神「オマエ転生さしてやるからちょっと頑張ってこい、ちなみにチートはナシじゃ」 俺「は?」 作:ND内
………はぁ、森じゃん、どうしろと…。
遡ること数分前
……あれ?ここどこ?
さっきまで炎天下の中、棒振ってた筈なんだけど…。
「やっはろー!みんな大好き神様じゃよ〜。」
なんだろう、この売れてはいるけど何か振り切れてないネットアイドルのようなノリのサンタクロースは…
「サンタじゃないよ、ゴッドじゃよ。」
心読んでる!?
「そりゃ神じゃし。」
目の前のジジイとココロコネクトとか死んでもお断りだね!!
「いや、御主もう死んどるし。」
はっ!なんだよその経絡秘孔の一つを突いた後のお決まりの台詞はよ!……って、え?
「いやじゃから御主、死んだんじゃぞ。」
………ふぁ?
「御主は地球でその命をゲームオーバーしたんじゃ。」
………ふぁ、ふぁ…
………………………………
「………ふぁーーーーー○く!!!」
「その言葉は駄目じゃ!汚物ぞ!?」
「んなもん知るか!!俺がいつ死んだんだよ!」
「えっとじゃの、現場警備のバイト中に向かってきた居眠り運転車を事故させる前に止めてチーンじゃの。」
………なんか段々思い出してきた。
…そうだよ!向かい車線の車両を通すために車を止めようとしたら目の前の病院から飛び出てきた車椅子の女の子と道路側から来た居眠りのプリ○スに乗ってた白髪の爺!クソ!クソ!納得いかん!
「ちなみにお爺さんは最近の上級国民ムーブで免許剥奪のみ、女の子は無事じゃよ。」
……ほんと良くないよね!
「んでまぁ、御主に願いがあるんじゃが…。」
「断る。」
「早くないかの!?」
「いや、だってもう一回現世で生きるとかやりたくないし…。」
「まあ御主の境遇を並べただけで安易にわかるのう。小暮正雄21歳、現在学校を退学し、退学までの学費を親に返すためにアルバイト漬けの毎日を送っていた。ってとこじゃろ?」
「おう、そこまで知ってるんだったらとっとと終わらせてくれや。合法的に死ねたんだから俺はもう縛られたくない。」
実際全額返金済みだしな。何かと理由をつけて俺のバイト代を搾取し、実家に縛っていた家族面々を見なくていいと思うと、少しは楽になる。
「それは出来ん。御主には転生してもらわねばならん。」
「どうしてだよ!?」
「今日逝った数多くの魂の中で、転生先の世界には御主がダントツでコスパが良いからじゃ!」
まじこの屑…
「一応説明してやろう。転生先は御主がよくやっとるポケモンの世界じゃ、地方はなるべく楽しそうなとこに送ってやろう。後とりあえず災害が来たら世界を救え。」
人の話を聞けよ!?
「ちなみにチートはナシじゃ、御主コスパがええからの。」
ちょ!?
「んじゃあレッツゴーしてこい!」
ちょ!?おまっ!人の話をっ!!!
……んで現在に戻ると。
「まあ、なっちゃったもんは仕方ないから、この世界をどうにかして謳歌してみるか…。」
半ば諦めがついたような妥協心で、とりあえず森から出ようと立ち上がる。
「誰か〜!!お助けください〜!!!」
………あれ?早速チュートリアルイベントかなんかか?
とりあえず見て見ぬ振りは癪なんで声の方向に駆けつける。
「どうした?大丈夫か?」
目の前の道着を着たJCぐらいの女はグラエナの群れに周りを囲われ、足がすくんで動けなくなっていた。
「お助けを〜!!」
半泣きだし。
「はぁ、しゃあねえなぁ、とりあえず落ち着くまでじっとしてろ。」
目の前のグラエナは2体、木の中にもう1体隠れてる。これはグラエナ達の狩りなのか、はたまたテリトリー関連なのか、それとも別の可能性か…。
恥ずかしながら俺はポケモンゲームで言われる廃人でもガチ勢でもない。少しガチ寄りの唯のエンジョイ勢だ。
つまり目の前のグラエナを対処する術は余り持ち合わせていない。
しかし、何一つダメな状況って訳でもない。俺は21年にしては濃すぎる知識と経験を積んできている
…睨み合いのこの状況、解決するにはこれしかないな。
「グラエナ、俺たちから争う意思はない。もしお前達のテリトリーに踏み入ったならすぐに出ていくし謝る。だから見逃してはくれないだろうか?」
俺は敢えて両手を上げて降参の意思表示をした。
…これで済めばいいが、一応これも布石だ。
「グルルル」
グラエナたちは俺を睨みつけながら唸って威嚇している。
「ねえ君、一番近くの街ってどっち?」
一応逃げの択が欲しくてへたり込んでいる道着女に質問する。
「あっちです!」
…残念ながら女が指差した方向は前、グラエナがいる方向を突っ切らなければいけないようだ…。
「………グラエナ、ここを通らせてくれないか?俺から争うつもりはないが、街に戻りたいんだ。そちらが手を出すってなったら、俺もちょっと頑張らなくちゃいけない。」
グラエナがこちらに飛びかかってきた。交渉決裂だな。
「いけないっ!!お兄さん!!」
野生動物の危険性をわかっているのだろう、この道着女はこんな状況なのに心配してくれた。俺のことを心配するなんて、珍しいこともあるもんだな。
「とりあえず任せな。」
とりあえず目の前の二匹だな。コンビネーションがあるとはいえ、的が俺一人だからな。集まってくるのが目に見える。
「…ッ!!」
迫ってきた二匹のグラエナの前足を纏めて掴み、すかさず体格を押し付けて取り押さえる。
「おい、木陰に潜んでるもう一匹、この二匹を殺されたくなければ俺たちを安全に通してもらおうか。」
こっちは色々かじってんだよね。その程度の飛びかかりで倒せるなど高を括ってもらっちゃ困る。
木陰から出てきたポチエナがゆっくりと出てきて、腹を見せた。服従の示しかな?恐らく子だな。
「………なるほどな。大丈夫だ。お前の父ちゃんと母ちゃんをどうにかするつもりはない。街まで安全に行きたいだけだ。お前らも、これ以上子を心配させたくなかったら街まで安全に通り抜けさせてもらおうか。」
二匹のグラエナがブルっと震えた気がした。気の所為だな!
押さえつけていたグラエナを解放すると、大人しく子ポチエナの方に駆けつけ、親子で毛づくろいをしていた。
「…いいな、ポケモンの生態は、いつだって神秘だ。」
前世ではゲームは勿論、コミカライズやアニメを網羅し、描写されていた生態を見てほっこりするのが一番好きだったんだ。良いぞ親子犬、もっとやれ。
「あ、あの。」
あ、後ろの道着女のことすっかり忘れてた。
「助けてくださり、有難うございます!」
「あー、全然いいよ、俺もこの森で迷っててどっちになんの街があるかもわからなかったから、街まで案内してくれたらそれでトントンってことで。」
実際知らん世界に転生したてでマジ迷子なんだわ。グラエナしか見てないからホウエン地方って断定もできないし。土地勘もないし!
「いえ!折角ですので御礼を込めて、街の道場まで来ていただけると!」
…あー、めんどくさそうなやつね。かと言って他に頼れる伝手とかないしなぁ…
「…あの、迷惑でしたでしょうか?」
「…いや、迷惑なんてとんでもないよ。それだったらお言葉に甘えさせて貰おうかな。」
迷惑とは言えないけど、微妙なラインだよね…。
「ありがとうございます!では行きましょう!」
………仕方ないか。