便利屋68。
何か問題が起きれば先ずキレられる社長、陸八魔アルを筆頭とする会社の様な部活である。
そんな彼女らは今現在ほとんどがカイザーの物となったアビドス自治区にあるラーメン屋台、柴関ラーメン一つを四人で分けて食べ終わり係長のカヨコの運転で事務所に帰ろうとした時だった。
ほとんど人がいないアビドス地区で銃声が鳴り響いたのだ。
「あ、アル様。どうしますか?」
「私たちには関係ないわ」
隣に座る平社員のハルカの問いに彼女の目指すアウトローっぽさを精一杯醸し出しながら答える。
「え〜?面白そうだし行こうよー!」
助手席に座っていた室長のムツキも身体を乗り出してアルを見る。
「最近アビドスの狼の子がヤバそうな何かを砂漠で見たんだって」
ムツキの言葉に余計行くわけないじゃないそんな危ないところ!と心の中で悪態をつく。しかし、それとは裏腹にムツキの言葉はアルの隣に座っていたハルカのアルの危険になりそうな物は全て排除すると言う思考に火を付ける。
「あ、アル様の邪魔をする奴を消してきます!」
「え?」
アルが返事をする前にハルカは現在走っている車のドアを開けて飛び降り走り去る。
全ては敬愛する便利屋68の社長、陸八魔アルのために。
「行っちゃったけど社長、どうするの?」
車を運転していたカヨコが車を路上の脇に停めてアルを見る。聞いては見たものの正直カヨコはアルが何と言葉を返すのか予想出来ていた。真のアウトローを目指し、一日一悪を掲げる彼女だがカヨコから見れば彼女はアウトローには程遠い善人でその証拠にカヨコを含め社員を大切にしている。
先生からもアルのアウトローとしての評価は精々小悪党にすらなりきれない悪党と中々辛辣なものだ。
だからこそカヨコも、ことの発端のムツキも既に銃を携えて用意は出来ていた。
「決まってるじゃない。ハルカを追いかけるわよ!」
便利屋68社長、陸八魔アル。社員のピンチは見過ごせないのである。
「先生!先生!」
そうして最新の注意を払いながら仲間を追いかけて来た結果そこにあったのは脇腹と肩から血を流し倒れている彼女達の経営顧問である先生の姿だった。
その場にいたシロコとハルカが先生の肩をゆすって起こそうとしている、
「何よ、これ・・・」
声を震わせ、目尻に涙を溜めながらアルが先生へと歩み寄る。
「カヨコちゃん、車持ってこれる?」
「うん。すぐ持ってくる」
対して状況を理解したのかムツキとカヨコは既に先生を病院に連れていくための準備を始める。動揺していないわけではない。でも、その場に居たって先生は助からない。
「・・・何が、あったの?」
アルが横にいるシロコに問いかける。だが、シロコは答えることもなく首を振った。
「分からない。トイレに行った先生を追いかけてたら銃声が聞こえてそれで・・・」
「先生をこんな目に合わせた犯人は?」
「逃げた・・・」
先生の顔を見てアルは立ち上がる。床にへたり込むハルカとトイレの入り口から眺めているツムキを眺めてそれから社長はトイレの出口へと向かう。
「行くわよ二人とも」
社長の言葉にムツキとハルカは足を進めだす。
「カヨコちゃんにはムツキから連絡しとくね」
「えぇ。頼んだわ」
「わ、私も爆弾の準備を・・・」
「ハルカ」
ハルカが言いかけるとアルが呼び止めて言葉が止まる。また自分は足を引っ張ったのだろうか?と不安に思いながらハルカはアルの次のを待つ。
「私達の先生にこんな傷負わせた奴よ。派手にやりなさい」
「ッ!はい!」
それと、と続けて先ほどから呆然と立ち続けるホシノを見る。
「立ち止まってる暇があるなら進みなさい」
そう言って二人の部下を引き連れてトイレを出ていく彼女の名前は陸八魔アル。アウトローを目指すがポンコツで、それでも社員を思いやり、やる時にはやる敏腕女社長である。