元帝君の友人になった男の話   作:じーじー

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「……なぁ、アンタさ。なんでそんな顔してんだ?」

 

 

 

 

「ふぅ…!とりあえず一段落ってとこだな!マジジェット疲れたぜ…!」

 

 

 

 

そう言いながらシンはその場に座り込む。

カイはそれを見ながら微笑みつつも少しだけ警戒を緩め、周りに目を向ける。

目をつむり息を整える彩麟とこちらを見極めるような視線を送る帰終に。

 

 

 

 

「ご助力感謝いたします。ですが…あなた方は一体…」

 

「これは失礼しました。戦闘中ということもあり自己紹介を省かせていただきました。我々は一言で言うのならば彼の…シュウの友人とでも言いましょうか」

 

「シュウの友人…?」

 

「『かつての』という言葉が頭につくでしょうがね。詳しい話は省きますが、我々はシュウの前世とも言って違いない…いわば別世界の人間です。と、言っても納得してもらえないでしょうが…」

 

「……いえ、納得するしかないでしょうね。あなた方が使う力は彼と同じで元素力をまるで感じませんでしたから。おそらく、法力と呼ばれるものなのでしょう?となれば別世界という話も冗談や嘘の類では無いのでしょう」

 

「助かります。我々は、この世界で起きている異変の正体…というより、対処法を知っている。それに…アイツに助けが必要だと思ったんです」

 

「だからこの世界に来たと?」

 

「我々だけではありませんがね。それに、アイツとの約束なんです」

 

「約束?」

 

「『困ってる奴が居たら全力で助ける』」

 

「…あなたが知る彼も私が知る彼も、とんだお人好しのようです。口は悪いですがね」

 

「違いありません」

 

 

 

 

そう帰終と会話をするカイはシンが彩麟をじっと見つめていることに気付く。

彩麟は最初は見て見ぬふりをしていたが、そのうち視線鬱陶しくなったのかシンに言葉を出す。

 

 

 

 

「鬱陶しいぞ…」

 

「ん?何も言ってないけど」

 

「その視線だ」

 

「あぁ、ワリぃ」

 

「先程の援護は助かった。その点については感謝する。しかし、馴れ合うつもりはない」

 

「えーと…アンタの名前ってなんて言うんだ?」

 

「…馴れ合うつもりはないと言ったはずだ」

 

「俺はシン!好きな食べ物はステーキだ!特に最近父さんの城で出てくるステーキなんだけどさ!すっげぇー美味いんだぜ!?なんていうかこう…俺の舌にクリティカルって感じでさ!」

 

「…おい」

 

「なんだよ、機嫌悪いのか?オヤジが二日酔いした時も『シン、馴れ馴れしく今は話しかけるな』とか言ってきてたんだけど____」

 

「しつこいぞ、さっきからなんなんだお前は。言いたいことがあるならさっさと言え」

 

「……なぁ、アンタさ。なんでそんな顔してんだ?」

 

「…顔?」

 

「そう。疲れてるつーか…落ち込んでるつーか…悩んでるつーか…そんな暗い顔。なんか嫌なことでもあったのかよ」

 

「お前にはわかるまい…だが、そうだな…。嫌なこと…か」

 

「母さんが言ってたんだ。嫌なことがあったら話してみると楽になるって。アンタも話してみると少しは楽になるんじゃねぇか?」

 

「……お前の鬱陶しい視線がそれでなくなるなら話してやろう」

 

 

 

 

彩麟は近くの岩に腰掛けながらシンに話し始めた。

 

 

 

 

「かつて…遠い昔…気の長くなる遠い昔の話だ。私の故郷とも言える場所があった。そこには沢山の仲間や家族が住んでいた。その村は周りの集団からのけものにされ、行き場を失った者たちの住む村だった。決して大きくはない、だが確かな幸せがある村だった。私はそこで産まれた」

 

「私はその村の者たちに色んなことを教わり、色んなことを貰った。私はその仲間に…家族に…村に恩返しがしたかった。そんな私はある日、世界中を旅するために村を出た。旅をして…色んなものを学んで…村に持ち帰りたかった。それで村の者たちに恩返しが出来ると思ったからだ」

 

「旅に出て、色んな経験をした。ある日は幼き子供を助け…ある日は襲ってきた盗賊を蹴散らし…ある日は村を救ったりもした。そして旅の中で『人や物から過去を読み取る力』を手に入れた。旅を終えて、村に帰り着いた時…村は…無くなっていた。私はすぐさま自分の故郷に何があったのかを調べた。するとその村があった周辺の…人が来ないような場所に墓のような物があった。先ほども言ったように私には『人や物から過去を読み取る力』がある。その力を使い、この地に何があったのかを断片的にだが、見ることが出来た。そこで見た過去には、村が盗賊どもに襲われて蹂躙されていく光景が見えた」

 

「私は…怒りに燃えた。その盗賊どもに…人間に…のけものにした者たちに対しての怒りに…。盗賊共はすぐさま見つけ出し、完膚なきまでに叩き潰した。しかし、のけものにした者たちは国を作り大きな組織となっていた。私は故郷にいた者達の敵を取るために一人で計画を立て長い年月を経て実行に移そうとした」

「だが、そこには一つ誤算があった。私だけでは無かった。もう一人、生き残りがいたのだ。そしてその生き残りは復讐をする相手が築いた国に居た。私は彼を理解出来なかった。故郷の敵とも言える者達と何故一緒に居れるのかを」

 

「彼は教えてくれた。『彼らはのけものにしたのではない』と『彼らは復讐するべき相手ではない』と。『だから復讐は止めてくれ』と」

 

「結局、同胞に私は手を出せなかった。ずっと孤独だと思っていた私にも同胞が…仲間が…まだ生きていた。その希望に私の復讐の炎は消されてしまった」

 

「だが、私にはわからない…。私は彼らに…復讐しようとしていた相手にどのような感情を抱けばいい…?どうやってこれから生きていくというのだ…。生きる理由は…もう残っていないというのに」

 

 

 

 

シンは黙って彩麟の話を聞いていた。

彩麟の話が止まって少しした時、シンは少し考えながら話しだした。

 

 

 

 

「俺がちっさかった頃の話なんだけど…。オヤジ…ソルって言うんだけど、オヤジと旅をして過ごしてたんだ。そん時によく遊んでた友達が一人居たんだ。でも、ソイツが他の奴らにイジメられててよ。頭にきたからソイツ等を俺が思いっきり俺が殴り飛ばしたんだ!そしたら向こうも殴り返してきて、そっからはもう殴り合いの大喧嘩!そんな殴り合いの最中にオヤジが出てきてよ。俺達から話を聞くなり俺を思いっきり何度もぶん殴ってきたんだ!『流石にやりすぎだ』って喧嘩相手の奴らも言ってきたんだけど、そしたらオヤジが『問題ない。お前らも今から同じになる』って言って今度は相手の奴らもボコボコで!『いやそれどうなのよ!?』って思ってたんだけどその喧嘩の帰りにオヤジが『喧嘩は完全に悪いこととは言わねぇ。だが、殴り合いは喧嘩とは違う。殴り合いは相手をぶっ飛ばすためにするが、喧嘩は喧嘩した後に仲直りするために喧嘩する。お前はこれからは殴り合いなんてするな。殴り合うくらいなら殴り飛ばして黙らせろ』って言ってきたんだ!」

 

「俺にはアンタがその復讐?相手と殴り合いしてるように見えるぜ?だから、アンタの大切な仲間を大切にしながら…これからは気に入らない奴らと喧嘩すればいいんじゃねぇのか?もちろん、仲直りするためにな!」

 

 

 

 

彩麟は目を丸くしながらシンの話を聞いていた。

そして、少し笑いをこらえながら再び言葉を出した。

 

 

 

 

「…ククク…。そうか、殴り合いか…。私の復讐が殴り合いに見えたのか…!そうか…!」

 

 

 

 

そして、遠くを見るようにして小さく言葉を絞り出す。

 

 

 

 

「大切な者を守りながら…仲直りするために喧嘩をする…か…」

 

 

 

 

考えるように遠くを見つめていた彩麟は再びシンの方を向く。

 

 

 

 

「彩麟だ」

 

「え?」

 

「私の名前だ」

 

「そっか!よろしくな!彩麟!」

 

「それと、私は歳上だ」

 

「あっワリぃ!でも俺難しい言葉使いなんてわかんないからな…」

 

「ならば仕方ない…と…?フッ…いい加減な奴だ…。…シン……」

 

「おう、なんだ?」

 

「…恩に着る」

 

「気にすんなって。気にしてねぇから!」

 

「フッ…コイツめ…」

 

 

 

 

(シン…お前は強いのだな…)

 

 

 

 

(答えはまだ出ない…だが…)

 

 

 

 

(答えへと繋がる道は見えた)

 

 

 

 

彩麟は何処か、迷いが晴れていた表情をしていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 




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感想の方も気軽にお願いします。
…そんなこと言ってる暇があるなら話を書けと言われたらぐうの音も出ませんが。
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