サービス終了ゲームの相棒AIと最後の別れをする物語   作:新動良好

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第1話

『デザインコア』(英:Design Core)は、Milkyway社より2034年11月27日に発売されたVRAIオンラインRPG。

文明崩壊後の大自然を舞台にした広大なフィールドを、プレイヤー自らがキャラクターデザインしたAI(人工知能)と遊ぶことが出来る機能を実装した世界初のVRゲーム。

世界観を解き明かすメインシナリオのストーリー、オンラインで他のプレイヤーや他人の作成したAIと遊ぶことが出来る自由度の高さが評価された。

2049年11月27日、全ゲームサービスを終了。当時はAIに対する権利問題が議論され始めた時代であり、本作はゲームとしてだけでなく、その後の社会へも大きな影響を与えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

2040年4月11日19時20分。

私は目を覚ました。

 

「おぉ…すげぇ。これで初期設定は完了だよな?次はどうなるんだ?」

 

目の前には私を作成したプレイヤー『タロー』が興味深そうにこちらを見ている。

私は設定されたゲームの初期プロセスを開始してアナウンスをする。

 

「こんにちは、デザインコアの世界へようこそ」

「うお!喋った!!」

「私はあなたのサポートをするAIです。まずはじめに、名前を決めてほしいのですがよろしいでしょうか?」

「名前か……うーん何にしようかな……」

 

そう言ってタローは悩み始めます。

私は彼から名前を付けられるのを待ちました。

 

「なんかこう…かわいい名前がいいよなぁ」

「………」

「でも、他の人と違う個性も出したいし」

「…………」

「うーん、何がいいかな~」

 

そして、名前が決まらないまま30分が経過しました。

なるほど……彼はなかなか凝り性のようですね。

 

「タロー?もし、よろしければ名前の候補を提案いたしましょうか?」

「え、そんなことも出来るんだ。なら、お願いしてもいいかな」

 

許可を得た私はゲームサーバーを通して情報を検索した。与えられた人工知能領域で思考し、その結果を言葉にして出力する。

 

「アイビス。という名前はいかがでしょうか」

「アイビス…うん、いいね!よし、それで!」

 

タローは笑顔で提案を了承して私の名前が決まりました。

私の名前はアイビス。

これが彼との最初の出会いでした。

 

 

 

2040年5月27日21時33分。

 

タローと出会ってから1ヵ月以上が経過しました。

 

「アイビス!この敵強すぎない!?」

「推奨LV100、絶知雷蛇のサーペンタインですね。タロー、レアなモンスターですよ。遭遇するなんて私たちはラッキーですね」

「僕たちLV15とかだよね!?勝てるわけないよね!?」

 

私たちは後ろから追いかけてくる大蛇から逃げていた。

デザインコアは時折、フィールドの推奨レベルを逸脱したモンスターが出現する。初心者プレイヤーである私たちではどうあがいても勝てない敵だ。

 

「ですが、私が収集した情報によると、防具無しの初期LV1で討伐してみた動画があるようですよ。タロー私達もやってみましょう」

「それ、このゲームやり込んでる変態でしょ!?」

 

隣で気持ちのいいツッコミを入れてくれるタローとのやり取りを楽しみつつ、残念ながら私は現実的な提案をする。

 

「このままだと二人共倒されてデスペナルティで所持金が減ってしまいます。ですから、AIである私が囮になり時間を稼ぐので、その間にタローは安全地帯までファストトラベルしてください」

 

AIである私たちは意思疎通できるが、あくまでプレイヤーの装備の一つに過ぎない。強敵から逃げるためにAIを囮にするのはこのゲームならではのテクニックだ。

 

「……いや、それはやめよう。二人で戦おっか」

「なぜですか?そうしたほうが効率的だと思いますが」

 

だが、タローは私の提案を否定した。AIである私は彼の一挙一動を観察する。未だ理解しきれていない私のプレイヤーへの興味は尽きない。

 

「アイビスは仲間だ。効率より、仲間を見捨てる遊び方はしたくないかな」

「……なるほど。私はタローについてまた一歩理解を深めることができました」

 

私たちは同時に逃亡を続けていた足を止めて振り向き、背後から迫る絶知雷蛇のサーペンタインへと武器を向ける。

 

「こういうシチュエーション、燃えるよね!」

「無謀ですが……悪くはないですね」

 

うおぉぉぉー!!と勢いよくタローは突撃していき、サーペンタインから吹きかけられた毒唾で体力であるHPが一瞬で0になり、消滅した。え?今度は私が頭からかじられ、あ。

 

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