ユリウス→主人公
ヘレナ→ユリウスの異母兄妹
バレットM82A1→アンチマテリアル狙撃銃
あらすじを先に読んでくださいませ...(´∀`*)
「目標。ツインドラゴン」
我が妹、ヘレナの凛とした声が耳元で囁かれる。
「射距離」
俺は、俺と同じく地べたに這いつくばっている彼女に聞き返す。
「800メートル。左からの風プラス2度。発射時の距離830メートル」
脳内で偏差の計算をしながら、バレットM82A1のスコープを覗き込む。
「......照準よし」
「了解。目標を確認、いつでも」
この距離ならスキルを使うまでもない。トリガーに指を当て、撃鉄を引くタイミングを慎重に見計らう。一瞬、時間が止まったような感覚に襲われる。
「ふっ」
そして、撃つ。
長い砲身から蒼白い光を纏い、12.7x99mm弾が飛び出ると同時に、右肩に凄まじい衝撃が伝わる。
すると、数瞬の後、獲物の雄叫びが森に響いた。
「グォォォォォ!!!!」
対物ライフルのオーバーキル過ぎる破壊力を持つその銃弾は、数百メートル先で羽を休めている飛行魔獣に見事命中。
今回の獲物であるツインヘッドドラゴンは頭を二つ持つ。12.7mm弾は一つの頭に命中し、硬い頭蓋骨を容易く貫通した。ドラゴンの頭が水風船のように破裂し、幾つもの肉片に散らばって弾け飛ぶ。
「ヒット、頭部が一つ全潰」
スポッター(観測手)のヘレナが静かに呟く。
「.......よし」
これで2匹目。即席で作った罠は意外と有効である。ドラゴン族はワイバーンが大好物なので、狩ってきたワイバーンの生肉をここ『サリアリスの森』の開けた場所へ設置し、遠くから狙撃銃を構えていれば簡単な狩場が完成する。
「グルル……」
「.....」
ツインドラゴンは残った頭で俺を必死に探している。だが生憎、俺たちは迷走服に大量の草木を巻き付けて遠くに潜んでいるので目視じゃ見つからない筈だ。
銃身にはサイレンサーもついている。発砲音で方向を探知され、無差別に火をばら撒かれる心配は無い。さらにいうと、異世界人である俺は魔力を持たない。短所が長所に変わった瞬間である。
「目標、未だ健在」
「......再照準よし」
「目標を確認。どうぞ」
痛みに悶えるドラゴンの息の根を止めるべく、再発砲する。
「ふっ」
再び右肩に衝撃が走る。肩の痛みをなんとか持ち堪えて、ヘレナの弾着観測を待つ。
「キル。目標沈黙」
「っしゃ!」
妹から告げられた朗報にガッツポーズをしてしまう。それを見たヘレナは苦笑いで、「やっぱりお兄ちゃんの狙撃の腕はえげつないね」と言いながらツインヘッドドラゴンの死体に向かって行く。
「お前も練習さえすりゃこんくらいはできるようになるぞ?」
「えーーー.....めんどくさいからやだ。それにスポッターは楽で楽しいから今のままでいいしー」
などと雑談をしながら、俺たちは素材回収をする。
ドラゴンは他の魔物とは違い、解体はしない方が売れる。剥製にしたり皮を使ったりと、お貴族様たちに人気だからだ。上手く殺せれば一年は遊んで暮らせる程の金を得られるので、冒険者などには大人気なのがドラゴン討伐だ。
だが今回は頭を二つとも完璧に潰してしまったので、ギルドの素材買取場はそんな高く売ってはくれないだろう。ドラゴンの頭は壁飾りとしても使えるからな。それがないとなると結構価値が下がる。
というわけでどうせ高く売れないんなら解体して、バラバラの素材として売っちまおうって訳で、ツインヘッドドラゴンの解体ショーをしていく。
その後、解体部位の採取をする。ドラゴンの場合、目玉の6割以上を二つ抉り取れば討伐証明として使える。他に使える部位がないのは百も承知だが、眼球はめっちゃベトベトしてて嫌なんよな.....
「うーえ気持ち悪い」
ヘレナは飛び散った頭部の破片からツインヘッドドラゴン特有の緑色の眼球を探し出して麻袋に詰めている。どうやら彼女もあのベトベトが嫌らしい。こればっかりは我慢するしかないんだがなぁ....。
「……ふう。これでとりあえず、今日の晩飯と数週間分の金は稼げたろ。あとは適当に薬草でも採集して帰るか」
「そうだねっ..と。あー重い重い....」
解体作業を終え、すべての素材(肉、皮、骨や牙)を回収する。10kg超えのライフルと、さらに重いドラゴンの死体を肩に掛け、帰路につく。帰りは食えそうだったり売れそうな野草や薬草を適当に採取しながらのんびりと歩いた。
ちなみに、この『サリアリスの森』から俺の拠点の街まで徒歩3時間とかいう地獄だが、まともな交通機関がないこの世界ではちょっとした遠足である。
だが転生してから長いので、俺もそんな感覚に慣れてしまった。良いのか悪いのかわかんねぇ...
「あら、ユリウスさんこんばんは。ドラゴン討伐依頼?」
「あぁ。ツインヘッドドラゴンを二体ほどな」
「まぁ!それはご苦労ね。どうりで重そうな荷物を持っているわけだわ」
森から歩き続けて数時間。俺は拠点としている街、マーヴィンに到着した。
城門で話しかけてきてくれたこの女はマーヴィンの門番である。門番とは親交を深めといた方が緊急時には役立つからな...色々と媚び売っとかないと。
「なかなか疲れたぞ.....。そうだ、ドラゴン肉のジャーキーを後で分けてやるから楽しみにしとけよ」
「いつも気前がいいわねぇ貴方。お礼にエール一杯奢るわよ」
「やっすいお礼だなオイ」
「ふふふ、冗談よ冗談」
なんて会話をし、行きつけの酒場で飲む約束を交わしてから門をくぐる。
中世イタリアに似たような街並みを少し進めば、ギルドのでかい看板が見えてきた。
石造の巨大なギルドのドアを押し開け、中に入る。ホールに足を踏み入れると、ギルドで飲んでいた冒険者たちから 「おぉっ」 と歓声が沸く。
「すごいわ....男がドラゴン討伐なんて」
「さすがランクCだ」
「おい、あれがマーヴィンで有名な男の冒険者ってやつか?」
「何、知らなかったのかい?ユリウスはこの男女比3:7の世界では希少な男冒険者だ」
「男なのに強いのか...」
「彼から魔力を一切感じられないわ。相当な隠蔽技術を習得しているのね....」
「1発ヤらせてくれないかしらねぇ」
「エロい」
「後ろにくっついてる女と代わりたいわ、ムカつくわねあの女。男の汗の匂いを後ろから嗅ぎ放題なんて」
.....なんか最後らへん論点ズレてね?あと俺から魔力を感じられないのは俺が魔力を一切持たないからなんだが?
コホン。
さて、この世界で20年ちょっと生きてきているが、前世の記憶を引きずっている者として、こういう女性の反応にはまだ慣れない。
転生した直後は「何この世界ハーレム作れんじゃん」なんて呑気なことを考えていたが、いずれそれはただの幻想であることに気付かされる。
この世界の男は、立場がすこぶる弱い。『男は黙って種馬として働き、家業をやれ』みたいな思想が蔓延っているこの世界だとどうしても色々やりずらい。俺みたいに冒険者をやっている男なんてほんの一握りだ。悪口を言われることだってある。
しかし、利点もいくつかある。この世界の女性は性欲が前世の男以上にあるのだ。
大抵の女性は、男に接する機会が少ない為か、俺と会話したりスキンシップをとると顔を真っ赤にしてどこかへ飛んで行ってしまう。いや巨乳の美人に話しかけられた中学生男子かよ、なんて突っ込みたくなるが、この世界だとこれが当たり前なのだ。男と金は貴族の独占、なんて話も多い。冒険者にとっては俺が相当珍しいんだろう。
俺は自分に集まる視線を無視しながら、受付を通り過ぎ、素材買取場へと向かい、いつもお世話になっているギルド職員のサリーを呼ぶ。
「サリーさん、まだ待ってる?」
「待ってる....?」
困惑するヘレナ。あーそっか、異世界人はオアシスとか聴かないもんなぁ。
数秒後、パタパタと音を立てながら、焦った様子でサリーさんが出てきた。
「あっユリウスさん、ご苦労様でひゅ......あっ.....あっ...えっと.........何やら大掛かりな荷物を抱えていますが....」
噛んだなお前。けど可愛いから許す。
「あぁ。ヘレナとドラゴン討伐行ってきてな。討伐証明部位の眼球たちだ。ほい」
「あっちょっ!そのベトベトをカウンターにおかないでください!キモいんで!」
「えぇ....」
(この世界の)女らしくねぇなぁ...。
「はい、トレイです」
「.......見たらわかるが?」
「ここにその眼球を入れてくださいって言ってるんですぅ!もう!」
「あぁっはっはっはっは、面白いなぁお前。あー腹いてぇ」
討伐部位を提出し、売れる素材を売っていく。
肉以外の素材を全て売ると、やはりドラゴンということでそこそこ高い値段で売れた。
「はい、合計で金貨8枚となります。どうぞ」
「結構高く売れたね!お兄ちゃん」
「そうだなー。腐っても鯛だな」
「タイ.....?」
「古いことわざだよ」
「お兄ちゃんいろんなことわざ知ってるよね...」
「まぁな」
なんか拙い文章でごめんなさい...
評価やお気に入り登録、コメントは投稿主のモチベに直結しますので何卒....
キャラリストやプロローグは近いうちに投稿します...