これは後に史上最狂と呼ばれることとなる、イかれた男の一夏の記憶…。


※評価良かったら続く‥かも?


 現在『呪霊操術はチート!異論は認めん!』にて続きを連載中
 https://syosetu.org/novel/315175/

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 どうも、蛇狐烏デス、ハイ。
 失踪してるクセに別の書いてんじゃあないゾ!と思ったレアなそこのあなた!申し訳ございません返す言葉も無いです…。しかし、言い訳させて貰いますとですねェ、サボってたのでこの先暫く投稿しないですハイ。
 そーゆー訳なんで首伸ばして超気長に待っててネ。

 それではどうぞ


両面宿儺

 

 

 

某県某所

 

 

 ある日のこと。当時九歳の(まじる)が旅行でやってきていた山での出来事。交は引力に惹きつけられるように、そこへ辿り着いた。

 

 在ったのはお堂のような、神社のような、兎に角古びた建築物だった。いや、古びたという表現では些か足りないだろう。『古びた』というより『朽ちた』という方が近いに違いない。その証拠にこの建物の外観は植物が鬱蒼と生い茂り、外壁はシダによって覆われ屋根は落ち葉にはよってその殆どから見えないというイカニモなら感じが溢れ出しており、内装に至ってはそこらじゅうの床は抜け、壁は剝げ、当然のように物が散乱しているという心霊スポットとしか形容のしようがない有様となっていた。

 

 そんな不衛生極まりない所でも交には些細なことだ。彼に有るのは自分をここまで呼び寄せた気配の正体を探ること一点である。その好奇心にいつも通り突き動かされながらズンズンと奥へ進んで行く。

 

 

 そしてやっと最奥の部屋へと辿り着いた交か目にしたのは、やけに厳重そうに奉られている古めかしい木箱だった。

 

 交は自分を導いた存在はこの箱の中にあることを確信し、蓋に手をかけた。

 

 

 入っていたのは断面が異様な形をした成人男性の指であった。

 

 もし此処に訪れたのが一般的な人間であったとしてもこの箱の中身を確認するのは想像に難くないだろうが、その先に行われた行為はとても理解を示せるものではなかったであろう。

 

 だが彼は一般的な人間では無い。彼は渡合(とごう)交。一般人の感性などこれっぽっちも持ち合わせてはいないのだ。

 

 彼が行ったのは奇しくも後に生まれてくる少年と同じ行為だった。

 

 彼はその得体の知れない指を飲み込んだのである。

 

 

 先ほどとある少年と同じとはいったが彼の少年と違うのは、別に交は命が掛かっているような切羽詰まった状況に置かれているわけではないし、まして誰かの為という訳でも無いということだ。

 

 兎にも角にも彼は飲み込んでしまった。その指が呪術連か血眼になって探している特級呪物、両面宿儺の指(・・・・・・)であることなど知らずに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれぇ、ココはどこだ?」

 

 ついさっきまでボクは古い建物の中で、ボクを呼んだハズの指を食べてみて、それで…。アレ?マジでなんでこんな所にいるんだボクは?

 辺りは血っぽい赤い液体と白色の変な形のガラクタ…?てかコレあぁ、骨ってやつか。この感じは牛さんのかな?それに加えて上からの視線……コレは見上げただけでも文句言われそうだなぁ。はあ、メンドくさい。

 

 

 ボクはボクのことを見下げている視線を送っている人がさっきまで感じていた気配の正体であることを薄々感じていた。ただあまりにもメンドくさい奴オーラが全開だったので、相手からのモーションを待つことにした。

 

 

 「ほう?勝手に見上げたら卸してやろうかと思ったが、中々身の程を弁えたガキだな」

 

 

 ほぉらボクの言った通りだ。コレだから大人ってのはさぁ。

 

 

 「いいだろう。見上げることを許可する」

 

 「………」

 

 ……って言うから見上げたもののだから何?って感じなんだよねえ。さらっと許可する、とか言っちゃってさ。こういうのをゴーマン(・・・・)って言うんだっけ?そんな事よりもこの人なんとかしないと…。それにまだなんか地雷ある気がするんだよねぇ…。

 

 

 「ほほう。勝手に喋らないと来たか…。いいぞお前。俺の問いにのみ答える事も許可する」

 

 

  やっぱりね。危ない危ない。全く、ボクは基本おしゃべりなんだからもうちょっとでもしゃべり出しちゃうところだったじゃん!もう!

 

 

 「して、小僧。何故“アレ“を飲み込んだ?」

 

 「え?あぁいやそりゃあ目の前によく分かんないモノがあったら取り敢えず口にするでしょ?」

 

 「……は?」

 

 「え?」

 

 「自分で言うのもなんだがフツー食うか?知らん奴の指。ま、まぁそれは置いといて、だ。小僧、少し付き合え」

 

 「何をさ?」

 

 「千年もこの中で過ごしたのだ。暇で仕方がなくてな。何、ただの運動だ」

 

 「別にいいけど」

 

 「良し、ならばルールはこうだ。

  一つ、制限時間は一分

  二つ、俺の術式行使の禁止

  三つ、敗者は勝者の命令を遵守すること

  どうだ?猿でも分かるようなシンプルなルールだが、質問でもあるか?」

 

 「術式ってのは何さ?しかも君だけ禁止なんて」

 

 「術式とは簡単に言えば妖術のようなものだ。俺のは強過ぎるからな。使えば一瞬て片がつくだろうがあくまで運動だからな」

 

 「大体把握した。いつでも良いよ」

 

 「あ、そうそう。お前の勝利条件は俺に認めさせるような攻撃ができたらな。もし負けたらお前の身体を貰う」

 

 「え?貰うってどういう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 初撃を放ったのは宿儺の方であった。常人であれば目にも止まらぬ速度で放たれた右拳を、交は不意打ち気味の攻撃に対し少々驚きつつもこれに反応して右に身体をそらしつつ前進。勿論宿儺は迎撃に入り、次に繰り出したのは左脚による頭部を狙った蹴り。しかしこれも空を切り更に交に懐に入られる。

 

 交は蹴りを避ける為低くなった姿勢から小手調べにと僅かに呪力を纏わせながら軽くジャブを顔面や腹に向け放つ。宿儺はこれをカウンターとする為右腕をキャッチ。蹴りの勢いをそのままに交を地面に叩きつけようとする。交はそれを更に利用し宿儺に背負い投げをかけた。宿儺を投げる事自体には成功したが上手くかかりきれておらず、体勢を立て直す為互いに一度距離を取った。

 

 

 二人はそこから急速に距離を詰め、蹴撃が衝突し合った。

 体格差もあり、交は地面に叩きつけられてしまうかと思われたが、交は脚が触れ合う直前軸足である左脚を使い少し跳躍、そしてぶつかった瞬間に右足で宿儺の蹴りの勢いを利用し後方へバク宙の要領で回転しつつ退くことで攻撃を捌きつつ距離を取った。

 

 しかし相手は呪いの王とまで呼ばれる男。着地の隙を狙わないなどという選択肢はない。着地の瞬間という絶好のチャンスを攻めるため一度に背後に回りこんだ時、それを読んでいたと言わんばかりに先ほどと同じ右足での蹴りが降ってきていることに気付いた。だがこんな攻撃に驚く宿儺ではない。振り下ろされる脚よりも速く体勢を落とし、着地と蹴りの起点とする為に交が地面につけていた手に足払いを仕掛けた。

 

 

 先を読んだ攻撃に反応され、繰り出される殴打に防御もままならず見るも無惨な肉塊へと成り果てる___________ソレが宿儺の描いた予想図。しかしその予想図通りの未来が訪れることはなかった。何故か?理由は単純。交は自身の手が払われるだろうということも予測していてからだ。

 

 

 

 実際に起きた真実の結果から話そう。この遊戯に勝利したのは僅か九歳の交であった。彼は手に迫る脚に対し、手で地面を押すようにして体を再び空中に戻し、払いにきた宿儺の脚を手で捕まえることで宿儺を捉えた。

 

 

 交の脚はこれらの動作の間に宿儺の脳天に届く一歩手前まで迫っていた。避けるという選択肢を奪われ、最早攻撃をしても止まらないだろうところまで来ていると判断した宿儺は仕方なく空いていた右腕で蹴りを防御する構えに入った。この判断が、勝敗を分けることとなった。

 

 交の勝利条件はあくまで宿儺に認めさせるような一撃を入れる事。それ故に交は初めて与えられる攻撃に、とっておいた全呪力を乗せていた。

 確かに交の呪力量は五条悟、ましては乙骨憂太ほどでははないにしろ多い方ではあるが、とはいっても九歳児程度の呪力総量などたかが知れている。とても呪いの王に届き得る攻撃にはなり得ない。

 

 では何故交は宿儺との勝負に勝てたのか。それにはとある“現象"が関係している。

 

 それは打撃と呪力が対象にぶつかる誤差が0.000001秒以内の時起こるとされる、威力が平均して2.5乗され、呪力が黒く光るというところから名付けられた現象、黒閃であった。

 

 

 交はこれを、念の為宿儺が呪力でガードした腕に直撃させたのである。宿儺の右腕は骨が砕け、反転術式がなければ使い物にならなくなる程にまで破壊されていた。

 

 

 これが宿儺と交が行った遊戯の結末であった。

 

 

 

 

 

 

 

 「まさか、この俺の腕を折るとは…な」

 

 

 宿儺は交の蹴りによって折られた自身のただを眺めていた。既に反転術式によって回復遠始めているが、いかんせん治りが悪い(・・・・・)。そのことを少し疑問に思いもしたが、取り敢えずカマしてくれた小僧の面を拝んでやろうと視線を腕から交の顔に移した。

 

 そこにあったのは折れてグロテスクな見た目になった腕に対する忌避感を表すような顔………ではなく、子供らしい勝負事に勝ったことへの達成感や黒閃という初めての体験による驚愕、そして折角折った腕がみるみる再生されていき、ノーカン判定を下されないかどうかという不安、その他一切合切の漠然とした感情が入り混じり、更に黒閃による一時的なゾーン状態によりそれらの感情が深く沈み込んだことで喜怒哀楽のどれでも無い、表情筋達の一斉休暇で生まれた無表情であった。

 

 

 

 「プ、ハッハハ。なんだその顔は?この俺様に勝ったのだぞ?もう少しガキらしく喜んでも俺は怒らんぞ」

 

 

 その一言で漸く我に返ったのか、交は「ッハ」と言いながら身体から力を抜き、その場にへたり込んだ。

 

 

 「今の、なに?」

 

 「お前からの質問を受け付けた覚えは無いが?」

 

 「あっ、」

 

 「冗談だ冗談。今のはな、黒閃といって威力がすこぶる上昇する現象だ。狙って出すことはまぁできんから、今のは偶然だな」

 

 「技術とかじゃなくて現象なんだ」

 

 「そうだ。にしても、まさか腕を折られるとは思ってもみなかったぞ。小僧の癖によくやることだ」

 

 「それはお褒めに預かり光栄ですよっと」

 

 「可愛げの無い小僧だな」

 

 「有った方が良かった?」

 

 「止めろ、想像するだけで吐き気がする」

 

 「げ、ヒドー」

 

 「コイツ…!」

 

 「ま、そんなことよりも、勝者の命令は絶対、なんだよね?」

 

 「ケッ、余計なコトを思い出しよって……。それで、命令はなんだ?」

 

 「意外。勝負に負けたからって人の言うこと素直に聞くタイプだとは思わなかったけど、人は見た目で判断しちゃダメってホントなんだね」

 

 「勘違いするなよ、俺だって普段ならお前のような小僧の言うことなど聞くものか」

 

 「じゃあ聞かなきゃイイじゃん」

 

 「さっき行ったのは単なるルール確認では無い。アレは縛り。破れば罰を受けるのは俺のほうだ」

 

 「はぁ。まぁそれは一先ず置いておいて。そーだね〜。勝者の命令は…」

 

 

 

 

 

 

 これにより宿儺は交のに受肉する事なくその体内に依然指のまま二十年もの間残り続けることになったのであった。

 

 

 




 如何でしたでしょうか?
 この子個人的には大好きなのでもしかしたら評価なくても連載するかもしれませんね(笑)
 作中にはカットされてますが交クンは無意識に自身の術式を縛ることで身体能力を向上させています。「九歳のガキに宿儺様が腕折らされるわけ無いだろッ!」という裏梅の皆様はこれで少しでも自分を黙せてください。
 一体この子は今までを、そしてこれからをどう生きていくのか、気になった方は感想、評価お願いします。
 
 それでは

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