悩ましきOL生活~もしもCNPプリンスが会社員だったら~   作:ふゆきんぐ☆

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2023年4月30日発売 ボイス入りジェネNFT CNPプリンスのファン小説(ショートストーリー)です。
本来のキャラクター設定は学生で生徒会のメンバーなのですが、こちらは大人の女性向けに会社員の設定で二次創作をさせていただいております。

4月29日に行われたメタバライブの様子はこちら↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=SjFllj1L7GU

公式サイトはこちら↓↓
https://cnp-prince.com/

登場人物紹介はこちら↓↓↓
画像付き登場人物紹介



努力の結晶

「はあああ、もう嫌だ、帰りたい。ボク帰ってもいいよね?ねぇ、いいよね!?」

 

ただでさえ色白ですぐに目の下の隈が目立つ鬼一くんだが、今日は一層目の下に強そうなクマさんを飼っていた。

プロジェクトが走り出して、早3日。初期段階でのデザインや構成が出来上がらない。というか、案を出せども出せども却下されるのだ。

 

もうこれで何度目の差し戻しだろうか。流石の鬼一くんもだいぶ落ち込んでいるようだった。

 

今日こそは案を通してやる!と意気込んで残業しているわけだが、本人としてもなかなか納得できるところにたどり着けていないらしい。

 

「キミたち、こんな時間まで残っているんですか?まだ先は長いんですから、無理せずに今日は帰りなさい。」

 

課長がやって来て、そう言った。

 

「早く帰れって言うなら、早くボクらが出した案承認してよ。いつまでもボツばっかりじゃ帰りたくても帰れないじゃない。」

「鬼一。貴方、本当にそれでいいんですか?私にはこれが鬼一の全力にはとても見えないのですが。」

 

課長は今まで提出された案の束をひらひらと振った。

 

鬼一くんは黙ったままだ。口を尖らせて拗ねているということは、どうやら課長の言ったことが図星だったらしい。

 

「鬼一。一体何年の付き合いだと思ってるんです。これが鬼一の全力かどうかなんてすぐに分かります。まだまだ伸びしろがあると気づいているんでしょう?それなら納得できる形にまとめなければ。せっかくの立場を上手く使わないでどうするんです。」

 

課長ははぁ、と溜息を吐くと、腕に下げたコンビニの袋からアイスを取り出した。

 

「ほら、差し入れです。本当は一旦帰ってまた明日練り直して欲しいところですが、貴方のことだからこのまま納得できるところまで突っ走った方がいいでしょう?」

 

ぶすっとしたままの鬼一くんは、無言でアイスクリームの蓋を開けると、モリモリと食べ始める。

 

「今日の残業は目をつぶりましょう。ただし明日は定時で帰ること。それが条件です。いいですね?……で、キミは?」

 

突然話を振られ、混乱する。一体何のことだろうか。

 

「今日、鬼一に付き合って残業するんですか?それとも帰ります?」

「あ……一緒に残らせていただこうかと思っていました。どういう経緯で生まれた案なのかを知った方が、次に繋げやすいと思いましたので。」

「そうですか。くれぐれも無理をしないように。体調を崩したら元も子もありませんからね。」

 

優しく微笑んでから、課長は私に温かいお茶のペットボトルと、おにぎり、デザートのプリンを手渡してきた。

 

「少し糖分でもとって。鬼一は納得できるまでやるタイプなんです。大変でしょうが、付き合ってやってくださいね。」

 

ちょっと困ったように微笑むと、そのまま帰り支度をして颯爽と帰っていった。

 

鬼一くんは食べ終わったアイスのカップを無造作にゴミ箱に投げ込むと、パソコンとにらめっこを始める。

 

「えっと、鬼一くん、課長がおにぎり置いていってくれたけど……。」

「いらない。お腹いっぱいになると眠くなるから。キミ、食べていいよ。先に帰ってて。ボクまだ残るから。」

「帰らないよ。ちゃんと、見届ける。」

「……ふん、好きににしたら。」

 

ぷいっとパソコンに向き直ってまた何かを打ち込み始める彼は、ほんのり頬を赤く染めている気がする。照れているようだ。こういう可愛らしいところが女子たちにウケるのだと、彼は知っているのだろうか。

 

「ボクも独歩さんくらい包容力があれば……。」

 

なんて呟いていたので、きっと課長のスマートな心遣いを内心嬉しく思っているのだろう。

 

たまに意見交換をしながら、着々と書類が出来上がっていく。あぁでもない、こうでもないと何度も何度も検討し、昼間のうちにみんなから出してもらった案をまた見直したり再考したりして、とにかく考える。考えて、思いついたら形にして、それをまた消してやり直して。

 

「眠いんでしょ?少し仮眠してきてくれない?で、データの提出頼みたい。」

「うん、わかった!」

 

私はお言葉に甘えて机に突っ伏す。どこででも寝られるのは私の特技だ。任せて!

 

やがて、目を覚ますと空が白み始めていた。隣でずっとパソコンに向かっていたであろう鬼一くんが、遂に思い切り背伸びをする。

 

「うーーーーーーーーん、っで、きたぁ……!」

「お疲れ様!ほんとに、おつかれさまでしたっ……!」

 

寝ずに作ったという事実がそうさせたのか、それとも鬼一くんがこんな時間までかかって作り上げたものがあまりに素晴らしかったからなのか。私の目にうっすら涙が浮かんできた。

 

「完成して、本当に、良かった……っ!!」

「……付き合ってくれて、ありがと。一応、ちゃんと、感謝してるんだからね。」

 

口を尖らせて言うのがなんだか可愛くて、思わず笑ってしまう。ただ隣で寝ていただけなのに。

 

「ボクはもう限界だから救護室で寝てくる。あと頼んでいい?」

「もちろん!一応印刷して、データバックアップして、全部終わってから家に戻ろうかな。始発も動くだろうし。」

 

そっか、じゃぁ気をつけてね、と言って、鬼一君はふらふらと救護室へ向かって行った。

 

その後ろ姿がなんだかかっこよくて、私も気合を入れなおしパソコンに向き合う。みんなで出し合った案が綺麗に反映された資料。

 

私は中継ぎだから、印刷した資料を2部とデータが入ったUSBを2つ用意して、課長とチームメンバーに引き継げるよう準備をする。

 

だいぶ日が昇ってきて、ちらほらサラリーマンと思しき人の往来が始まった。始発も動き始めている。

 

私は、大きく伸びをすると、簡単に荷物をまとめた。よいしょ、と荷物を肩にかけた時、ガチャリとドアが開く。

 

「おはようございます。」

「課長!おはようございます。お早いですね。」

「今日は歩いてきましたからね。それより、今までずっと仕事を?」

「無事に資料完成しました。デスクに置いてありますので、ご確認お願いします。私は途中で仮眠を取らせていただいたんですが、鬼一くんはずっと頑張っていて、今救護室に居ます。」

「はぁ、またですか。まぁ今日くらい大目に見ましょう。キミはこれから帰宅ですか?」

「はい。あの、今日はお休みを頂いても……?」

「もちろんです。代休で申請しておきます。気をつけて帰ってくださいね。」

 

ありがとうございます、と返事をして課長の横を通り過ぎようとした時、課長が唐突に私の腕を掴んで引き留めた。

 

「わっ!」

「あぁ、すみません、驚かせてしまいましたね。申し訳ない、ちょっと顔に触りますよ?」

 

何事かと思ったら、課長が私の頬をそっと撫でた。

 

「な、ななな……!」

「すみません、髪の毛がくっついていて、痒くなってしまいそうでしたので。女性に不用意に触れてしまって申し訳ありませんでした。」

「あ、なんだ、そういう……。あ、いえ、ありがとうございます。助かりました。」

 

変な勘違いをしそうになって、もう顔から火を吹きそうだ。

 

「それと、これ。少し糖分でも入れてください。」

 

手渡されたのはブリックパックの野菜ジュースだ。これからただ寝に家に帰るだけの人間にとってはとてもありがたい。

 

「ありがとうございます。」

「いえ、こちらこそ頑張ってもらっておおきに。気を付けて帰ってくださいね。」

 

ほな、と言いながら課長はデスクへと歩いていく。相変わらずのスマートな紳士っぷりにドキドキしながら、私は帰路に着いたのだった。

 

 

 

 

 

~Side 鬼一~

 

見慣れた救護室の天井を見上げながら、鬼一はなかなか眠れずにいた。資料は満足のいく仕上がりになっている。いつも仕事はそれなりに真面目にやって来たつもりだ。

 

ただ、ここまで集中力が続いたのもなかなかに珍しい。

 

(応援の力、ってやつ……?)

 

そんなことを考えながら、鬼一はごろりと寝返りを打った。

 

自分でも納得のできる仕上がりの資料を作成できた。やり切ったと言っても過言ではない。

そして、後はメンバーに引き継ぐことで自分の山場は超えたわけで、もう心配することなど何もないはず。そのはずなのに。

 

この胸を焼く焦燥感に似た感情は何なのだろうか。

 

正体の分からない苛立ちに、鬼一はまた反対へごろりと寝返った。

 

(なんだよ、あんなさ、紳士ぶっちゃって……。けどまぁ、そうだよな、いつだって……。)

 

頭の中をぐるぐると回るのは、幼馴染であり上司でもある蛇神独歩その人の顔である。

 

鬼一を誰よりも認め、誰よりも背中を押してくれている人。

 

本当は鬼一をプロジェクトリーダーに、という声や、昇進の話が来ていたことを、鬼一は知っている。そして、現場レベルで仕事に打ち込めなくなるのが嫌だという意向を汲んで、その話を押し留めてくれたのは他ならぬ独歩であった。

 

(感謝してる……感謝してるんだよ。してるんだけどさ……。)

 

それでも面白くないと感じてしまうのは、ひとえに彼女の存在があるからだろうか。

 

女性社員たちがきゃあきゃあと騒いでいるのをよく見かける。

 

自分たち4人が『四天王』なんて呼ばれている事も、自分のファンだという女性たちが少なからずいる事も知っているし、さほど興味がない。

 

自分よりも、他の3人の方が魅力的なのにな、なんて考える事すらある。

 

それなのに。

 

(なーんでこんなにイライラするんだろうなぁ……。)

 

物言わぬ無機質な天井がじっと見降ろしてくる気がして、鬼一は目を瞑った。

 

(あんな風に、スマートに差し入れされたら、男だって好きになっちゃうよね……。)

 

脳裏に浮かんでくるのは、心なしか頬を上気させて差し入れを受け取る彼女の姿だ。

 

チリッと胸を焦がす何かが掠めていく。

 

(やーめた!)

 

鬼一はがばっと身を起こすと、荷物を掴んで外に出る。

 

使用中の札を空室に変えたところで声を掛けられた。

 

「鬼一、珍しいですね。もう帰るんですか?」

「あ、お疲れさまー。うん、なんか枕が合わなくてさ。」

「しょっちゅうここで寝こけている人の台詞とは思えませんねぇ。」

 

そう言いながら、独歩もとい蛇神課長がエネルギーバーを差し出してきた。

 

「ほら、鬼一のことだからどうせ食事などとっていないのでしょう?」

「よくご存じで。ありがと。」

「資料、素晴らしい出来でしたよ。引き継ぎ書のお陰でかなりスムーズに次のフェーズへ以降できそうです。」

「引き継ぎ書?」

「えぇ。資料と一緒に作成したのではないですか?どのように資料が作成されたのか、次の段階でどこをどう生かしていくと良さそうか、何てことがだいぶ細やかに記載されていましたが……。」

「!じゃぁ、ボクが救護室に向かった後で……?」

 

資料を作成したのは、彼女しかいない。

 

自分が立ち去ったあとのオフィスで、朝まで、一人鬼一のために頑張る姿が目に浮かび、自然と口角が上った。

 

「いい同僚に恵まれましたね。」

「お互いにね。」

 

鬼一と独歩は互いに同じ人を思い浮かべて微笑み合う。

 

当の本人はやっとたどり着いた自宅でベッドに沈んでいるのだが、その気の抜けきった姿を目にすることになるのが誰なのかは、神のみぞ知ることである。

 

(一日休んで、次に出社したら、ボクはどうすればいいかな……。)

 

更に、普段自分の仕事さえ終えてしまえば後は自由だ、と即アイスを買いに行く鬼一がこんな事を考えているなんて、誰も知る由が無いのであった。

 

 

 




お読みいただきありがとうございました!

GW中に投稿できなかったのが残念ですが、何とか進められました!
すぐ鬼一くんを残業させる悪い癖が出ております(笑)

引き続き楽しく書いていきますのでよろしくお願いいたします!
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