悩ましきOL生活~もしもCNPプリンスが会社員だったら~ 作:ふゆきんぐ☆
本来のキャラクター設定は学生で生徒会のメンバーなのですが、こちらは大人の女性向けに会社員の設定で二次創作をさせていただいております。
4月29日に行われたメタバライブの様子はこちら↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=SjFllj1L7GU
公式サイトはこちら↓↓
https://cnp-prince.com/
5/31(水)プリンスたちによる『プリンスペース』アーカイブはこちら↓↓
https://twitter.com/cnp_prince/status/1659106555323727874?s=20
6/28(水)『プリンスペース』第二回はこちら↓↓
https://twitter.com/cnp_prince/status/1666405292043796481
登場人物紹介はこちら↓↓↓
画像付き登場人物紹介
「うう~~~ん……。」
「鬼一くん、起きて……!」
あの打ち上げの後。皆で二次会に向かうと、覚醒した鬼一君は凄い勢いでお酒を飲み、そして潰れてしまった。
もう終電はなく、各々タクシーを拾ったり、家族が迎えに着たりして家路に着いている。
私は一生懸命鬼一くんを起こすが、なかなか起きてくれない。
「あぁ、やはり、まだ寝ていましたか。」
「!課長!」
「ホークが同じ方向なので、送っていってもらいましょう。呼んでくるので、鬼一を見ていてもらえますか?」
「はい、承知しました。」
ほんの数分で、蛇神課長が小鳥遊主任を伴って店に入って来た。
そのまま主任が鬼一くんを半分担ぐようにして連れて帰ろうとする。
鬼一くんは、突然がばっと顔を上げたかと思うと、こちらにふらふらと酔ってきて、私の耳元に顔を寄せてきた。
「じゃ、あとはがんばってね。」
そう囁いたかと思うと、またふらふらと離れていく。結局、「ホーくん、おんぶぅ」と言って、小鳥遊主任の背に乗り帰っていった。
……本当に、酔っぱらっていたのかな……?
「こんな時間まで残らせてしまって、すみませんでした。」
「え?いやいや、課長のせいではないです!私、すごく楽しくて、ついこんな時間まで残ってしまいました。」
「普段はあまり遅くまで飲まれないんですか?」
「そうですね。終電までには帰るようにしています。こんな時間まで外に居るのは本当に久しぶりです。」
夜空を見上げると、月と、それを彩るように星が光っていた。けれど、街の灯りにかき消されて、あまり強い光ではない。
「……都会の星は、控えめですね。」
「そう、ですね。実家の辺りだと、もっとたくさん光っている気がします。」
「貴女はどちらがお好みですか?夜空に光る星と、高いビルから見える夜景と。」
「う~~~ん、どっちも、じゃダメですか?星空も夜景も好きです。どちらも綺麗だと思いますし、あまり比べようと思っていないかも知れません。」
課長は、なぜかすごく嬉しそうに微笑んで言った。
「そうですか。どっちも、というのは素敵ですね。確かに比べる必要なんてないかもしれません。それぞれに、それぞれの良さがありますからね。」
それから、私たちは駅の方に向かって少し歩くことにした。
タクシーを拾いたかっがのだが、運悪く捕まえる事が出来なかったのだ。
駅まで歩けばタクシー乗り場がある。一台くらいは居てくれることを祈りながら、私たちは歩いていった。
「すみません、電話で手配してしまえば良かったですね。」
「いえいえ、大丈夫です。夜のお散歩って、いいですね。」
「はは、そうですね。そう言っていただけると助かります。」
本当は、課長と一緒に歩いていることが嬉しかった。会話が弾んでいるわけじゃないけど、こうして夜風を感じながら、課長と二人人通りの少ない道を歩いていると、なんだかそこだけ世界から切り取られたような感覚を覚える。
いつも優しくて、かっこよくて、頼れる皆の憧れの人。そして、私のすきなひと。
「まだ少し距離がありますが、大丈夫ですか?」
「ふふっ、大丈夫ですよ。課長って案外心配性なんですね。」
「そうですか?鬼一ならそろそろ『疲れた~休みたい~~』なんて言い出す頃ですから。」
「本当に仲良しなんですね。」
「まぁ、長い付き合いですからね。そう言えば、色々な部署を回ってみてどうでしたか?」
私は、プロジェクト中の色々な事を話した。鬼一くんとの残業で彼の本気を見たこと、技術開発部の皆さんが情熱を注いでプログラムを組んでいるのを肌で感じたこと、営業部が華やかなだけではないと分かったこと。今日の飲み会で日野さんと仲良くなったこと、そして営業部の女性の皆さんが自分のチャンスを自分の手で作り出していることも。
「女性にも色々な戦い方があるんですね。」
「そうですね。営業部の皆さんみたいな戦い方は、私には難しそうです。ただ、憧れはありますけど。」
「それは意外ですね。貴女も営業部の方のようになりたいと?」
「いえ、なんというか……。営業部のみなさんって、自分のことを好きでいられる努力を惜しまない感じがするんですよね。体形維持とか、美容とか、ファッションとか。そうやって自分を磨いて、自信に変えているのが格好いいなぁと思いまして。」
「あぁ、なるほど。貴女にはそう見えるのですね。」
「課長には違って見えるんですか?」
「まぁ、男の目線と女性の目線はまた違いますからね。」
「そういうものですか?」
なんだかちょっと濁されたような気もしつつ、ぶらぶら歩いていくと、駅が見えてきた。残念なことに、タクシーも空車ランプを光らせて停まっている。
私は、どうにかこの時間をもっと長引かせられないかと頭をフル回転させていた。
あと、もう、ほんの少しだけ。もう少し、一緒に。
「あ、歩いたら、お酒抜けちゃいました。」
「まだ、飲み足りませんでしたか?」
「……そう、ですね……。まだ、ちょっと足りないかも知れません。」
「ふふっ、そうですか、では、飲み直しましょうか。」
「え、いいんですか?」
「えぇ、今回のプロジェクトではだいぶ頑張ってもらいましたから。ご馳走しますよ。」
課長はそう言って悪戯っぽく笑うと、路地に入っていった。案内されたのは一軒のバー。すごく大人な雰囲気だ。
「何を飲まれます?」
「えっと……じゃぁ、マティーニ、で。」
「ほう、カクテル、お好きなんですか?」
「少し、 勉強しました……。」
なんだか恥ずかしくなってきて、私は俯きがちに言った。
実はそんなにお酒が強いわけでも、得意なわけでもない。
ただ、課長がたまにバーに行くなんて話をしていたから、カクテルの勉強をしてみたのだ。
マティーニはカクテルの王様。キリッとした大人の味というから、きっと課長に似合うだろうと思う。まぁ頼んだのは私なのだけれど。
スッとバーテンダーが出してくれたのは、2つのカクテルグラスだった。
色が少し違う。透明なものと、カラメル色のものだ。
課長は、透明なものを自分がとり、私の方にカラメル色のものをスライドさせる。
「では、乾杯。」
カクテルグラスをスッと持ち上げてニコリと微笑む課長。私は思わず見惚れながら、慌てて「乾杯」と言ってカクテルに口をつけた。
ふわりと甘い香りが漂う。
以前に頑張って飲んだマティーニはほとんど甘さがなくさっぱりした大人の味だったのに、今日のお酒は随分と飲みやすい。
「飲みやすいからと言ってそんなに早いペースはダメですよ。」
「あの、課長。このお酒随分飲みやすいんですけど……。」
「もしかして、以前に飲まれたのはこんな味ではなかったですか?」
そう言って、課長は自分のグラスをスッとこちらにスライドさせ……慌てて引っ込めた。
「あ、すみません。飲みさしなんて失礼でしたね。」
「え、あ……もう、あえて言葉にしちゃうと恥ずかしいじゃないですか。言われなければ気にしないのに!」
「ははっ、すみません、中学生みたいでしたね。」
そう言いながら、再度グラスを差し出される。
飲んでみると、それは確かに以前一度頑張って飲み切ったさっぱりとしたマティーニだった。
「これが、マティーニ、ですよね?」
「えぇ。こちらがドライマティーニ、そちらのカラメル色のものがスイートマティーニというものですね。」
「え、同じカクテルでも種類があるんですか?」
「あるんですよ。ただ、甘いカクテルは飲みやすい割に度数が高いので、十分注意してくださいね。」
そんなお酒談義をしながら、しばらくしっぽりと大人の時間に酔いしれてみる。
たった1杯のカクテルに、ちょっとしたおつまみ。
課長は3杯程飲んで、私たちは店を出る事にした。時間にしては1時間くらいだっただろうか。
それでも、夢のような時間だったと思う。
「あの、課長、お会計……。」
「今日は打ち上げですよ?これくらいご馳走させてください。」
「けど、え、いつの間に……。」
「それを聞くのは野暮ってもんですよ。あぁ、もうこんな時間ですね。家まで送ります。」
課長は今度こそタクシーを捕まえた。乗り込んで、最寄り駅を尋ねられる。
「プリンススクエアの、近くです。」
「そうか、あのあたりなんですね……。運転手さん、すみません、先にプリンスタワーの方に行ってもらえますか?」
課長は私の家から少し手前にある観光スポットに行くよう指示をした。課長の家はその辺りなのだろうか。
先にタクシーを降りてしまうのだと思うと、ちょっと、寂しい。
やがて、タクシーは静かにプリンスタワー前へ停車した。
「すみません、少し付き合ってもらえますか?」
「え?あ、はい。」
なぜか私もタクシーから降ろされる。行き先を告げずに、課長は私をタワーの近くにそびえる商業ビルへと案内してくれた。
「このビル、こんな遅い時間まで開いているんですね。」
「えぇ。ここは24時間開放されているんです。屋上の展望台は行ったことありますか?」
「ビルが出来たばかりの頃に行こうと思ったんですが、混んでいて結局諦めました。」
「では、今日が初めて?」
「はい、そうなりますね。わぁ、なんか楽しみ!」
エレベーターは最上階を目指してぐんぐんと登っていく。
チン、と音がしてドアが開くと、目のまえには絶景が広がっていた。
「うわぁ、綺麗……!」
「夜景も、星も、どちらも見えますね。」
「本当ですね!お天気が良い日に来られてラッキーです!」
私は年甲斐もなく窓の近くに駆け寄ると、夜景を堪能した。少し空は白み始めているが、こんな時間でも、街は眠らずに輝いている。
更にラッキーなことに、展望台は貸し切り状態だった。課長と二人でこんな素敵な景色を見る事ができるなんて、これ以上のご褒美はない。
「課長、こんな素敵なところに連れてきてくださってありがとうござ……課長?」
課長は、なぜか少し俯いて目線を外しながら、掌を見せるように片手を出している。うるさくしすぎただろうか。私は口を閉じて、課長の言葉を待った。
「すみません、ふぅ、ちょっと、緊張しますね。」
「緊張、ですか?」
「はい、あぁ、えっと、すみません、スマートじゃなくて。」
「?えっと……課長はいつでもスマートですけど……。」
「あぁ、いや、そうじゃなくて、あの、いえ、ありがとうございます。ふぅ。……よし。」
大きく息を吐いてから、スッとこちらを見る課長はいつになく真剣な表情を浮かべている。私は自ずと息を飲んだ。心臓がバクバクいいはじめ、言いようのない緊張感に支配される。
「その、まずは、こんな時間まで連れまわしてしまってすみませんでした。もう少し一緒に居たいという、私の我儘です。」
「あ、いえ、そんな、あの、私もご一緒したかったですし。って、今、え……?」
「もう、バレバレかも知れませんが。単刀直入に言いますね。」
彼は少し困ったように微笑んで、そして、私を真っすぐに見つめながら言った。
「プロジェクトが終わったら必ず言おうと思っていました。……私は、貴女の事が好きです。できれば、この先ずっと側に居てほしいと思っています。私と、結婚を前提に、お付き合いしていただけませんか?」
思いもよらない言葉に、私の目からは自然と涙が溢れてきた。
この会社に入って、蛇神課長の部下になって。それから、ずっとずっと助けてもらい、支えてもらい、ずっと憧れていたひと。そんな人が、私を、好き?
「あぁ、泣かないでください。どうしたらいいのか分からないから。」
「だ、って……私、ずっと、課長のことが、すきで……っ。」
「え……?本当ですか?今、私の事、好きって言いました?言いましたよね?」
言葉にならなくて、大きく首を縦に振る。課長は、そんな私を引き寄せると、思い切り抱きしめてくれた。
「あぁ……。ありがとうございます。嫌われてはいないやろなと思ってましたが、こんなに嬉しいことないわ。」
「か、ちょ……ちょっと、苦しいです……。」
「!すいません、嬉しくて、つい……。」
唐突に身体を離されて、私は少し後ろにふらつき、それをまた、課長に抱き留められた。
目が合って、恥ずかしくて、ついお互いに視線を外してしまう。それから、どちらともなく自然と笑い始めた。
「ふふっ、課長が緊張しているの、不思議です。」
「私だって緊張くらいしますよ。……あと、その、課長って呼ぶの、やめへん?」
「え……。」
「これで私たちは晴れて恋人同士なわけやから。……名前で呼んでもろてええんですよ?」
わざと拗ねたように言う課長……いや、独歩さんが可愛くて、私は思わず笑ってしまう。
その顔をもっと見て居たくて、ちょっと下からのぞき込むようにして言ってみた。
「これから、よろしくお願いします、独歩さん。」
言葉にした瞬間、彼は私の頬を指の長い両手で包み込む。そして、そのまま唇が重なった。
ちょうど顔を出した太陽の日が差し込んでくる。
朝焼けの空の下、私たちはほんのり苦いマティーニの余韻に酔いしれながら、しばらくの間幸せに浸っていたのだった。そこから始まる幸せな未来を想って。
~fin.~
お読みいただきありがとうございました!
これで全員分のHappyENDが出揃い、このシリーズは一旦の完結となります。
ここまで応援していただき、本当にありがとうございました!
これから、いくつか番外編の読み切りなどが続き、また新たな展開を考えております。
イベントでの書籍販売などもございますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです。
CNPプリンスはこれからもどんどん大きくなっていくプロジェクトです!これからも皆様と一緒に盛り上げて行けたらと思います!!
ひとまず、ここまでのお付き合い、本当にありがとうございました!!!