高校二年生になって一週間。兄さんが告白されたらしい。それも他校の女子に。こんな事、絶対にあり得ない。
兄さんの悪行は他校にまで知れ渡っているはず。もしこれが原作のイベントだったとしても、私の強みである原作知識もほぼ薄れている。ついて行くか?
・・・いや、やっぱり辞めよう。兄さんにも春が来た。そう思おう。しかし、この考えがダメだったと気付いたのはそう遠くはなかった。
兄さんが告白されて1週間。デートに出掛けただけの筈なのに兄さんの部屋から悪魔の気配を感じた。やっぱり、あれがフラグだったんだ・・・!
・・・落ち込んでも仕方ない。とりあえず、兄さんを守らなきゃ。今の兄さんは正直弱すぎる。確か、おじいちゃんから聞いた話だと悪魔には『純血』と『転生』の二種類がいて主従関係だったはず・・・。なら、私が守るのは兄さんが主に会うまで。
そこから私は『見聞色の覇気』を駆使して兄さんを見張り続けた。いくら鈍い兄さんでも自分の体の変化に気付いたらしい。
そして、兄さんが悪魔になって1週間。やはりと言っていいのか、異形と接触した。それもかなりのピンチ。
相手は全身真っ黒の服装に背中からはカラスの様な羽を持った大男。私は左手で狙いを定めつつ構えを取る。
「ふむ・・・。主の気配は無し。つまり『はぐれ』か。なら、殺しても問題あるブフォア!」
「な、なんなんだよ、一体・・・!」
良し、当たった。私は茂みから出て兄さんの近くへ行く。
「ひ、聖!?な、なんでお前が・・・!!」
「その事については後からね。怪我は無い?」
「貴様・・・!!たかが人間如きが崇高なる堕天使である俺を・・・!!」
「あんたこそ、誰の許可を取って兄さんを殺そうとしてるわけ?カラス人間。」
「貴様ァ!!」
カラス人間は激昂し私に突っ込んで来ようとするが、私の前に赤・・・いや、紅の光が飛び込んでくる。これが魔法陣・・・?魔法陣からは腰まである長い紅の髪を持った女性だ。
「私の下僕に何をしているのかしら?堕ちた天使さん?」
「これはこれは。その赤い髪はグレモリーの姫君。なるほど、そちらは下僕だったか。あまり放し飼いはおすすめ出来ませぬな。私の様に散歩がてら狩ってしまう輩もおる故。」
「ご忠告痛み入るわ。でも、私は私のやり方で下僕を守るもの。お節介もいい所ね。」
「ふむ・・・それは申し訳ない。我が名はドーナシーク!再び相見えない事を願おう!それと、小娘!貴様はこの私が必ず殺す!!」
「悪いけど、そんな未来は無いよ。」
私は両腕を捻りながら伸ばし、ドーナシークと名乗ったオッサンの足を掴んでそのまま地面に叩き付ける。
「ゴムゴムの小槌!」
「ゴファッ!」
「からの槍!!」
「アゴァ!」
「最後に斧!!!」
脳天に思いっきり足を落とすと少し痙攣したような素振りを見せるも直ぐに動かなくなった。・・・よし、死んだね。っと・・・。私は両手を上げて降参のポーズを見せる。すると、それぞれの木の影から美女が2人、美男子が1人出てきた。
「な、何がどうなってんだよ!」
あ、パニクって逃げた。ま、今日の兄さんは色々見すぎたからしょうがないよね。とりあえず兄さんにだけ覇王色の覇気を放って気絶させた。顔面から思いっきりコケたけど、まあ大丈夫かな。
「っ!あなた、何者!?」
「何者も何も私は兵藤一誠の妹です。あなたが兄さんの主?」
「・・・ええ。その様子だと裏の事を知っている様だけど・・・」
「まあ、巻き込まれる事は多かったですから。それと、手を挙げてるんですから敵意は向けないで貰えます?」
赤髪の人は手を下ろすと敵意は向けられなくなった。まだ、警戒はされてるけど。てか、この人達めっちゃ見覚えあるんだけどどこでだっけ・・・?まあいいや。
「その制服はウチの学園の子ね?明日、使いを出すからお兄さんと来てくれるかしら?」
「分かりました。ではこれで。」
私は気絶した兄さんを担いで帰路へと着く。さて、こっからはかなり大変な予感がする・・・。
そんな事を思いながらも兄さんを自室まで運んでベッドに投げる。さてと・・・。こっからはどう動くべきか・・・。知識が無さすぎてこの先何が起こるか分からん。でも、生きるためには予想しなくちゃならない。
とりあえず、当面の目的は堕天使の目的を調べる事だね。それと、完全に叩き潰す。そうとなれば、明日から探してみるか。とは言ってもしらみ潰しにだけど、何とかなるっしょ!
そんなこんなで翌日。兄さんは酷く混乱しているようだったけど、とりあえず私はいつも通りに過ごした。そして、放課後。昨日感じた二人の魔力が私と兄さんの教室に来た。
「(お迎えって訳ね。でも、あの白髪の子からは違う"声"が聞こえる・・・。元から人間じゃない?)」
「やあ。兵藤一誠君と兵藤聖さんだね。僕達はリアス・グレモリー先輩の命で君たちを迎えに来たんだ。」
「リ、リアス先輩の!?」
教室内が一気にざわつき始める。まあ、そりゃあ嫌われ者の兄さんがあんな美少女に指名されたらそうなるか。
「ほら、兄さん。とっとと立って行くよ。」
「あ、ああ・・・」
教室内からは驚きと妬み、一部の腐女子からのあらゆる声が聞こえてくる。教室内だけならまだ良かったけど、道中ずっとこんな感じだった。ちょっとめんどい。
そんなこんなで連れてこられたのは旧校舎。悪魔の気配があったから近付か無かったけど、ここが根城かぁ〜・・・。ちなみに、この学園の半分は異形。凄くない?何千名もの生徒がいるのに半分は異形って。
「ここだよ。」
「・・・どうぞ。」
二人がドアを開けると、なんとまあ怪しい部屋。薄暗い部屋に変な置物。しまいには地面に巨大な魔法陣。こう言っちゃなんだけどすっごい変な部屋。
部屋の中には昨日の赤髪の人がソファーに座りその隣には黒髪ポニーテールの人が立ってニコニコしている。てか、バリバリに警戒されてるじゃん。
「いらっしゃい。二人とも。あなた達を歓迎するわ。"悪魔"としてね。」
こりゃまた、面倒そうな予感がするな〜・・・