…ス、…ラピス、 …ラピス!」
愛斗くんの声がする…
なんだろう…意識はあるのに体が動かしづらい…
なんとか目を開けると愛斗くんと目が合った。
「ラピス、大丈夫か?」
「あい…とく…ん」
「星野さん、意識も戻った様なので、私が言った通りに少しずつ体を動かして見てください。」
愛斗くんの反対側には4〜50代のおじさんがいた。
「ラピス、この人はたまたま宿に居合わせたお医者さんだ」
「しかし災難でしたね、すぐに対応できたので良かったですよ… さ、まずは右手からゆっくりでいいので閉じて…開いて…」
お医者さんの言うとおり少しずつ体を動かしていく、最初は動かしづらかったが段々と体が動く様になってきた。
「少し触れますが、感覚はありますか?」
今度は愛斗くんも手伝って触診したが、しっかりと感覚がある。
「意識も戻りましたし、麻痺もない様なので後は薬が抜け切れば大丈夫でしょう。」
「ありがとうございます、先生…」
「お代の方は…」
「いえいえ、お代は結構ですよ… 実はこの辺りで今回の様な事件が多発してまして、警察と私含めた医者数人で協力して見回っていたんですよ… 」
「明日は朝から対策会議だったのですが、主犯格を捕まえられたので彼らが持っていた薬の成分調査に変更ですね…」
「あ、あの…」
「ああ、大丈夫ですよ… 明日警察の方と一緒に説明させて頂くので、今夜はゆっくり休んでください。」
「彼氏くんのおかげで現行犯逮捕の上、調書もほとんど纏まっているそうなので後は星野さんの証言等で終わりです。」
「色々と細かく聞かれるでしょうが、半日も掛からないと思いますので…」
「取り敢えず明日の朝食後に改めて参りますので、それまではごゆっくり…あっ、明日一応尿検査もするので、水かお茶以外は飲まない様お願いします。 それでは…」
そういうとお医者さんは部屋から出て行った。
「愛斗くん、私…」
「ラピス、本当に無事で良かった… 遅くなってごめん」
「ううん… 愛斗くん、守ってくれてありがとう… でもすごく怖かった… ギュッてして?」
そういうと愛斗くんが私を抱きしめてくれた。
その晩は愛斗くんに抱きしめられながら眠りについた…
翌朝、目が覚めると愛斗くんと目が合った…
ずっと腕枕をしてくれていたみたいだ。
「おはよう、愛斗くん…」
「あぁ、おはようラピス…」
私が愛斗くんの胸に顔を埋めると後ろから声がした。
「緊急事態って聞いて来たのだけれど…必要なかったかしら?」
私はビックリして声の方を見るとみやこさんと美春、ルビーがいた。
「み、みんな…おはよう?」
「お姉ちゃん! 何事もなくて良かったよ〜」
そう言ってルビーが抱きついて来た。
「ルビー… 態々来てもらってごめんね?」
「私は大丈夫! お姉ちゃんこそ体はどう? 変なところはない?」
「うん、昨日の夜はまだ少し体が動かしづらかったけど、もう大丈夫みたい…」
その後、着替えてから改めて説明をした。
「ラピスさん…本当にごめんなさい。 まさかこんなことになるなんて… 愛斗くんも本当にありがとう。」
そう言って美春が頭を下げて来た。
「はるはる…私は大丈夫だから顔を上げて?」
「そうよ、あなたが頭を下げるなら、許可した私は土下座しないとダメかしら?」
「そうだよ、私だってついて行きたいってもっと我儘を言ってたらこんな事にはならなかったかもしれないし… 今度はついていくからね!」
「それは貴女が観光したいだけでしょ…」
「…てへっ!」
「それより、ぴえヨンには感謝しないとね…」
なんでも電話があった時丁度ぴえヨンが事務所にいて夜通し車を走らせてくれたそうだ。
本人は今別の部屋で休んでいるらしい。
ちなみに、アイも来るって聞かなかったそうだが仕事がある為、ルビーが代わりに行く事で何とか宥めたらしい。
「後でお礼しないとだね…」
「それは私からしとくからいいわ…それより本当に体は大丈夫?」
「うん! もう平気! みんな心配かけてごめんね…」
その後、みんなの分も朝食が用意されてみんなで食べた。
旅館側は安全の徹底ができていなかったとして、今回の宿泊費用を無料の上、今後の撮影などで苺プロがここに泊まった場合、3割引で泊めてくれるそうだ。
朝食後、みんなでお茶を飲んでいると来客の知らせがあった。
通してもらうと昨日来たお医者さんとスーツ姿の男女の二人組だった。
「おはようございます、星野さん。 一晩経って体調は如何ですか?」
「おはようございます先生、昨晩はありがとうございました。 今はもう快調です!」
「いえいえ、仕事ですので… でも回復して良かったですよ。 本当なら水に薄めて服用するタイプのものを直接飲まされた様なので、後遺症がなくて本当に良かった。」
「先生、ラピスはいったい何を飲まされたんですか?」
みやこさんが聞くとスーツ姿の男性の方が答えた。
「それは私どもの方から説明させていただきますが、先に自己紹介の方を…」
「私は今回本件を担当している京都府警、刑事課の風見と申します。 こちらは同じく刑事課の…」
「三輪と申します。」
2人は名刺を差し出しながら自己紹介をした。
男性は警部、女性は巡査部長とのこと…
「ではまず、昨晩逮捕したグループについて説明します。」
「実は昨晩の連中は4人組の連続強姦魔でして、今までに何人も被害に遭っているのです。」
「そんなにたくさん被害が出ていてなんで今まで捕まらなかったのですか?」
「ウチのラピスだって後一歩遅かったら…!」
「実は被害が露呈するまでにもたくさんの被害者出ていまして、昨晩の様に薬で眠らせた女性を行為中に撮った映像で脅すなどしていたようで、すぐに被害が解らなかったんです。」
「そして、ここ3年ほど同じ時期にこのあたりで被害が発生するので調査に当たっていたんです。」
「そんな前から… 私の前に被害にあった人たちはどうなったんですか?」
「それは…脅されて今度は意識のある状態で撮られたり、お金を取られたり、最悪妊娠させられた人もいました。」
「後、撮られた映像は裏で販売されていた様です。」
「そんな…」
私は怖くなって愛斗くんの手を握ると、愛斗くんも優しく握り返してくれた。
「それでですね、昨晩捕まえた2人の他にもう2人が関わっていることが分かったんですが…どうやら反社会勢力の息がかかっている様で、今組織犯罪対策課と合同で調査を進めています。」
「今日来たのは、ラピスさんに今回の一件の説明と現場での詳しい説明をお伺いした上で、調書をまとめるためです。」
「全部で4時間はかからないと思いますので、ご協力のほどよろしくお願い…」
ガラッ!「ラピスさん!」
急に襖を開けて入って来たのは前世の弟、総司だった。
「ちょっと君、いきなり…」
「これはこれは、失礼しました… 自分はこういう者でして…」
「はぁ… 警備会社の社長さんがどうしてこちらに?」
「本日から護衛をさせていただく為顔合わせに参りました。」
「さあ、君たち! 入って来てくれ!」
総司がそう言うと、屈強な体の大男や細マッチョの男など合計4人が入って来た。
「こちらの4人が本日からラピスさんの警護に当たる者達です。」
そう言うと、4人とも挨拶して来た。
ひとまず警察の方を済ませる為、その後は現場での説明や調書を取った上で被害届を出すかどうかで話し合った。
外聞的なことや近いうちにドラマの撮影が控えている為、今回私達は届出はしない方向に持って行こうとしたが、警察側としてはどうしても出して欲しいと言われ、暴行傷害として出すことになった。
「それで…総司…さん? 一体どうしていきなり?」
「それはみやこさんと話した上で私から警護の方を早める様総君に伝えたのよ。」
「私から今回のこと伝えたら即決で来てくれたわ。」
「春原社長、急にお呼びたてしてしまい申し訳ありません。」
「いえいえ、社長夫人… 今日からよろしくお願い致します。」
「それより、例の件も進めて頂けると…」
「ええ、それはもちろん! 本人もやる気ですので、よろしくお願いします。」
「みやこさん、例の件って?」
「何と、総くんのとこの広告で、あなたとぴえヨンが共演することになったのよ。」
「本当!? ぴえヨンだけの方が良い気がして来た…」
「私はお姉ちゃんがいた方が良いかな〜」
その後は宿側がお昼ご飯も用意してくれてみんなで頂いた。
午後はみんなで京都の街を観光しつつ夕方には帰途についた。
ありがとうございました。
なんで前作であんな暴挙に出たのか書き手に聞いたところ、薄い本の魅力に取り憑かれたのと、主人公の体型はスレンダーではなく出るとこ出た体型だって事で印象付けたかったとのことです。
次回も同じくらい空くと思います。