今回は戦闘シーンはありません。
ちょっとキマシタワー的な感じが…(笑)
「ゲホォッ‼︎」
激しく吐血し、地面を這いずっている私…紅宮 深雪は空腹に飢えていた。路地裏の倉庫の死体のストックはない。
「くそ……っ‼︎」
このままじゃ死ぬ……。私は何とか立ち上がり、路地裏を進む。
「………?」
向こうの方から……いい香り…肉だ……人の肉の匂い…‼︎
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……‼︎」
曲がり角を曲がる。そこでは……
「ひっ⁉︎」
1人の少女が……喰種の少女が死体を貪っていた。
「あんた……」
少女は頭を抑え、蹲る。
「ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい……」
震えながら泣いている。私は……少女の頭を、血塗れになった手で撫でた。
「……大丈夫。私はあんたの仲間よ。」
「え………?」
少女は顔を上げ、私を見つめる。
紅い瞳で見つめる少女。私はその少女に微笑む。
「く………ゲホッ‼︎」
吐血する私。少女は……私に死体の内臓を差し出す。
「食べて………?」
少女は心配そうな表情で私に肉を差し出していた。私はそれを受け取る。
「……ごめん、ありがとう。」
私たちは、その死体を貪った。私の腹は満たされた。
ユグドラシルの研究室。戦極 凌馬と呉島 光実が話していた。
「困るよ光実くん……大事なデータなのに。」
「所詮は喰種…人類にとっては、恐怖にしかならない哀れな生き物ですよ?」
「他の調査によるとお人好しな喰種もいるらしいよ?それこそ、葛葉 紘汰くんのような…ね。」
光実は溜息をついた。
「……彼女に会ったら、戻るよう言っておきますよ。」
「よろしく頼むよ。」
光実は研究室を出た。それを見ていた戦極の秘書…湊 耀子が戦極に言う。
「私は中々興味深いですよ?喰種というものは。」
「おや湊くん。君にしては珍しいね、そういった類のことに興味を持つとは……」
「彼らの生への執着……とてつもない意志の強さを感じます。」
「生への執着、か……」
戦極はパソコンに向かい、データの閲覧を始めた。湊はその場を後にした。
「家族を失って、この町に逃げて来た……か。」
私は路地裏で少女と話していた。どうやら彼女は私と似たような境遇に遭ったようだ。前にいた町の生存競争に破れ、命を最優先にして逃げ出した。
「皆……酷かった………喰種だから…弱いからって、皆……私から全てを奪っていった……。」
私は彼女の頭を撫でる。
「………大丈夫。あんたは私が守ってやる。」
「ほんと………?」
「約束するよ。あんたが1人で生きていけるようになるまでは、私があんたを守る。」
………守る?
何で私………今そう思った?
この姿を見て、この子の事情を聞いて、放っておけないって感じた……から。
『弱いも強いも関係ない…‼︎守りたいものがそこにあるなら…俺は守るだけだっ‼︎』
葛葉 紘汰………。
……そうか。
「あんた、名前は?」
「……春奈。羽崎 春奈(はねさき はるな)。」
「春奈、か。私は紅宮 深雪。深雪って呼んで。」
「深雪………ありがとう。」
春奈は私の胸に飛び込んだ。私はそれを優しく抱いた。
「ここにいたのね。」
声のする方を向く。湊 耀子がいた。戦極の隣にいた秘書だ。
「……どうかした?」
「プロフェッサーが心配していたわ。早く戻りましょう?」
「そ、分かった。春奈、行こう?」
「う、うん。」
春奈は私の服の袖を掴み、私に着いて歩いた。
「喰種……?」
チーム鎧武のガレージ。ビートライダースの合同ダンスイベントのミーティングの後、光実は紘汰達に喰種の話をしていた。
「はい。人を食べることしか生きられない亜人種……この沢芽市にも現れたみたいです。」
「何それ怖い……‼︎」
「脅威となり得る以上、野放しにするわけには行きません。合同ダンスイベントにも、インベスだけじゃなく、喰種の乱入も考えられます。見つけ次第、殲滅しましょう。」
「じゃあ、見つけたら紘汰さんかミッチに連絡ってことでいいの?」
リカが問う。光実は頷く。
「うん、その方針で頼むよ。紘汰さんもお願いしますね。」
「あ、あぁ……。」
「よし、じゃ、最後の仕上げしよう‼︎皆行くよ‼︎ほらミッチも‼︎」
「はい‼︎」
舞たちはガレージを出た。紘汰は一人、ガレージの椅子に座り、考えていた。
「喰種……か。」
「遅かったね。どこにいっていたんだい?」
私は研究室に戻ってきた。戦極が歩み寄る。
「少し深手を負ってね。その後、この子と食事してた。」
「その服の返り血からよく分かるよ……その彼女は?」
「羽崎 春奈。私と同じ、この町に迷い込んだ喰種だ。」
春奈は私の服の袖を掴んだまま、少し怖がっている。
「なるほどなるほど……。」
戦極が彼女に手を伸ばそうとしたところを、私はその手をはたき落とした。
「…春奈はあんたの実験とかには使わないで。この子は何もしていない。たまたま自殺した死体を食べていた…それだけ。」
「ほう?その子を守る……と。」
「………春奈に手を出したら、あんたの内臓引きずり出すから。」
その発言に湊が反応し、こちらを睨み付けた。が、戦極が彼女の肩に手を置いた。
「よしたまえ湊くん。分かった、約束しよう。彼女は君と同じ部屋にいるといい。その方が安心だろう?」
「……感謝するよ。行こ、春奈。」
「う、うん………。」
私たちは研究室を後にした。
「プロフェッサー……」
「大丈夫だよ、心配いらない。それに、彼女が私に歯向かうなら、私はそれなりの対策も練っているからね。」
戦極はゲネシスドライバーを取り出した。
「喰種の身体の硬さに対応できるように、ドライバーをチューニングしておいた。これで喰種が襲いかかろうと、すぐに対応が出来る。」
戦極は椅子に座り、再びデータの閲覧を始めた。
休憩用の個室に入り、私はテレビを点け、コーヒーを淹れ、春奈に渡す。
「あ、ありがと…。」
「ごめんね、変なやつに会わせて。」
「ううん、大丈夫。」
春奈はコーヒーを啜る。
「美味しい…………」
「私のブレンド。3種類くらいを混ぜたの。」
「……お母さんのコーヒーみたい…。」
ベッドに座っている春奈の横に座る。
「ねぇ、春奈のお母さんってどんな人だったの?」
春奈はコーヒーカップの淵を指でなぞりながら話した。
「とっても優しい人だった。喰種だったけど、普通に人間の世界に溶け込んで、お仕事もしてて、明るくて。食事も、人を殺さず、自殺だったり、病気とか、寿命で亡くなった人たちの死体しか持ってこなかったの。」
素敵な人だな……。
「人と喰種の架け橋になる……いつか分かり合えるって信じて、お母さんは頑張ってた。けど………」
春奈は……涙を零した。
「春奈……?」
「お母さんとお父さんは……通報されて……白鳩に……っ……っ…。」
そうか……。
「………あたしと同じだね。」
「え………?」
「あたしもね、両親が通報されて、白鳩に殺られた。ま、私の両親は、春奈のお母さんみたいに優しく無かった。人も殺してたしね。けど、それでも、私にはとても優しかった。それ以来、私は人なんてそこまで信じないことにしたんだ。」
「そう、なんだ……。」
私はコーヒーを飲み干した。
「春奈は、人を信じてるの?」
「………うん。いつか、分かり合える日が来る。お母さんの気持ちを…意志を継いで、信じてる。今はまだ難しいかもしれない。甘ちゃんの戯言っていうのも分かってる。けど……私は信じたい。」
「春奈………」
この子は強い。私はそう感じた。優しさと意志の強さ。二つを備えている。
私は逃げていたのだ。どうせ無理だと、分かり合えないと。
けど、この子は信じてる。人と喰種が共存出来る世界を……可能性の低い、実現の厳しい世界を。
必死に生きて、生きて、生き抜こうとしている。そして、示そうとしている。その世界を。
「ご、ごめんね、偉そうに…」
「ううん。凄いね春奈は。立派だよ。」
「そ、そんなことないよ……」
「ねぇ、春奈。」
私は春奈の手を握った。
「その夢の手伝い…してもいいかな?」
「え……………?」
「………あんたと、ある男のこと考えたらさ…私やりたいことが出来たかも。」
「深雪のやりたいこと…?」
「………分かり合える世界。私ももう少し、信じてみたいかも。だから、私…あんたと、あんたの夢を守る。」
「深雪…っ。」
深雪は私に抱きついてきた。
私も抱き返す。
「ありがとう……深雪。」
「………うん。」
お礼を言うのはこっちだよ。この子に会わなかったら、気づけなかっただろうな。本当に大切なものに。
「おやおや……これはこれは怖そうな…。」
ユグドラシルの研究室。そこに入り込んできたのは…2人の、トランクケースをもったスーツの男。
「喰種はどこにいる?この町に迷い込んでいると報告を受けている。どこだ⁉︎」
戦極は答える。
「困りましたねぇ……あぁ、そうだそうだ。ここ最近路地裏で妙な噂を聞くんですよ。恐らく、そこにいるのではと。」
「貴様らは直接関わってないのか?」
「えぇ、その通り。」
「そうか……分かった。邪魔したな。」
男はその場を後にした。
湊は戦極に問う。
「プロフェッサー、あれは…」
「沢芽市の外から入ってきた人間のようだね…喰種対策局……沢芽市にはない組織だよ。」
「喰種対策局……」
「名の通り、喰種を取り締まる組織のようだね。いやいや、危ない。貴重なデータを失っては困る……。」
戦極は顎を手の甲に置いた。
「喰種対策局……面倒なものが絡んできたな。」
新アームズ…鎧武でいうカチドキのポジションのアームズをどうするか思案中です(^^;;
思いつきはするが、決まらない……‼︎(笑)