仕事のトラブルに対応していてそれどころではありませんでした。
次回からは週一投稿に戻ると思います。
バーで再会した翌日 学校
「長年アイドル予備軍としてアイドルを研究して来た経験上ああいう子はコッテリしたオタクの人気を滅茶苦茶稼ぐ!」
「嫌な研究してるな…」
「かなちゃんは万人受けすると思うよ?」
「まぁ人気でそうなら良いじゃん、誘うだけ誘ってみたら?」
「まぁそうなんだけど…」
そんな話をしてるとトイレに行ってた愛斗くんが戻ってきた。
「なんの話してるんだ?」
「ルビーがね、かなちゃんの事アイドルに誘うんだって。」
「でもなんか乗り気じゃ無いみたいだぞ?」
「いや… ほら、私とロリ先輩はただならぬ因縁が…」
「いやルビー、それは自業自得だ。」
「そんな〜」
「取り敢えず、呼び出しておくから話しだけでもしてみろよ。」
「その上で仲良くできそうに無いならやめればいい。」
「ルビー、私も同席しようか?」
「ううん、自分で話してみる…」
その日の放課後、私と愛斗くんは校舎の2階からアクアとルビーを覗いている。
「覗き見なんてしなくても大丈夫じゃ無いか?」
「でも、2人とも心配だし…」
「そうは言ってもな、自分たちのことを穏便に決められないほど子供じゃ…なくも無いような気がするな。」
「そうなの!」
「でもな、結局この先は自分でやってかないといけない部分もあるわけだし、なんかあってもここで見てようぜ?」
「まぁ、そうだよね…」
「それに、ルビーのあの性格だと余り過保護だと嫌われるぞ?」
「それは嫌! ここで見てる…」
…と話していると、向こうからかなちゃんが歩いてきた。
「お待た…」
「待ってたわ… 遅いじゃない」
「あ? 永遠に待ってろ…」
「大事な話じゃないの? なんで妹の方もいるの?」
「話があるのはルビーの方だ。」
「はぁ… で? どんな話? 20秒で済ませてよね?」
やっぱり険悪な感じだ。
ルビーがアクアと小声で何か話しているが、聞き取れない…と思ったらかなちゃんの方に振り向いた。
「有馬かなさん… 私と、アイドルやりませんか?」
その後少し考え込んだかなちゃん…
しかし、やはり断ろうとしたがアクアが説得…と言うより口説き始めた。
「かなちゃん真っ赤になって…カワイイ!」
「まぁなんとか丸く収まりそうで何よりだ…」
その後は偶然を装いみんなと合流し、その足で苺プロに向かった。
愛斗くんは一旦家に帰るそうで途中で別れた。
「あっ、みんなおかえり〜、学校は楽しかった?」
そこには社長達と談笑するアイの姿があった。
「マ…アイ!? 今日は撮影とかは…」
「今日のスケジュールは消化したよ!」b
「ところで…そっちは、有馬かなちゃん?」
「久しぶりだね〜、10年くらい前の映画の撮影以来かな〜」
「ア、アイ…さん!? お久しぶりです、 覚えてて頂けたんですね…」
「うん! 私は才能があるなぁ〜って思った人は名前覚えるようにしてるの!」
「さ、才能ですか…恐縮です…」
「ア、アクア… アイがいるなんて聞いてないんだけど!?」(小声)
「まぁ言ってないし、いるとも思ってなかったから…」
「それで…有馬さんは何しに来たのかな?」
「そ、それは…」
「アイ! 有馬さんと一緒にアイドルをやることになったの!」
「わぁ…本当!?」
「やったねルビー!」
「うん!」
「有馬さん、ルビーのことよろしくね?」
「は、はぁ…」
そう言うとアイは隣りの部屋に一度引っ込んで行った。
たじたじのかなちゃんも可愛い…
っと、社長が紙束を持ってきた。
「ゴホン… 有馬さん、私は当事務所の社長、齋藤です。」
「あ、どうも…有馬かなです。 急ですみません、よろしくお願いします。」
「いえいえ…こちらこそきていただき光栄です。 さて、早速ですがこちらの契約書に署名と印鑑をお願いします。」
「アクア、ルビー、社長が社長してるよ!?」
「珍しいこともあるんだな…」
「そうだねえ…動画撮っとこ。」
「お前ら後で…」
社長が額に血管を浮かべ出したところでアイが割り込んできた。
「さあみんな! あっちでお茶しよー!」
「社長はおでこからミミズ追い出すまではこっち来ちゃダメだよ〜」
そのまま私たちはアイに連れられて隣の部屋に行った。
「ね、ねえ ラピス… あの人社長よね?」
「そうだよ、どうかしたの?」
「いや、なんかすごいテキトーに扱ってたから…」
「ああ…それなら大丈夫!」
「私達の親代わり兼時々おじいちゃんだから〜」
「そうなの…」
「あ、別に特殊な理由があるとかじゃないから大丈夫だよ〜?」
「父親はクソ野r…いないけど、お母さんは元気いっぱいだし!」
「クソ…? ラピスがクソって言った…?」
「かなちゃん? どうしたの?」
「何でもない…」
それから少しして愛斗くんと車から荷物を運んでいた蘭さんも合流してみんなで親睦を深めた。
ちなみに、今日はマネージャーになった美春は五反田監督のところに忘れ物をしたらしく不在だ。
相変わらずできる女って感じを醸しつつどこか抜けてるなぁ〜
「そう言えばアクア、今ガチに出るんだってね〜」
「私の子d…小さい頃から知ってる子がそう言う番組に出るってのは中々興味深いよね!」
「えっ…アンタ、アレに出るの?」
「お兄ちゃんが…!?」
「アクアが恋愛かぁ〜」
「ねぇ、アクアはどんな娘が好きなの?」
そう伝えると私とアイの方を見てから顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
「アクアは恥ずかしがり屋さんだね〜」
「アクアのはh...事務所の先輩としてはとっても気になるなぁ〜」
アイさんや…さっきから隠しきれてないんだけど…
かなちゃんめっちゃ怪しんでるって。
その後はアクアが出ることになった番組のバックナンバーをみんなで流し見て解散した。
帰り際…社長に声をかけられた。
「ラピス、次の撮影まで少し空くよな?」
「うん、空いてるよ?」
「よし、じゃあこの番組出てみないか?」
社長はそう言うと私に番組の企画内容の書類を渡して来た。
歌うま芸能人発掘隊という昔仮面をつけて戦う戦隊モノの主演を演じていた藤野仁(ふじの ひとし)さんが企画したらしい(真相不明)生放送番組で、春と秋に特番でやっている人気番組だ。
前世の私も出たことがあり、そこから歌の仕事も舞い込むようになった。
ちなみに藤野さんはオフを利用しては未知との出会いを求めて世界中の秘境を旅する変人でもある。
そしてこれまた人気番組で世界不思議探検隊というUMAモノのクイズ番組もやっていて、私も何故かリポーターとしてアマゾンの奥地やセノーテ(陥没した場所にある湧水地)の奥底、果ては南極に連れて行かれたこともある。
「あの番組ですか…」
「なんだ…まだ若いのに壮絶な何かを経験したような顔しやがって」
「ああ、いえ… でもルビーが…」
「もしかしてルビーに気を遣って歌番組とか断るつもりじゃないだろうな?」
「そんなことルビーだって望まないぞ?」
その時扉がバァン!と開かれた
「その通りだよお姉ちゃん!」
「お姉ちゃんは歌上手いんだし、もっと幅広く活躍すべきだよ!」
「ママもアクアもそう思うでしょ?」
「もちろん! だって私の娘だし、それに歌だけなら私超えてるし!」
「「「それはない」」」(3兄妹)
「だが…そうだな、ラピスはもっと広くやれるはずだ… ルビーと違って…」
「ちょっと!? アクア、それどーいう意味!」
「そうだよアクア、ルビーだって歌って踊れるだけじゃないんだよ?」
「みんな… 愛斗くんはどう思う?」
「俺はラピスが収まるには日本は狭いと思ってる。」
「もっと沢山の事に挑戦しても良いんじゃないか?」
「愛斗くん…」
「うわぁ…隙あらば惚気るよ、この2人…」
「まぁ、それなら決まりだな!」
「春原マネージャーにもGOサイン出しとくからな!」
「これで上手くいけば活動の幅も広がるってもんだ。」
「そうと決まれば早速歌の練習だね!」
「ルビー、アクアも準備するから手伝って!」
「私も手伝うわ!」
なんか家族(蘭さん含む)の方がやる気に満ちている。
まぁこれだけ後押ししてくれたんだ、頑張ろう!
当日は軽い声出しで、翌日から歌の練習が始まったが…
「やっぱり私より歌上手いって〜」
「そ、それはきっと幻聴だよ… (お姉ちゃんヤバッ! 上手すぎだよ!)」
「ルビー、現実を見ろ…」
「さすがラピスね! それよりも、歌は自由なんだし、七咲咲耶の歌とかどうかしら!」
「いいチョイスですね、美春さん」
「では、3枚目のシングルのこの曲とかどうですか?」
「ラピスも時々口ずさんでいましたし…」
「蘭さん、いいセンスね!」
こうして私の歌の練習が続き…
番組当日
番組の本番は、基本的に話すのはアナウンサーと藤野さんだが、業界内の色々な著名人も集まっており、その人達に採点される方式で最後に点数が発表される。
集まった方々は咲耶だった頃にお世話になった人達だ。
私の前の娘はスレンダーで清楚さが売りの女優、歌は上手かったが、感情が乗っておらず芳しくない様子だ。
アナウンサー「さて、次の挑戦者は若手ヒロインアンケートNo.1のこの人!」
「星野ラピスさんです!」
ラピス 「星野ラピスです! よろしくお願いしま〜す!」
藤野 「ラピスさんね、あのドラマ見たよ〜」
「特に最後のキスシーン! 情熱的でとっても良かった!」
ラピス 「ありがとうございます!」
藤野 「あの後…どうだい? 変わらずおしどりやってるの?」
ラピス 「はい! 放送後に行った京都の修学旅行の時なんて、この櫛を貰っちゃいました。」
藤野 「おお! 櫛を贈るとは… いいセンスだ、最近の子がそれを知っているとは…プロポーズに櫛を送る文化、まだ息づいているんだね〜」
「私も妻にプロポーズする時は指輪よりも先に櫛を贈ったんだよ〜」
アナウンサー「さて、それでは準備の方よろしくお願いします!」
藤野 「さて…歌の方は… お!? 咲耶ちゃんの月下の七花!」
「私はよく本人の歌を聞いていたからね〜、厳しく行くよ?」
アナウンサー「準備も出来たという事で…10数年前はこの番組にも登場し、世界に羽ばたいたあの今は亡き名女優七咲咲耶さんの十八番、月下の七花…お願いします!」
この歌は私が初めてみんなとの約束を明かした時に出した曲。
みんなとの約束…満月の夜、月見の最中に約束したみんなへの想いを込めた一曲だ。
歌い始めるといろんな事が頭に過ぎる
躓く事もあったけど、みんなで支え合ったあの頃…
世界への挑戦を叶えた喜び、皆んなへの感謝、そして絶望…
生まれ変わってまた一から目指すと心に決めた。
今の家族への愛、見つけ出してくれたかつての家族…そして、愛斗くんへの想い…
その全てを歌に込めた。
ー藤野視点
ラピスさんが歌い始めた瞬間、あの頃の記憶が一気に蘇った…
何者にも陰らせることの出来ない圧倒的な光、彼女の純粋な想い…
しかし、志半ばにして亡くなってしまった…
この歌は僕も妻も好きでよく聞いていたが、咲耶ちゃんが亡くなってからは何か物足りず、いつしか聞くのをやめていた…
しかし今、咲耶ちゃんの歌をあの頃と同じ気持ちで聴いている…
だが、よく聴いてみればより深く感情が歌にこもっている。
あの頃の咲耶ちゃんは知らなかったもの…愛だ、愛と言っても家族に向ける類のものではない、これはきっとラピスさんが彼氏君と出逢ったからこそ出せる感情だ…
あぁ… この娘はきっと、いや… 確実に咲耶ちゃんを超える…!
ー咲耶視点
歌い終わり、藤野さん達の方は向き直る…
そこには涙を流すアナウンサーと号泣している藤野さんの姿があった。
業界の著名人達も満足そうに頷いている。
藤野 「ブラボー!」
アナウンサー「とても気持ちがこもっていて、なんというか…グスッ、すみません…」
藤野 「いやぁ…歌っている君を見ていたら、なんだか咲耶ちゃんを思い出したよ…」
ラピス 「ありがとうございます! この歌は私が幼い頃からずっと好きで聴いていた歌でして、この歌のおかげでここまで頑張ってこれたんです。」
藤野 「本当に良かった! 実は咲耶ちゃんがいた頃は私も妻も好きで聴いていたんだけどね…咲耶ちゃんが亡くなってから聴く事が無くなっていったんだけどね…」
「きっとこれを見ている妻も感動しているよ…本当にありがとう。」
「今晩は久しぶりに妻と2人で咲耶ちゃんの歌を聴いてみるよ…」
ラピス 「そこまで感動していただけるなんて、とても光栄です…!」
藤野 「うんうん…うん? ラピスさん、ちょっとこっちに来て貰えるかな?」
ラピス 「はい? 大丈夫です。」
なんだろう…なんか変なところあったかな…?
ジッと顔…いや、目を覗いてくる藤野さん。
すると再び藤野さんの目からドワァッと涙が溢れ出した。
藤野 「君の右目は…! まるで咲耶ちゃんの様だ…」
あ、そういえばそうだ…忘れてた…
アナウンサー「えっ!? ラピスラズリの様な星空の目とも言われた…!?」
急にカメラがドアップで顔を映してきた…
びっくりした…
藤野 「君はまるで咲耶ちゃんの生まれ変わりの様な娘だね…きっとこれからも上へと登っていくんだろうね…」
アナウンサー「はい…、私も次のドラマを楽しみにしております!」
そういうやり取りの後、スタッフが巻いて巻いて!と合図をして、私の番は終わった。
私は1位で満点を貰った。
その日の打ち上げとして、料亭を藤野さんが予約してくれていて、沢山の人達と顔を繋ぐことができた。
終わった後。愛斗くんからはおめでとう!と抱きしめられ、美春も泣きながら抱きしめてくれた。
家に帰ると今度はアイが抱きしめてくれた。
「おめでとう! とってもいい歌だったよ〜!」
「ラピスなら当然だ…」
「お姉ちゃん! 私…感動しちゃった!」
「ラピス…とっても良かったわ!」
みんなも祝福してくれて、とても嬉しかった。
後日、新聞の一面には七咲の再来か!?とかニュースや雑誌でもでも多く取り上げられた。
月下の七花は私が前世で死んだ時以上のヒットを記録し、歌の仕事も舞い込む様になり、他バラエティなどからも声が掛かかり、なんと藤野さんの新規旅番組のナレーションも任せてもらえる事になった。
それと驚いたことがあった…なんと七咲咲耶ファンクラブのメンバーが沢山手紙や贈り物をくれた事だ。
みんな私の歌を聴いて感激してくれたそうだ。
しかし、その中に送り主のない小包などもあったので、社長が手袋をつけて変なものが入ってないか、確認してくれた。
幸いな事に変なものは入ってなかったが、一通だけ変な手紙があった。
『いつか、君という星を墜とす事で咲耶への手向けとしよう。』
という内容だった…
ありがとうございました。