「ホシノ?おーい、ホシノさーん」
気が付けば目の前で死んだはずの先生が椅子に座りながらホシノを不思議そうに眺めている。
「先、生・・・。生き、て・・・」
「あ?何言って「先生!」うわっ!?」
ホシノは脇目も降らず先生に抱きつく。うん、匂いも間違いなく先生だ。先生は死んでなんていなかった。全部ホシノの夢だったのだ。
それが分かった瞬間、ホシノは辺りの視線に気付く。
先ずここは何処なのか?ホシノも通うアビドスの対策委員会の何時も会議をしている部屋だった。
と言うことはつまり今この部屋にはホシノ以外の他の対策委員会のメンバーも居ると言うことだ。
ホシノの顔を横から真顔でジーっと銀髪狼耳のシロコが眺めてくる。
「ん、ホシノ先輩。そこは私の席」
「う、うへ〜・・・」
「どうしたんですかホシノ先輩?」
黒髪メガネのアヤネが心配そうにホシノを見つめる。
「どーせ、嫌な夢でも見たんでしょ?」
「そうなのかホシノ?」
黒髪猫耳のセリカがため息を付いてそう言うのを見ながら先生も心配そうにホシノの顔を覗く。
「だ、大丈夫大丈夫!おじさんちょっと先生に甘えてみたくなっただけだから」
「あらあら⭐︎」
ノノミも笑いながら顔を赤らめるホシノを見る。
「んで、なんだっけ?また砂漠で怪しい動きがあるんだって?」
「どうせまたPMCの連中でしょ?」
「違う。あれはもっと凶悪で、醜悪な何か」
「シロコ先輩は見たんですか?」
シロコの言葉にアヤネが反応しその場の全員がシロコを見る。
「うん。でも・・・」
「でも?」
「そいつがホシノ先輩からにも見えた」
へー、と退屈そうにシロコを見てから自分の足に座るホシノを見る。と言うかいつまで座っているのだろうか?そろそろ足の血がヤバいと思いながら確かにおかしいと先生は考える。
だが彼にそんなことを解決できる頭はない。補習授業部の担任しているものの大体は問題と解説を見ながら砕いて解説するのみ。便利屋68の経営顧問もしているが、ただ単に彼の大学での学部が経営だっただけ。だからシャーレに送られてくる請求書などの書類は直ぐに終えることができる。
だが、ただそれだけだ。殺人事件が起こっても何処かね少年探偵よろしく解決することも出来ない。
「よし、とりあえず俺が砂漠見てくるわ」
「せ、先生一人でですか!?危ないですよ!」
「だーいじょうびだって。一応先生ちょっとは戦えますし?」
先生がホシノを下ろして立ち上がる。そんなことを裏腹にホシノは夢での事が脳裏に浮かぶ。
アビドス砂漠での怪しい動き、先生の一人行動、一向に帰ってこない先生、様子を見にいくホシノ、倒れている人影、腹に穴を開けた先生。
夢の話だ。現実ではない。そんなことは分かっているのに不安になる。
「・・・おじさんもついて行っていい?」
「?まぁ、何の問題もないけど急にどうしたんだ?」
「ん、じゃあ私も行く」
シロコが立ち上がったのを見て先生は何も言わずに上着を羽織っていつも護身用に持っている木刀を腰のベルトに刺す。
「んじゃ、行ってきます」