音割れポッターBBの知識だけでドラコ・マルフォイになってしまった   作:樫田

95 / 97
ズル休みスナックボックス

 

 スリザリン寮にはない眩しい朝日で目覚めたとき、一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。至るところにある真紅の装飾が施された家具を見て、ようやく昨日の出来事が脳裏に蘇る。そうか。昨晩、僕はあのままグリフィンドール寮に泊まったのだった。

 静かな部屋に光を差し込む太陽は、まだ低い位置にある。ハリーのベッドはカーテンが閉じられているが、中から規則正しい寝息が聞こえてくるし、他の子もぐっすり眠っている。そばにあった時計を見てみると、まだ起きるには早い時間だった。……朝食前にハリーとともにマクゴナガル教授のところに行きたいし、混み合ってくる時間帯に洗面所に行って衆目を集めるのは避けたい。さっさと朝の準備をしてしまおう。軽く身支度を整え、他の子供を起こさないようにそっと部屋を出た。

 

 談話室に向かう階段を降りたところで、ふと気づいた。見慣れぬグリフィンドール寮のどこに洗面所があるか知らない。しまったな。男子寮と女子寮にそれぞれありはするのだろうが……一度下まで行こう。導線を辿れば見つけられるだろう。そう思い談話室に降りようとすると、何か物音が先のあたりから聞こえてきた。もう誰か起きているらしい。場所を尋ねようと早足に入口を通った先にいたのは、ウィーズリーの双子だった。

 二人は掲示板の前に立ち、何やら大きな貼り紙を画鋲で止めようとしていた。そのポスターには太い目立つ字で何かがデカデカと書いてある。

 

 ガリオン金貨がっぽり! 小遣いが支出に追いつかない? ちょっと小金を稼ぎたい? グリフィンドールの談話室で、フレッドとジョージのウィーズリー兄弟にご連絡を。 簡単なパート・タイム。ほとんど骨折りなし。

      (お気の毒ですが、仕事は応募者の危険負担にて行われます)

 

 なんだこれは。物音に気付き、こちらを振り返った二人の顔に「マズい」と言わんばかりの表情がサッと広がった。片方が取り繕うように、爽やかにこちらへと笑いかけてくる。

 「やあ、おはよう。マルフォイ」

 僕も微笑みを浮かべ朗らかに返す。

 「おはよう。グリフィンドール塔の朝は清々しいね。それで。差し支えなければ。応募者に危険の責任を負わせるような小遣い稼ぎが何なのか、教えてもらえると助かるんだがね」

 予想していたかのように、声をかけて来た方──おそらくフレッド──が深々とため息をつく。挨拶をしなかった方──たぶんジョージ──がやれやれと言わんばかりに肩をすくめた。

 「だから明日にしておこうって言っただろ?」

 

 そんな小手先の策が通じるものか。即座に嗅ぎつけるに決まってるだろう。腕を組んですがめ見ると、二人は観念したかのようにこちらにしっかりと向き直った。

 「パンジーとザビニに秘密にしてないんだったら、発覚は時間の問題だ。で、何を子供にさせるつもりだ?」

 問いに双子は一瞬顔を見合わせ、フレッドの方から話し出した。

 「『ずる休みスナックボックス』ってのを開発しててね」

 もとよりそこまで隠すつもりもなかったのか、双子は淀みなく、その「ずる休みスナックボックス」──ゲーゲー・トローチだの、気絶キャンディだの、鼻血ヌルヌル・ヌガーだの──の説明を始めた。薬機法という言葉が急速に頭を過っていくが、悲しいかな、魔法界に二十一世紀日本水準の法規制など存在しない。

 彼らの育ちきった発明家としての才能は、存分に悪戯グッズ作りに生かされているらしい。そんなスナックがなくとも、毎年のように僕に強い頭痛を引き起こしてくれる双子であった。

 

 「はっきり言って、ものすごく危険なものに聞こえるんだけど」

 渋面を全く隠す気がない僕に対し、フレッドはだるそうに壁に寄りかかり、こちらを半目で見た。

 「君、一昨年は悪戯菓子程度なら許すって言ってたって、パンジーから聞いたぜ?」

 確かにそうだった。ルーピン教授が去ったことに凹んでいた僕は何気なく、菓子程度であればいいかと彼らを看過したのだった。気付かぬうちに、僕はこの世界の価値観に相当毒されていたらしい。これは良くない先例を作ってしまった。エスカレートすることを予想して、あのときちゃんと首根っこを捕まえておくんだった。

 

 しかし、図星を突かれた様子を二人に悟られるのは宜しくない。何食わぬ顔を作り、腕を組んで言うべきことを探す。

 「それはハニーデュークスで売ってるものに毛が生えた程度だったからだ。今回の『スナック』はそもそも体調不良を目的としてるんだろう。とりあえず君たち自身で実験したんだろうが、他の子にどういう効果が出るかは分からない。だから実験台を探しているのだから。そうだろう?」

 二人は図星を突かれたような顔をしてくれた。しかし、実のところ旗色はこちらが悪い。僕は無許可での魔法薬の醸造を禁止する校則でしか二人の行為を規制できない。ホグワーツの校則は残念ながら二人に対する抑止力にはあまりなっていない。監視しようにもグリフィンドール寮内をずっと見張ることはできない。そうなれば、ことの予防は望み薄だ。その間に致命的な事故が起きたら取り返しがつかない。

 

 それに……この二人は本当に危ない境界を嗅ぎ分ける嗅覚があるだろう、という今までに培った信頼もある。ここは全面的に禁止に持っていくのではなく、最低限のラインを定めるくらいが限度だろう。あとはハーマイオニーやハリーに監視してもらうしかない。

 随分と甘い方策だが、仕方ない。無理に禁止する方が厄介なことになりそうだし、ここは魔法界であることを踏まえて説得しなければならない。

 

 頭の中で落とし所を決め、それに誘導すべく僕は話を続けた。

 「一年生なんかは身体も小さい。出血させるようなお菓子もある。投与量の設定は厳密に考えないといけないし、不測の事態に万全の備えをしておかなければ、人死だって考えられる。君たちだってそれは分かってるよね?」

 僕の言葉に、再びフレッドは軽やかに答えた。

 「ああ、だから危険負担は応募者に担ってもらうんだ」

 その程度の認識なのか? 思わず目を細め、じっくりとフレッドに視線を投げる。

 「その文言こそが、あのポスターの中で最も愚拙なところだ」

 こちらの声色が変わったことに気づき、ジョージは少し視線を彷徨わせた。

 

 ここは真面目に聞いて貰わねばならない。しかし、彼らは感情的な訴えには耳を貸さないタイプだ。だからこそ、勤めて淡々とした口調で話を続けた。

 「治験の対象はほとんど未成年だろう。責任能力なんて、あってないようなものだ。重大な事故が起きた後、本当にあのフレーズひとつで君たちは責任から逃れられるかな? 誰からも責められることなく、『ああ、モルモット自身が決めたことなんだから仕方ないね』と言ってもらえるかな?」

 ジョージが口を開こうとするが、それを手で制し、更に言葉を続ける。

 「それだけじゃない。危険な事故を起こしたという悪評は、必ず未来の君たちの足を引っ張る。例えば、自分たちの店を持つとき。例えば、他の悪戯グッズを売り出すとき。例えば、その材料を仕入れるとき。結果として、事実という責任は君たちについて回る。その不利益が想像できない君達ではないはずだ」

 

 実利に基づいた予測に、ようやくフレッドの表情に思案げな色が浮かぶ。そこまで考えてなかったんかい。まあ、魔法族の倫理観なんてそんなもんだと言われればそこまでなんだが。実際、噂がそこまで広まらないか、広まっても看過する可能性は大いにありうる。それでも、この子達はできるだけ真っ当な形でクリーンな商売をしてほしい。

 少しだけ神妙になった双子に対し、さらに切り札を出す。

 「それに、君たちだって成人しているだけで、ホグワーツの生徒でウィーズリー家の子供だ。未だ君たちは誰かの監督下にあり、子供を危険に晒した咎はそこまで及ぶ」

 一瞬二人の顔に保護者への反感のようなものが過るが、続く言葉にそれはかき消えた。

 「想像できるだろう。マクゴナガル先生、ダンブルドア校長、君たちの両親は()()()()子供を止められなかった責任を取ることになる。現在冷戦状態にあるファッジに特大の付け入る隙を与えることになるわけだ。もちろん平時だって問題は問題だけど……今の情勢で、それは絶対に避けなければならない。違うかな」

 

 流石に僕が何を懸念しているのか見当がついたらしい。フレッドは眉根を寄せて顎に手を当てた。

 「……本気でファッジが僕らみたいな生徒の失敗をいちいちあげつらうって思うのか?」

 自信なさげなジョージの問いに、僕は迷いなく頷いた。

 「思うね。君たちはダンブルドアと友好的なことで名高いアーサー・ウィーズリー氏の息子だし。校長であるダンブルドアの名誉を毀損するなら、校長としての能力にケチをつけることほど手っ取り早いことはない。この程度の小さなことで、と思うかもしれないけど、それを看過する姿勢が問題だと言われれば、まあ、その通りだからね」

 少しの間、沈黙が落ちる。しかし、双子は顔を見合わせるまでもなく意見を固めたようだった。

 

 ジョージは息を深く吐くと、少し皮肉げに笑った。

 「僕ら、コレの開発に夏休みのほとんどを費やしたんだぜ?」

 なんだか思ったよりずっと諦めムードだ。予想以上に説得はうまくいったらしい。それはそれでいいんだが……きっと、ベストはそこじゃない。

 

 「完全にやめろとは言ってないだろ?」

 僕の口から出た言葉に、双子が同時に目を見開いた。信じられないものを見るような視線が突き刺さる。

 「じゃあ、どうすればいいって言うんだよ?」

 いつもと違いジョークのないフレッドの問いに、用意していた案を僕はつらつらと口にした。

 「そうだな……まずは責任能力のない未成年を実験台にしないことが前提になるな。同じ学年の子に募ってみたらいい。そこで、しっかり危険性について説明した上でサインをもらうこと。十一歳の子供を騙くらかすよりは、まあ……マシではある」

 それだってどうなんだというところはあるが、対象年齢を狭め、被験者を募る範囲が他寮に及べば僕としては色々好都合だ。責任範囲の分散、寮間の交流、最高学年のグループ化。万々歳だ。

 

 「しかし、結局のところは下級生にも売る予定なんだぜ? それはどうするんだ」

 ジョージの言葉に、思わず目を瞑りたくなった。そうだよね。

 「それは聞きたくなかったな……でも、成人にお願いするのは責任の所在の問題だ。安全性を担保できればいいんだから。実験のときには身体を低年齢に変化できるような薬や呪文を使ったらいい。もちろん先に自分たちで確かめてね。妙な相乗効果が起きたらたまったものではないし。そこで基準が確立できれば、まあ……」

 よくはない。けれど、メリットはそのデメリットを上回るだろう。低年齢層の再現は大変だろうが、昨年この二人は「老け薬」の調合に成功しているらしいし、どうにかできるはずだ。世界観(魔法界の常識)的に。

 

 それなりに大きな問題から目を逸らしつつ、話を次に進めていく。

 「次に、どういった機序で発明品が効くのか、書類にまとめて説明できるようにしておくこと。解明できていないメカニズムがあるなら、それを明確にしておくこと。その後で……できれば責任が取れる人に確認してもらうこと」

 ここで、二人の顔が露骨に歪んだ。当然だ。彼らから見ればここが最大のネックだろう。

 「魔法薬学のか? スネイプは絶対に無理だぜ?」

 「そうだろうね。だから、しばらくは僕が許可した形にしていいよ」

 フレッドが眉を吊り上げて声を上げた。

 「君だって未成年じゃないか!」

 「そうだね。でも僕は……『(ドラコ・マルフォイ)』だから」

 自意識の爆発した台詞である自覚はあるが、自分を過小評価すればできることもできなくなる。しかし、突き刺さる呆れと諦観が滲んだ視線は痛かった。言い訳のように言葉を続ける。

 「ファッジとのコネもあるし、ダンブルドア側の人間じゃないし、スネイプ教授を間接的に頼ることも……おそらく、できる。マルフォイの権力で何か起きても揉み消せる。未成年ではあるけど、先生方からの信頼も厚いし……多分。選択肢としては悪くないんじゃない?」

 後半にいくにつれ弱々しい口調になってしまった自覚はあるが、一応客観性のある事実だと思う。……うん。フレッドとジョージも肩をすくめながらも、否定するつもりはないらしい。

 しかし、この申し出を受けてもらえれば、もし事故が起きたときに二人との交友関係が表沙汰になるだろう。それは大分面倒なことになる。結局のところ、僕が主犯だったとして全てを処理することになりそうな案だ。というかそうするつもりだ。

 しかし、そんな事態に陥らせる気はさらさらない。むしろ、そうしないための提案だと言ってもいい。大事なのは、こちらが双子のしていることを詳細かつ正確に把握することだ。

 

 こちらの意図を知ってか知らずか、フレッドは少し顔を顰めながらもニヤリと笑った。

 「なるほど。いい案じゃないか。君にまったく利点がないことを除けばね」

 「いや、そうでもないよ。責任者になる代わりに、その『スナック』について分かってる全てのことを、しばしの責任者である僕に報告してよ。それでイーブンだ。もちろん、ずっと僕の監視下にいなきゃいけないってわけでもない。一つ完成させて、その販売が軌道に乗れば、特許を取って外部の人に治験をお願いしたらいいんだから。もっと真っ当なやり方でね」

 フレッドとジョージは二人して顔を見合わせた。感触は悪くない。最後のひと押しのために、言葉を続ける。

 「これから悪戯専門店を本格的にやっていきたいんだったら、法律まわりは押さえておくべきだろう。予行演習だと思って、しっかり調べて自分たちに落ち度がないと主張できるようにしておくのは大事だ。

 君たちが本当に致命的な障害を子供に与えるとは思っていないし、そんなところでズルをしなくても立派にやれる。だから今こそ、無責任にならず、無鉄砲にならず、着実にいこう」

 わずかな間、再び談話室に沈黙が落ちた。

 

 フレッドはようやく雰囲気をいつものものに戻し、ふっと息を吐いた。

 「やっぱりイーブンではないだろ。まあ、でも、地上最強級の世話焼きには利点になっちまうものなのか」

 僕にとって嬉しい部分が本当にある故の助力だが、双子から見ればそう思えるものなのかもしれない。訂正する気もないので適当に流し、話をまとめる。

 「じゃあ、交渉成立だ。報告書がいつできそうか、目処が立ったら教えてくれ。人を集めるのはその後だ」

 「「オーケー」」

 双子は揃ってニッコリと笑った。

 

 

 「昨日はロンが悪かったな」

 二人がポスターを回収しているところをぼんやり見ていると、不意にジョージが話を切り出した。やっぱりロンの兄としては気になることだったのだろう。ちょうどいい機会だし、相談しておくのも悪くないかもしれない。

 「君たちに謝られることではないし、ロンが謝るべき相手はハリーだよ」

 何の気なしに論点をハリーとロンの関係に持っていこうとすると、フレッドは腕組みして眉を顰めた。

 「いや、流石にあれはロンが悪い」

 「……あれって何だ?」

 すぐには思い浮かばず首を傾げる僕を見て、双子は顔を見合わせた後、綺麗に揃って口を開いた。

 「「『死喰い人の息子』」」

 

 そこで、ようやく昨晩ロンが何を言っていたのか思い出す。

 「ああ……確かに。そうかもしれない。いや、そうだね。あまり良い言い方ではない」

 同意を示したにもかかわらず、二人の顔の険しさは増していた。

 「確かにって何だよ。その『何があっても、自分に降り掛かるだけのことなら気にしない』みたいな態度、ちょっと気持ち悪いぞ」

 「あそこまで言ってその反応とは、ロンも浮かばれないな?」

 なんだそりゃ。苦笑いしつつ、肩をすくめる。

 

 「もしロンがクラッブやゴイルにそれを言ったなら、怒る気にもなったかもね。でも……僕に関して言うなら、そう非難されて然るべきだ、というのも分かる」

 訝しげにこちらを見る双子に、なんと言ったら良いか考えながらも口を開く。

 「僕は……父を死喰い人として破滅させたり、マルフォイ家を出たりっていう選択肢も多分あるから。やろうと思えば、きっとできる。それを選ばないなら……ロンがそう思うのも仕方のないことだ」

 ロンから見れば、僕はどうしたって死喰い人()を庇う人間だ。それがハリーと仲良くしようとしているんだったら、穏やかではいられない部分があるのは仕方のないことだ。それがああ言う形で出力されてしまうのは残念ではあるが、完全に責め切ることもできない。実際、彼の懸念はある意味では当たっているのだから。

 

 なんとも説明しがたい内情に、歯切れの悪い言葉しか口にできない僕に、フレッドは呆れと少しの苛立ちを滲ませて口を開いた。

 「何でそうなっちまうんだ? ルシウス・マルフォイのことをよく知ってるわけじゃないが、マグル馬鹿にして人前で乱闘するような親父、お前が大事にする理由がわからないな」

 ズバッと放たれた言葉に、笑うことしかできない。それでも、彼が家の外で正しいか正しくないかは、僕の愛着に関係ない。

 

 曖昧に笑うばかりの僕に、ジョージが思案げに口を開いた。

 「早速君に頼ってる僕たちが言えたことじゃないが、君はもっと人に頼ることを覚えるべきだな」

 その言葉で思い出した。二人には担ってもらいたい役割があるのだった。居住まいを正し、二人に向き直る。

 「じゃあお願いしたいことが一つあるんだけど。ロンを……支えてやってほしいんだ」

 

 不理解と気の進まなさが、双子からドッと漏れ出してくる。この反応は予想していたので、素早く先を続けた。

 「別にロンのためだけってわけじゃないよ。僕はこの喧嘩をできるだけ早く、穏便に、後腐れなく終わらせたい。そのためには、ロンには少し自信をつけてもらわなきゃならないと思ってね。ロンは自分に自信がないとき……他の誰かが自分より優れていると感じるとき、攻撃的になってしまうから」

 二人の訝しげな様子は拭いきれていなかったが、ジョージは一応理解を示すように頷いてくれた。

 「別に何か積極的にやってくれってわけじゃない。ただ、ロンをハリーや僕みたいな他の生徒と比べたり、貶したりしないでほしい。それに、ロンの味方になってあげてほしい。その方が、きっと最終的に誰にとってもいい着地点に辿り着けると思うんだ。どうかな?」

 それでもやっぱり二人は呆れた様子だったが、なんとか説得されてくれたようだ。

 「仕方ない。お前には色々世話になることになりそうだし、少しは借りを返してやろうではないか。我らが監督者のためだ」

 仰々しくフレッドは言った。これでロンの抱える嫉妬が紛れはしないまでも、さらに大きくなることがなくなればいいのだが。三年生のロンとハーマイオニーのときのように直接話せれば良いのだが、今の僕にできるのはこんな根回しくらいだ。

 

 二人にお礼を言ったところで、上階の寝室で物音が聞こえ始めた。今度こそ、僕は二人から洗面所の場所を聞き、階段へ戻ろうとする。

 「それにしても、こんな調子で本当に君は父親側に立ち続けられるものなのかねえ?」

 背後でジョージが心配そうに投げかけた言葉に、やはり僕は何も返すことができなかった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。