今回の話は、クリスマスゲームの直前の話という設定です。
ビートライダーズホットライン。DJサガラと呼ばれる男がパーソナリティを務める、ビートライダーズの為の情報番組だ。市街地のモニターや、スマホなどで見ることができ、ビートライダーズに人気である。
『ハッロ〜ゥ、ビートライダーズ諸君〜‼︎ ななななななんとも大変なことが起きちまった‼︎ こいつを見てくれよ‼︎』
昨日の、バロンとその対戦相手との戦闘の映像が流れる。
『はぐれビートライダーの少女がバロンに挑戦‼︎ なななんと、そいつはアーマードライダーに変身‼︎ あのアーマードライダーバロンをいとも簡単にノックアウト‼︎ 見た目の美しさからは想像出来ない残酷な攻撃は、まさに乱れ咲く桜‼︎ アーマードライダー、櫻音(サクラネ)といこうじゃないか‼︎くぅ〜ッ‼︎ 白熱必須なアーマードライダーバトル‼︎目が離せないぜッ‼︎』
スマホをポケットにしまい、コーヒーを口に含む。私…紅宮 深雪はドルーパーズに来ていた。そして、目の前には……
「とんでもないデビューを飾っちまったな…まさかバロンの戒斗をいとも簡単にやっちまうとは…」
錠前ディーラー・シドがいた。
「どうだい?戦極ドライバーは。」
「素晴らしい力を貰った……礼は言う。」
「それで? 他のチームの脅威になっていたバロンはやっちまったし……次はどうすんだい?」
「バロンより上のチームを叩く。」
シドはタブレット端末を取り出した。そして、ランキングを見せる。
「となると……鎧武になるかねぇ……。」
チーム鎧武。現在トップのチームか。
「俺たちがなんだって?」
そこにやってきたのは、チーム鎧武の葛葉 紘汰と呉島 光実。
「おやおや、噂をすればなんとやら。」
「あなたですよね? バロンに大怪我を負わせたアーマードライダー櫻音は。」
櫻音……サガラが付けた名前だが、悪くない。今後も名乗らせてもらうか。
「えぇ、だったら何?」
葛葉がテーブルに手を置き、私を見る。
「あんたに話がある。」
「………。」
私は葛葉と共に店を出た。
2人が出た後のドルーパーズにて、呉島 光実とシドが互いに向き合って座る。
最初に口を開いたのは光実だった。
「………何を考えているの?」
「単に、ゲームを面白くしようとしただけだがねぇ…?」
「……あのロックシードも?」
「いや、俺が渡したのは戦極ドライバーだけだ。あのロックシードは、嬢ちゃんの自前さ。」
「……あのロックシード、何なの?」
その一言に、シドの表情は少し固くなる。
「あのロックシードは俺も見たことがなくてねぇ……分かってるのは、亜種……稀に現れる突然変異種ってやつかね……?」
「そんなモノが……?」
「まぁ、A級のロックシードより強いってのは確かだ。バロンを倒すくらいの力だしな。」
「そう……分かったよ。ありがとうシドさん。」
光実は、暗い表情から一転、明るい笑顔を見せ、その場を後にした。
「やれやれ……おっかない坊ちゃんだこった。」
私は葛葉と、チーム鎧武のガレージの外に来ていた。
「あんた、何で戦ってんだ?」
到着するや、そんな質問を投げかけられた。
「……私は、私の居場所を見つけるため…自分の存在意義を探すために戦っている。」
「? 存在意義……?」
「私は今まで、死と鉢合わせが日常茶飯事の場所に産まれて育った。生きるために、命をかけて戦わなければならない…そんな世界にいた。けど、私は力が無かった。だから逃げ出した。自分の存在意義のわからない者に、生き残ることは出来ない。」
私は拳を固めた。
「だから私は、この町で自分の存在意義を見つけ、産まれた町で生き残れるほどの力を手に入れ、生き残ってみせる。」
「あんた…………」
「丁度いいわ………あなたも、倒す。あなたを倒せば、私はビートライダーズの頂点に君臨するんでしょ?」
私は戦極ドライバーを装着した。
「………なるほどな。あんたの戦いにかける思いは十分に分かった。だがな……俺は負けられないんだ。大切なものを…この手で守るために‼︎」
葛葉も戦極ドライバーを装着。
「変身‼︎」
「変身…。」
ロックシードを解錠。
『オレンジ‼︎』
『ワイルドストロベリー‼︎』
ロックシードをドライバーにセットしてロック。
『ロック、オン‼︎』
ブレードを倒す。
『ソイヤッ‼︎』
『オレンジアームズ‼︎花道・オンステージ‼︎』
『ワイルドストロベリーアームズ‼︎惨劇・バーサーク‼︎』
鎧武は大橙丸と無双セイバーを構える。私…櫻音も、乱丸と無双セイバーを構えた。
互いに睨み合う。
「うおおおおっ‼︎」
鎧武が駆け出し、両手の刃を振り下ろす。私はそれを受け止め、振り払う。距離を離し、私は駆けながら乱丸を振るう。斬撃は鎧武に炸裂する。
「ぐあっ⁉︎」
鎧武は怯む。
「強い……伊達に戒斗を倒した訳じゃないってか‼︎」
鎧武は立ち上がり、ベルトのロックシードを外した。
「こいつでいくぜ‼︎」
『イチゴ‼︎』
鎧武の頭上にイチゴが現れた。
『ロック、オン‼︎ ソイヤッ‼︎』
『イチゴアームズ‼︎シュシュっと、スパーク‼︎』
「喰らえっ‼︎」
鎧武はクナイを投げつける。
「っ‼︎」
私はクナイを弾き落とす…が、しかし。
「うおらぁっ‼︎」
弾いたところにクナイが飛んでくる。私は武器を落とし、クナイをくらって跪く。
「っ‼︎」
私はロックシードを取り出した。先日のインベスゲームで手に入れたものだ。
『イチジク‼︎』
ベルトにセットする。
『ロック、オン‼︎ ソイヤッ‼︎』
『イチジクアームズ‼︎乱弾・ツインブラスト‼︎』
鎧が変わり、両手に小型銃…イチジクマシンガンが現れた。
「このっ‼︎」
鎧武がクナイを投げつける。私はマシンガンでクナイを撃ち落とす。
「なっ⁉︎」
「そこっ‼︎」
鎧武にマシンガンを放つ。弾丸は鎧武に着弾する。
「ぐあっ⁉︎」
鎧武は怯む。
私は一回、ブレードを倒す。
『ソイヤッ‼︎イチジクスカッシュ‼︎』
マシンガンにエネルギーを溜め、無数のエネルギー弾を放つ。
「くっ‼︎」
鎧武は無双セイバーにロックシードをセット。
『ロック、オン‼︎イチ、ジュウ、ヒャク、セン‼︎イチゴチャージ‼︎』
「セイハーッ‼︎」
無双セイバーから無数のクナイを放ち、エネルギー弾を相殺する。
なるほど。確かにバロンよりは骨がありそうだ。
「はぁ……はぁ………っ‼︎」
鎧武は膝をついた。私はゆっくり歩み寄り、ワイルドストロベリーアームズにチェンジし、乱丸の刃先を突きつける。
「終わり……ね。」
「くっ………‼︎」
乱丸を振り上げた……その時だった。
「そこまでにした方がいいんじゃないかな?」
私の背後で銃口を向けていたのは…チーム鎧武のアーマードライダー、龍玄だった。
「み、ミッチ‼︎」
「邪魔しないで。相手を倒すまで…動けなくなるようにするまでが、勝負。」
「もう紘汰さんは動けない。動けない相手を攻撃したって、君の印象が悪くなるだけじゃないかな?」
「………何が言いたいの?」
龍玄は、手に持ったブドウ龍砲の銃口を下ろし、変身を解除した。私と鎧武も、それに続いて変身を解除した。
チーム鎧武の呉島 光実は腕を組んで私を見る。
「他のチームのインベスゲームに乱入するのは構わないけど、少し空気を読むべきじゃないかな?君は今、恐れられ、嫌われている。君の居場所を守る為にも、程々にした方がいいんじゃないのかな?」
「お、おいミッチ。少し言い過ぎ…」
葛葉の言葉を遮るように、私は口を開いた。
「確かに、あんたの考えは一理あるよ。けど……私に居場所なんてない。居場所を探す為に…存在意義を見つけるために。だから私は、この町で強くなる。そうすれば、存在意義も居場所も見つかる……そのはずだから。」
私はその場を後にした。
深雪が去った後、光実は紘汰に肩を貸し、一緒にガレージに戻ってきた。
「こ、紘汰⁉︎」
舞たちが2人に歩み寄る。
紘汰は椅子に座る。
「戒斗を倒したアーマードライダーと戦ってきた……かなり強かった……‼︎」
「紘汰さん、無理しちゃダメっすよ。クリスマスステージも近いんだし。」
「そうですよ‼︎あんまし無茶しちゃダメですよ‼︎」
「皆……ありがとうな。」
この一週間後、クリスマスのアーマードライダーバトル……ロックシード争奪戦が行われた。
「………。」
いつも通り、食事を済ませて私は裏路地を歩いていた。
「………⁉︎」
門を曲がった先に……ロックシードを解錠した時に現れる裂け目が出来ていた。
「何故……?」
この先に何が……?
私はその裂け目に足を踏み入れた……。
次回はクリスマスステージ終了後、斬月・真初登場回辺りの時間軸のお話になります。