幼稚園〜ドーム公演、後日談です。
一度読まれた方は申し訳ありません。
下の方一部訂正箇所があります。
後書き欄に訂正箇所、理由を書いてあります。
私達3人がアイの子供として生まれ変わってから3年…
私達は幼稚園に行く年齢になっていた。
幼稚園にて…
「そういやルビーって生まれ変わる前は何してたの?」
「っていうか本当は何歳?」
「わ、私大人の女性なんだけど!? 女性の年齢尋ねるとかデリカシーのないガキね!」
絶対ない、っていうかまだ10代半ばくらいだと思う。
アクアは意外と落ち着いていて、大人の余裕を感じさせる時がある。
きっと20は超えていると思うが、そこまで年上ってこともないとかかな?
そんなやりとりをしてルビーは滑り台で遊び、アクアはサイコロ本なんて読んでる。
私はといえば…
「ラピスちゃん! 危ないわよ!?」
「大丈夫! 慣れてるから!」
私はといえば遊具の登り棒に登りポールダンスじみた事をしていた。
意外と体幹を鍛えたり、やり過ぎなければ太くなりすぎずしなやかな筋肉を付けるのにはいいのだ。
まぁ子供のうちはそんなに大差はないだろうが、慣れは大事だ。
私達3人は同じ組だったため、何かとフォローしあってきた。
そうして過ごしていくうちにお遊戯会の時期になった。
「みんなー! お遊戯の時間ですよー」
「みんなの踊りを保護者の方も見にきてくれるから…」
? なんかルビーの様子が変だ。
いつもなら楽しそうになんでもやりたがるのに、そういえば体を動かすような事には余り積極的では無かった…特にどこか悪いところがあるようには見受けられない。
前世で何かあったのかな…?
そう考えているとルビーが部屋を飛び出していってしまった。
アクアがルビーを探しに行き、私も行こうとしたが先生にルビーが嫌がったことに心当たりがないか聞かれた。
心当たりなんて言える訳が無い。
その場は適当に誤魔化してその日は終わった。
その日の夜…ふと目が覚めるとダンス部屋でルビーが踊っていて、それをアクアが扉の外から覗いていた。
「アクア? 妹に覗きはイケナイなぁ〜」
「ば?! そんなんじゃないし、ちょっと心配だっただけだし…」
「そっかそっか、しっかりお兄ちゃんやってるんだね!」
「ラピスこそどうしたんだよ?」
「ちょっと目が覚めちゃってね…こっちで人の気配がしたから気になって来ちゃった」
「気配って…お前ヤバいな。」
「ヤバいなんて、失礼ね! 前から人の気配とかに敏感で耳も良くてさ、足音で人数を当てるのも得意なんだよ?」
「特殊部隊の人ですか? まあいいや、僕は寝る。 ラピスも明日に響かない程度にしとけよ?」
「うん、おやすみアクア」
「おやすみ」
そう言ってアクアは部屋に戻っていった。
ルビーは相変わらずダンスを続けている。
私も久しぶりに踊りたいしいっちょやりますか!
「ルビー、私も一緒していいかな?」
「お、お姉ちゃん! いつからそこに…?」
「ちょっと前だよ〜 アクアも覗き見してた」
「えぇ!? 覗きなんてサイテー」
「そんなこと言わないであげて、幼稚園のことで心配してたみたいだから」
「そっか…」
「それより私も一緒にいい? 振り付けとかはある程度覚えたんだけど、覚えただけじゃねぇ〜」
「いいよ! ママのダンスを完全記憶したこの私が教えてあげる!」
この後めちゃくちゃダンスした。
次の日…
「ラピス〜?ルビ〜? もう、2人ともどこに…」
「あっ、こんなとこにいた〜 ふふ、踊り疲れちゃったのかな〜」
「可愛いから写真とっとこ〜」
案の定幼稚園には遅刻して、幼稚園でも爆睡した。
それから更に日が経ち、お遊戯会当日
「ウチの子きゃわあ〜!」
ママ、変装してまで来てくれるのは嬉しいんだけど目立ち過ぎ!
私たちの出番が終わると同時にミヤコさんに連行されていった。
そして私達の次の組…
「私達の組は数年前赤ちゃんがやっていて大人気だったヲタ芸を披露します!」
幼稚園児がヲタ芸を披露するなんともシュールな光景が広がっていた。
「ちょっともう! なんでよ!?」
「ハァ〜」
「そこっ! キレが足りないわ!」
ルビーは恥ずかしそうにしアクアは頭を抱え、私はダメ出ししてたら何故か一緒に踊る事になり何故かセンターを務める事になった…
やはり子供は飲み込みが早く全員でキレッキレのヲタ芸を披露した。
その組の親御さんにも意外とウケが良く、子供特有の仲間意識?から生じる組同士の対立も私の組とそこの組は無くなり、それに味を占めた教員陣によりその翌年からは各組合同でやる事になっていった。
尚ヲタ芸は伝統芸として毎年人気だったらしい…
1週間後、来られない家族もいるので各家庭にDVDが配られた。
それをみたアイの要望で何故か親子4人でヲタ芸をする事になり、それを面白半分で撮っていた社長の手によりユーチューブにアップされた、過去の動画と併せて。
その動画は注目を浴び苺プロの公式アカウントの登録者が一気に増えたとか…
どうしてこうなった!?
それから少しして、私達は新居に引っ越していた。
私達のボディーガード兼お目付役も一緒だ。
名前は遠藤蘭(えんどう らん)と言い元自衛官の26歳だ。
綺麗な顔立ちに透き通るような黒髪黒目で、最初見た時はjewelry hillの男性役の人かと思ったほどだ。
アイのファンだったそうで、事務所に凸って来て自己アピールしまくったらしい。
社長も丁度その頃アイがストーカー被害にあっていたのでそういう人材を募集するか考えていたそうで、即決だったとか。
最初アイに子供がいると聞いた時は相当ショックだったらしいが、同じ女性として分かるところもあり、今では私たちのことを可愛がってくれている。
アイも姉が出来たように感じたらしく、相当懐いており側から見ても仲のいい姉妹の様だった。
あの時「ファンの私と護衛としての私が和解しました。」と蘭さんが言った時、アクアは軽く吹き出し、アイはなんだか懐かしそうな顔をしていた。
引っ越して数日、アイ達B小町のドーム公演も決まっており、バタバタしつつも日常を送った。
そう言えば父親について私とアクア、ルビーの3人で話した。
アクアは心が沈んでおり、ルビーは処女受胎だと主張した。
私はアイの年齢のこともあり、事情があるんだから仕方がないし、処女受胎はないよ〜と言ってルビーに怒られた。
そしてドーム公演当日…
「アイ、準備は私がやっておくからアイは座ってて?」
「ありがとうお姉ちゃん、じゃあトゥイッターに一言書き込んどこ〜」
なんとも睦まじい姉妹だ。
蘭さんはアイに凸ってきたストーカーを2度取り押さえており、社長達の信頼を勝ち取っていた。
それ以降一気にアイから距離を詰め、今や同居してる家族の様…
ネットでも美麗すぎるボディーガードとして人気が出ている。
美人姉妹との書き込みもあり当人達は満更でもない感じだ、時々アイの笑顔を見て鼻血を出すのはどうかと思うが…
その後私がトイレに行こうと廊下に出た瞬間インターホンが鳴った。
ピンポーン
「ん…社長達かな?」
ん?この足音は1人、今日は社長とミヤコさんもくる予定だ…
そのどちらとも足音の間隔や靴の音が違う。
社長達じゃない…!
「ママ! 私と蘭さんで出てくるから待ってて!」
「えっ? いいよ〜、出迎えくらい私が…」
「ダメ!」
「え? ラピス?」
思わず怒鳴ってしまったが、それどころじゃない。
「蘭さん、一緒にお願い!」
「ん…わかった… それよりも先にインターホンで確認してみましょう。」
蘭さんは私の耳の良さを知っているためすぐに状況を察知してくれたようだ。
なんたってストーカーの1人を取り押さえるのに役立ったからだ。
ルビーとアイは?って顔をしているが(カワイイ〜!)、アクアも私の様子に気づいたらしく電話を片手にスタンバイしている。
「…蘭さん鼻血、鼻血出てるよ。 後、外には1人、すぐ近くに他の人はいないと思う。」
「あっ、ごめんなさい、持病で…」
「知ってる…アイの病ってやつでしょ?」
「それいいですね、貰いです。」
「こんな時に何してんだよ…」
アクアに呆れられ慌てて鼻を拭く蘭さん、鼻を拭き終わるとインターホン越しに尋ねた。
「どちら様ですか?」
「アイのファンです…今日はドーム公演おめでとうございます。」
と言ってカメラから見える様に花束を見せてきた。
おかしい、まだ引っ越したばかりだしストーカーも最近は寄り付かなくなってきたのにここが分かるはずがない…
蘭さんもそれに気づいたようで、訝しんでいる。
「すみません、直接来られるのは防犯上困ります。」
「す、すみません… コレだけでも受け取ってくれませんか?」
「しかし…」
そんなやりとりをしているとアイが心配そうに覗いてきた。
ドーム公演前に不安がらせるわけにはいかない。
そう判断して、私と蘭さんはアイコンタクトを取り
「少々お待ちください。」
と言ってインターホンを切り、玄関へ向かう。
「蘭さん、気をつけて」
「はい…」
アクアは電話のコールボタンを押す準備をしている。
蘭さんがチェーンを外し、扉を開けた次の瞬間…
私の位置(蘭さんの左後ろ)からははっきりと見えた…その男の右手に持つ光る何かを…
蘭さんの位置からは花束でそれは見えない…!
「蘭さん!」
私は蘭さんにタックルして…次の瞬間、右側頭部に強烈な熱を感じた。
私の意識はそこで途絶えた。
ーアクア視点
蘭さんが花束を受け取るために扉を開けた次の瞬間、急にラピスが蘭さんに左側からタックルした…と思ったらラピスの右側頭部から血が飛び散った。
ファンだと言った男の手には鋭いナイフがあった。
ラピスはそのまま後ろに倒れ込み、蘭さんは慌てて男を取り押さえた。
俺は慌ててコールボタンを押し、警察に通報し救急車の手配をした。
連絡をし終わる頃には蘭さんが男を押し倒して後ろ手に自分のベルトで縛り上げていた。
その頃になって物音に気づいたアイとルビーが玄関にやってきた。
「救急車って何があったの!?」
「アイ、来て! ルビーは包帯と消毒液持ってきて! 早く!」
「ラピス!?」
アイは血相を変えながらもラピスを抱き起こそうとする。
「動かさないで!」
「えっ? でも…」
「頭のこことここを押さえて! 出血を止めないと!」
「わ、わかった!」
なんとか出血が止まり、ルビーが持ってきた消毒液をかけ、包帯で縛り上げ硬いものを血管を押さえるように挟み込む。
「すみません、私が気がつくのが遅れたばかりに…!」
「そ、そんなこと…っ おねえちゃんは無事!? 怪我はない!?」
「私はラピスが守ってくれたから大丈夫だけど…ラピスが…」
「大丈夫、少し太めの血管を切ってるけど、血は止めたし救急車もすぐに来るって!」
そう確認を続けていると…
「ねぇ、苦しい?」
「アイドルのくせに子供なんて作るから…ファンを裏切ってずっと馬鹿してたんだろ!?この嘘つきが!」
「散々愛してるとか言っといて子供を3人も作りやがって!」
コイツ…!この期に及んでそんなことを!
「私なんてもともと無責任だし、人を愛するってよく分からなかったから…」
「!?」
「代わりに皆んなが喜んでくれる様な綺麗な嘘をついてきた…」
「頑張って努力して…いつかその愛が本当になることを願って、私なりに愛を伝えてきたつもりだよ。」
「君達を愛せていたかは分からないけど、愛したいと思いながら愛の歌を歌ってた。」
「君の事だって本当に愛したいと思ってた…」
「嘘つけ! 俺のことなんて覚えてないくせに!」
「リョースケ君だよね? よく握手会にきてくれた…」
「!?」
「お土産でくれた星の砂嬉しかったな…今でもリビングに飾ってあるんだよ?」
「んだよ…それ… そういうんじゃ…!」
「でもごめん… もう君のことは愛せそうにない。 私の愛してる家族を…子供を傷つけて…アナタの事は許さない!」
アイが言った言葉は何故か俺の胸に響いた。
思えばこれが初めてアイが言葉にした愛してるだったからだ…
それと同じくらい、アイがここまでの激情を見せたのも初めてだった。
「そ、そんな… うわああああ!」
男が暴れようとするが蘭さんが押さえつけ離さない。
それから少しの間男は暴れていたが、泣きながら動かなくなった。
更に5分程して警察と救急隊の人が到着し、男は連れていかれラピスは病院に搬送された。
幸いなことにラピスは命に別状はなく、後遺症なども残らないとの事だった。
止血をしたのが功を奏したようだ。
頭の傷は残ってしまうそうだが、髪で隠れる場所でよかった。
アイも少しの間病院にいたが、俺とルビーで、きっとラピスも後で見たいはずだからと言い聞かせてドームへ行かせた。
その日のライブはいつもとは違いどこか儚げな印象をファン達に与えた。
その儚げな感じと直前で自宅で襲われ、たまたま来ていた同じ事務所の子役が怪我を負ったというニュースが結びつき話題の中心になった。
ストーカー男はまだ学生で名前などは公表されなかったが、そいつと知り合いのファンの間では最近見かけなくなった彼が怪しいと噂になっていたが、忘れもしない。
アイツは俺を殺した男だった。
そして肝心のラピスはというと…
「ママ、なんか儚げな感じで綺麗!」
「ラピス…あまりはしゃがないでね…」
「もう! 大丈夫だから心配しないでよママ〜 蘭さんも無事で良かった!」
「いえ、私はラピスさんに怪我を… 護衛失格です。」
「またそんなこと言って! 蘭さんだから信じて一緒に行けたの!」
「もう2度とそんなこと言わないで!」
「すみません、わかりました…」
今のラピスは元気だが、髪は傷の周りを剃り、他の髪を押さえるために医療用のウィッグ(透けているニット帽みたいなやつ)をつけていた
その光景はまるでさりなちゃんのようで、少し感傷に浸ってしまった。
ルビーもそれを辛そうに見ていた。
事件の後蘭さんは退職届を持って事務所に行ったそうだが、少し早く目覚めたラピスから一足先に社長に「辞めたら新しい人はつけない! だから絶対にやめないで!」と伝えていた。
そのため、続ける意思を示してくれた。
アイや俺たちも同じ気持ちだった。
一つあれから変わったことがあるとすれば、新しい家に引っ越したこと。
そしてファンに貰ったものは家には持って帰らなくなり、元々あったものは全て捨てた事だった。
それだけアイも堪えたんだろう。
ラピスが退院してきた日、アイは俺たち3人を抱きしめて愛してるって言ってくれた。
それには思わず3人揃って泣いてしまった。
俺もただファンってだけではなく、久しぶりに母っていう存在を感じた。
他の2人もそうだったのだろう。
いつもより子供のような顔で抱きしめられていた。
ありがとうございました。
訂正箇所
アイが言った言葉は何故か俺とルビーの胸に響いた。
↓
アイが言った言葉は何故か俺の胸に響いた。
誤字チェックしていた時には気がつきませんでしたが、改めて読んでみてアクアの視点で書いてあるにも関わらずルビーの心情が書いてあることに違和感を覚えて消しました。