悩ましきOL生活~もしもCNPプリンスが会社員だったら~ 作:ふゆきんぐ☆
本来のキャラクター設定は学生で生徒会のメンバーなのですが、こちらは大人の女性向けに会社員の設定で二次創作をさせていただいております。
4月29日に行われたメタバライブの様子はこちら↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=SjFllj1L7GU
一作で完結予定でしたが、これからもCNPプリンスを盛り上げるべく続き物にいたしました。お付き合いの程よろしくお願いいたします。
登場人物紹介はこちら↓↓↓
画像付き登場人物紹介
その日、会社は新プロジェクトの発表に揺れていた。
チームリーダーはなんと我らが蛇神独歩課長。その主要メンバーは課長が直々に選んだらしいのだが、そのせいで一つのプロジェクトに「四天王」が終結することとなり、社内(主に女性社員たち)の間に激震が走ることとなる。
わが社では、主要メンバーが決まった後にサポートの人員を公募で決めていくのだが、今回は過去に類を見ない激戦となったらしい。四天王、恐るべし。
かく言う私は、どんな幸運が舞い込んだのか、初期メンバーとして名を連ねていた。同僚たちからの僻みがすごかったのは言うまでもない。たまに他部署の女子からにらまれることもあった。
「おーい、そろそろ会議始まるよー?」
同僚の鬼一太郎くんに誘われ、慌てて席を立つ。持ち物がバラバラになってはいけないので、通勤用の鞄に必要なものを詰め込むと、急いで後を追った。
会議室には既に多くの人が集まっている。女性が心なしか多い気がするのは、きっと見間違いなんかじゃないだろう。
私はとりあえず空いている席に腰を下ろした。
きょろきょろと辺りを見渡してみる。正面にプロジェクターとスクリーン、ホワイトボードが設置され、マイクスタンドが乗った台が置かれていた。女性社員たちの視線で、どこに誰がいるのかがなんとなくわかってしまう。
こちらにちらちら向けられる視線は、私ではなく隣に座る鬼一くんに注がれるものだ。彼のファンは熱狂的だが陰から見守るタイプが多く、だからこそ絶対に抜け駆けができない雰囲気なのだと同僚が言っていた。
部屋の前方、最前列には小鳥遊ホーク主任の姿がある。彼は機械系の専門らしく、今回はエンジニア的な立ち位置での参加らしい。私はエンジニアさんがどのようなことを具体的にされているのか知る由もないが、とにかくすごい人のようだ。なんでも、機械ならば乗り物から電子機器まである程度いじることができるらしい。
で、彼もまた寡黙で近寄り難い雰囲気を醸し出していることから、割と遠くから眺めているファンが多いのだとこれまた同僚が言っていた。
部屋の後方がざわついているのは、営業のリー・ハオランくんが居るから。彼は鬼一くんと同い年らしい。営業らしい気さくな感じと明るさで、女の子たちを虜にしていた。現に彼の周りにはたくさんの女子が詰めかけお祭り騒ぎになりそうである。ただ、それをうまく制御しているあたりが流石だ。彼のファンは彼自身と同じように明るい人が多く、ハオランくんを中心としたちょっとしたサークルのようだと言っていた。同僚が。
ギッ、と重厚なドアの開く音がして入ってきたのは、ご存じ蛇神課長だ。今日も細身のスーツが格好いい。彼のファンはハオランくんと違った意味で層が広く、新入社員からお掃除のおばちゃんまで誰にでも愛されるスマートなエリートイケメン、という感じである。鬼一くんが身内には厳しいと言っていたけれど、本当だろうか。
コホン、と課長が咳払いをすると、皆会議開始の雰囲気を察知して静まり返った。マイクの電源が入っていることを確認し、ややぴりっとした雰囲気を和ませるようにして課長が話し出す。
「えー、皆さん。今回は私の提案したプロジェクトのためにこうして集まっていただきありがとうございます。すでにお聞き及びかと思いますが、今回のプロジェクトの概要から説明させていただきます。」
柔らかな京都弁で始まったプロジェクト説明は、おそらく課長の思惑通りとても良い雰囲気を作り出すことに成功した。
あえて若手社員を多く登用し、会社の若返りを狙っていきたいと思っている、どうか協力してほしいと言われてやる気の出ない者などいるだろうか。
各部署から選び抜かれたプロフェッショナルたちに大きな期待をしている、という言葉では、特に男性社員たちが嬉しそうに目じりを下げた。それほど蛇神課長に認められているというのは嬉しいことのようだ。
ますますなぜ私がここに居るのか分からなくなってきたが、ひとまず概要の説明が終わり、プロジェクト内でのチーム分けが発表された。
驚いたことに、4つに分けられたチームはそれぞれのチームリーダーを『四天王』が務めることになっているらしい。基本的には各チームで連携を計りつつプロジェクトを進めることになっていた。
私はどこに配属されたかというと、正確にはどこにも配属されなかった。全然名前を呼ばれないので、やはりプロジェクトメンバーになっていること自体が間違いだったのではないかと焦ったが、各プロフェクトを橋渡しするための「連絡係」のような役割を担うことになったらしい。
なぜあえて私を指名したのか、課長の真意はさっぱりわからないが、とにかく私は各チームを回りながら今回のプロジェクトに携わっていくことになった。
この立ち位置、絶対に女性たちから嫌われる。私はできるだけ目立たず動こうと心に決めたのだった。
初日は、各チームでこれからの動きを決めるミーティングが行われた。意見を出し合い、最初に課長が提案したスケジュールを軸に、動きを組み立てているらしい。
もちろんチーム同士の兼ね合いもあるので、その調整のために私は初日から奔走した。
もちろんお互いのデータを参照しながら調整をしているが、電子上でのやり取りだけでは真意がつかめなかったり、場合によっては殺伐としてしまう。そのため、そういったトラブルが起きていないかを確認し、プロジェクトメンバーの生の声を互いに届けることで調整を図ろうというのが課長の狙いだった。
つまり、そう。私は伝書鳥なのである。
一体何往復したかわからないが。各チーム大まかなスケジュールが決定した。それぞれが抱える仕事の割り振りも出来上がり、いよいよ明日から本格的に動き始める。
時刻は午後18時。会社の定時の時刻である。
「明日から定時で帰れる日がどのくらいあるか分かりませんので、本日はきちんとここで解散しましょう。もちろん、大切な用事や何か事情があるときは定時退勤、早退など構いません。ただ、プロジェクトメンバーにはその旨伝えていただけたらなと思います。トラブルを回避しつつ、最後は楽しかったと思えるプロジェクトにしていきたいので、皆さん、ご協力お願いします。ほな。また明日。」
まるで学校のようだ。課長の挨拶に皆が「お疲れさまでした。」「お先に失礼します。」「さようなら。」などと挨拶をして退勤していく。
女性たちは課長を見ながら大分名残惜しそうにしていたが、雰囲気を察して早めに帰っていった。
私は今回の自分の立ち位置がどうしても気になってしまい、少しだけ部屋に残る。
「あの、課長。ひとつだけ質問させていただいてもよろしいでしょうか。」
「はい、どうしました?」
「私、今回は各プロフェクトを回るという伝書鳥のような役割ですけれど、なぜあえて私を指名してくださったんでしょうか。」
思いもよらない質問だったのか、課長が一瞬固まっている。そして、ポリポリと頬を掻くと、少し気まずそうな顔をしながら言った。
「いや、えぇと、ですね。その、誤解せずに聞いてほしいんですが。今回のプロジェクト、私はどうしてもホーク、ハオラン、鬼一と共にやり遂げたかったのです。」
「それは、存じております。幼馴染でいらっしゃるとか。」
「えぇ。そうなのですが。正直、彼らはモテるのです。ですから、一緒に仕事ができてうれしい反面そのようなことでトラブルにならないかと大変心配していまして。」
「それは、まぁ、そうですね。私も心配です。」
「わかっていただけますか。」
はぁ、とため息を吐くと、課長は話を続けた。
「本来であればみんなで初動を決めていって、自然とチームで動いていってまた全員が戻ってくるというのが理想なのですが、流動的になればなるほどトラブルの可能性があるものですから、最初から完全にチーム分けをしたわけです。」
「なるほど。で、チーム同士の真意がわからなくなると困るからあえて人間を行き来させよう、ということですね。」
「察しが良くて助かります。」
課長がにこっと微笑んだ。この微笑みがまた殺人級だから困ったものである。
「で、それがどうして私なんですか?」
「えっと、ですね。そのお……。」
課長にしては珍しく歯切れが悪い。そんな人に言えないような理由で私は採用されたのだろうか。
「キミは、私たちが四天王なんて呼ばれていることを、つい先日まで知らなかったのですよね?」
「え?あぁ、はい、そうですね。」
「とすると、適任です。キミは女性らしいうまくオブラートに包んだ物言いができますし、そして何より私たちに左右されずに仕事をしてくださる。自分で言うのもなんですが、稀有な存在なのですよ。」
課長は大真面目な顔で言った。
それは、つまり、何か。私が「四天王」に興味のない女だから、伝書鳥に選んだ、と?
そこできゃぁきゃぁ騒いだり、色恋沙汰で仕事を疎かにしなさそうだ、と。
……それに関しては、正直ちょっと自信がある。だって、仕事なのだ。お金をもらっている以上、私は己の職務を全うするつもりでいる。正直、四天王に戸惑っている時間はないのだ。だって、普通に忙しいだろうし。
「いいですか、くれぐれも誤解しないでください。私はきちんとキミの能力を買って今回のプロジェクトメンバーに選びました。それは、私たちに現を抜かさないだろうから、という理由だけではなく、きちんとした評価の上でのことなのです。それを忘れないでいただけませんか?」
真剣な顔をした課長の目はまっすぐこちらを向いていて、今語られたことが紛れもない真実なのだということを物語っている。
ひとまず私は大きな深呼吸をすると、課長に言った。
「課長が選んでくださった理由がわかって安心しました。お金を頂いてお仕事をする以上は、他の事に気を取られず、きちんと最後までやり切ってみせます。プロジェクト終了まで、どうぞよろしくお願いいたします!」
深々と頭を下げると、課長が「こちらこそよろしくお願いします」といって頭を下げてくれた。
こんなに部下を大事にしてくれる、私を選んでくれた課長のためにも、そしてプロジェクトのためにも、明日から精いっぱい頑張っていこうと、私は心に決めたのだった。
続編と言いながら、またまたメンバー紹介の様相を呈してしまいました。
次話から一人一人にフォーカスしたお話となっていきます。
お付き合いのほどよろしくお願いいたします。