月の災厄が転生して来るそうですよ!   作:おっくん

8 / 16
こんにちわ おっくんです。
暇だったので書いてみました。
しかも10000文字オーバーになりました。

音楽聞きながらしていたらいつの間にか書いていましたww(^_^メ)
がんばって読んでください。
いつもこの文字数ではないので、そこのところよろしく

それでは、本編どうぞ!


ギフトゲームを行うそうですよ

「元気そうだな、白夜叉」

 

「おぬし本当にツキカゲなのか?」

 

白夜叉は自分の目が信じられないのか放心状態だった。

 

「ああ、すまんが、今、月神 黒兎って名乗ってんだ。呼ぶなら黒兎で頼む」

 

「そ、そうか。月神 黒兎だな。わかった」

 

白夜叉は頷き、黒兎をあらためて見ている。

 

「おぬし、ずいぶん変わったな。昔より背が縮んだか?」

 

それを聞いた黒兎は突然、膝から落ち、落ち込んでいた。

 

「そ、それは言わないでくれ。俺だって結構気にしてんだよ」

 

「わ、わかった。それより二百年も何をしておったのじゃ?生きておるのなら連絡くらいしてくれればいいものを」

 

「いや、まずあの戦いで俺死んだし、それに気づいたら異世界にいたんだよ。箱庭への帰り方もわからないし、結構大変だったんだぞ」

 

白夜叉と黒兎を十六夜たちは不思議そうに見ていた。

 

「ツキカゲってお前のことなのか。黒兎?」

 

「ああ、この箱庭にいた頃、ツキカゲって名乗ってた。さっきの白夜叉の言葉通りなら俺が死んでもう二百年経ってるらしいな。俺異世界でまだ20年も過ごしてないのに。それより、店の中に入れさせてくれ。白夜叉顔なじみなんだ。入ってもいいだろ?」

 

白夜叉は店の前で十六夜たちを見回してニヤリと笑った。

 

「ふふん。お前たちが黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは……ついに黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

「それでは、黒兎が私のものに」

 

「ハァ!?ふざけんな!!もう二度とごめんだ。この駄神」

 

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。そして、顔を鬼のようにして怒る黒兎。どこまで本気かわからない白夜叉は笑って店に招く。

 

「まあいい、話があるなら店内で聞こう」

 

「よろしいのですか?彼らは旗も持たないノーネームのはず。規定では」

 

「ノーネームだとわかっていながら名を尋ねる、性悪定員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。それに黒兎はおぬしからすると先輩じゃ。おぬしとも気が合うじゃろう」

 

む、っと拗ねるような顔をする女性定員。ルールを守っただけなのに性悪扱いが気に触った。それと自分の先輩だという黒兎が気になった。

女性定員に睨まれながら暖簾をくぐった五人と一匹は、店の外観からは考えられない、不自然な広さの中庭に出た。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

五人と一匹は和風の中庭を進み、縁側で足を止める。

 

障子をあけて招かれた場所は香のようなものが焚かれており、風と共に五人の鼻をくすぐる。

個室というにはやや広い和室の上座に腰を下ろした白夜叉は、大きく背伸びをしてから十六夜たちに向き直る。

 

「自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている” サウザンドアイズ ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはいお世話になっております本当に」

 

「それとそこにおる黒兎とも縁があってな。昔世話をしていた。」

 

「ハァ、どっちが世話係だよ。まったく」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。嫌な思い出でもあるのか肘をつきながら応える黒兎。

その隣で耀が小首をかしげて問う。

 

「その外門、って何?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者が住んでいるのです。」

 

「白夜叉たちのコミュニティがある四桁の外門となれば、名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境だ。白夜叉みたいな変人もいるがな」

 

「黒兎、おぬしずいぶんな毒舌を吐くな。一応私はおぬしの恩人じゃぞ」

 

「ふふふ、お前の下で働く前は恩を感じていたが、働いてみると散々だったのでな」

 

「ハハハ、優秀な部下がいると、遊んでみたくなるのじゃ。ハハハ」

 

黒兎は白夜叉を睨みつけると、白夜叉は額に汗を垂らしながら口を扇子で覆い、目を逸らした。

 

「箱庭はこのような形をしているのですよ!」

 

黒ウサギは描く上空から見た箱庭の図は、外門によって幾重もの階層に分かれている。

その図を見た三人は口を揃えて、

 

「……超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

うん、と頷き合う三人。身もふたもない乾燥にガクリと肩を落とす黒ウサギと黒兎。

対照的に、白夜叉は哄笑を上げて二度三度と頷いた。

 

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側に当たり、外門のすぐ外は” 世界の果て ”と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持った者たちが棲んでおるぞ――――――その水樹の持ち主などな」

 

白夜叉は薄く笑ってくるウサギの持つ水樹の苗に視線を向ける。白夜叉が指すのはトリトニスの滝を棲みかにしていた蛇神のことだろう。

 

「して、いったい誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?それとも黒兎おぬしがやったのか?」

 

「いえいえ、この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様と素手で叩きのめしてきたのですよ」

 

自慢げに黒ウサギが言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。

 

「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童は神格持ちの神童か?」

 

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見ればわかるはずですし」

 

「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力で言うなら蛇を人ではドングリの背比べだぞ」

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いも何も、あれに神格を与えたのはこの私だぞ、もう何百年も前の話だがの」

 

小さな胸を張り、豪快に笑う白夜叉。

だがそれを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせて問いただす。

 

「へえ?じゃあお前はあの蛇より強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の” 階層支配者(フロアマスター) ”だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」

 

” 最強の主催者 ”――――――その言葉に、十六夜・飛鳥・耀の三人は一斉に瞳を輝かせた。黒兎はまたかと頭に手を当てていた。

 

「そう……ふふ。ではつまり、貴方のゲームをクリアできれば、私たちのコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

三人はむき出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声を上げた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームを挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

慌てる黒ウサギを右手で制す黒兎

 

「あきらめろ、黒ウサギ。白夜叉はあいつらにとっていいお灸になる」

 

「そうじゃぞ、黒ウサギ、それに私も遊び相手には常に飢えている」

 

「ノリがいいわね、そういうの好きよ」

 

「ふふ、そうか。―――――――しかしゲームの前に一つ確認しておくことがある」

 

「なんだ?」

 

白夜叉履物の隙から、サウザンドアイズの旗の紋が入ったカードを取出し、

 

「おんしらが望むのは、” 挑戦 ” か―――――――もしくは、” 決闘 ”か?」

 

刹那、三人の視界に爆発的な変化が起きた。

脳裏をかすめたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。白い地平線を覗く丘。森林の湖畔。

記憶にない場所が流転を繰り返し、足元から三人を呑みこんでいく。

三人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔――――――そして、水平に太陽が廻る世界だった。

 

「……なっ……!?」

 

あまりの異常さに、十六夜たちは同時に息を呑んだ。

箱庭に招待されたときはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表現できる御技ではない。

遠く薄明の空にある星はただ一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。

まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。

唖然と立ち竦む三人に、今一度、白夜叉は問いかける。

 

「今一度名乗りなおし、問おうかの。私は” 白き夜の魔王 ”――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への” 挑戦 ”か?それとも対等な” 決闘 ”か?」

 

少女の笑みとは思えぬ凄味に、再度息を呑む三人。

 

「水平に廻る太陽と……そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「いかにも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らすたいようこそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に避け、薄明の太陽が晒される。

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤……?」

 

「仕方ないんだ。白夜叉レベルの魔王が箱庭で暴れると天変地異が起こるからな」

 

「ま、まじか」

 

「して、おんしらの返答は?” 挑戦 ”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。―――だがしかし” 決闘 ”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」

 

「……っ」

 

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。

一瞬にして白夜叉に勝ち目がないと理解した三人は、声が出せなかった。

勝ち目はないが、自分たちが売ったケンカを、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

 

「参った。やられたよ。降参だ。白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。あんたには資格がある。――――いいぜ。今回は黙って試されていやるよ、魔王様」

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。かわいらしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて哄笑を上げた。

一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して他の二人にも問う。

 

「く、くく……して、そこの二人も同じか?」

 

「……ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

苦虫をかみつぶしたような表情で返事をする二人。満足そうに声を上げる白夜叉。一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!” 階級支配者 ”にケンカを売る新人と、新人に売られたケンカを買う ” 階層支配者 ”なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのはもう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?それと冗談ではないぞ、黒ウサギ。さっきも質問で” 決闘 ”を選んだ馬鹿がそこにおるではないか?ふふ」

 

白夜叉は笑いながら、黒兎を指差していた。

 

「ふん、あの頃はイライラしていて、どうでもよかったんだよ!!」

 

黒兎は、顔を真っ赤にして顔を背けた。十六夜たちは驚いた顔をして黒兎を見ている。

 

「黒兎、お前あの状況で決闘選んだのか。どうなったんだ?」

 

「負けたよ!!おもいっきしな!!それにその話はやめてくれ!思い出したくもない」

 

「ふふ、あの頃のおぬしは強かったのぅ。それに楽しかったのぅ」

 

「何がだ!!おもいっきし手加減していた癖しやがって!」

 

「ははは、おもいっきしではないぞ、” 少し ”手加減をしたのじゃ、でどうするんじゃ、おぬしは?」

 

「はぁ、” 挑戦 ”で、決闘は面倒だ。」

 

「ははは、ほんと面白いやつよのぉおぬしは、いじってて飽きぬわ」

 

白夜叉はまた腹を抱えながら笑っていた。

 

その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。獣とも、野鳥とも思えるその叫び声にいち早く反応したのは、春日部だった。

 

「なに、今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ……あやつか。おんしら四人を試すにはうってつけかもしれんの」

 

チョイチョイと手招きをする白夜叉。すると体長5Mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風のごとく四人の元に現れた。

 

春日部は驚愕と歓喜の籠った声を上げた。

 

「グリフォン……嘘、本物!?」

 

「フフン、いかにも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。” 力 ”” 知恵 ”” 勇気 ”の全てを備えた。ギフトゲームを代表する獣だ」

 

白夜叉が手招きする。グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。

 

「さて肝心の試練だがの。おんしら四人とこのグリフォンで” 力 ”” 知恵 ”” 勇気 ”のいずれかを比べあい、背にまたがって湖畔を舞うことができればクリア、ということにしようか」

 

すると、虚空から輝く羊皮紙が現れる。白夜叉は白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。

 

『ギフトゲーム名 ” 鷲獅子の手綱 ”

 

・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

         久遠 飛鳥

         春日部 耀

         月神 黒兎     

 

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、

ギフトゲームを開催します。

                            “サウザンドアイズ”印』 』

 

「私がやる」

 

ギアスロールを見るや否やビシ!と指先まできれいに挙手をしたのは耀だった。彼女の瞳はさっきの白夜叉に向ける視線とは違い、グリフォンを羨望の眼差しで見つめている。

 

「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

「まあ、無茶はするなよ」

 

「気を付けてね、春日部さん」

 

「うん頑張る」

 

耀は、グリフォンの元へ歩み寄った。

 

「えっと・・・初めまして、春日部耀です。」

 

『!?』

 

ビクンッ!!グリフォンの肢体が跳ねた。その様子から彼女のギフトが幻獣にも有効であるということがわかる

 

「ほう……あの娘、グリフォンと言葉を交わすか」

 

白夜叉は関心したように扇を広げた。

 

「私と誇りを賭けて勝負しませんか?」

 

『何?』

 

「この地平を大きく一周する間に背に乗った私を振るい落せば貴方の勝ち落とせなければ私の勝ち・・・どうかな?」

 

『……確かに娘一人振るい落せないならば私の名誉は失墜するだろう。では娘よ誇りの対価としてお前は何を賭す?』

 

グリフォンは如何わしげに大きく鼻を鳴らして尊大に問い返す。

 

「命を賭けます。」

 

即答だった。

耀の突拍子もない返答に黒ウサギと飛鳥から驚きの声が上がる。

 

「か、春日部さん、本気なの!?」

 

「だ、駄目です!!」

 

「貴方は誇りを賭ける。私は命を賭ける。もし、転落して生きていても私は貴方の晩御飯になります。それじゃ駄目かな?」

 

『…ふむ…』

 

グリフォンは少し考える。

耀の提案に黒ウサギと飛鳥はますます驚く。

 

「双方、下がらんか。これはあの娘から切り出した試練だぞ。」

 

「ああ。無粋なことはやめとけ。」

 

「そうだぞ、耀が覚悟をもってやってるんだ、邪魔してやるな」

 

白夜叉・十六夜・黒兎三人が黒ウサギと飛鳥を制する。

 

「大丈夫、私が勝つから」

 

耀は確信したように黒ウサギたちに言う。

 

グリフォンは耀を背中に乗せ、駆け出す。

その強靭な四肢を十二分に使い、空を踏みしめるように走る。

山頂近くになると突然スピードを上げた。

そして、頂からの急降下。

そのスピードは始めのスピードの優に数倍はくだるまい。

更にグリフォンは旋回までも加え、春日部さんを本格的に振り落としに掛かった。

しかし、耀は負けなかった。下半身が空中に投げ出されたのにも関わらず、手綱は決して離さない。

グリフォンはそんな耀を見て、最後の激しい旋回をし始めた。

 

それが最後のグリフォンの動きだった。

残る距離はただ純粋なスピードでグリフォンは駆け抜けた。

耀の勝利が決まった瞬間耀の手から手綱が離れた。

 

「春日部さん!?」

 

グリフォンから滑り落ちた耀はそのまま真っ逆さまに落下していく。

それを見て助けに行こうとし た黒ウサギの手を十六夜が掴んだ。

 

「十六夜さん!?は、離し」

 

「待て!まだ終わってない!

 

「えっ」

 

ふわりと耀の体が翻り、落下の勢いを殺していく。

そして、耀の体に風が纏い始め――

 

――空を踏みしめた。

 

「なっ……?!」

 

黒ウサギは驚愕の表情を浮かべた。

しかし、十六夜は予想していたのか、ゆっくりと降りて来た耀に話し掛けた。

 

「……やっぱりな、お前のギフトは、他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

 

十六夜が笑みを浮かべながら耀に言う。

軽薄な笑みに、むっとしたような声音で耀が返す。

 

「・・・・・・違う。これは友達になった証。けど、いつから知ってたの?」

 

「ただの推測。お前、黒ウサギと出会った時に“風上に立たれたら分かる”とか言ってたろ。そんな芸当は人間にはできない。だから春日部のギフトは他種とコミュニケーションをとるわけじゃなく、他種のギフトを何らかの形で手に入れたんじゃないか・・・・・・と推察したんだが、それだけじゃなさそうだな。あの速度で耐えられる生物は地球上にいないだろうし?」

 

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

 

「うん。大事にする」

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。・・・・・・ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

 

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

首を傾げる白夜叉に三毛猫が説明する。

 

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品でワシらとお嬢は話せるんや』

 

「ほほう・・・・・・彫刻家の父か。よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 

頷いた耀は、ペンダントにしていた丸い木彫り細工を取り出し、白夜叉に差し出す。

白夜叉は渡された手の平大の木彫りを見つめて、急に顔を顰めた。

十六夜、飛鳥もその隣から木彫りを覗き込む。

 

「複雑な模様ね。何か意味があるの?」

 

「意味はあるけど知らない。昔教えてもらったけど忘れた」

 

「・・・・・・これは」

 

木彫りは中心の空白を目指して幾何学線が延びるというもの。

白夜叉だけでなく、十六夜、黒ウサギも鑑定に参加する。

 

表と裏を何度も見直し、表面にある幾何学線を指でなぞる。

黒ウサギは首を傾げて耀に問う。

 

「材質は楠の神木・・・・・・? 神格は残っていないようですが・・・・・・この中心を目指す幾何学線・・・・・・そして中心に円状の空白・・・・・・もしかしてお父様の知り合いには生物学者がおられるのでは?」

 

「うん。私の母さんがそうだった」

 

「生物学者ってことは、やっぱりこの図形は系統樹を表しているのか白夜叉?」

 

「おそらくの・・・・・・ならこの図形はこうで・・・・・・この円形が収束するのは・・・・・・いや、これは・・・・・・これは、凄い! 本当に凄いぞ娘!! 本当に人造ならばおんしの父は神代の大天才だ! まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは! これは正真正銘“生命の目録”と称して過言ない名品だ!」

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ? でも母さんが作った系統樹の図は、もっと樹の形をしていたと思うけど」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、すなわち世界の中心を目指して進む様を表現している。中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、世界の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成の作品だからか」

 

「うぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されとるぞ! 実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

 

「ダメ」

 

耀は、白夜叉からペンダントを奪い取る。白夜叉はおもちゃを取られた子供のようにしょんぼりした。

 

「白夜叉様、あのギフト鑑定をしていただきたいのですが…」

 

「な、よりによってギフト鑑定か。専門外というより無関係に等しいのじゃが、いや、ちょいと贅沢な代物じゃが、コミュニティ復興の前祝としてはいいじゃろう」

 

白夜叉がパンパンと柏手を打つ。すると、三人の前に光り輝く三枚のカードが現れる。

 

それぞれのカードには

 

逆廻十六夜・ギフトネーム“ 正体不明(コード・アンノウン) ”

 

久遠飛鳥・ギフトネーム“ 威光 ”

 

春日部耀・ギフトネーム“ 生命の木(ゲノムツリー) ”“ ノーフォーマー ”

 

と書かれている。

すると黒ウサギが声を上げて驚く。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が会っているのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの“ 生命の目録 ”だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

もう投げやり気味に文句を言う黒ウサギだった。

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらはノーネームだからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

「ふぅん・・・・・・もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

十六夜は黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。

すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。

見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、

ギフト欄の“ 正体不明 ”の下に“ 水樹 ”の名前が並んでいる。

 

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」

 

「出せるとも。試すか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 

チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。

黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。

 

「そのギフトカードは、正式名称を“ ラプラスの紙片 ”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった” 恩恵 ”の名称。鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

白夜叉は驚き十六夜のギフトカードを取り上げる。

 

「いいやありえん、全知である“ ラプラスの紙片 ”がエラーを起こすはずなど。」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 

十六夜がカードを取り上げる。

だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。

 

「それより白夜叉、俺のギフトカードは?くれないのか?」

 

「おぬしはギフトはわかっておるじゃろう」

 

「いや、一度死んだからな。結構ギフト失ってるんだ。どれだけ残ってるのか知りたいんだ。」

 

「わかった。話したいこともあるからの、店で渡す。少し待っておれ」

 

「わかった」

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい。」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むものだもの。」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ。」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。………ところで」

 

白夜叉は微笑を浮かべるがスっと真剣な表情で俺達を見てくる。

 

「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

「ああ、名前と旗の話か?それなら聞いたぜ。」

 

「なら、“ 魔王 ”と戦わねばならんことも?」

 

「聞いてるわよ」

 

「………では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

横目で黒ウサギがを見てみると黒ウサギの目は俺達から視線をそらしていた。

 

「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない。」

 

「“ カッコいい ”で済む話ではないのだがの………全く、若さゆえなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが………そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ。」

 

予言をするかのように言う。

 

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。小僧と黒兎はともかく、おんしら二人の力で魔王のゲームは生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ。」

 

「……ご忠告ありがとう。肝に銘じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい。」

 

「ふふ、望むところだ私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。……ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

 

黒ウサギが即答する。

 

「つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」

 

「まあよい、黒兎と話したいことがあるので、借りるぞ。」

 

「黒兎さんを?」

 

「俺も話があるんだ。先帰ってくれ。黒ウサギ」

 

「わかりました…」

 

 

 




どうだったでしょうか。

ギフトゲームのところ省略しようかどうか。
書き終わった時に結構迷いましたが、文字数もっと欲しいというコメントもあったしこれでいいかなと思いました。


次は10000文字もいかないと思いますのでこれからもよろしく
質問です。ガルドとのギフトゲーム省略してもいいでしょうか?
今のところ原作と同じなのでどうでしょうか?
コメント待ってま~~す(^_^)vそれと誤字報告あればお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。