元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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「慎重派である君の友人の親友とでも言っておこうか」

 

 

 

俺達は偽物であったエウルアが消えたあと、とりあえず冷静に現状を確認する。

そして

『とにかくこの場から離れたほうがいい。行くのならば知り合いの居るなるべく近い場所へ行ったほうが良い』

という結論を出し、先ほど俺が居たアルベドの研究所の方へ向かうことにした。

途中で

 

 

「どうしてエウルアを撃ったのか」

「なぜ偽物だと思ったのか」

 

 

といったことを旅人達から聞かれはしたが

 

 

「その話はとりあえず後で答える」

 

 

との回答をして今は場所を移すことを優先する。

 

そんなことを話しているうちにアルベドの研究所が見えてくる。

ひとまずの安心を感じながら研究所にたどり着き中にいたアルベドへと話しかける。

 

 

「悪い、アルベド…ちょっとトラブルが起きた。説明はするから今はここで休ませてもらってもいいか?」

 

 

そうアルベドに話しかける。

アルベドは俺の声を聞きこちらを振り返った。

申し訳ないなと思いつつも振り返るアルベドを見ていると、ふと違和感に気付く。

まるで帰終の時のような。

そう思った瞬間後ろに居た旅人が驚き叫ぶように声を出す。

 

 

「アルベドから離れて!!」

 

 

そう旅人に言われて反射的に後ろに距離を取る。

そして距離を取りながら気付く。

 

 

(コイツ…喉元にマークみたいなのが無い…!)

 

 

いつも喉元にあるはずのマークがソイツには無かった。

そしてソイツは帰終が持っていた物と同じ拳銃を何処からともなく取り出しこちらに向けてきた。

 

 

「チッ…!流行ってんのか…ッ!?それ…ッ!?」

 

 

とっさに旅人を庇いなら物陰に隠れようとするものの右腕を撃ち抜かれてしまう。

だが、先ほどとは状況が少し違う。

偽物であるとわかったのならば話は早い。

先ほど、帰終(?)より回収した拳銃でアルベドへと数発撃ち返す。

撃ち返した弾が当たったソイツは拳銃を落とし、背中から倒れる。

それを確認しながら旅人の方をチラ見する。

 

 

(…とりあえず良かった…弾は当たってないみたいだな…)

 

 

不幸中の幸いというべきか、被害を出したのは俺の腕に当たった銃弾のみだった。

しかし…

 

 

(やはり、傷の回復が遅い…)

 

 

先程と同じように銃弾を受けた傷がなかなか治らなかった。

『一体どういうことなのか』そう思いつつアルベドの姿をしたやつに視線を戻すと、先ほどの帰終と同じようにまた消えていった。

 

 

「ま、また消えたぞ…!!!」

「…これは間違い無い。私達はおそらく…」

「…狙われている…か。しかも俺だけでもお前らだけでもなく…」

「うん、私達二人が狙われている…」

「そ、そんな!!どうするんだよ!旅人ぉ…!!」

「とりあえず…そうだね…人が多いところに行こう。まずは石門に行ってそこから璃月まで行く…かな」

 

 

まぁ、妥当で悪くない判断だろう。

しばらくそんなことを話しているとに後ろから声をかけられる。

 

 

「あら、珍しい組み合わせね」

「エ、エウルア!本物なのか…?」

「どういう意味?偽物が居ると言うの?」

 

 

そこには、おそらく本物であろうエウルアが居た。

エウルアは話しかけながらこちらに近付いてくる。

 

 

「実はアルベドに頼まれていた物を届けに来たのよ。それにしてもシュウ、久しぶり……ッ!?」

 

 

エウルアは近付いて来る途中で俺が右腕を撃ち抜かれて血を流しているのに気付く。

 

 

「あなた…ッ!!その傷は…ッ!?どうしたの!?」

「ちょっとな」

「『ちょっとな』じゃ無いでしょ!あぁもう!早く右腕を出しなさい!!治療しないと!!」

「いや、問題無い…」

「問題無いって…良いから!!出しなさい!!!!」

「わかった…わかったから…怒鳴りつけるな…」

「…誰のせいだと思って……!!」

「恨みを覚えるのか?」

「恨みなんて覚えるわけないじゃない!!黙って治療されてなさい!!」

「…エウルアが恨みを覚えない?どういうこと…?」

「さっき話してなかったが…エウルアから恨まれることは無いんだよ俺は。事情はデリケートな話になるから話せないがな。下手に話して今日を俺の命日にしたくない」

「なら、明日でも良いわよ」

「わかった、黙ってお前の治療を受けるから。勘弁してくれ」

「ふん…それでいいのよ」

 

 

そんな会話を旅人達に見られ、驚かれつつも俺は内心驚いていた。

 

 

(俺を…心配している…?どういうことだ……)

 

 

俺は治療を受けながら、本来誰も心配していなかったはずなのに何故かエウルアから心配されているという現状を考えていた。

 

 

 

 

 

 

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「…おっと?」

ケイオスは気付いた。

この世界に起きていた異変が治ったことに。

「まぁ、関係ないか…というより放っておいたほうが面白そうだ…」

もっとも行動は起こさなかったが。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

どうなっている?

私がこの世界の一部認識がもとに戻っている…?

一体誰が?

いや、一体どうやって?

あれを利用して無理やり改変したというのに…。

どうなっているんだ?

…また考え直さなくては。

どうやって近づこうか。

また、機会を伺わなければ…。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

アルベドは険しい表情をして、目の前の人物を見ていた。

その人物は突如として自分の目の前に現れた。

 

 

「まったく、彼の平和ボケには正直うんざりしたよ。まさか僕がこの世界の“ズレ”を直すことになるとはね。彼がその気になればこの世界の異変くらい簡単に元に戻せるだろうに。ああ、勘違いしないでくれ。僕はあくまでも彼を心配しているんだ。けどね、心配と呆れは両立出来る。そんなに守りたいものが多いならば彼の持ってるこの世界の”本“を使えばいいと言うのに。彼のことだろうから「この世界に影響があるといけないから」とか思って使わないとでも考えているんだろう。まったく、これだから彼からは目を離せないんだ。心配するのを辞められないこっちの気持ちも考えてほしいとは思わないかい?それと、警戒するのは止めてはくれないかい?今言った通り、僕は君たちを助けた存在なんだからね」

 

 

そんなことを言っている目の前の人物。

その人物は、巨大なベッドのようなものに寝転がるようにしてこちらを見ていた。

片手に草神を抱えながら。

 

 

「君は何者だい?」

 

 

そう聞かれた彼は嫌味ったらしく答える。

 

 

「人に名前を聞く時はまずは自分から名乗るべきだと教わらなかったのかい?君の親の教育には少々疑問を覚えざるを得ないよ。さて、『僕が何者か?』かい?そうだね、君にもわかりやすく答えるのならば」

「慎重派である君の友人の親友とでも言っておこうか」

 

 

 

 

 

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