元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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産まれて初めて戦闘の描写を書きました。


持て成しはアウトレイジ.MkIIで

 

 

 

稲妻から影御一行様が来るという話を聞いてからおよそ2週間ほどたった今日。

今、俺は群玉閣に居る。

………。

群玉閣で……。

………。

 

 

「やめろ鍾離ィ!!!俺を離せェ!!!!俺は帰るッ!!!帰るんだッ!!!!!」

 

「暴れるな、シュウ」

「そうよ、大人しくなさい。もう逃げられないのよ。せっかく鍾離さんと帰終さんが付き添ってくれるのよ?」

「ほら、凝光さんもこう言ってくれてるじゃない!しかも孤雲閣を自由に使えるのよ?移動までの船だったりも手配してくださったし!それに大丈夫よ、影さんもきっと本気では戦わないはず!」

「グッ…!!!帰終お前…ッ!!!なら何故俺を必死に押さえつけてやがるんだ…ッ!!!!」

「大丈夫だ、骨は拾ってやる。遺書を書くというなら俺たちも手伝おう」

「既に1名俺の生存を諦めてるヤツがいらっしゃるんですがッ!!!!!」

「私、貴方のこと忘れないわ」

「おっとォッ!?たった今、生存を諦めてるヤツが2名に増えたねェッ!!!!!」

 

 

拘束されていた。

全力でこの場から逃げようとするが、影達が会いに来るというのに逃げるなどありえない話だ。

そりゃ拘束されるわけだ。

なら、何故逃げようとするのか?

簡単な話だ。

影達が来るこの直前になって連絡が群玉閣に入って来た。

その連絡を簡単に表すなら…。

 

 

「なんでこのタイミングで『そちらに着き次第…おそらく既に群玉閣で待っているであろうシュウと現将軍である私 雷電影 とで手合わせをしたいと思っています』とかいう話が入ってくんだよッ!!!!!」

 

 

まさに死の宣告だった。

 

 

 

 

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「本日はようこそいらっしゃいました。大した持て成しは出来ませんが何卒ご容赦ください」

「いえ、こちらこそ…急なお願いとなってしまい申し訳なく思います」

 

 

来た。

影ちゃん来ちゃったねー困ったねー。

現実逃避に耽っている俺をスルーして話を続ける凝光と影。

 

 

「甘雨の姉君も元気そうで」

「そちらも元気そうですね」

 

 

その横では甘雨と神子がお互いに健康を気遣うといういつものフレーズを言っている。

甘雨と神子はかなり仲が良さげのようだ。

というか神子が【姉君】という数少ない相手が甘雨だろう。

俺への呼び方なんて呼び捨てだぞ?

不満は無いが理不尽というか…まぁ…それだけ気を許してくれているのだろうと考えるようにしている。

 

 

「で?影と戦う準備は出来た?」

「楽しみにしてたからワクワクするわ!」

「うむ…どちらが勝つのか予測が難しいな。」

 

 

後ろでとある3名がなんか言ってるのを聞いて影が目をキラキラさせながらこちらを見ている。

 

 

「早速で申し訳ないのですがシュウをお借りして」

「大丈夫ですよ。場所は孤雲閣の方を使用しても大丈夫にしておりますので。それと、良ければ見ていたいのですがよろしいでしょうか?ソレがどれくらい強いのか気になりまして」

「凝光さん?今俺のこと【ソレ】って言いました?」

「私は構いませんよ。では孤雲閣とソレをお借りしますね。」

「え?おかしくない?こんな扱いされてんのおかしくない?」

「「黙って孤雲閣まで付いて来なさい」」

「あっ…はい…わかりました…」

 

 

正直遺書ぐらい書いておくべきだったと後悔している。

 

 

「……あれは尻に敷かれるタイプじゃのう」

「……らしいと言えばらしいですね」

 

 

聞こえてんぞ、そこ二人。

 

 

 

 

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孤雲閣にて、現在およそ昼過ぎ。

薙刀を構えている影が目の前に見える。

その後ろに視線を移すと、飲み物食べ物を手に見世物間隔でこちらを見ている他の面子が居た。

本当に気楽でいいもんだな…こっちは生死がかかってるかもしれないんだぞ…!

とりあえずそんな事を思ってもしょうがないので影に視線を戻す。

それにしても、影…張り切っているな。

真剣な顔つきでこちらを見ている。

正直もう逃げられないのは確定してしまっているので嫌々ながらではあるが覚悟を決めてはいた。

……。

覚悟を決めた以上、真剣に立ち会わなければならない…か…。

意識を戦闘へと切り替えていた時に影から声をかけてきた。

 

 

「いつでも良いですよ。一応言っておきますが、初めから全力で来てください。もっとも私も手加減をするつもりなどありませんが」

 

 

……へぇ…。

流石というべき堂々とした言葉を投げかけてくる。

伊達に将軍はやってないというやつか。

しかし、まぁ…一つお灸を据えるように言葉を返してやることにする。

 

 

「影、言う事…間違えてるぜ」

「…なにをでしょうか」

「『胸を借りる気持ちで行かせて頂きます』だろ?それとも表面だけでも強がらないと俺の前に立てねぇのか?影ちゃん?まぁ別に俺は構わねぇけどよ」

「……。」

「負けたときの言い訳ぐらい考えとけよ…?」

「言いましたね…貴様…」

「おいおいそんなに怒るなよ…そんなふうにすぐイライラしてるから…」

 

 

 

「足元すくわれるんだぜ?」

 

 

 

ハッとしていてかつ『信じられない』といった表情で俺を見ている影。

まぁ、当然だ。

きっと彼女には見えなかったのだろう。

俺が彼女の目の前まで近付くまでの動きが。

 

 

「初撃はこいつで…ッ!!オラァッ!!」

 

 

俺は右手に、自分仕様に性能を改良したアウトレイジ.MkIIを出現させて影に殴りかかりにいく。

 

 

「……っ!」

 

 

しかし、そこは本当に流石というべきか。

アウトレイジを薙刀で受け止めつつ自分の衝撃を最小限にするために姿勢を保ちこちらを見ながら後ろに吹き飛ばされる影。

上手く衝撃を逃した事により一切ダメージを負うことがないあたり相変わらずインチキ臭いヤツだ。

 

 

「相変わらず本当にデタラメですね、貴方は」

「ああ、よく言われ…るッ!!」

(お前には言われたくないがなッ!)

 

 

俺は勢いよくアウトレイジ.MkIIを地面に突き立てて遠くに吹き飛ばされた影に対して法力によって発生した火柱を前進するように飛び道具として放った。

 

 

「甘いッ!!!!」

 

 

それを見た影はすかさずその火柱を避けつつこちらに向かい急接近を仕掛けてきた。

 

 

「はぁッ!!!」

 

 

そして雷を纏った薙刀で俺を斬りつけにくる。

しかし、その薙刀が俺に届くことはなかった。

 

 

「…バリア…というやつですか」

「…まぁ、そんなところだ」

 

 

俺に触れる直前に薙刀は透明なバリアのようなものによって阻まれてしまう。

 

 

「っらァアッ!!!!」

 

 

そこにこちらもアウトレイジによる横薙ぎ払いのカウンターをお見舞いしに行く。

…が。

 

 

「……チッ」

 

 

影が薙刀をガードされてからすぐに距離を取っていたためアウトレイジによる薙ぎ払いは空を切る。

……今さっきの次元障壁…アイツの薙刀を止める際に使ったモノはかなり高密度に圧縮された次元障壁だった。

だがかなり…“ギリギリだった”。

もう少しで次元障壁すらも斬り伏せてこちらにその斬撃を届かせていた。

 

 

(…この強度では足りない…か…。)

 

 

『もっと高密度な障壁にする必要がある』ということを再認識して次なる行動について考える。

 

 

 

 

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(…流石にやりますね。)

そう思わざるを得ないといった表情の影。

この戦いは…『まだ、両者には余裕がある。お互いに探り合っている』と第三者からは見えるのだろう。

しかし、シュウもそうであったように影にもそこまで余裕があるというわけではなかった。

先程、影が薙刀に纏わせていた雷。

一見ただの威力を上げるための技に見えるが、実際はそんなレベルの代物ではない。

およそ影が出せる8割ほどの出力の雷をあの薙刀に凝縮した斬撃は例えいかなる障壁であったとしても、その圧倒的な破壊力と速度で一刀のもとに斬り伏せてしまうほどのものであった。

しかし、その斬撃を影の前にいる男は防いだ。

確かにシュウからすれば『ギリギリ防ぎきれた』という感覚だが、影からすれば『渾身の一刀が防がれた』という感覚なのだ。

 

しかし、影は笑っていた。

自身の渾身の一刀をも防いでしまう相手を前に、影は戦いを全力で楽しんでいた。

 

 

(次は…斬る…ッ!)

 

 

次の一刀は外しはしない。

そう思いながら。

 

 

 

 

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「す、凄いレベルの戦いね…」

 

 

二人の戦いが見れると聞いて仕事を中断してまで付いてきた玉衡は思わずそう呟いていた。

彼女の目の前で繰り広げられていたのは自身の想像を超えたレベルの戦いであったためである。

 

 

「最初のシュウの動きも完全には見えなかったし…途中のシュウの火柱を避けつつ2つの斬撃を繰り出した雷電将軍。そしてお互いにそれらを捌くなんて……」

「…貴方にも2つ斬撃が見えたのね」

 

 

そう、彼女達…璃月七星の天権と玉衡の目には確かに斬撃が2つ見えたのだ。

『それを防ぎ切るとは…』そう考えていると横から鍾離が一言声をかけた。

 

 

「4つだ」

「「…え…?」」

「彼女の斬撃は確かに2回振るわれたように見える。だが、よく見るとそれぞれ振るわれた後に一回ずつ同じ角度でほぼ同時に2撃ずつ攻撃している。それを2回だから計4回の攻撃を、アイツは防ぎ切ったことになる」

「「…ッ!?」」

「俺もあれを防ぐとなるとかなり難しいな。特に今の鈍ってしまっている俺では特に…か。」

 

 

鍾離はあくまでも自分には難しいと言いながらそんなことを言う。

 

 

「でも、出来ないわけじゃないんでしょ?」

「まぁ、防げはするだろうな」

 

 

そんなやり取りをしている鍾離と帰終。

帰終の言う通り、“出来ないとは言ってない”のだから流石は元岩王帝君だろう。

二人はそんな話を聞いて絶句せざるを得ないといった様子であった。

結局その日は、シュウと影の決着はつかずに両者の引き分けということになった。

 

 

もっとも凝光と刻晴からのシュウへの印象は大きく変わっているだろうが。

 

 

 

 

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その日の夜、とりあえずはシュウと鍾離達は解散となり影、眞、八重神子の三人は群玉閣にある旅館にも劣らぬ場所で夜を過ごす事になった。

元々、シュウとの手合わせの理由は『言葉で話すよりも武器を交えた方がお互いを理解できる』という影からの提案によるものであった。

そうして影が出した結論は

『シュウは苦しんでも悲しんでもいるわけではない、しかしその出来事に対する怒りや憎しみは消えておらず今もなお存在している。しかし、それをあくまでも自分を構成する一部分として彼自身は考えている』

というものであった。

そしてこの結論は、遠からず彼の考えと似ている。

一つ付け加えるとしたら

『大切なものを守るために、まだ何かを模索している』

というものが付くのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 




4106文字ですか…。
…4106文字!?
冗談でしょう…?

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