兄さんがグレモリー先輩に悪魔だと告げられた夜、運が良いのか悪いのかはぐれ悪魔を探知した。グレモリー先輩側も察知したようで、現場に向かっている。
私はと言えば、ちょうど食事時だったと言う事もありすぐに行けそうに無いと伝えるも、『今すぐに来い』との事だったので、とりあえず今食べているラーメン片手に向かった。
「お疲れ様で〜す」
「やっと来たわね。」
「いや、なんでラーメン片手に持ってんだよ!?」
「仕方ないじゃん。ご飯中だったんだから。」
皆からは変な目で見られたけど、とりあえずは建物に突入する。見た目は完全に廃墟であり、はぐれ悪魔が隠れるにはうってつけだね。
「・・・臭い。」
「分かる〜。せっかくの美味しいものに臭いがうつりそうだよ。」
「いや、お前はとっとと食えよ!って、臭い?」
兄さんが疑問を持っていると、柱の方から女がこちらを覗いている。姿を見せれば完全に全裸だ。兄さんは目をハートにして釘付けだったが女がニヤリと笑みを浮かべた瞬間、下半身が変態する。二足歩行だった物が四足歩行の巨大な下半身になるが、人間部分が小さすぎてアンバランスが過ぎる。
「貴女がはぐれ悪魔バイザーね。グレモリー公爵の名において消し飛ばしてあげる!」
『キシャァァァァァ!!』
答えはNOらしく、馬鹿正直に突っ込んで来た。が、そこで金髪君が目にも止まらぬ速さで走り出し次の瞬間には前足が切断され前のめりに倒れた。
「な!?き、消えた!?」
「いいえ、違うわ。速すぎるだけよ。イッセー、ここで悪魔のレクチャーよ。貴方の中にも入っている
必死に立ち上がろうとしているはぐれ悪魔へ目掛けて白髪の子がゆっくりと歩いていく。はぐれ悪魔は好機と見なしそのまま白髪の子を潰す勢いで倒れた。
「っ!!小猫ちゃん!」
「大丈夫よ。小猫の特性は
「・・・えい。」
白髪ちゃんは自身の何十倍はある巨体を軽々と投げ飛ばした。なるほど、なるほど。おじいちゃんや師匠から習ってきた事を段々と思い出してきた。
「あらあら。最後は私ですわね。どう甚振って差し上げましょうか。」
「朱乃の駒は
「うふふふふ♪」
うわ、絶対あの人ドSだ。だって笑いながら雷連発してるもん。・・・というか、皆気付いてないけどずっと柱の方から見られてるな。しかも、グレモリー先輩達よりは上。
「朱乃、それくらいにしておきなさい。さて、バイザー。最後に「部長、危ない!」え?」
グレモリー先輩が最後のお願いを聞こうとした所で、金髪君が斬り落とした前足がグレモリー先輩へ向かう。全員、弱ったはぐれを見て慢心したんだろう。
たまたま近くにいた兄さんが赤い篭手を出して殴り飛ばした。やっぱ、神器持ちか・・・。だから、堕天使に狙われた訳だ。
「あ、ありがとう。イッセー。」
「い、いえ!」
グレモリー先輩は気を取り直してはぐれ悪魔に質問するけど既に理性は失っているんだろう。唸り声しか上げずそのままグレモリー先輩の魔力で消された。
「さて、一件落着ね。それじゃあ帰りましょうか。」
「あ、あの、部長!お、俺の駒って・・・?」
「ああ、そういえば伝えていなかったわね。イッセー、あなたの駒は『兵士』よ。」
「そ、そんなぁぁぁ!!」
兄さんが膝から崩れ落ちたけど、実際のチェスに見立ててるんならまあまあ当たりじゃね?だって、兵士と言ったら相手の陣地に踏み込めば『王』以外の駒になれるし。
「さて、聖さん。私達の戦「えい!」っ!?」
グレモリー先輩が話し掛けて来たと同時に私はラーメンの汁が残った丼を投げつける。理由はさっきから見ていた奴がグレモリー先輩の首を取ろうと近付いて来ていたからだ。グレモリー先輩は驚いた顔をしつつも見事に躱し覗き見犯が顔から思いっきり汁を被る。
話は私が向かっている最中に戻るが、こう見えても私は急いで来たのだ。『六式』の1つである『剃』も使った。しかし、私は『六式』の開発者でもある。
故に『剃』を使いつつもラーメンをこぼさず冷めない様に持ってくる事だって出来る。現状、私は熱々の出来たてラーメンを食べてたしね。
何が言いたいかと言うと・・・
『あぢぃぃぃぃぃ!!!!』
覗き魔は顔面火傷という訳だ。
「「「「「な!?」」」」」
突如聞こえていた絶叫と透明だった体が見えるようになった事でグレモリー眷属は全員が驚愕した顔をする。まあ、急に絶叫と人が現れたら誰でもビビるわな。ってか、まだナルト残ってんじゃん!私は地面に落ちたナルトを拾って口に運ぶ。
『おい、てめぇ!!いきなり熱湯かけるたぁ、非常識にも程があんだろうが!!』
「いや、覗き魔には言われたくないよ。」
『んだとぉ!?まずはグレモリーの首を取ろうと思ったが、まずはてめぇからだぁぁぁ!!!!』
なんかキレてるはぐれ悪魔?が再度消える。
「破!!」
『ごぶおぅ!』
前に心臓部分を狙い掌底を食らわせる。覗き魔には大した傷跡は無い。にも関わらず、血反吐を吐き散らしながら2、3歩後ろへ後退した後地面に倒れ込み、そのまま動かなくなった。見聞色でも声は聞こえないから絶命したね。
「な!?このはぐれ悪魔はアルバート!?S級はぐれ悪魔が何故こんな所に!?」
「あ、はぐれだったんですね。それ。」
「・・・はぐれ悪魔に気付いたのは『覇気』の力ですか?」
「まあ、半分はね。最初は誰かに見られてる違和感があったから見聞色に意識を集中させたら見つけたの。まあ、使ってなくても対応は出来たけど。」
「少なくとも僕はラーメンの残り汁で不意打ちをする人は初めて見たよ。」
「『生き残りたければ全ての物を使え』。それが私の師匠の言葉で、修行時代に痛感したものだからね。」
「あらあら。どのような修行を?」
「え?おじいちゃんに風船で括り付けられて空に飛ばされたり、ケルベロスの住処である冥府に一ヶ月置き去りにされたり、師匠からバカデカイ義手で殴られたり?後は・・・」
「ひ、聖さん!も、もういいわ・・・。」
「いや、お前どんな子供時代送ってんだよ!?・・・ん?て事はじいちゃんも悪魔が居るって事知ってるのか!?」
「うん、少なくとも兄さんよりはね。」
「ち、ちょっと待って。聖さんが過酷な幼少期を送ったのは分かったけど、どうしてイッセーは普通の暮らしを出来たの?」
え?どうしてって・・・。あ、そういや今日会ったばっかだから知らないのか。私が説明しようとした瞬間、先に兄さんが口を開いた。
「俺と聖は血の繋がりは全くないですから。聖は養子なんですよ。」
「「「「ええぇぇぇ!?」」」」
「なんなら、先祖は悪魔だったらしいです。」
「「「「「ええぇぇぇ!?」」」」」
え、そんなに驚くこと?なんか、基準がよく分からん。
「いや、お前の先祖悪魔って誰が言ってたの!?」
「え?普通に師匠がだけど?」
「はぁ・・・。もう一度調べ直しね・・・」
グレモリー先輩は何故か頭を抱えてたけど、はぐれ悪魔との邂逅はこれで終わった。ちなみに、S級はぐれ悪魔を倒した私はお駄賃として1000万貰った。