元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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「「塵も残さんぞ」」

 

 

 

 

 

 

「信じたくは無いわね、この光景…」

 

 

 

凝光は璃月港を守るように移動する群玉閣から目の前の光景を、苦虫を噛み潰したような表情で見ていた。

そしてその光景から、嘘であって欲しかった情報が確かなものであった事を知る。

そこにはオセルと跋掣が同時に出現していた。

 

予兆が無かったわけではない。

北斗より

『海の様子がおかしい』

との報告を数回受けている以上、オセルか跋掣のどちらかが再び璃月を襲うであろうと凝光は考えていた。

もちろん、その対策も。

いつ現れても千岩軍が迅速な対応が出来るようにもしておいた。

しかし、そんな状態であったとしても『2体同時に相手をしろ』というのはいささか無理のある話であった。

だが、オセルが待ってはくれるはずもなく今にも璃月を攻撃せんとする。

 

 

 

「今よ!第一射撃部隊!撃てェ!!!!」

 

 

 

当然、それを刻晴は許すつもりはない。

合図を出し、あらかじめ配備してあった弩砲型の武器による一斉射撃をもってしてそれを阻止する。

だが、その射撃後の隙を跋掣は見逃さなかった。

跋掣は理解していた。

弩砲による一斉射撃にはクールタイムが存在すると。

もう一度一斉射撃を行うまでに空白の時間が生まれることを。

跋掣は吠える。

吠えた瞬間、跋掣の背後より大きな波が形成され璃月を沈めんと璃月港へと放たれた。

 

 

 

「させはせぬ…!」

「させません!!」

 

 

 

もちろん、それを許す凝光達ではない。

市民を避難させ、その際に申鶴へと協力を仰ぎ刻晴と合流。

二人のあらかじめ高められた氷元素の力によってその波を止めんとそれに向かって放つ。

 

 

 

「まだよ……ハァァァアア!!」

 

 

 

そして凝光も二人に加勢するように岩元素による障壁を形成し波をせき止めていく。

……しかし。

 

 

 

「クッ…!」

「やはり…!」

「間に合わない…!」

 

 

 

それをもってしても、完全には止めることが出来ずにいた。

そのタイミングであった。

 

 

 

「稲光、すなわち永遠なり!!」

 

 

 

波が一刀のもとに斬り伏せられたのは。

 

 

 

「璃月七星天権、凝光さん。無事ですか」

「貴方は…稲妻の現将軍!?それに、八重宮司に…前将軍…どうしてこちらに…」

「もちろん、貴方方への加勢に。神子は刻晴さんと甘雨さん達の方へ加勢を。眞は私とここで雷元素による結界を張って璃月の民を守れるように動いてください」

「うむ!」

「ええ、わかったわ」

「私はここ…群玉閣から加勢して、先程の大波のような攻撃を迎撃する手伝いします。それである程度余裕が生まれる、どうでしょうか?凝光さん」

「本来ならば、受けたら色々と考えることが増える話ではありますが…こんな状況ともなれば猫の手も借りたいところでして。それが七神の手ともなれば悩むこともおこがましいことこの上ない。是非、お願いします」

 

 

 

それは凝光にとって複雑な心境を抱かせつつも、確かな希望を抱かせるには十分であった。

 

 

 

「姉上!!妾も助太刀に参りました!!」

「神子さん……!?…いえ、助力に感謝します!!」

 

 

 

 

その希望は多くのものに勇気を与える。

だが、雷電影は気付いていた。

 

 

(雷元素の……出力がいつもより少い……?)

 

 

僅かな違和感に。

確かな違和感に。

 

希望は長くは続かないものだ。

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

オセルは驚いていた。

岩神が現れることは想定していた。

それに対しての対策も講じた。

しかし、雷神とその眷属が現れるとは思ってもみなかった。

 

跋掣は焦っていた。

あまりに早すぎる加勢。

それは跋掣の予想には存在しないものであった。

 

ゆえに早まる。

ゆえに事態は悪化する。

オセルと跋掣には、もはやもったいぶる必要もない。

ゆえに出し惜しみせず使用する。

オセル達が持つ、取っておきのジョーカーを。

この世界を掌握する本を。

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

「なに…?これは…」

「影…まさかこれって…」

「眞に凝光さん…二人も気付きましたか」

 

 

 

影に続き、眞も凝光も気付く。

 

 

 

「あ、姉上…!」

「はい、神子さん…これはおそらく…」

「我の見間違いでは無いということか」

「そんなこと…あり得るというの…?」

 

 

 

甘雨も八重神子も申鶴も刻晴も。

 

 

 

「……ッ!?冗談でしょ…!?」

 

 

 

夜蘭も。

全員気付いてしまう。

 

 

(元素力が使えない…っ!?)

 

 

誰かが言った。

『それは反則だろう』と。

誰もが思った。

『やってきたのは希望だけではない』と。

そう、やってきたのだ。

希望を塗りつぶさんとする。

絶望の風が。

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

凝光の気付いた障壁が砕かれ塵となる。

雷電影の斬撃は雷を帯びなくなり、

雷電眞の張っていたはずの結界は無くなっていていく。

甘雨と申鶴は跋掣が生み出す大波を止める力を失い、

八重神子は弩砲に雷元素を宿らせ破格の威力を出せなくなる。

当然、その隙を逃すオセル達ではない。

元素力を溜め、璃月に放たんとする。

もはや凝光達にそれを防ぐ術は残されていなかった。

オセル達は容赦なくその元素力を放つ。

絶望の一撃。

その一撃は、

 

 

 

「堅如盤石!!!!!!」

 

 

 

璃月に届くことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずいぶん好き放題暴れたようだな」

「だが、もうこれ以上の勝手は許せねぇ」

「「覚悟しろよ、貴様らは」」

「「塵も残さんぞ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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