元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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番外編
【番外編】ハロウィン、またの名を璃月サバイバルバトル


 

 

 

 

それはある日、鍾離達と昼飯を食ってる最中に帰終から言われたことから始まった。

 

 

 

「ハロウィン…?今日、璃月でそんなイベントをやんのか?」

「そう!まず参加者は攻撃チームと守護チームのどちらかで参加するの!そして、次に仮装して自分のお菓子を用意する!そしたら他の仮装している子が参加者はってことになって周りからもわかりやすいでしょ?守護チームは攻撃チームからお菓子を誰にも奪われないようにして、最後までお菓子を守りきったら勝ちで奪われたら負け!!逆に攻撃チームはお菓子を奪えたら勝ちで奪えなかったら負け!!他にも仮装の出来が良かったりすると『仮装頑張ったで賞』があるらしいの!」

「……そうか」

「うん!なんでも神の目でも武器でも道具でも何でも使って良いんだって!ただ、璃月の建物や自然だったりを壊したりしたら駄目なんだって!面白そうじゃない!?今日の18時からあるんだって!私達は守護チームで出るんだけど守護チーム側の人数がちょっと足りないらしくて……当日参加も全然OKらしいから参加しない!?」

「いや、参加しねぇよ?てかありえねぇよ。そんな物騒なイベント聞いたこともねぇよ。それもう【ハロウィン】とかいう名前じゃなくて【璃月サバイバルバトル】とかにしろよ。なんで菓子奪い合ってんだよ。せめて交換しろよ。というか七星の奴らはなにをやってんだよ。止めろよ。璃月は人が治める国になったんじゃねぇのかよ。制御しろよ」

「だが、なかなか面白いとは思う。賑やかな祭り事というのも、ガス抜きになって良いだろうと思ってな。かくいう俺たちも、参加することになっていてな」

「なんでお前もそんなに乗り気なんだよ。お前元が付くとはいえ璃月治めてただろうが。岩神だろうが。お前が納得すると、もう誰にも止められなくなるんだよ。せめて止めろよ」

「だが、堂主殿がどうしてもやりたいと言うからな。試しに七星に話してみたら『確かにガス抜きとしては悪くない案』という回答を得られたわけだ( ・´ー・`)」

「『得られたわけだ( ・´ー・`)』じゃねぇよ。お前なんでそんなドヤ顔で誇ってんだよ。というかやっぱり胡桃が立案者かよ。止めろよ。胡桃をお前らが止めなくて誰が止めんだよ」

「で、参加しないのか?」

「しねぇよ。するわけねぇだろ。俺は今日はゆっくり過ごすからな。邪魔すんじゃねぇぞ」

「まぁ、私がすでに貴方を守護チームにエントリーさせておいたから!」

「あのなぁ…俺は出るなんて言ってねぇぞ。勝手にエントリーするな」

「賞金が出るとしてもか?」「賞金が出るとしても?」

「……………………。」

 

 

 

 

______[当日、17時30分頃 璃月にて]______

 

 

 

 

「………。」

 

 

 

こちらシュウ。

首からクッキーの入った袋をぶら下げて18時を待っています。

来ちゃった。

いや、違うんだよ。

金で釣られたってわけじゃねぇんだ。

ただ…そう……暴れるやつがいないとも限らないからな。

見張りも兼ねての参加だ。

仮装もしてきた。

帰終いわく、仮装はなんでもいいらしいので俺はかつての聖騎士団風な衣装に着替えておいた。

聖騎士団に所属してた頃のソルっぽい服をイメージしたってところだ。

そこまでは良かった。

問題は隣に居るコイツラの仮装だろう。

 

 

 

「おい、鍾離」

「どうした?」

「お前は岩王帝君であることを隠したい。そうだな?」

「ああ、もちろんだ」

「じゃあ、なんでお前は岩王帝君の格好なんてしてんだよ!おかしいだろ!!隠す気ねぇだろ!!」

 

 

 

そこには、岩王帝君時代の服装の鍾離がいた。

いや、ねぇって。

どこの世界に首からお菓子をぶら下げてる神が居るんだよ。

いや、バレるって。

璃月は人が治める国になったんだって。

今更帝君が出しゃばって来るなって。

 

 

 

「ああ、それについては…」

「フッ…妾達の案だ」

「そう!私達の案だ!」

「…ハァ……。」

 

 

 

自信満々そうに自分の案だと言うのは、人間としての格好になって「これが妾の震天動地かつ空前絶後の仮装だ!」と言っていた留雲借風真君と何故か稲妻に居る八重神子から貰った巫女服に身を包んだ帰終であった。

そして、その横には仙術を用いて歳を取る前の姿になった歌塵浪市真君ことピンばあやが溜息を付いていた。

皆、首から菓子をぶら下げているのがとてもシュールだ。

 

 

 

「……正直聞きたくはねぇ。だが聞いてやる。なんでコイツはこの格好になった?」

「簡単だ。『仮装頑張ったで賞』というのを覚えているか?」

「仮装の完成度が高いやつが賞金を狙うってのか。それがどうしたんだ?」

「帝君を見よ」

「おう」

「帝君そっくりであろう?」

「そりゃ本人だからな」

「賞金取れそうであろう?」

「このッ!!!ばっかやろうッ!!!!!」

「まぁ待てシュウ。俺が許可した」

「俺が却下するッ!バカかテメェは!!『こんな格好したやつが帝君本人でした!』なんて普通に考えておかしいだろ!!璃月に居る奴らはお前のことを亡くなったと思ってんだぞ!?こんなのありえねぇだろうが!!」

「そうだ、ありえないのだ」

「そうだ!ありえ……いや、まさかお前らの狙いってのは…」

「そうだ。まさか岩王帝君が生きていて…まさかこんなイベントに来るわけなかろう?」

「いや…だが…あー…でも………いや、そうか…。……なぁ、歌塵……」

「お互い…バレないように頑張りましょう…」

「………ああ…そうだな…」

「「ハァ…………」」

 

 

 

『お互い苦労するな』そう思わずにはいられない俺たちだった。

 

 

 

 

 

________[璃月 18時]________

 

 

 

 

 

 

日が落ち、空が暗くなったその時だった。

18時になったタイミングで一発花火が上がった。

それが開始の合図だったのだろう。

突如として仮装をしていた周りの者たちが一切に襲いかかってきた。

俺たちは襲ってきた奴らを交わしながら、全力で逃げ始める。

 

 

 

「「「「「「「お菓子を置いてけぇ!!!!!さもなくばくたばれぇぇえええええ!!!!!」」」」」」」

「シュウ!まずは追手を巻いて安全な場所まで逃げよう!!」

「いや!何だあれ!いや!!何だあれ!!くたばれって言ってるって!くたばれって言ってるってッ!!!!」

「何でもよいッ!!まずは走れッ!!!!捕まったら命は無いぞッ!!!!」

「おかしよねぇ!?なんで俺たち命懸けで逃げてんの!?なんでお菓子どころか命まで奪われそうになってんの!?こんなの絶対間違ってるよねぇ!?」

「ふむ……これがハロウィンか…」

「絶対違うからね!?」

 

 

 

そんなことを言いながら全力疾走していると(ヒュッ…)と顔のすぐ横を飛んできた矢がかすめて地面に刺さった。

 

 

 

「ゆ、弓矢!!!弓矢使ってるやつ居るって!!!あいつら本当は菓子とかどうでもいいんだって!!!俺たちの命にしか興味ないって!!!」

「あぁ…どうして私はこう…周りに振り回されるんでしょう…」

「か、歌塵!?お前顔が死んでるぞ!?この世のすべてに絶望して諦めた奴の顔してるぞ!?」

「「「「「「首ィ…置いてけぇぇぇええええ!!!!!!」」」」」」

「お前らの血は何色だァァァアアアアア!!!!!!」

 

 

 

必死に矢だったり飛んできた剣だったりを避けながら璃月港を走り回る俺たち。

生き残りたいッ!!!!

こんなとこで終わりたくないッ!!!!!

誰か助けてぇぇぇええええ!!!!!

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

「璃月の民としての誇りはないのか…」

 

 

 

現在進行系で騒がしい夜を過ごそうとしている璃月港を山の頂上から見下ろすように見ているのは降魔大聖こと魈。

呆れるような視線を璃月に向けている彼は頭を抑えながらも璃月に危機が迫っていないか、トラブルが起きていないか探していた。

 

 

 

「まったく…ん…?」

 

 

 

そんな降魔大聖殿の目に

 

 

 

「あ、あれは…?」

 

 

 

一際目立つ、大勢の民衆から逃げる者たちの姿が

 

 

 

「ま、まさか…」

 

 

 

かつての岩王帝君の格好をした鍾離の姿が映った

 

 

 

「て……帝君ッ!!!!!!??????」

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

また、岩上茶室にて。

璃月七星の凝光、刻晴、甘雨、夜蘭がハロウィンのイベントの喧騒を聞き茶を嗜んでいた。

 

 

 

「凝光様、刻晴様、夜蘭様…良いんでしょうか。私達がこんなところで休んでいて…」

「良いのよ甘雨。確かに賑やかだけど、ゆっくり出来ないわけでは無いわ」

「そうですか…」

「どうせ、またビジネスのことでも考えてるんでしょ。大丈夫よ甘雨」

「そんなことないわよ。私はそんなに腹は黒くないわ。ねぇ夜蘭?」

「ノーコメントとさせてもらおうかしら」

 

 

 

そんな会話をしながらお茶を嗜む四人。

そんな彼女達の前を

 

 

 

「「「「「「「「「「お菓子ィ!お前らをお菓子にしてやろうかァァァァァアアアアアアアア!!!!」」」」」」」」」」

「攻撃チームが攻撃過ぎんだろうがァ!!」

「仕方ない…バリアを張るか…」

「早く!鍾離!早くバリア張って!」

「その程度で妾に追いつけるとは思わないことだ!」

「うぅ…私の平穏…」

「て、帝君!ここは私が彼らを足止めしましょうか!?」

 

 

 

大勢の民衆から全力で逃げる者たちが通って行った。

 

 

 

「「「「ブフッ!!!!!」」」」

 

 

 

流石に四人と言えど吹き出さずにはいられない光景だったようだ。

それと同時に『何をやってるんだあの方々は!?』という気持ちを覚えずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

「おい!あいつら何処に行った!」

「わからねぇ!!だが、そう遠くまで行ってねぇはずだ!!」

「サーチアンドデストロイ…サーチアンドデストロイ…」

「ヒャッハー!!!汚物は消毒だーー!!!」

 

 

 

なんとか追手を巻けた俺たちは北国銀行まで来ていた。

切らした息を整え、なんとか守りきったお菓子を確認して安堵する。

 

 

 

「えっと…先生にシュウに仙人たち…?えーっと…先生?どうしたんだい?そんなに息を切らす先生を見るのは初めてなんだけど…」

 

 

 

心配した様子でこちらに話しかける戦闘狂お兄さんタルタルイケメン野郎を横目に肩で息をする俺は考える。

『あの追いまわし方、なんかおかしいぞ』と。

普通あんなふうに追い回すのだろうかと。

もしかして鍾離の帝君コスプレがまずかったのか。

『お前!俺たちの帝君のコスプレなんてしやがって!ぶっ飛ばしてやる!』

そう思われたのだろうか。

だとしたらマズイ。

そう思いながら隠れた場所から外の景色を確認する俺。

その視線の先には

 

 

 

「オラッ!!!!お前ら菓子持ってんだろぉ!!!???よこせやオラァッ!!!!」

「ウ、ウワァァァァァアアアア!!!!」

「選ばせてやる。命とお菓子、好きな方を差し出せ」

「わ、私は屈しない!!お菓子を渡すくらいなら…この命を喜んで差し出すわ!!!」

「……………。」

 

 

 

外の光景に思わず黙ってしまう俺。

この瞬間俺は思った。

『あ、これ璃月がおかしいだけだわ』と。

同時に俺は誓った。

『必ずこの地獄から生き延びてやる』と。

『絶対このイベントを考えた胡桃を許さねぇ』と。

その後無事、逃げ切ることが出来た俺たちはなんとか賞金にありつくことが出来た。

なお、仮装頑張ったで賞は狙い通り鍾離がゲット!…するかと思われたが稲妻の将軍が持っていったらしい。

というのも、影は仮装していたわけではなかったのだが稲妻の珍しい格好だったということもあり仮装と間違われて襲われていたんだとか。

ちなみにすべて影は返り討ちにして、死屍累々の屍の山を築いていたらしい。

とりあえず叫んでおくことにする。

 

 

 

 『こんなのハロウィンじゃねぇ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

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