元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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「本をパクった野郎共と腑抜けたアイツをボコボコにしてとっとと俺は帰るぞ」

 

 

 

 

 

 

「た、隊長!!ギアの大群がそこまで迫ってきてます!!!!」

「迎撃に入れ!!」

「住民の避難が終わってません!!」

 

 

 

過去。

過去というものはどんなに離れようとしてもどこまでも追ってくる。

 

 

 

「お父さん!!お母さん!!私はここだよ!!」

「◯◯◯◯◯!!お父さんがすぐにそこに行くからね!!」

「助けて!!痛いよ!!苦しいよ!!熱いよ!!」

 

 

 

過去。

過去は過ぎ去ってしまったもの。

 

 

 

「援軍はまだか!!!」

「それが…支援部隊も襲撃に…支援は期待できません…」

「そんな…馬鹿な…」

 

 

 

過去。

過去は変えることが出来ないもの。

 

 

 

「研究材料だけは!これだけは持って行く!!」

「そこのお前!何をしている!!死にたいのか!!」

「やめろ!!離せ!!!!」

 

 

 

過去。

それは忘れることが出来ないもの。

 

 

 

「やめろ…ここは…僕の村過ごした村なんだ……!この村は…ギアの大群が…止まれ…止まってくれ……!」

 

 

 

過去。

それは

 

 

 

「止まれぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!!!」

 

 

 

逃れることの出来ない罪。

 

 

 

 

 

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かつて、テイワット大陸が存在しない別の世界で。

戦争が起こった。

人と人ならざる者の戦争。

人が人たらんとするための戦争。

人ならざる者が人を駆逐するための戦争。

一人の男のエゴがすべてを終わらせかけた戦争。

人間の欲望の果てに産まれた生命による反逆の戦争。

多くの人が蹂躙され、多くの人が絶望した戦争。

その戦争をオセルと跋掣は別の世界からシュウの持つ本を利用して見たことがある。

オセル達は彼と彼の持つ本の力、そして岩神の力によって滅ぼされた。

かのように思われていた。

シュウの持つ本。

この世の真理の記載されている本。

始まりの書。

シュウの持つ”テイワット大陸が存在する世界における本“と、”あの男の持つ本物の本“は僅かだが繋がっていた。

オセル達は滅びる寸前に己のすべての力をもって、シュウの本に自分たちの存在を記入した。

その世界から逃れるために。

シュウの本からあの男の本へと自分達の存在を書き写すために。

 

 

あの男の本に自分達の存在を書き写したことにより、その世界に存在することが出来たオセル達の行動は早かった。

本の中に概念として存在しているオセル達は誰からも察知されること無くその本をコピーし、“模造品の本”を生み出し始めた。

本は唯一無二の存在。

本は2つ目は生み出せない。

しかし、本そのものを生み出すことが出来なくとも本の欠片として模造品を生み出すことが出来た。

いわばパズルのピース。

集めていけば模造品の本は本物と同等の本へと昇華する。

だが、あの男は2つ目の本が作られればすぐさまそれを察知し止めに入る。

だから、オセル達は模造品の本を最後のピースを残して自分達の元いた世界に戻っていった。

あの男のいる世界と自分達を滅ぼさんとした男のいる世界を繋ぐ道を作っておいて。

無論、その道を察知する者は現れる。

滅びる寸前に道を認識し、オセル達と同じ仕組みで別の世界へと存在を移したベッドマン。

そして、オリジナルの本を生み出した第一の男も。

そして、別世界に至るケイオスが本を作るための理由を。

彩麟というケイオスに模造品の本を作らせるための存在を作るために自分達の持つ本を利用し過去に介入して村を滅ぼした。

本来ならば、過去に介入した際に生まれる歪みを天理の調停者に察知されるはずであるものの。

シュウという特異点がそもそもの世界の歪みだったため天理の調停者に察知されることはなかった。

そして介入した村は滅び、シュウの持つ本とその本を利用してケイオス生み出せる模造品の本というシナリオが出来上がった。

そしてついに、オセル達は手に入れた“ケイオスが生み出した模造品の本“という最後のピースを自分達の持つ“一つだけピースの欠けた限りなく完全に近い本”に嵌め込んだ。

全ては自分達を滅ぼさんとした一人の男に、岩神に、璃月に復讐をするために。

奇しくもそれは、自分達が作り出した彩麟と同じような考えであった。

 

 

 

 

 

 

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「ぎょ、凝光様!!!」

 

「わかっているわ…。まさか二体同時に復活するとはね……甘雨、貴方は民間人の避難指示とそれが終わったら刻晴の援護を。夜蘭、北斗船長にすぐに連絡を。刻晴は千岩軍を仕切ってちょうだい。私は群玉閣を使って迎撃するわ」

 

「はい!」

「了解よ」

「わかったわ!」

 

「……シュウ…こんな時…貴方が居れば…。」

 

 

 

 

 

 

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オセルと跋掣を名乗った二人組はその場に倒れて動くことは無い。

しかし、倒れた瞬間に璃月港の方から2つの大きな気配を感じ始める。

 

 

 

「……ッ!!鍾離!!まさかアイツらは…!」

 

「…どうやら俺達は手のひらの上で踊らされていたらしいな」

 

 

 

もし、アイツらが本当に復活したのならば。

それは璃月の危機に直面していることになる。

鍾離は焦りと動揺の見える顔で冷静に状況を分析し判断を下す。

 

 

 

「全員で急いで璃月港に戻る。あちらには璃月七星と千岩軍がいつオセルや跋掣が現れても迎撃出来るようにしてはあるものの…。2体同時、それも本の力が使えるとなれば話が違いすぎるはずだ。模造品とはいえ本の力は強大…シュウ、お前の力が頼りになるはず____ 」

 

「うーん…それはどうだろう」

 

「……お前は?」

 

「ハッピーケイオス。一応はじめましてだね、噂の岩神様」

 

 

 

そこに割り込んでくる男が一人。

何処からともなく現れた俺の元相棒は鍾離の言う俺の力を利用することを『そうとも限らない』と否定してくる。

 

 

 

「もしかしてだが相b………ケイオス、あの本は…完成されているのか?」

 

「ご明察。流石僕の元相棒さんだ。そう、その魔神達が持つ本…あれは本物と大差ない本だ。さっきみたいに君の法力でどうにかなるわけじゃないよ」

 

「…じゃあ、使わないといけないってことか」

 

「まぁ、そうなるね。と言っても一人で止められるかわからないし、僕が力を貸して二人がかりでもまだ微妙なとこなんだけどね。でも…」

 

「四の五の言ってられないか…鍾離、急いで戻ろう」

 

「……あの時のように無理はさせられんからな」

 

「わかってる。彩麟さん、貴方にも一緒に来て帰終達を守ってあげて欲しい。あんな事があった後だけどお願い出来ないかな」

 

「……ああ。いつまでも泣いてはいられないからな。任せろ。私が命にかけても守ってみせる」

 

「……ありがとう」

 

 

 

そう会話を終わらせ、すぐさま俺達は璃月港へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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「「影!!」」

 

「眞に神子…二人も感じたようですね」

 

「璃月港方から感じました…!シュウが…!」

 

「……あの狐斎宮に頼みましょう。彼女ならばきっと璃月港まで飛ばしてくれるはずです」

 

 

 

 

 

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一つだけ、オセル達には誤算があった。

シュウの本とあの男の本は繋がっている。

それは、シュウの居る世界とあの男のいる世界が繋がっている事にほかならなかった。

 

 

 

 

「フレデリック、すまないがそういうわけなんだ。君にも協力して欲しい」

「なんだって良いが…帰ってこれるんだろうな?」

「ああ、もちろんだ。僕が保証する。もっとも…あの存在を察知出来なかった僕に信頼してくれるとは思っていないけどね」

「お前が信頼の心配をするな。これまでにしたことを考えればそんなものは存在しないからな」

「…すまない。それじゃあ、準備はいいかい?」

「ああ。とっとと終わらせるぞ」

 

 

 

 

 

シュウの居る世界で起きていることをあの男が察知出来ないわけはないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本をパクった野郎共と腑抜けたアイツをボコボコにしてとっとと俺は帰るぞ」

 

 

 

 

 

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