アビドス砂漠の入り口とも言える所でホシノとシロコ、先生が佇んでいた。
「シロコちゃんがおじさんを見たのはここ?」
「うん。あの埋まってる電柱辺りからじっとこっちを見てた」
「あんな所から?」
先生が手に持っていた双眼鏡でシロコが指差した電柱を見る。至って普通の電柱で辺りは砂だらけ。時たまPMCのヘリが飛んできたりはするもののそれ以外は何もない。
そもそもホシノが二人いると言うだけで疑わしいものだが何故対策委員会は誰もシロコの言っていることを疑わないのか。
答えは以前も同じような事が起きたからだ。あり得たかもしれない世界のシロコ、先生がクロコと呼ぶ少女が起こした事件をキヴォトス中が力を合わせて解決した事があったからだ。
「流石にもういないみたいだけどもしマジにホシノが居たってならまたヤバいことになるかもな・・・」
「うへ〜、おじさんもうあんな大変なのはこりごりだよ〜」
双眼鏡から目を離して先生がシロコに双眼鏡を預ける。
「悪い。ちょっとトイレ行ってくる」
「ん。いってらっしゃい」
先生が踵を返し、トイレを探しに歩いていく。それを先生の背中が見えなくなるまで見送るとホシノは双眼鏡で辺りを見るシロコに声を掛ける。
「・・・・・シロコちゃん行くよ」
「?何処に?」
「先生が向かったトイレに」
「え」
アビドス砂漠の入り口近くの公園の公衆トイレに入ろうとしていた先生が足を止める。
冷や汗をかいて後ずさる。
「あれぇ?おかしいな。俺は夢でも見ているのか?」
「ん〜?どうしたの先生?」
「確かに俺はさっき別れた筈なんだ。なのになんでここにいるんだ、ホシノ!」
先生が指を刺して目の前で銃を構えるホシノを見る。
「先生。先生は死ななくちゃ駄目なんだよ。大丈夫だよ。先生の死体はちゃんとおじさんが保存してずっとずっと側に居るから」
明らかに様子がおかしいホシノが銃の引き金を引いた瞬間先生が弾を避けようと紙一重で左に飛ぶ。
だが・・・・・。
「何ィィィィィィィィィィ!?」
弾が左肩へと着弾する。
「お、俺は確かに避けたはずなんだ!しかも左に!右の肩に当たったのなら避けきれなかったで説明が着く。しかし当たったのは左肩だ!」
血が噴き出る肩を抑えながら更なる違和感を感じるが正体は分からずに先生は真正面にいるホシノを見る。
「うへ〜、ダメじゃん先生避けたら。余計に苦しんで死ぬだけだよ?」
「ほ、ホシノ・・・。お前に何があったんだ?」
先生がホシノ、否ホシノテラーに向かって問いかける。しかしホシノは質問に答えようとせずに先生の腹に銃を突きつける。
「じゃあね、先生。これからもずっと一緒だよ」
先生に笑顔をのぞかせながらホシノが銃の引き金に指をかけて引こうとしたその時だった。
「先生伏せて!」
「ッ!」
聞き覚えのある声に反応して先生が頭を下げると先生のギリギリ上を弾丸が飛びホシノテラーが吹き飛ばされる。
だが吹き飛ばされる直前にホシノテラーも銃の引き金を引き、発射された弾丸が先生の脇腹を貫通した。
「先生!」
それを見て一人の少女、シロコが近づいてくる。もう一人の少女、ホシノは先生が腹から血が流れて倒れる姿を見て先ほど見た夢が重なった。
「うへ〜、これは一旦撤退したほうが良さそうかな〜」
「ッ!待て!」
逃げようとするホシノテラーに気付きホシノが銃口を向けるが遅かった。既にホシノテラーの姿は何処にもなく、残ったのは壁に付いた銃痕と硝煙と鉄のの匂い、血の池に沈む先生だった。