとするが無駄だ。俺はそのままスラスターの出力を増大させる。
「確かにその装備は強い。だがいくつかの弱点がある。まずは懐に潜り込まれると何もできない。そこまで関節は曲がらねえんだからな! そして閉鎖空間ではその巨体が邪魔になるからスペックを出し切れない、演算処理に回避を頼り切っているせいで、演算が追い付かなきゃ回避できねえ! そしてぇっ!」
「くっ……! 離しなさいっ……!」
「空中なら回避はできねえだろ!」
空中に『アビ・エシェフ』が投げ出される。ソードフォームに変形させたビットとともにインファイトを仕掛けようとするが、トキが俺に向かってビームを放つので、急制動をかける。体にかなりのGがかかるが歯を食いしばって耐える。だが、ソードビットの攻撃は避けられなかったみたいだ。装甲の一部をソードビットが切り飛ばすが、機能停止に追い込むほどではないだろう。
「被弾……ダメージ、小。損傷率5%。戦闘行動に支障はありません」
「この高さだ。落ちたら一溜りもねえだろ!」
ビルの外壁に近づかせないようにビットを操る。地上まで残り100メートル。落下まではおよそ2秒。取り囲むようにビットを展開しつつ、ダメージを与えていくがトキはある程度のダメージは許容して致命的なダメージを防ぐ方針に変更した。そして世界で一番長い2秒間の攻防が繰り広げられた後、『アビ・エシェフ』は地面に叩きつけられ、大きく砂ぼこりが舞い上がる。
「駄目か……」
「ダメージレベル中。損傷率60%……」
恐らくは落下する直前に地面へレーザーを放つことで落下速度を減少させることで、ダメージを減らしたのだろう。お腹がジクリと熱を持ち始める。さっきまでの攻防でお腹の傷が少し開いたらしい。だが、これでレーザー砲は暫くの間使えないはずだ。
「まさかここまで『アビ・エシェフ』に傷をつけられるなんて……。だけど、ここまでよ」
もう同じ手は通用しない。それに俺の行動パターンは全て解析済みだとリオ会長は告げる。『アビ・エシェフ』の攻撃が激しくなる。回避と防御に精いっぱいで攻撃を仕掛ける余裕がない。エネルギーもかなりの勢いで消費されていく。少しずつ追い詰められていくのを感じる。くそっ……万全な状態であれば……! そうしている間にもさらに攻撃の激しさが増していく。逆転への手筋はすでに見えている。だが、俺がそれをするには一手足りない。
「まだなのか……!?」
「これでチェックメイトです」
俺に『アビ・エシェフ』のレーザー砲が向けられる。どうやらレーザー砲の冷却はもう終わったらしい。レーザー砲がチャージされていく。もうあれを防ぐだけのエネルギーはない。それにいつの間にかAMASに取り囲まれている。空中に飛んで逃げさせるつもりはないらしく、鳥かごのように俺の周囲を弾丸が飛び交っている。AMASを破壊するだけの隙はない。ここで詰み……か……。
「チャージ完了……っ!」
放たれる……そう思った瞬間に弾丸の雨が降り注いでトキが後退する。俺の前にはネルが立って俺に向かってニヤリとほほ笑んだ。乾いた笑いが口から漏れる。
「待たせちまったな、あとはアタシたちに任せとけ!」
「『箱』にぶち込むんでしょ? そこまでは僕に任せてくださいよ」
ヘルメットの中でニヤリと笑みを浮かべながらそう言うと、ネルは一瞬だけ驚いた表情を浮かべると流石は『ミレニアムの特異点』と呼ばれるだけのことはあると笑った。その呼び方はあんまり好きじゃないんだけどと俺は笑いながらネルの隣に立つ。
「じゃあ任せるぞ、後輩?」
「何だったらそのまま倒したって構わないんだけど?」
「はっ! 後輩ってのは先輩を立てるもんだろうが、ここはアタシに譲っとけ」
「はいはい、ここは先輩の顔をたてますよ」
俺とネルは軽口をたたき合いながらトキに立ち向かう。これで条件は完全に満たした。足りなかった1手が埋められる。AMASは他のメイド部のメンバーが相手をしてくれている。なら後は何も気にせず突っ込むだけ! 飛来するレーザー砲を交わしてトキに組み付いた。
「なっ……! ガトリング砲の弾幕をどうやって……!?」
「躱してない。最初から全部喰らうつもりで突っ込んだ。それだけの話だ」
残っている全部のエネルギーをスラスターに注ぎ込む。
「ああああああああああっ! これでええええっ!」
『アビ・エシェフ』を貨物エレベーター内部に叩き込む。これで完全にチェックメイトだ。ネルが貨物エレベーターの中に入っていく。
「ネル先輩、あとは任せた」
「おう、任せとけ」
「トキ! 早くそこから出て!! あの子たちは……エレベーターで『武装』の回避システムを麻痺させるつもりよ!!」
「いや、遅ぇ」
ネルは語る。自分の間合いに入って勝てるヤツはこのキヴォトスのどこにもいないと。貨物エレベーターのドアが閉まる。それと同時にかなりの速度でエレベーターが落下していく中、銃声が響き渡った後、静かになった。相手の強みを封じて、損傷している状態とはいえ『アビ・エシェフ』を単独で倒すとは……。
「流石はミレニアム最強のダブルオーですね」
「はぁ……途中から通信してこないと思ったらここに来てたのかよ……」
ヒマリが俺の隣に来ていた。まあ最後の大仕事があるのだから当然のことだろう。ヒマリはニコリとほほ笑むと俺のお腹を見た後、顔に視線を向けた後、何か言い訳はありますかと問いかけてきた。
「だってしょうがないだろ。あんなに強いだなんて思わなかったんだし……」
「エルナなら皆さんを逃がした後に自分も撤退することができたのでは?」
「そ、それは……! で、でもそうしないと弱点見つけられなかっただろ!」
「ああ言えばこう言うんですから……。まあいいでしょう。その代わりその開いた傷口の言い訳は自分でどうにかしてくださいね」
ヒマリは呆れたようにそう言った。た、確かに開いてしまった傷のことは何も考えてなかった。どうしようかと考えているとエレベーターのドアが開いて、包帯が飛んできたのでそれをキャッチすると傷だらけになったネルが呆れた表情で俺を見ていた。
「ったく。無茶しすぎなんだよ」
「いや、ネル先輩だって人のこと言えないでしょ」
「いった~っ! もう少し優しくしてよ!」
「お前にはいい薬だろ?」
ネルはニヤリと笑いながら俺に包帯を巻いていく。これで少しはマシになるだろう。俺はネルにお礼を言うと、ネルは少し照れくさかったのか背を向けてエレベーターの中に乗り込んだので、俺とヒマリもそれに続くようにエレベーターの中に乗り込んだ。恐らく次が最後の戦いになるだろう。気を引き締めないと……。
おまけ エレベーター内部にて
ネル 「ところで何でエルナはそんな格好してんだ?」
エルナ「簡単に言うと肌で感じ取る範囲を広げるためだ」
ヒマリ「そうだったんですか? 私はてっきり趣味なのかと……」
エルナ「そんなわけないだろ! そんな非合理的なことするか!」
ネル 「別に肌で感じ取れるようにできるスーツを開発すればいいだけの話じゃねえのか?」
エルナ「あっ……」
ネル 「前から思ってたんだけどさぁ……。エルナって結構馬鹿だよな?」
ヒマリ「そうですね」
エルナ「うっ……。ぶっちゃけ武装とかの方の開発を先にしてたせいでスーツの方はあんまり考えてなかったというか……」
ヒマリ「というかよく着られますよね。それ……」
エルナ「そうか? 風を感じられるから結構気持ちいいぞ?」
ヒマリ(やっぱり趣味なのでは……?)
ネル 「……頼むからアタシが露出狂として捕まえさせるような真似はすんなよ?」
エルナ「おいこら! 何だその目は! 違うって言ってるじゃん!」
バッドエンドIFって書いたほうがいいですか?
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いる
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いらない