神「オマエ転生さしてやるからちょっと頑張ってこい、ちなみにチートはナシじゃ」 俺「は?」   作:ND内

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第十三話 ホテルに女と来ました!部屋は3つお願いします!

 

 『俺はお前たちを拾った責任は感じてるし、中途半端にほっぽりだすことは絶対にしない。だけどそもそも、俺はお前らどころか誰とも結婚はおろか付き合うつもりすらない。対人だろうが対ポケモンだろうが究極まで行って友人関係だ。それがどうしても受け入れられなくて旅が出来ないなら、ノエルもイーブイも働き口や保護施設なりを探したり話し合いとかの責任までしっかり持つから、選択肢は好きにしろ。』

 

 …と、昨晩野営テントの側での声があまりにも頭にくるものがあったので一括して、朝から俺の意志ははっきり告げた。

 

 告げたのよ…。彼女たちに頭が冷えて欲しかっただけなのよ!?

 

 それがねぇ…。なんで微妙な距離感は保ってるのに怒りが向けられず、ひたすらすすり泣きの声とかとにかく悲しい感じの負のオーラが地面を這うように伝わってくるんですかねぇ…。

 

 …感情的な面が強い話だから、泣くぐらいならするなよ。とは言えないけどさぁ。もうちょっと感情を引っ込めてくれないかなぁ…前歩き辛いよ…。てかもう街に入ってるよ。

 

 海沿いの街《コサトシティ》、子どもの人口がバカ多い街らしい。その影響でこの街はトレーナーズスクールがあり、他地方と比べると学習レベルも高いらしい。

 そして、俺の取り敢えずの最初の目的、ジムバトルができるジムのある街でもある。

 

 ただあれだな〜。ポケモンの世界ってタウンは村とか町みたいな感じだしシティはシティでしっかり街なんだなぁ…。

 

 前世では街の中でも自称街で中心地だけ街なところもあれば、都会か田舎か判断に困るような所もあったからなぁ…。はっきりわかるのは良いことだ。

 …特に俺の地元なんて『もしも歴史が〇〇だったら』のIF世界の集大成みたいな感じだったしな。あそこ以外で黒服って言ったらスーツしかねえのに。

 

 …取り敢えずあいつらの考えとかも聞かなきゃならんし、今日は保留かな。

 そう思って俺は我らが一行の皮肉担当ハラグロトムを使い、今日宿泊するホテルの予約を取る

 

 「取り敢えず部屋は三部屋取ったから、各々しっかり休んでね。ノエルとラルちゃんで一部屋、イーブイで一部屋使っていいから。取り敢えず休んで。色々話すのはその後で構わないから。」

 

 俺はみんなにそう言って、予約した中で一番右の部屋に入る。

 

 「あんな厳しい言い方して、ついにオイラ以外にも鬼畜になったロトね。」

 

 「あぁ、そうかもな。すまん、おやすみ。」

 

 そう言って俺は崩れるように横になり、直ぐに意識を手放した。

 

 

 Side- スマホロトム

 

 マ、マスター!昨日の事で言いたいことがあったのに寝やがったロト!?

 

 ベッドにダイブして1秒もかからずに微動だにしなくなったマスターを見てオイラはとてもイラッとしている。

 

 「兄貴、休めたようで何よりだ。」

 「ええ、本当に。今回ばかりは流石に心配しましたよ。」

 

 こいつらは何を言ってるロト??マスターは毎日毎晩しっかり休んでるロトよ!?

 

 「こんなマスターに心配する要素なんてあるロトか?」

 

 オイラがそう言うと、バチュルだけでなく誠実一辺倒みたいなエビワラーでさえオイラに対して白い目を向けてくる。

 

 「お、オイラ何かまずいこと言ったロト?」

 

 「エビワラー、割と兄貴といたくせに、こいつなんにもわかっちゃいねぇよ。」

 

 「まぁ、わからない人もいるでしょうし、そんな人にわかれと言うのも少し失礼ですから。」

 

 口調はいつも通りの二匹だが、バチュルはいつもより怒気がなく、呆れた声色で、エビワラーは逆に少し怒気を含めて突き放すように言い捨てる。

 

 「なんのことロト!?オイラにも教えるロト!」

 

 「お前調べられるんだろ。だったら兄貴のことをもっと調べてやれよ。」

 

 バチュルはそう言うと再び糸創作に戻り、オイラはそっぽを向かれた。

 

 そんな、オイラが何をしたロト…?マスターとの口論はマスターにも非が大きいロトから、そんなのカウントされないはずロト!?

 

 「…ロトムさん、貴方は我が主が今眠りにつく前にいつ眠りについたかご存知ですか?」

 

 エビワラーは諭すようにオイラに問いをかけてきやがったロトが、なんでそんなこと聞くロト??

 

 「そんなの昨日テントでマスターは寝てたロト!というか夜はいつも寝てるロト!!人間である以上普通ロト!」

 

 こんなことは誰でも知ってるロトよ!オイラでさえ夜はスリープモードに入るロト!!

 

 「…貴方、我が主のことを何一つ見ていないのですね。」

 

 エビワラーは呆れた声色でそう言うと荷物の缶コーヒーを一つ取り出し、缶を切って飲みだした。

 

 「私はトッカタウンを出てからマスターがこの様に寝ておられるのを見たのは、2回目です。」

 

 な、何言ってるロト…!?

 

 「そ、そんなのありえないロト!不可能ロト!!」

 

 もうトッカタウンを出てから一週間近い時間は経ってる!睡眠2回で過ごせるほど人間の身体は丈夫に出来ていないロト!!

 

 「ええ、我が主以外にはありえないことです。普段の野営テントに居るときも、我が主は目を瞑って横になってるだけです。」

 

 「目を瞑って横になるのは寝てることじゃないロトか!?」

 

 「…我が主が寝てるときは今のようにどんな声を出しても、どんな事が起きても数時間は絶対に目を覚まさないし、もちろん反応もありません。」

 

 オイラはハッとしたロト。そう言えば夜はいつもイーブイの夜這いから身を防ぎ、オイラたち全員の誰よりも朝早くから朝食を準備していたロト。

 

 「じゃ、じゃあ何でこうなるまで寝ないロトよ!」

 

 「それは私にもわかりません。…しかし、我が主はいつも言っていました。『任意で眠れることは幸せなんだから、寝れるときに寝ろ。』と。恐らく、我が主は限界が来るまで眠ることが出来ない身体なのかもしれません。」

 

 オイラは衝撃を受けた。常にふざけた様子で元気な鬼畜マスターが、普段からオイラのわからない様に無理をしていたなんて、正直分からなさすぎて今日のマスターの寝顔を見ない限りは疑ってしまうぐらいだ。

 

 確かに、いつものマスターは寝返りするし目を瞑りながらもすごく表情が動いてるロト。

 …でも今回は、顔も身体も微動だにしないロト。まるでそこだけ時が止まってる様に見えるぐらいロトよ。

 

 「エビワラー、どうしてマスターはオイラたちにこの体質を隠すロトか?」

 

 「…私にはわかりかねますが、我が主は基本的にご自身の事をほとんど話したがらないので、他にも数多のことを隠していらっしゃるかと思います。」

 

 なんてマスターロト。正直過小評価していたロトよ。

 少なくともマスターは人間をやめているわけじゃなかったロト。あるとしても人間的な生活を送れる環境を知らない様な感じロトよ。

 

 …よく今までこんな生き方で死ななかったロトね。…一周回って気味が悪いロト。

 

 そう言えば、女の手持ちの青いラルトスだけ何か見たらしい反応を一瞬してたでロトよね。あの時のマスターの『悪いことは言わないから、あまり考えたり関わったりしちゃいけない。』という言葉、口調も表情も柔らかかったのに背筋が凍った感覚がしたのは勘違いじゃなかったってのはよくわかったロトよ。

 

 

 

 Side- ノエル

 

 昨晩、イーブイちゃんと酷い言い合いをしてしまった私は、今朝マサオさんに哀しげな目を向けられ放たれた言葉に衝撃を受け、今も思考が堂々巡りしている。

 

 「…どうしましょう、ラルちゃん。」

 

 「………。『私はノエルと同じ道を辿りますが、個人的な感情ではマサオさんと離れたくないです。』」

 

 うう…そうですよね…。私も離れたくないです。

 

 ラルちゃんとは固有みたいなシンクロ力で意思の疎通は取れるけど、それでもラルちゃんの全てがわかるわけではない。

 

 それなのに、私は他者を理解することを放棄して、自分自身の気持ちと欲求を優先して、先日あのような事を…。

 

 イーブイちゃんが嫌いなわけではないのに…。あの子にキツく言われるとついつい言い返してしまいます…!

 

 謝って許してもらえるかわかりませんが…マサオさんと離れ離れは一番嫌なので、反省して次はもうないようにしないと…!

 

 

 Side- イーブイ

 

 うぅっ…どうして私がこんな目に…。

 

 昨日は流石に騒ぎすぎたわよ。だってあの女、放っといたらマサオを取っちゃうじゃない!私、マサオと番になれないじゃない!!

 

 嫌…嫌よ!マサオが私を愛してくれないなんて!そんなの嫌!!なんで?私はどうすればいいの??

 

 私はこの世の終わりのような気分で毛布に籠もり蹲っていた。そんなときにコンコンとノック音が鳴る。

 

 「入るぞ、イーブイ」

 

 マサオの声、私を選んでくれたの??…そうなのね!マサオ!!

 

 「っぶい!!」

 

 扉を開けたマサオは、私の部屋に入らずに、あの腹黒いスマホロトムを置いてこう言った。

 

 「今、俺がはっきり言ってもお前は自棄になりそうだったから、俺の気持ちを述べた録画映像をそのスマホロトムに入れた。あとでいいから見てくれ。それじゃ。」

 

 扉が閉まった。マサオはまだ私を捨ててはいない。そのくらいは私にはわかる。この腹黒箱(パンドラボックス)にマサオの気持ちが入ってる。マサオと一緒にいるにはこれを確認しなくちゃいけない。けど、けど…

 

 「っぶい…(こんなの…辛すぎるよ…)。」

 

 私は確認するのが怖かった。正直私は今までマサオが私を許してくれていたことに甘えていた。マサオも私から離れられないから許してくれているのだと思っていた。正直今も思っていたい。

 …だから動画を再生するのはすごく怖い。私の中に僅かに残った自尊心を残り全てぐちゃぐちゃに砕かれそうで。

 

 でも私は開いた。開かなかったらどちらにせよ捨てられる。捨てられるくらいなら見てやろうと思った。

 

 動画にはマサオが映っていた。動画のマサオが喋りだした。

 

 『イーブイ、これ聞こえてるか?まあ、俺も確認した後のものだろうから問題ないか。』

 

 そんな軽快な出だしだった。いつもと何ら変わらない。楽しそうなマサオ。

 

 『えっとなイーブイ、今朝言ったことは、俺は言いたくなかったことだ。』

 

 私はその言葉に嬉しくなった。マサオは私と離れたくないんだ!と思った。でも、それは次の言葉で崩れ去った。

 

 『なるべくイーブイ自身に気づいてほしかった。俺はお前はおろか、ノエルは勿論、他の誰とも結婚も付き合うもする気がない。人だろうがポケモンだろうがなんだろうが、それは変わらない。』

 

 私は、マサオに特別好かれているわけではなかった…。

 

 『お前の境遇とか過去とか、そんなもんは一切知らない。どういうわけで俺に毎晩夜這いをかけてるのかも知らない。寝たフリをして毎晩躱すのも正直面倒だ。』

 

 ば、バレてた!?どうして?寝てたじゃん!?

 

 『俺は人だろうとポケモンだろうと、責任持って拾ったものはなるべく放棄したくない。だけど、俺も神様じゃないから限界がある。』

 

 私はその言葉に思わず息を呑む。

 

 『これ以上どうしようもないのなら、仕方がないが、今朝の言葉の通り、受け入れ先を探すしかない。俺に解決できる問題の範疇を越えている。』

 

 私はその時、ようやく自身が泣いていることを自覚した。

 

 『お前は俺のことが恋愛的な意味合いで好きなのかもしれないが、俺は今後誰とも結ばれるつもりはない。』

 

 彼のその言葉には少し哀しみと怒気を感じられた。

 

 『それを踏まえた上で、どうしたいか、よく考えてくれ。』

 

 その言葉を最後に、動画は終わった。

 暗くなった画面には、ぐしゃぐしゃに崩れた私の顔が反射していた。

 

 私、そんな、どうすればいいの…。




ゆっくり書いてたら展開が遅くなるってはっきりわかりすぎて筆の速度高めようと思いました。
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