神「オマエ転生さしてやるからちょっと頑張ってこい、ちなみにチートはナシじゃ」 俺「は?」   作:ND内

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第二話 博士が御三家くれるなんて、そんなにウマい現実ないよね。

 

 ートッカタウンー

 〘ポケモンセンター〙

 

 知らない町の名前だ…つまり俺の知らない地方説濃厚だ。

 

 「私のバルキーもお陰様で助かりました!ありがとうございます!」

 

 「キーリッ!」

 

 唯一の手持ちバルキーだったのね…そりゃ全滅濃厚だわな…。

 

 ポケモンセンターで回復したバルキーを抱えた道着女が「さあ道場へ!」って感じの押しが強いノリに負けてポケモンセンターをそのまま後にする。

 

 「すまん、色々聞きたいんだが。その前に、俺の名前はマサオだ。よろしく。」

 

 トレーナーネーム的な感じで自己紹介しとこ…苗字云々とかよくわからんし。俺の苗字ソライシでもツワブキでもモリモトでもないし。コグレだし。

 

 「私はナツキと言います!この子はバルキーのリキです!」

 

 「キーリッ!」

 

 おうおうなんだ、その、『押忍!』って感じ、道着女は仕方ないとしてバルキー、お前はやめとけ。

 

 「あぁ、よろしく、んで、ここってなんて名前の地方なんだ?」

 

 ポケモンといえば地方名よな。

 

 「?ここはオステア地方ですよ?」

 

 はい!知らない名前!ダメです!オワオワリです!

 

 「そっか、ジムとかリーグ、もしくはそれに準ずるモノとかは?」

 

 「ジムやリーグはありますし、それ以外でも色々ありますよ!」

 

 もう色々盛りだくさんだね!

 

 「そういえばお兄さんはどこから来たんです?」

 

 地球の日本とか言ってもわからないんだろうなぁ、異世界扱いだしなぁ…。誤魔化そ。

 

 「わからん、気づいたらあの森にいた。」

 

 「え、ええーーっ!!記憶喪失ってやつですかーー!?!?」

 

 「多分大体そんなとこだと思うよ。」

 

 「そんな適当な…。」

 

 「切羽詰まったところでどうにもならないしな。」

 

 こういうどうにもならない状況のときはどうにかなるまで長いものに巻かれる、元来の俺の生き方である。

 

 「おいナツキィ!!!」

 

 突然向こうからすごい剣幕の四角い顔のおっさんの怒声が聞こえてくる。恐らく俺は9割方は関係ないだろう。

 

 「お、親父殿ぉ!?」

 

 …あー、ワンチャン2割方は関係してるかも。

 

 「お前修練ほっぽりだして男と逢引たぁ、わかってんだろうな?」

 

 誤解だなあ。

 

 「親父殿!!誤解です!この方は森で迷って」

 

 「言い訳無用!おいボウズ!ポケモン出しな!バトルだ!うちの娘に手出したんだ。きっちり耳揃えて勘定してもらうぜ!」

 

 うん、手を出してなければヤることもヤってない!冤罪!言われぬ罪とは、悲しきかな。…てか

 

 「すまんおっさん、俺ポケモン持ってねえ。」

 

 道具も金も文無しです☆

 

 「…?てめぇ、舐めてんのか?」

 

 「すみません、持ってないものはマジで持ってないです。身ぐるみ剥いで確かめてもらっても良いですよ。マジでなんも持ってないと思うんで。」

 

 転生チートすら貰えなかったしな…(遠い目)。

 

 「親父殿!この方は嘘をついてませんし、私とそういう関係でもありません!」

 

 「んぇ!?…おまえさん、ワケアリかい。」

 

 

 ートッカ格闘道場ー

 

 「いやぁ、すまんかった、娘を助けてもらったってのに。」

 

 「いえいえ、実害はなかったので気にすることじゃないですよ。」

 

 冤罪を認めたくなくて暴走するような人たちと比べたらなんてことないんだよなぁ…。

 

 「んで、おまえさん、気づいたら所持品、金、ポケモン等何も持たずにその服だけで森にいたってのか?」

 

 「まあ、信じてもらえないかもしれませんが、そうとしか僕も言いようがないですね。」

 

 服装だけちゃっかり仕事着じゃなくて現場に行くまで着てた普段着なんだよなぁ…。

 

 「…そうか、少なくとも嘘をついてるやつの目じゃねえのは確かだな。」

 

 嘘はついてないよ。嘘はね。

 

 「そしたらおまえさん、これからどうするんだ?」

 

 …うーん。

 

 確かにどうするかとか全く考えてなかった。必要なら働かなきゃいけないだろうけど、ポケモンの世界だしもっと甘々にバトルしてリーグ突破とか温い生活ルートないかなぁ…

 

 「…正直わからないですね。まだトレーナーでもないですし。」

 

 ゲームじゃないからトレーナーではないんだよな。

 

 「ちょっと待ってな。」

 

 おっさんはそう言うと、アニメで見たようなスマホロトムを使って誰かに連絡し始めた。

 

 「おう、ゴンド今暇か?暇なら来い。」

 

 ゴンド?誰だ?

 

 「今、都合良さそうなやつ呼んだからちょっと待ってな。」

 

 このおっさんあれだな、人を振り回すタイプのおっさんだ。

 

 

 ー数分後

 

 「ダイキさん、僕忙しいんですけどなんですか!?」

 

 道場に駆けつけてきたグラサンアロハの色黒おじさん。これあれだろうな。二人の間には他人には見えない圧力的な何かがあるんだろうな。

 

 「おうゴンド!お前この前人手が欲しいって言ってたろ!見繕ってやったぜ!」

 

 おいおっさん、都合は良いけど見繕ってはないだろ。

 

 「は?え!?ナツキちゃん手伝ってくれるの!?」

 「んなわけねえだろ!」

 「痛い!痛い!」

 

 道着女に聞いたのにおっさんが否定するのは少しだけアレだと思うぞ…どんまい色黒。

 

 「うちの娘じゃなくて、そこのボウズだ!!気づいたら森の中で無一文だったらしいぜ。特にやることもないらしいから、お前のアレ、やってもらえよ。」

 

 おいおっさん、アレってなんですか、俺は男の下世話はやりませんよ。

 

 「ん?あぁ、どうもどうも、ボクはオステア地方でポケモンの生態を研究しているゴンドです。一応この地方ではポケモン博士の扱いです。」

 

 色黒お前博士かよ!!

 

 「あ〜、こんにちは、気づいたら森にいたマサオです。」

 

 こういうしかないよね。神のせいで気づいたら森にいたしな!

 

 「キミあれだね、ノリ悪いフリしてしっかりノッてくるね。」

 

 「やだなぁ、程よく力を抜いてるだけですよ〜アハハハ」

 

 常に明るくなんてやってられるか!身が持たんわ!!

 

 博士だったら何かしら御三家かピカチュウかイーブイかその辺の初心者用ポケモンくれないかなぁ〜

 

 「それで、手伝いって一体?」

 

 「あ〜!その話ね!まあとりあえず聞いてよ。」

 

 何その病んだおじさんの飲み会愚痴発散会の切り口みたいな台詞。ヤダよ?職場のおっさんの愚痴はもう付き合いたくないよ!?前世で掛け持ちしてたバイトのおじさん共からひたすら他のおじさんの愚痴を聞いてたからね、心を無にしなければならない…。

 

 俺はめんどくささへの覚悟を決めて座った。

 

 「仕事の話だから身構えないでいいよ!?」

 

 大丈夫っぽい。

 

 「えっとね、一応ポケモン博士なんだけどね、最近研究が捗ってなくて、他地方のお偉いさんから研究費用削られそうなんだよね。」

 

 ダメだやっぱり愚痴っぽい。

 

 「大丈夫だから!?…それで、ポケモンの成長を研究しているボクからのお願いで、定期的にレポートを届けてくれる良きトレーナーを募集してたんだよ!」

 

 はぁ、そんなのすぐ集まりそうだけど。

 

 「だけど割に合わない仕事だからね、中々集まらなくてね…。」

 

 「そりゃゴンド、給料が前払いのポケモン図鑑アプリとモンスターボール5個だけじゃ割りに合わんだろ。」

 

 確かに割りに合わ…ん!?

 

 「博士、図鑑アプリ前払いですか!?」

 

 「なんだよキミ、急にイキイキしだしたな…。まあどっちも仕事道具みたいなもんだからね、前払いだよ。」

 

 「受けます。」

 

 即答だよ。ポケモン図鑑アプリは強いって!

 

 

 

 ーそう思ってた時期が私にもありました。

 

 この地方の図鑑アプリの基本データは既に全て埋まってて、旅立つトレーナーは基本的に図鑑を持っているらしい。悲しきかな。話を聞かず騙された気分だ。まあ図鑑があると数値で確認できることもあるから無いよりは圧倒的にマシだよ。無いよりは。

 

 仕事内容は手持ちポケモンがどう成長するか、図鑑アプリなどに記録してレポートとして博士に定期的に報告するだけの仕事。出来高によっては何かしら貰えるらしい。雑だな。

 

 なんなら俺はこの街の人間でもないから初心者用ポケモンなんて貰えるわけもなく、21歳だしね。拳だよ拳。

 

 …まぁスマホロトムが手元にあるだけ幾分か楽にはなったか。

 

 …ポケモンどうしよ。

 

 

 ートッカ格闘道場前

 

 「仕事の紹介助かりました。」

 

 色黒とおっさんに振り回された気がしないこともないが、仕事もないよりはマシなので、礼は言う。

 

 「いいってことよ!俺はかっこいいからな!惚れるなよ?」

 

 惚れんわ!掘りたくもない!

 

 …わかってると思うけど掘られたくもないからな!

 

 「それじゃ。」

 

 「ちょっと待ちな。」

 

 ええ、まだなにかあるんですねわかりましたよ。

 

 おっさんが連れてきたのはいかにもやる気のなさそうな目をしたエビワラーだった。

 

 「こいつな、トレーナーに捨てられたんだよ。バルキーの時にカポエラーに進化させようとして失敗したって言うくだらねえ理由でな。」

 

 「・・・」

 

 エビワラー、お前、やる気なさそうだな。いい目だ。

 

 「よかったら連れてやってくれねえか?言っちゃあなんだが、このエビワラーはトレーナーの勝手でくすぶらせて良いようなタマじゃねえんだ。」

 

 なるほどな、恐らく良個体か親分個体とかそういうやつだろうな。

 

 「わかりました。…エビワラー、良かったら今お前が過ごしている惰性、俺と貪ってみないか?」

 

 俺だってやる気満々に生きたい訳じゃないしな。確かにエビワラーはゲームでは不遇だったけど、ここはゲームじゃない。活かし方なんて幾らでもあるだろ、多分。

 

 「ワラー…。」

 

 「大丈夫だ。無理は求めない。強くなりたいなら話は別だけどな。」

 

 図鑑で確認したが、このエビワラー、頑張れば化けられると思う。

 

 そう思い俺は拳をエビワラーの前に突き出した。

 

 「一緒に来る気があるなら、俺の拳に誓いを交わそう。お前がどうなりたいか、そんなもん俺には今のところ一切合切わからんが、俺はなるようになるし、掴みたいものは意地でも掴む主義だ。どうする?」

 

 エビワラーは少し悩んだ様子を見せた後、覚悟を決めたような目になり、俺の拳にパンチグローブを合わせた。

 

 「…そうか、よろしくな、エビワラー。」

 

 「ワラワラー!」

 

 まさかの一匹目がエビワラーだなんて、誰が予想できるかよ。びっくりだし、こいつじゃなかったら暑苦しいわ!こいつも俺と同じで力抜いてる感が共感持てるから、こいつはセーフだな。

 

 「んじゃ、おっさん、お世話になりました。多分また来ます。」

 

 「多分ってなんだよ多分って!娘はやらんがいつでも来い!」

 

 「大丈夫です。そういうの間に合ってます。」

 

 「こんのボウズ!言わせておけば!」

 

 さて、ある程度生活道具も揃えたし、とりあえず雑に旅に出るか。

 

 「…ワラワラー」

 

 この気怠げなエビワラーと

 

 「とりあえず、どっかで寝転がりたいな。」

 

 惰眠貪りたい俺の

 

 「レポートよろしくねー!!」

 

 生き抜くための惰眠生活が、締まらないが始まった。

 

 「返事してぇ!?」

 

 …ほんとに締まらないな。




 マサオ 21歳

 前世で事故ってポケモンの世界にコスパが良いからって言う単純な理由で転生させられた男。身長は意外と180はある、それなりにガタイが良い。
 前世では色々やってた。本当に色々やってた。後お前なんでそんな経験してんだよ!って経験も沢山ある。
 ポケモンは割と好きで、スカーレットバイオレットまでの全シリーズプレイ済み。本人はエンジョイ勢だと言うけど、個体値と努力値をちゃんとやってランクマも齧ってた。
 得意なのは型に嵌まらない害悪戦法。
 ちなみに他ゲーも色々プレイ済み

 エビワラー レベル20

 以前、こだわりの強い主人の元でカポエラーに進化するように言われて頑張っていたが、エビワラーに進化してしまい、道場に断りを入れて捨てられたポケモン。のんきで昼寝をよくする。
 マサオが図鑑越しに何かを確認して、もしかしたら…と可能性を感じている。その何かは現在不明。


 ナツキ (道着女) 13歳

 格闘道場師範(おっさん)の一人娘。マサオの見立て通りJCの年齢。
 森のポケモン相手にバルキーを育てていたものの、瀕死になり、グラエナに囲まれ…などで街に帰れなくなっていた。
 体一つでグラエナを抑えたマサオのことを尊敬しているらしい。

 バルキー (リキ) レベル5

 ナツキの手持ち。真面目に修練に励む門下生タイプ。
 初登場時には瀕死だった。ナツキと修練で森のポケモンと戦うも、毎日瀕死になり、ロクにレベルアップできていない。しかし本人はその事実に気づいていない。度が過ぎる真面目である。哀しみを感じる。
 

 格闘道場師範 (おっさん) 多分30代後半(マサオ調べ)

 角刈りで頬骨も角がありそうな真四角顔のコワモテおっさん。なぜか左目の近くに傷がある。
 多分面倒見は良い、それと同じぐらいお節介焼き。人に売った恩の事を自慢げに俺すごいだろアピールするようなかなりダサいおっさん。自称ではかっこいいらしい。無意識に舎弟扱いしてる人には無意識に当たりが強い。だめな上司の鉄板例である。格闘道場師範だけど。


 ゴンド博士 (色黒グラサンアロハ) 知らんけど多分おっさんより若い(マサオ調べ)

 色黒でグラサンアロハ、インナーは何も着てない色黒博士。
 多分格闘道場師範(おっさん)から舎弟扱いされてる。圧力の奔流に逆らえない弟分タイプ。
 一応オステア地方のポケモン博士。研究テーマはポケモンの成長。仕事が手詰まりなところに丁度都合よく無理に使えそうなマサオに出会い、仕事と称して研究レポートをかき集めようとしている。全てはお偉いさんからの研究費削減を防ぐため。昇進できないし上に雑用されやすいタイプの人。どこか締まらないし、何故か情けなさを感じる。等、色々な哀しみを背負っている。強く生きろ。 (マサオ筆)
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