元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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破壊することなら出来る。僕と、彼となら。

 

 

 

現状はあまり良いとは言えなかった。

反撃の手立てがない。

攻撃を防ぐ以外に取れる手段がない。

 

 

 

(流石にこの状況が続くのはマズイな)

 

 

 

ならば残された手段は、取れる策を試してみるだけだな。

 

 

 

「鍾離」

「ああ、どうする?」

「あの障壁…【絶対防壁フェリオン】は見ての通り割となんでも防げるトンデモ障壁だ。だが、あれが突破された事例が無いわけじゃないしあの障壁を分解する手段もあるかもしれない。だが、俺はその手段を残念ながら知らない。だから…」

「…その手段を構築するための時間と構築した後に攻撃する準備が必要…だな?」

「そうなるな。だから、凝光…お前には刻晴に連絡していつでも弩砲をぶっ放せるようにしておくよう伝えてくれ」

「わかったわ」

「ふむ、ならばお前が俺に頼みたいのは」

「ああ」

「「時間稼ぎだ」」

「どれくらい必要だ?」

「長けりゃ長いだけいい」

「賭けというわけだな。他に取れる策は?」

「全く思いつかない」

「なら、やってみるしか無いわけだな」

「頼む」

「任せておけ」

 

 

 

「刻晴、そちらの射撃準備の方は?」

『いつでも撃てる…けど…』

「刻晴。今からシュウがあのバリアを分解するための法術を組む、バリアを分解できたら合図を送るから一斉射撃をお願いするわ」『今からって…そんなことが出来るの!?』

「…それ以外にやれそうなことがないのよ。残念ながらね」

『……いつでも撃てるようにしておく。それでいいのね?』

「ええ、お願い___」

 

 

 

方向性は決まった。

なら、俺が今からやれることは全力を尽くして法術を組むこと…!!

 

 

 

「いいや、残念ながら…いささかそれでは遅すぎるな」

 

 

 

謎の声が背後から聞こえた。

鍾離達が一斉に声が聞こえた方を向く。

俺がもゆっくりと…おそらくは驚きつつも呆れたような表情をしていただろう顔で振り返る。

 

 

 

「もう誰が来ても驚かねぇと思ってたんだがな…」

「さて、まずは自己紹介だ。私は【Dr.パラダイム】という。まぁ、こんな状況だ。パラダイムでいい。それと、久しいな…友よ」

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

「その割にはあまり驚いた表情ではないようだが」

「そうでもねぇ、100%の驚きじゃないだけだ。アイツらがこの世界に居るんだ。誰が居ても不思議じゃないさ。もし俺を100%驚かせたいならこの場所に三つ目の始まりの書でも持ってくるんだな」

 

 

 

内心焦っていた心が知った顔を見ることで少し安心を覚える。

余裕の出来た心で軽口を叩く余裕すら生まれてきた。

 

 

 

「『何でここに居るか』とか、そんなことは後回しにしておくが。それで?『いささか遅すぎる』なんて言ったんだ。あの障壁をどうにかする策があるんだろうな?」

「ふっ…もちろんだとも。ただお前を馬鹿にするためだけにこんな異世界とも言える場所まで出張ってきたわけではない」

「…上等だ」

 

 

 

それを聞いて思わずニヤついてしまう。

お前がそう言うなら大丈夫なんだろうな、パラダイム。

 

 

 

「会話から察するに、すぐにどうにかなりそうということでいいのか?」

「まぁ、多分な。時間稼ぎっていう見せ場が無くなって悲しいか?」

「馬鹿を言う。ホッとしているところだ」

 

 

話を聞いていた鍾離からそんな事を言われる。

そこに割って入るようにパラダイムが話を再開してくる。

 

 

 

「一応言っておくが、私がどうにかするわけではない。私がやることはあくまでもその策を伝えに来ただけなのだからな」

「回りくどい話し方をするな。結局俺は何をすればいいか。それだけ聞いとけば良いんだろ?さっさと教えてくれ」

「いいだろう。アウトレイジは持っているな?」

「ああ、自分用に調整してあるとびっきりのやつがな」

「なら、伝言を一つだけ伝えるだけでいいな。『いつでもぶっ放せるようにしておけ』だ。確かに伝えたぞ」

「おう、任せろ」

 

 

 

アウトレイジを起動しながら考える。

あの障壁は生半可な方法では傷一つ付けられない代物だ。

オセルの方を見ながら思案していると、ふと視線の先のオセルの前に人影があることに気づく。

 

 

 

「なぁ、パラダイム。お前策はあるって言ったが…あの人影のことか?」

「ああそうだ。アレを超える策はなかなかないぞ。なんせ苦労したのだ。アレとコンタクトをとるのはな」

「三つ目の本を持ってきてみろとは言ったが…本当に連れてきたのか…」

 

 

 

「任せたぞ…!ギアメーカー!」

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

「まさか、本が複製されているとは。というよりその事に気付けなかった僕にも問題がある…いやしかし___」

 

 

 

オセル達は困惑していた。

目の前にいきなり人が出現したのだから。

気配があらかじめしていたわけでもなく、目の前の人から強烈な圧を感じるわけでもない。

ならば目の前のこの男はなんだ?

だが、オセル達は行動に移すのも早かった。

困惑の感情をすぐさま敵意に変換し、目の前の男に高圧の水の波動を放ち切り刻まんとする。

 

 

 

「無駄だよ。僕の存在は確かにここにいるけど物理的には別の場所にインプットしたままだからね。僕に物理的攻撃は聞かない」

 

 

 

唖然とする。

攻撃が当たらない。

男を通り抜けていく。

こちらの攻撃が通じない。

しかし、それはこの男も同じこと。

この障壁は生み出すまでに時間を要したが、いかなるモノも通さない。

 

 

 

「君たちの考えていることは想像できる。確かに、僕に攻撃は当たらないし僕から君たちに干渉することは出来ない。更に言えばこの絶対防壁フェリオンを解かせることもね」

「でも、破壊することなら出来る」

「僕と」

「彼となら」

「挨拶代わりだ。オラァッ!!!!!!!!!」

 

 

 

男の会話を聞いているオセル達は気付けなかった。

もう一人、男が出現していることに。

もう一人、男がこちらに赤い大剣で殴りかかってきていることに。

そこまで経ってようやく思い出す。

障壁を殴りつけられた衝撃で思い出す。

『いや、待て。この男たちのことを一度だけ見たことがあるぞ』

と。

まさかそんなはずはない、とオセルは狼狽する。

そんなことはありえない、と跋掣は混乱する。

 

 

 

「さて、手筈通りやるよ。フレデリック」

「チッ…しゃあねぇなぁッ!!!」

 

 

 

そんな中でも赤い大剣を持つ男はもう一人の男が絶対防壁フェリオンに生み出した魔法陣のようなものにその大剣を、【アウトレイジMk. II】を力のかぎり叩きつける!

 

間違いない、この者たちは…!

【あの男 飛鳥=R=クロイツ】と【背徳の炎 ソル=バッドガイ】ッ!!!!

 

 

 

もっとも

 

 

「それじゃあ、失礼するよ」

「君は…!」

「ベッド野郎…!」

 

 

理解した時には遅かった

 

 

「ッ!今よ刻晴!!」

「全軍一斉射撃ッ!!!撃てぇぇええッ!!!!!!」

 

 

障壁が

 

 

「20倍だ…今度こそ…消し飛びやがれッ!!!!!!!!!」

 

 

破壊された。

 

 

 

 

 

 

 

 

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