ミレニアムサイエンススクール所属の音瀬コタマはハッカー集団「ヴェリタス」のハッカーである。常日頃から先生の服に盗聴器を仕込み、行く先々の監視カメラをハックして監視している。
もちろん公衆トイレに監視カメラがあるわけも無いが盗聴はしっかりとされていた。
だから分かった。
今先生は生死を彷徨うような状態であると言うことに。
そして、その情報はミレニアム全体に伝わって行った。
「先生が重体ってどういうこと!?」
そんなコタマに詰め寄るのはミレニアムの生徒会「セミナー」の会計を務めるユウカだった。ユウカは冷酷な算術使いまたはミレニアムの太ももの太い娘と呼ばれることもあるちょっと可哀想な娘であり、頼んでも居ないのにシャーレの仕事を手伝いに来るため先生からは押しかけ女房と呼ばれている。
「落ち着いてください。今ここで焦った所で何も変わりません」
コタマの言葉にユウカは落ち着きを取り戻し一度深呼吸をする。
「ごめんなさい。それで、犯人は誰なの?」
「先生は犯人をホシノと呼んでいました」
「ホシノってアビドスの?」
「はい。でも不思議な事にその後にホシノさんがトイレに入るところをカメラで確認しています」
「じゃあ、先生が呼んだホシノって・・・」
ユウカが言葉を止める。考えたくはないが考えられない事でもない。実際に一度それが起きてキヴォトスが滅亡しかけたのだから。その時は先生のナニを犠牲に終結はしたもののあれ以上の事が起これば間違いなくキヴォトスは滅びるだろう。
「・・・・・準備だけはしておきましょう」
「はい」
先生と初めて出会ったその日に夢を見た。先生が腹に穴を開けられて死ぬ夢。だから彼女、「ティーパーティー」のセイアはモモトークにて先生に忠告をした。
忠告したところで未来が変わるわけでもない。それでもセイアは忠告した。何かが変わるかもしれないから。結果から言うと変わった。こんな事は未来を知っていても変える事が出来ないのに誰かが未来を捻じ曲げた。
一体誰が、どうやって?
様々な疑問が湧き出る中でセイアは校門の前に立っていた。
「セイアちゃん・・・何してるの?」
そんなセイアに元「ティーパーティー」の聖園ミカが話しかける。
「ミカか。君は少し寝た方がいいぞ。昨日からずっと先生の側にいるだろう?隈が酷いぞ」
カヨコにより先生が運ばれ、すぐさま救護騎士団に引き渡られたのがつい昨日のこと。そこからはトリニティ中がてんやわんやとなった。再びシロコテラーの様な事件が起きるのではないかと不安と不満が積もっている。
「先生があんな状態なのにゆっくり寝られないよ・・・」
「アビドスの話によれば犯人は別世界の小鳥遊ホシノだそうだ」
「うん。私もさっき聞いたよ」
「だが、この事件はそれだけじゃ終わらない気がするんだ。少なくとも、運命を捻じ曲げる様な、そんな化け物みたいな奴が裏にいるのは間違いない」
セイアの額に嫌な汗が流れていく。仮にもし本当に運命を捻じ曲げる様な化け物が相手なら端から敗けが確定している様なものなのだから。