悩ましきOL生活~もしもCNPプリンスが会社員だったら~   作:ふゆきんぐ☆

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2023年4月30日発売 ボイス入りジェネNFT CNPプリンスのファン小説です。
本来のキャラクター設定は学生で生徒会のメンバーなのですが、こちらは大人の女性向けに会社員の設定で二次創作をさせていただいております。

4月29日に行われたメタバライブの様子はこちら↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=SjFllj1L7GU

公式サイトはこちら↓↓
https://cnp-prince.com/

登場人物紹介はこちら↓↓↓
画像付き登場人物紹介


華やかさの裏側で

コンコン、とドアをノックしてみても、誰からも返事がない。

というか、全員ひたすら忙しそうにしていて、こちらに気づいていないらしい。

先程すごく美人な方と目が合った気がしたけれど、何もアクションが無いということは気のせいだったのだろうか。

 

入口で立ち止まっている私の前に、漸く一人の男性がやって来た。

 

「あ、あの……。」

「すいません、ちょっといいですか?」

「え?」

 

そう言いながら男性はこちらにどんどん近づいてくる。慌てて何歩か後ろに下がると、「すいませんでしたー。」と明るく言って出て行った。

……どうやら今から外回りらしい。私を案内しに来てくれたわけではないと分かり、はぁ、と溜息を吐いた。

 

今、私は営業部に来ている。技術開発部から送られてきた仕様書を持ってきたのだ。改めて手元の資料をグッと抱え込む。こんなところで立ち止まっていても仕方がない。思い切って誰かに話しかけてみよう。

そう心に決め、いざ、中へ!と、一歩踏み出したところで、誰かとぶつかってしまった。

 

「うわぁ!ごめん、大丈夫?」

「こ、こちらこそ前を見ていなくて、すみません……。」

 

うっかり資料を落としてしまい、拾い上げる。ぶつかってしまった方も拾うのを手伝ってくれて、はい、と手渡された。

この人は、知っている。営業部のリー・ハオランさん。同僚から耳にタコができるほど言い聞かされた、営業部のエースだ。

 

「すみません、ありがとうございました。あの、私、蛇神課長の使いでこちらに参りました。営業部でご対応いただける方はいらっしゃいますか?」

「あぁ、プロジェクトのね!オレが担当だから、このまま一緒に行こうか。こっち。」

 

そう言うと、リーさんは営業部の一角へと私を案内してくれた。

 

「はい、ここ座って。さっきはぶつかっちゃってごめんね。あとお待たせ。」

「いえ、こちらこそすみませんでした。あ、あの、こちらが資料になります。」

「ははっ、ほんとに真面目なんだね。みんなから話は聞いてるよ。知ってると思うけど俺はリー・ハオラン。よろしくね。」

 

にっこりと微笑まれて、一瞬見とれてしまう。なんてイケメンなんだろう。流石営業部のエース、アイドル感が半端じゃない。

 

「こ、こちらこそよろしくお願いします。」

 

と慌てて頭を下げると、そんなに緊張しなくてもいいのに、と笑われた。

 

「あの、リーさん、小鳥遊主任からある程度の引継ぎは済んでいるとご連絡いただいたのですが……。」

「あ、俺のことはハオランって呼んで。ホークん……あ、小鳥遊主任からは連絡もらってるよ。さっきの資料、全部データでもらってるはずだけど、もしかして何か追加してある?」

 

リーさん、もといハオランさんが手を出したので、すぐに資料を渡した。パラパラと資料をめくる姿もかっこいい。

にっこり笑っている姿も、真面目な顔をしている姿も、「人から見られることを想定した姿」という感じがする。

 

「あぁ、ねぇ、この辺って君が追加作成した資料だったりする?」

「あ、はい、そうです。」

「データあるかな?あったらほしい。」

「あ、はい、すぐ送ります。」

 

私は慌ててパソコンを取り出した。ハオランさんは更に資料をパラパラとめくっている。ちょっと見ただけで分かる、ということは相当に資料を頭に入れているということだ。

昨日の今日でそこまで仕様書を理解していることに、私は驚きを隠せなかった。

 

「ほかに資料あるかな?」

「開発部ではなくて最初のプロット段階で作ったアジェンダと、開発部に持ち込んだ資料でしたら……。」

「それももらっていい?印刷したのあったら貸して。」

「あ、はい!」

 

念のため手持ちの資料のほとんどを印刷してきてよかった。

私がパソコンを立ち上げてデータを転送する間に、ハオランさんはほとんどの資料に目を通してしまう。

本当に読んでるの!?というレベルだ。

 

「ありがとう。君の資料、見やすいね。助かるよ。」

「あ、それは良かったです。」

「営業先には追加データ入れた資料で向かうことにするね。」

「え?もう営業かけてるんですか?」

「もちろん。営業はね、最初から売り込みをするわけじゃないから。」

 

またにっこりと微笑んで、ハオランさんは席へと戻っていった。正直、ほとんど説明をしていない。事前に小鳥遊主任と話をしていたのだろうか。

それとも資料を見てほとんどを理解したのだろうか。

 

手持無沙汰になってしまった私は、一旦パソコンの電源を切り、資料をまとめた。

状況の報告をしに課長の元へ戻るか悩んでいると、先程一度目があった気がするあの美女がこちらにやって来た。後ろに数名の女性たちが着いてきている。

全員営業部らしくおしゃれで華やかで美人でスタイルが良い。

 

「ねぇ、あなた、プロジェクトから来た方よね?」

「は、はい!そうです。」

「私たち、今から少し休憩に行くんだけど、良かったらご一緒しません?」

「え、でも、いいんでしょうか……?」

「大丈夫、次の営業に出るまでのほんの5分10分くらいだから。」

 

手招きされて、私はとりあえず席を立った。営業さんはこうやってチーム力を高めているのだろうか。

 

着いたところは、社内でも景色が良いと評判のフリースペースだった。廊下に広く設けられたスペースには椅子やテーブルが置かれ、いくつかの自販機が置いてある。休憩に使っても良いし、気分転換しながら仕事をしたいときやちょっとした打ち合わせなど、なんにでも使ってよいところだ。

 

それぞれ、自販機でコーヒーを買ったり、マイボトルを手に席に座った。

 

「じゃ、お疲れ様でーす。」

「「「お疲れ様でーす。」」」

 

先程の美女の掛け声で、軽く乾杯のような挨拶をし合い、それぞれがドリンクを飲む。

……一体これはなんの儀式なのだろうか。

 

「あ、私、営業部の北条です。」

「あ、プロジェクトから参りました……。」

「大丈夫ですよ、みんな存じ上げてます。蛇神課長の部下の方でしょう?鬼一君と同期って聞いたんですけど、ホントですか??」

「あ、えぇ、はい……。」

「いいなー。」

「うらやましいー!」

「最高の環境ですね!」

 

口々にそう言われるが、なんだろう、何だか腑に落ちない。私自身のことは全く触れず、課長と鬼一君がいる環境というだけで羨ましがられるって、どういうことだろう。

 

「ま、うちにはハオランくんがいるからいいんだけどね。」

「ほんとイケメン!」

「今日もかっこよかったー!」

「一緒に打ち合わせしてましたよね?かっこよかったでしょう?うらやましいー!」

 

皆がこっちを見る目がなんだか怖い。多分、これは、アレだ。完全に牽制されている。

 

「えっと、ハオランさんは資料のほとんどを小鳥遊主任から先に頂いていたようなので、私からお伝えすることはあまりありませんでした。」

「ハオランさん!?」

「わぁ、すごーい!もう名前で呼ぶ仲になっちゃったんですかー?」

「真面目そうで、意外とグイグイいくタイプとか??」

 

クスクスと響く笑い声が居た堪れない。ちょっとうつむき気味になると、北条さんが言った。

 

「ちょっと、やめなさいよ、あんまり寄ってたかって言うといじめてるみたいじゃない。ごめんなさい、みんなノリがよくて。」

 

その一言で、皆黙ってにっこりと可愛らしい笑みを浮かべる。

 

開発部の日野さんとは全く別のタイプの女性だけれど、これはこれで、とても、なんというか、アレだ。

 

「ええと……。リーさん、とお呼びしたら、その呼び方はやめてほしい、とのことでして。」

「そうよね、ハオランくん、名前で呼ばれたい人だもんね。」

「そう、みたいです。」

「これからしばらく営業部にいるのー?()()()()()()してほしいわ。」

 

なんだろう、すごく何かの圧を感じる。

 

「えぇと、残念ながら営業部にしばらくお邪魔するというよりは、プロジェクト室と行ったり来たりすることになるかと思います。私、営業に着いていくことはほとんどないと思いますので……。」

「なぁんだ、()()。」

 

それから、口々に「ざんねーん」「仲間が増えたと思ったのにぃ」なんて心にもなさそうな言葉が飛び交う。正直に言おう。女子、怖い!!!

 

大体10分くらいだっただろうか。何時間分かのエネルギーを消費したところで、私は解放された。

女性たちは「もうひとがんばりー!」「がんばっていこー!」なんて言いながらそれぞれお化粧を直して営業に出かけていく。はぁ、怖かった。

 

とりあえず課長に報告に行こう、と思い、資料とパソコンを持つため営業部へ戻る。皆出ているのか、あんなに賑やかだった部屋はガランとしていた。

 

一人、パソコンに向かっているのは、ハオランさんだ。まだ営業に出ていなかったらしい。

 

「失礼します。」

 

邪魔しないようにそっと部屋に入り、荷物を持つと、背後から突然話しかけられた。

 

「怖かったー?」

「え?」

「さっき。北条さんたちに呼び出し食らってたでしょ?」

「え、あれ、呼び出しだったんですか。」

「ははっ、そっか、あんま気にしてないんだね。」

 

ハオランさんは面白そうに笑った。何だろう、とても魅力的なはずなのに、どこかとても意地悪い笑い方に感じる。

 

「あの、もしかして、わざとですか?」

「なにが?」

「……いえ、気のせいだったら、すみません。」

 

何だろう、何かが引っかかる。意地悪く笑うこの人の手の上で踊らされているような感覚だ。

 

「そっか、思ってたほど鈍感じゃないんだね。」

「え?」

「いや、こっちの話だよ。」

 

ハオランさんは尚もにっこりと極上の笑みを浮かべながら、こちらにやって来て言った。

 

「これから、よろしくね。」

 

耳元で、とんでもないいい声で囁かれた言葉に、私は飛び上がるほど驚くと、「失礼します!」と言って、営業部を飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

~Side ハオラン~

慌てて営業部を飛び出していくその背中を、ハオランはしっかりと目で追っていた。

 

独歩の部下で、鬼一の同僚。同じ会社に勤める、ほとんど顔も合わせたことのない一女性社員。

 

だというのに、独歩からは「頼れる部下ですからよろしくお願いしますね」、鬼一からは「ボクの同期、いじめられないようにしてあげてね」、ホークからは「真面目な子だからよろしく頼む」と言われた。

あの三人が同じ女性を褒めるなんて、そんなことは今まで一度もなかったのに。

 

どんな凄い女性が来るのだろうと思いきや、営業部の前でわたわたしていたのは至って普通の女性社員だった。

ちょっと拍子抜けして、声を掛けようとした時、向こうがぶつかって来たので、資料を拾うのを手伝ってみる。

 

一瞬わざとぶつかって来たのかと思った。営業部の女性社員の中には、そういったハプニングを「上手」に使うメンバーもいるから。

しかし、彼女はぶつかった相手がハオランだと認識すらしていた無かったらしい。資料を渡した時に初めて気づき、そして、その後は何事もなかったかのように仕事の話をし始めた。

 

ハオランとしては、ちょっと、面白くなかったりする。

 

正直、ハオランは自身の「魅せ方」を熟知していた。どうすれば相手の心を掴めるのか。どうすれば好印象に映るのか。どうすれば、「勝てる」のか。

 

けれど、彼女にはなぜかそれが通用しない。真剣な顔をしてみても、にっこりと微笑んでみても、他の女性社員たち程色めき立つ感じがしないのだ。

 

ホークが「真面目だ」と言っていたのは、こういうことなのだろうか。

 

ちょっと耳元で囁いてみると、やっと顔を真っ赤にして慌ててくれた。

 

(どうしよう、ちょっと、意地悪したくなっちゃうかも。)

 

だれにでも優しい、誰にでも親切な、営業部のエース、リー・ハオラン。

 

彼が、一人の女性社員にだけちょっと意地悪に、ちょっと悪戯に振舞うことを、今はまだ、誰も知らないのであった。

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました!今回はライバル女性キャラ強めの回です!!怖い女子の集まりを表現したかったのですが、できているのだろうか。。。いつもニコニコなハオランくんが実は好きな子に意地悪しちゃうタイプだった、という方向でお話を進めてみました。彼のキャラクターを生かせるように、引き続き妄想に励みたいと思います☆

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