推しの子〜ラピスラズリ〜   作:巫碧

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ゴールデンウィークで暇を持て余している書き手が2部まとめて送ってきたので投稿です。
もう一部は明日、誤字脱字チェックが終わったら出します。
予定としては今日と同じくらいです。


第四話 ドラマ 映画

 

ーあれから1年、私たち3人は立ったり喋ったりしても怪しまれない年になった。

  ヲタ芸は封印されているが…解せぬ

 

今は居間でアイの膝に座る私と遠くからジト目で見てくるアクア、ルビーはというと、アイの膝に縋りついてよしよしを求め撫でられており

 

「は〜、極楽浄土〜」

 

というルビーの発言に対して、アイはヤバい位の天才と勘違いしていたりする。

 

現在アイはモデルやラジオアシスタント等仕事を増やし、今日はその集大成としてドラマ撮影の日だ。

 

「いいですか3人ともどうしてもと言うから連れて行きますが、現場ではアイさんのことママなんて呼ばないでくださいね?」

 

ミヤコさんが念を押してくるが…

 

「はいはい、ママ ママなでなでして〜」

 

「私もしてママー」

 

「ママお小遣いちょうだい」

 

「ママ、ケーキ食べたい!」

 

アイ含め4者4様の返事を聞き軽く項垂れている。

 

それから少しして現場についた…

厳つい監督が実は理解のある良い人だったりグラビアアイドルに可愛がられたり色々あったが私とアクアは気疲れして廊下に出た。

ルビー?他の若手女優にバブバフしてるわね…

廊下に寄りかかっていると向こうから歩いて来た監督にアクアが話しかけられてた。

 

「いるのは構わねぇが、泣き出して収録止めたら締め出すからな」

 

「あっいえ、我々赤ん坊ですがそのような粗相はしないよう努めますの(スパンッ)でぇっ!?」

 

「落ち着きなさいアクア」

「監督さん、弟が失礼しました。」

「後でしっかり言っておきますので…」

 

「お前たちスゲェな、どこで覚えたそんな言葉?」

 

「「ユーチューブで少々…」」

 

「スゲェなユーチューブって! 時代だなぁ!」

 

「早熟な子役は結構見るがここまでのは初めてみた。」

「お前たちも演技とかするのか?」

 

「ラピスは興味があるみたいですけど僕はとくに…」

 

「おぉ、嬢ちゃんの方は興味あるのか…画面として面白ぇな、2人ともなんかに使いたい…」

 

そう言って私たちに名刺を差し出して来た。

どっかの事務所入ったら電話しろとのこと。

その後私は化粧室に向かうと言いその場を離れたが、アクアは現場について話を聞いていた。

 

その後の撮影は滞りなく終わった。

もちろんアイは1番輝いていた。

 

そして放送日…

 

「えっ!? これだけ!?」

 

「たったワンシーンじゃん!」

 

放送されたドラマのアイのシーンは大幅にカットされ、セリフもほんの少ししかなかった。

アアクアは隣の部屋へ電話をもって行った。

多分監督にかけるのだろう…

ルビーはアイを慰めている。

 

それにしても何故? アイはあれだけしっかり演技できてたのに…

監督もいい絵が撮れたって言ってた…あれなら出来が悪いって理由でカットにはならないはず。

実際アイは現場で1番輝いて…っ!

確か主演は可愛すぎるを売りにしてる女優だ…同じ画面の中にそれ以上の顔があったら…

 

「ママ! ママのシーンがカットされたのは下手だからじゃないよ!」

 

「へ? ラピス?」

 

「主演は可愛すぎるを売りにしてたのに同じ映像の中にそれ以上に可愛いママがいたからだよ!」

「実際監督さんも満足そうだったから使わないわけが無い!」

「相手の事務所からの圧力でこんな事になったんだから、実質向こうの敗北宣言だね!」

 

「ラ、ラピス… ありがとね、そうだよね!皆んな初めてにしては演技が上手いって言ってくれたし…」

「それよりも、芸能界のこと詳しいのね…びっくりした。」

 

アイからは訝しげに見られ、ルビーからは納得しつつジト目を向けられている。

 

「そ、それは… ママがドラマに出たから私も興味持って… そ、それで色々調べたんだよ!」

 

「そっか! ラピスは演技の方に興味があるのね! それなら、いつか一緒にドラマとか出られるといいね!」

 

「うん!」

 

なんとか誤魔化せた…あっぶね…

そうこうしてるとアクアが戻って来た。

後日事務所にアイとアクア、そして私に映画の出演オファーが来た。

 

 

撮影日…

「というわけで早熟ベイビーズ、お前たちの出演と引き換えにアイを使う。 これを業界ではバーターっていうんだ よくある事だから覚えとけよ。」

 

「アイさんがお二人のバーターって… あの監督見る目がありますね!」

「ラピスさんの初出演ですか…感動です。」

 

ミヤコさんは相変わらず私を女優として見てくれているようで喜んでくれた。

その後私とアクアと一緒に来ていたルビーは楽屋に通された。

少ししてルビーがおぎゃり出した。

 

「なんでママと撮影日が違うの!? 私をオギャバブランドに返して!」

 

撮影日が違うのは分かってたでしょうにこの子は…

そしてルビーが騒いでいると台パンの音が聞こえた。

 

「ここはプロの現場なんだけど! 遊びに来てるなら帰りなさい!」

 

この子は確か…

 

「私は有馬かな、今日の共演者よ。」

 

「あ…この子アレじゃない? えっとなんだっけ? 確か…重曹を舐める天才子役!」

 

 

「10秒で泣ける天才子役! ドラマでの泣きっぷりが凄いって皆んな言ってるんだから!」

 

「私この子あんま好きじゃないのよね… 作りものっぽくて生理的に無理…」

 

ルビー…アンタって子は…

 

「たまに子役に対して異様にキビシイ奴ってい「有馬さん!」!?」

 

「あなたの演技見たわ。 泣きっぷりも凄いけど、あなたが楽しそうに演じてる時ってとっても輝いててよかったわ!」

 

そう、この子は泣く演技もすごいけど、それ以上に楽しんでる時は私を見て!っていうような輝きがあるのだ。

 

「そ、そう? 泣く演技以外で久しぶりに褒められたわ…」

 

「私ラピス! こっちの弟のアクアと一緒に初めてだけど、今日は一緒に出させてもらうの! よろしくね、先輩!」

 

「せ、先輩…! こ、こっちこそよろしくね! 初めてなのね…何かわからない事とかあったら聞きなさいよ?」

 

あっ…この子チョロイわ…

そう思っているとアクアとルビーがジト目で見てくる。

ええい! 知ったことか!

 

…そんなこんなで撮影本番、なのだが…

先程アクアとかなちゃんの映画冒頭の撮影が終わったのだが、2人ともよく出来ていたと思う。

かなは子供っぽさを残しつつどこか怪しさのある演技をし、アクアは監督の求める演技を自分で見出して演じ切った。

しかしかなはそのギャップで自分が劣った演技をしたと錯覚し、もう一度撮り直したいと泣き出してしまった。

周りの声にも耳を貸さず、泣いたままだったので少しの間休憩になった。

 

「先輩… さっきの演技とても良かったですよ?」

 

「うるさい! そんなこと言ってアンタも本当はわたしの方が下手だったって思ってるんでしょ!?」

 

「先輩、そんなことありません。 それに実はさっきのアクアって演技してないんですよ。」

 

「はぁ!? そんなわけないじゃない!」

 

う〜ん、ここはアクアには悪いけどちょっとヤバイ奴になってもらおう…

 

「いえ、本当です。 アクアは普段からああなので、演技などせずそのままの自分を出したんです。 つまり、アクアは元々気味の悪い子供って訳です。」

 

「えぇ!? そうなの!? アレ演技じゃなかったの!?」

 

おっ、食いついた…けどここからどうフォローするか…

そのまま伝えるか…

 

「そうなんですよ。 演技は一切せず普段の自分のまま行っただけです、アレ」

 

「あ、アンタねぇ、自分の弟にアレだなんて… はぁ、なんだかおかしくなって来ちゃった… そう、アレ演技じゃなかったんだ…」

 

「ただし、アクアはそうしろとは一言も言われてなかったと思います。 つまりは自分で求められていることをしたんです。」

 

「え、どういうこと?」

 

「つまりは、演技の場なのに普段の自分が気味悪いことを自覚していて、それを求められているってわかってたんですよ。」

 

「アハハ! なにそれ、自覚してるんだ! おっかしぃ〜」

「…でも、演技で無いにしろアイツは監督の求めるものがわかってたのね…」

「それでもアンタはわたしの演技が良かったって言うの?」

 

「はい、先輩に求められている役を演じ切ってました。」

 

そりゃ、私やアクアが特殊なだけだ…普通の子役としてはいい出来だろう。

 

「そうなのね… じゃあこの後はどう演じたらいいのかしら… ちょっとわかんなくなっちゃった…」

 

「それこそ監督とか周りのスタッフに聞いてみた方がいいかと思います。」

「だって私、初心者ですよ?」

 

「そうだったわね… なんかアンタと話してると年上の子とかと話してるみたいで…」

「…ねぇ、私のことかなって呼んで。」

 

「えっ、先輩?」

 

「かな! 次先輩って呼んだら無視してやるんだから!」

 

「わかったわ、かな… 改めてよろしくね?」

 

「こっちこそよろしくね、ラピス」

 

なんだかんだで丸く収まり、化粧直しをした彼女は監督やスタッフ、周りの共演者に聞いてまわっていた。

子供なんだから複数の見方、考え方を吸収した方が引き出しが増えていいだろうし、これで少しでも今までの態度も改善すれば、彼女は子役で終わったりしないだろう。

そんなことを考えていると…

 

「オマエの姉貴スゲェっつうかヤバいな…」

 

「そうなんですよ、散々人のこと気味悪いとか言っといて自分の方が気味悪いことに気がついてないんですよ。」

 

「いや、オマエも充分気味悪いぞ?」

 

 

なんて失礼な監督と弟なんだか…

 

「きこえてるわよ?」

 

そういうとアクアは小走りで次の撮影ポイントに行き、監督も一服してくると言い離れていった。

その後の2人の撮影は順調に進み、残すは私の入る場面の撮影だけとなった。

 

内容はこうだ、アクアとかなちゃんの2人に導かれた主演女優が村の宿で一泊し、病院へ向かう途中の山道で道を教えてくれる不思議な女の子の役だ。

少しの会話だけど緊張してきたぁ〜 だって久しぶりなんだもん!

丸3年近く演技なんてしてなかったし、いやしてたか…赤ちゃんの演技を…

バブバブ言いながらヲタ芸もしたっけ…よし! なんか吹っ切れた! 気持ちいい風も吹いてるし、やったらぁ!

 

「そこのお姉さん、ちょっといいかしら…」

 

「は、はい! え? 女の子? どうしたのこんな所で?」

 

おかしい、ここでは「はい!」って台詞は無かったはずだけど…なんかびっくりしてるような演技だ…

まぁ監督も止めないしいっか…『アドリブ』入れてもいいって事ね! 元々のセリフに対してちょっと長いシーンだしいける!

 

「お姉さんはこの先の病院に行くの?」

 

「う、うん。 私自分の顔に自信が持てなくて…」

 

「そうなのね…『例えそれが今ここまで生きてきた貴女を自身が否定する事であっても?』」

 

整形は決して悪い事ではない。

今まで抱えていたコンプレックスを無くす手段の一つだ、しかし整形を境に人が変わってしまう事もある。

劣等感を捨てて得られるものは多くは傲慢さだ、それでも真っ直ぐに生きられる人はそんなに多くはない。 

見た目に自信が出た事で今まで蓋をされていた傲慢さが溢れ出す人がいたり、綺麗になった事で無意識のうちに周りとの関係にひびを入れる事さえも…

無論、その後に改善する場合だってない訳じゃないが

この作品の主人公も物語の中で色々な事に葛藤する場面が多々ある。

 

「!? え、えぇ…私は今まで自分に自信が持てなくて、そんな自分を変えたくて来たの。『例えそれが自分を否定する事であっても』」

 

『そう、その選択で貴女の心が陰る事なく、後悔の無いものであることを願うわ…』

「病院はこの先の三叉路を右に行った所にあるわよ。」

 

「この先を右ね? ありがとう。」

 

「カット! ここはこれでOKだ!」

 

終わったぁ〜! 緊張はしたけどなんとかなったわね…

この女優さんもアドリブに対応できてたし、まぁ良かったのかしら…?

 

 

ー撮影開始、監督目線

ざあぁ… 少し強めの風が吹いた

「!?」

なんだ!?

急に空気が変わったみてえに… あの嬢ちゃんか!

なんだ? この無駄に目を引くって訳じゃねぇが目を離せない、いや…目を離した瞬間には居なくなっちまうような感覚は…

チッアイツ(主役)噛みやがった…まぁこんなんじゃ噛むか…

一旦撮影を止め…アドリブだと!?

しかも嬢ちゃんに求めてる以上の仕上がりで…

アイツ(主役)もなんとかついていけてる…!

こいつぁ、思ってた以上にいい絵が撮れそうだ。

にしてもこれに似た感覚、以前どこかで…?

 

 

その後、私達の撮影は終了したのだが…

 

「ラピス! アンタすごいじゃない! 一瞬で空気に飲まれちゃったわ!」

 

「そう? ありがとう! かな先輩にそう言ってもらえると嬉しいわ!」

 

「そんなこと言って…煽ててもアメしか出ないわよ?」

 

「アメ!? ありがとう! わぁ、ダンディ梅じゃん! チョイスが渋いねぇ」

 

「渋くて悪かったわね! そんなこと言うならかえしなさいよ」

 

「冗談だって! ありがとう、私もこれ好きなんだぁ〜」

 

「アンタねぇ… まぁ、今日はありがとう。」

 

「ん? 何が?」

 

「今までのわたしが天狗になってたって気づけたの。 あなたの言葉と演技で…」

 

「かな… また一緒にできるといいね!」

 

「! そうね! 今度はあなたと同じ場面でやりたいわ…」

「でも! その時はいきなりアドリブなんてやめてね!? さっきびっくりしたんだから… 心臓に悪いわよ…」

 

「ふふん…その時になってみないとわかんないなぁ〜」

 

「アンタってほんとに… まぁいいわ、その時はやってやろうじゃない!」

「あっ、それとこれ、私の連絡先」

 

「わぁ、ありがとう! 実はかなが私の初めての友達なんだ!」

 

「えっ? そうなの? じゃあいつでも連絡してきなさい、時間があれば出てあげるわ…」

 

「うん! たっくさん電話するね!」

 

「…撮影中とかは勘弁してね?」

 

そんなやりとりをした後、現場も解散して私たちも家に帰るのだが

帰りの車の中で…

 

「やっぱりラピスさんは凄かったです! もう飲み込まれるような感じでした!」

「でも、どこか儚げで…目を離したら次の瞬間には消えてしまうような感じがして、ちょっと怖かったですよ…」

「アクアさんも監督がとても褒めてましたね」

 

「次はアタシも出たいな〜 いいな〜ママとの共演…」

 

 

ミヤコさんに絶賛だったようだ…ある意味でラピスとしての私のファン第一号みたいなものなんだし、ガッカリさせないよう頑張ろう!

 

ちなみに映画の方はだいぶ反響を呼んだ…

アイは可愛すぎた、7〜8割くらい持っていった… さすママ!

子役にも多少目が向けられた。

アクアは気味悪い不思議な子役として

かなちゃんは王道の子役として

そして私は…可憐で儚げな妖精のような子役として…

 

「お姉ちゃんが可憐な妖精!? ウケるんですけどw お兄ちゃんは気味悪い不思議な子w」

 

「「うるさい」」

 

この後アイにはバラエティやモデルなど仕事が多く舞い込み

私にもCMやドラマ、映画の子役として声が掛かるようになった。

かなちゃんとも時々共演して仲を深めていった…

アクアもホラー系やサスペンス系、少年漫画が原作の頭脳は大人な少年探偵の役などをこなし

なんとルビーもデビューし、アイと食洗機のCMで共演したのだった。

 

その後の苺プロはユーチューブなどでのネットタレントも多く加入し、Vチューバーのグループもできた。

アイドルや子役を目指す子たちも少しずつ集まってきている。

B小町の他のメンバーはというと、グループでの活動をしながらも少しずつ個人で活躍したり、後進の指導にあたったりしている。

 

この頃には事務所の社員の数も多少増えており、手狭となっていた。

その中には、最近アイにストーカー被害に遭っている事からボディーガード兼お目付役もいたのだった。

 

 

 




ありがとうございます。

ゴールデンウィーク中は後2〜3話できるかも、と書き手が言っていたのでそうなるかもしれません。
ならなかったらすみません。
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