Romansing saga ms~In the Fate~   作:藍鷹

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ロマサガとミンサガを足して二で割って、ほのかな酸味と苦さのライムとミントシロップと炭酸で割った、そんな作品に仕上げたいです。

とどのつまり、オーバーチュアにあたる部分です(ぇ


異世界の民、転生す
詩人は語る、その伝説を


マルディアス。

 

創造神マルダーによって生み出された世界。

この世界は二度の未曾有の危機に陥った事がある。

 

マルダーには妻があった。

創生の対極に位置する破壊を司るもの。

名を、サイヴァと言った。

 

いつの頃からか、サイヴァは争いを始めた。

それは、一柱(ひとり)多柱(おおぜい)の争い。

 

始まりは些細な事であったが、長引く神々の人智を越えたそれは、やがて神々の戦争と呼ばれ、世界は終焉へと(いざな)われつつあった。

 

サイヴァはそんな現状に苛立ち、或いは虚無感、疲労感すら抱きながら、己が小指の先より一柱の神を産み落と(つくりだ)した。

 

唯一の良心を宿していた小指(そこ)から創造された神はまさに善の化身。

名前を与えられたそのものは、その日の内にマルダーと共に母を討ち滅ぼした。

 

やがて壊れかけた世界を放棄した旧き神の陣営。

 

何処へともなく去り、残された神は新たな主神として世界を再生し始めた。

 

 

これが、マルディアスに於ける最初の破滅の争い。

大陸にあった、沢山の道はこの最中に失われたと言う。

 

 

 

 

しかし。

幾霜が過ぎサイヴァの体から三体の神々が生まれ出でた時、再び世界は混沌の渦へと飲み込まれたのだった。

 

これこそが、二度目の苦難の時。

 

 

サイヴァの骨からは死の神(デス)が。

心臓からは恐怖と混沌の神(サルーイン)が。

髪からは強き魔力を持つ神(シェラハ)が。

 

失われた母の意思を継ぐかのように、世界の各地で破壊を、悪意を撒き散らし、悪い麻疹のように呪いは伝播させていった。

 

一番争い事に熱心であったサルーインと戦う力を、主神は選ばれしヒトの勇者達に与えた。

遥か昔の神々の争いのような事を行えば、大地は荒廃し、今度こそ世界の全ては死んでしまうだろうから。

 

主神は、十の宝珠を創り上げ、神の試練を乗り越えし勇者に与えた。

それはサルーインを封じる為の神器。

 

 

十の石は神が与えし至高の運命石(ディステニィストーン)と呼ばれ、二度目の世界の終わりを救ったものと共に散らばったとされている。

 

 

だが、サルーインもまた自らの力を増幅し、世界を己の住み良い様に作り替える為に、自らの魔力を呪いの糧として宝珠に込めた、言わば究極の宿命石(フェイトストーン)を創造していた。

 

いくつかは配下のものを動かす為の力として埋め込んだのだ。

ただし、己が持つ属性が故に完璧に扱う事の出来なかった、気の力(トルマリン)光の力(クリスタル)、ふたつを除いて。

 

 

 

……それから千年あまりの時が過ぎた。

 

サルーインと勇者達の戦記は夢御伽話と過去に埋もれ、人々の記憶からは薄れつつある。

 

それでも。

光があれば、そこには必ず陰りが出来るもの。

 

 

光と闇が表裏一体の世界において三度目の落日の時が迫りつつあったーー……

 

 

 

 

突然の浮遊感。

何があって、こんな所に来たのかはわからない。

 

思い出せない。

自分を構成していた何か、はわかるのだが。

 

自分の名前が。

性別が。

生まれて育った場所が、親兄弟の顔も。

通っていたはずの学舎と、教授してくれる存在も、友人と呼ぶべきものたちも。

 

思い浮かべようとして、全てが泡沫に紛れて溶けていく。

 

安定しない足下に不快感を覚えながらも、ある体制に体をもっていく。

 

それは、体育座りから、胎児のように小さく丸くなる事。

 

視界を閉ざす為に目を閉じる。

感覚野をひとつ、意識的に外せば他の感覚野はクリアになる。

しかし、これは誰に聞いたのだったろうか。

 

耳はざあざあとした音を拾い、どくりどくりと自身の鼓動を体全体から響かせる。

 

いつしか、頭に流れ込んで来ていた、弦楽器の音と男性の語り声。

 

目を開けば、真っ白な視界の中。

 

徐々になにかが現れる。

 

光を纏ったそれは人の姿を取り始めた。

 

頭に掛かった靄が晴れていく。

 

ーー目が覚めたかい?

 

人は言う。

顔を窺う事は出来ない。

 

ーー君は、ある世界で死んだ。

今は、むき出しの魂の状態で、此処にいる。

 

たましい、霊魂。

ある世界での、死。

 

なるほど、この状況は所謂臨死体験に近いのか。

何故か納得してしまう。

では、自分自身はこれからどうなるのか、ここは地獄で、あなたは閻魔様で、自分は裁きを受けてしまうのか。

そう思え(いえ)ば、光の人は困ったような表情を浮かべた、ような気がした。

 

ーーいいや、地獄、冥府は別にあります。

ただ、此処は君のいた世界(ちきゅう)と、我々の存在している世界(マルディアス)の狭間にある空間、数えられるものの『ある』と『ない』の間の、無数の何かに等しい世界、とでも称しましょう。

 

光は言う、世界は複数の層で出来ていると。

複数の層は時折知覚可能な程に密接にそこにあり、あらゆる媒体を持ってその世界に存在する事になる。

紙、電子だけではなく、夢と呼ばれる不確かな何かを介して。

 

その複数の層には選ばれなかった過去現在、そしてその結果訪れる未来があるのだと。

 

光は言う。

かつて、七人の選ばれたものたちが、彼の世界を救ったのだと。

 

だが、自らの敗北を認められなかった悪しき神は、呪われた力を持って、自らの都合の良い世界を産み出してしまった。

主神は是も否もせず、初めは傍観の姿勢を取っていた。

だが、時代が下るにつれ、ある異変に気づく。

本来生まれるはずの存在(ヒト)が、生まれなくなっていることに。

それは、かつて悪しき神を封印した英雄(ヒト)

 

ヒトに大いなる怨み辛みを持った邪神は、英雄の存在を生まれる前から抹消しているのだ。

 

だが、邪神は面白くない。

最初こそ、無抵抗の存在を嬲り殺す事に執着していたのだという。

しかし、何度も、何度も何度も。同じ事を繰り返す内に飽きてしまった。

だから、自身が産まれてから人間が関わりあいになった争いの内、二度目に起きた争い、運命石が引き金になったその戦いに目をつけた。

 

そして、何度もその争いを楽しんだ。

しかし、幾度も自らが勝つ結末を持った戦いを越えて、第三者的視点から傍観せざるを得なかった光の主神や他の神々は、ある人物が生まれなくなっていることに気がついた。

 

そのものがいなければ、ある青年はその地で立ち上がることをしない。

そのものがいなければ、いつまでも宝玉は輝かない。

いつまでも洞窟からモンスターは消えない。

世界はある一点から動かない。

扉が開き、そして閉じないのだ。

 

しかし、邪神は気付かない。

自らが勝つという予定調和の美酒に酔いしれて。

 

だから、と光は、

今はなき旧き神の子、光の主神はその役目を、

自分に選んだのだ、と。

 

ならば、と『自分』は問いかける。

あなたが、神か、と。

 

光は答える。

帽子を目深に被り、ギターのようなダブルネックの楽器を手にして。

 

自らが、光の神のいち人格に過ぎないことを。

名をハオラーン、と。




中途半端な所で切れているようになってしまい、申し訳ありません。

……スマホって難しいですね
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