目の前に現れたこの場に居るはずのない親友。
スメールの草神。
聞きたいことは山程あるがとりあえず焦っていそうな草神から話をつけるために外に出る。
「話をシていたようだけど、外に出て良かったのかしら」
「問題ない。こっちの話は終わってる。むしろ、こっちから聞きたいことは山程ある。『そこに居る俺の知り合いが何故ここに居るのか?』とかな…。だが、その質問は事が全部済んだ後だ。お前は確か…スメールんとこの…」
「ナヒーダよ。自己紹介は簡潔に済ませるわ。そして、あなたにお願いがあってここに来たの」
「……鷲掴みにされながらお願いする神様は見たことがねぇな」
「ふふふ…私も初めての経験よ。でも、そんなこと言ってる場合じゃないのよ……お願い…スメールシティを助けて欲しいの」
「スメールシティを…助ける…?」
「そう、実は今…スメールシティは何者かに占拠されているの」
「…スメールシティが?」
「ええ。スメールシティのアーカーシャ端末を利用されてスメールの一部民達が洗脳されているみたいなの。しかも、洗脳された民達はスラサタンナ聖処を中心に守りを固めていて、誰も近寄るなと言わんばかりに近付く人達を攻撃し始めたの。私も襲われかけたのだけど、そこをこのベッドフレームに掴まれてその場から逃げられたというわけなの」
「…それで?なんで俺に頼むことになる?」
「そうね…理由は2つ。1つ目は信頼出来る者であり戦闘としての強さも考えて。2つ目は…実は主犯と思わしき人物からあなたをスラサタンナ聖処に呼べばスメールの民を洗脳から開放すると言われてしまったことかしら」
「……ほう。で?」
「『で?』というのはどういう意味かしら?」
「報酬は?」
「……報酬」
「俺はタダ働きするつもりはねぇぞ。俺を人質と交換に使うのなら尚更な」
「相変わらず現金な奴だよ君は」
「うるせぇぞ、世紀の天才的寝坊助が」
「報酬は…そうね…このくらいで良いかしら…」
「言っとくが俺は生半可な額じゃ動かな………え?」
先程まで怒りに身を任せて叫ぶように声を出していたはずだったが。
そんなものが軽く吹っ飛ぶぐらいの額を提示される。
「……こんなに?」
「ええ」
「いいの?」
「もちろん」
「嘘じゃない?」
「当たり前よ」
「スメールまでどうやって行くの?」
「僕が送ろう」
「………。」
「どう?受けてくれる?」
「フッ………」
何も言わずにナヒーダと握手を交わす。
俺達は今、友情を感じていた。
「「………。」」
横で見ていた旅人とパイモンに呆れた目で見られていたが。
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「着いたわ、ここがスメールシティの入口手前よ」
「…で?俺はどうしたらいい?」
スメールシティに一瞬でワープして移動した俺達。
相変わらずのインチキっぷりだなロミオ君。
そんなことを考えていると後ろから声をかけられる。
「やっと来たか、遅かったな」
「アルハイゼンか」
こちら、筋肉ムキムキのマチョハイゼン君です。
いやーどうしたらそんなにガタイが良くなるんですかねー。
くだらんこと言ってる場合じゃないな。
「お前は洗脳?されなかったのか。アーカーシャ端末を付けてんだろ?」
「今は洗脳が解かれているようでな。君を引き渡しに来たら完全に開放するらしい。もっとも、俺のアーカーシャ端末は特注品だ。クラクサナリデビ様から直々に譲り受けた。洗脳は受けなかったがな。どうだ、羨ましいだろう?」
「……ならとっとと俺をスラサタンナ聖処に連れてってくれないか?そのために声をかけたんだろ?」
「ちなみに僕も貰ったよ。羨ましいかい?」
「お前は黙ってろこのクソ長話丸メガネが」
「さて、では連れて行こう。向こうは君を待っているようだからな。気が変わってまた洗脳されでもしたらたまったものではない」
と、言うわけで。
スラサタンナ聖処の入口前まで連れてこられた俺。
「俺が付いて行けるのはここまでだ」
「了解、その洗脳野郎の顔を拝みに行ってボコボコにして金を貰ってとっとと帰る」
「期待して待っておこう。では、武運を祈る」
そんなことを言われてスラサタンナ聖処の中に送り出される俺。
そこに待っていたのは。
「まったく、遅かったね。首を長くして待っていたというのに。あぁ、それ。そこに置いてあるそれ。君にプレゼント。僕たちの再開を祝してってやつだ。君も好きだったろう?」
「あぁ、確かに嫌いじゃなかったな」
そう言いながら俺は置いてあるミルピコを取り、一口飲んでから…つい最近手に入れた拳銃を向けながらソイツに言う。
「驚かないんだ?あぁ、そっか。ロミオ君も居るんだよね。この手の衝撃には慣れちゃったか」
「慣れるつもりは無かったがな。で?ロミオといいお前といい…なんでこの世界にいる?」
「さぁ?何でだろう。実のところ僕にも良くわかんない。でもこの世界でやりたいことはあるよ」
拳銃を向けられながら何事も無いかのようにこちらに返事をする男。
「知ってるだろうけど、一応自己紹介する?」
「必要か?俺とお前の仲だぞ」
「必要だよ。物語には自己紹介があればわかりやすい」
「じゃあ好きにしろ」
「オッケー」
「僕の名前はハッピーケイオス」
「久しぶり、僕の相棒」
「”元“を付け忘れるなよクソ野郎」