俺たちが日常を過ごしていた頃、フォビオはある事を思い出していた。
アルビノ『少しは落ち着けよ。』
ミリム『
俺に拳をあっさり受け止められ、ミリムにあっさり倒された事だ。
フォビオは、焚き火を見ていたが、悔しさからか、顔を歪める。
フォビオ「くぅ…………!」
フォビオは、手に持っていた枝を折り、焚き火に放り込む。
フォビオ「くそっ!許せねぇ………!」
そう言うフォビオを、仲間達は不安そうに見つめていた。
フォビオ「俺を誰だと思ってる………!黒豹牙フォビオだぞ………!」
エンリオ「魔王ミリムが相手では、不可抗力という物です。例え、魔王カリオン様でも………。」
フォビオ「馬鹿野郎!カリオン様なら、こんな無様は晒さなかっただろうぜ。………俺が未熟だっただけの話よ。…………しかし、このまま成果なく戻るのは、俺の誇りが許さんのだ。」
フォビオは、そう言いながら、焚き火を見つめる。
そして、話を再開する。
フォビオ「……………あいつらは、自分達で街を作っていやがったな。下等な魔物だと侮っていたが、俺たちでも及ばぬ様な、技術を持っていやがる。」
エンリオ「全くです。配下に加えるなどと言わず、我らがユーラザニアと国交を結びたいほどですな。」
フォビオ「ああ。魔王ミリムが居なかったとしても、俺の対応は間違っていた。盟主の片割れに攻撃するなんてな。頭ごなしに支配しても、奴らの信頼は得られなかっただろうからな。…………だが、今更だぜ。この屈辱は、怪我が癒えても、消えやしねえ。カリオン様に、迷惑をかけねえように、何とかして、復讐してやりたいんだよ。」
フォビオは、自分の対応が間違っていた事は分かっていた。
だが、自分の攻撃をあっさり受け止められ、返り討ちにされた。
その屈辱は、あまりにも大きかった。
仲間のエンリオが、諌めるくらいには。
エンリオ「………そうは申されましても………復讐など、現実的では………。」
フォビオ「分かってんだよ!頭では無理だって!…………だけど、こればっかりは、理屈じゃねぇんだよ。く…………!」
ミリムへの復讐に燃えるフォビオを、仲間達は不安そうに見つめる。
すると。
???「ホーホッホッホッ………!」
フォビオ「はっ!?」
突然響く笑い声に、獣人達は、笑い声がしてくる方を見る。
エンリオ「何者だ!」
エンリオがそう叫ぶと、太った男性が出てくる。
クレイマンの仲間である中庸道化連の一員、フットマンだ。
フォビオ「は?」
フットマン「いやいや〜。その悔しい気持ち。この私にも、よ〜く理解出来ますね〜。ご機嫌よう、皆様。私は、フットマンと申します。」
フォビオ「……………フットマン?」
フットマン「中庸道化連が1人、”
「「………………。」」
いきなり現れたフットマンに、フォビオとエンリオは、警戒心を顕にする。
すると、フットマンの後ろから、女の子が出てくる。
クレイマンと話していた、ティアだ。
ティア「そんなに警戒しないでほしいな〜。あたいは、ティア!貴方達の敵じゃないよ!」
フォビオ「……………何の用だ?」
フットマン「ホーホッホッホッ!私はね。怒りと憎しみの感情に呼ばれて、やって来たのですよ。」
フォビオ「怒りと憎しみ?」
フットマン「上質な怒りの波動を感じました。」
フォビオ「うっ…………!」
フットマンの言葉に、フォビオは言葉を詰まらせる。
フォビオは、ミリムに、怒りと憎しみの感情を抱いていた。
その結果、この謎の魔人を誘き寄せた事に気づいたのだ。
フットマンは、フォビオに話しかける。
フットマン「何をお怒りになっているのか、是非とも、お聞かせ下さい。…………きっと、力になってご覧にいれますから。」
フォビオ「あ…………。」
フォビオが、フットマンの言葉に俯くと、エンリオが前に出る。
エンリオ「フォビオ様。このような者どもの話を聞く必要はございません。排除してもよろしいですか?」
エンリオがそう言うと、仲間の獣人達も、身構える。
エンリオは、フットマン達に話しかける。
エンリオ「我々は、魔王カリオンの獣王戦士団に属する者。野良の魔人程度が、相手になるとでも思ったか?」
フットマン「…………力が欲しいのでしょう?ございますよ。とびっきりの力が…………。当然ですが、危険も大きい。しかし、その危険に打ち勝った時、得られる力は絶大です。」
フォビオ「……………ほう。」
エンリオ「フォビオ様!?」
フットマンの言葉に、フォビオは興味を示し、エンリオは驚く。
それを見たティアは、畳み掛ける。
ティア「勝ちたいんだよね?魔王ミリムに!だったらさ、あんたも魔王になっちゃいなよ〜!」
フォビオ「魔………王…………!」
エンリオ「あ…………。」
ティアの言葉に、獣人達は驚く。
しばらく、静寂が訪れ、その場には、焚き火が爆ぜる音がした。
フォビオ「…………魔王だと?その様な戯言で、俺を騙せるなどと…………。」
フットマン「
フォビオ「はっ!」
フォビオは、フットマンの言った言葉に驚く。
フットマンは、話をする。
フットマン「ご存知ありませんか?」
フォビオ「カリュブディス…………だと?」
エンリオ「あ…………!」
ティア「あ〜あ。あの大怪魚の邪悪な力なら、魔王に匹敵するんだけどな〜。要らないんなら、他を当たるから、もう行くね。………ほら、行こ!」
フットマン「ホッホッホッ………。残念ですねぇ………。」
ティアとフットマンは、その場から去ろうとする。
そんな2人を、フォビオは呼び止める。
フォビオ「待て。」
「「フッ。」」
フォビオが呼び止めた事に、ティアとフットマンは、ほくそ笑む。
エンリオは、フォビオに声をかける。
エンリオ「なりません!フォビオ様!」
フォビオ「…………俺は、最初から面白くなかったんだ。何で、
エンリオ「フォビオ様…………。」
フォビオ「詳しく聞かせろ。」
フォビオの言葉に、フットマンとティアは振り返る。
フットマン「おお〜!流石にフォビオ様ですね〜。そうでしょうとも!魔王となるのは、貴方を置いて、他には居ませんとも!」
ティア「やっぱり、強い者が魔王にならないと、間違ってるよね。あたいもそう思うよ!その点、フォビオ様なら適任だよね!」
そうして、フォビオは、フットマンとティアから、話を聞く事にした。
エンリオ達は、それを見ていた。
フォビオ「…………この話、てめぇらに、何の得がある?目的は何だ?」
ティア「魔王になったら、あたい達を贔屓にしてくれたらいい!当然、色々と、便宜を図ってもらいたいしね。」
フットマン「ホッホッホッ。我々だけでは、カリュブディスを従える事は、出来ませんからねぇ。」
ティア「せ〜っかく、封印された場所を見つけたけど、このままじゃ、宝の持ち腐れだし。」
フットマン「タイミングよく、フォビオ様をお見かけしましてね。」
フォビオ「…………なるほどな。だが、俺がカリュブディスを従える事が出来るかどうかは………。」
ティアとフットマンの話を聞いたフォビオは、不安そうにそう言う。
すると、フットマン達は。
フットマン「ホーホッホッホッ!フォビオ様なら、必ずや成功するでしょう!」
ティア「大丈夫!大丈夫!」
フォビオ「…………俺が魔王になった時に、自分達が最も役に立ったって、実績が欲しいって事か。」
フットマンとティアの話を聞いたフォビオは、そう呟く。
一考の末、出した答えは。
フォビオ「…………その話、引き受けようじゃねぇか。」
フォビオは、引き受けてしまった。
その先に待っているのは、傀儡となる未来だとは、気付かずに。
フットマンとティアが、焚き火で温まる中、フォビオは、エンリオ達に声をかける。
フォビオ「お前達は戻れ。」
エンリオ「フォビオ様!」
フォビオ「事の顛末を伝えるのだ。」
エンリオ「しかし…………。」
フォビオ「カリオン様には、迷惑はかけられねえ。三獣士の地位を返上し、野に下るとお伝えしてくれ。…………今まで仕えてくれて、感謝する。」
エンリオ「フォビオ様…………。」
フォビオ「俺は修羅となり、俺の力を、魔王ミリムと、あのアルビノって奴に認めさせてやる。」
エンリオ「あ…………。分かりました。カリオン様に、ご報告致します。………しかし、カリュブディスの力は未知数。くれぐれも、お気をつけ下さい。」
そう言って、エンリオ達は、ユーラザニアへと戻っていった。
そんな中、エンリオが思った事は。
エンリオ(フォビオ様は、愚かなお方ではない。本当にカリュブディスが居るんだとしても、従える事が出来るはずだ。)
そう思っていた。
エンリオ達を見送ったフォビオに、フットマン達が話しかける。
フットマン「では、向かうとしましょう。」
フォビオ「ああ。俺とカリュブディスの力を合わせたなら、あの魔王ミリムと、アルビノの憎たらしい面を、泣きっ面に変えてやれるだろうぜ。」
フットマン「ホッホッホッ!その意気です。」
ティア「うんうん!あたいも応戦してるよ〜!」
そうして、フォビオ達が動き出す。
一方、テンペストの温泉宿では。
ミリム「ぷは〜!」
紫苑「ぷはっ!」
朱菜「ぷは〜!」
ミリム、紫苑、朱菜の3人が、潜水対決をしていた。
それを、水華は呆れながら、シズさんは苦笑しながら見ていた。
ミリム「どうだ!私の勝ちなのだ!私の方が、長い時間潜ってられるのだ!」
紫苑「いいえ。勝ったのは私です。」
朱菜「違います。ほんの僅かの差ですが、私の勝ちです。」
水華「お風呂で潜水しちゃダメでしょ。」
シズ「そうだよ。」
ミリム、紫苑、朱菜の3人は、そう張り合い、水華とシズさんがそう突っ込む。
ミリム達は、水華の事を無視する。
ミリム「負けを認めないとは、狡いぞ!紫苑!朱菜!よ〜し!だったら、もう一回だ!決着をつけてやる!」
紫苑「良いでしょう。もう一度。」
朱菜「本来なら、お風呂に潜るのは良くない事ですが、やりましょう。」
水華「朱菜様も、分かっているのなら、止めてくださいよ…………。」
シズ「アハハハハ………………。」
水華の呆れ声と共に、再び潜水する音が、俺たちが入っている男湯の反対の女湯から聞こえてきた。
リムル「はぁ…………。あっち、楽しそうだな〜。向こうに行けば良かったかな………。」
アルビノ「本音がダダ漏れだぞ。」
まあ、男湯に居るのは、フューズ、ゴブタとゴブゾウなのだが。
リムルは、フューズに話しかける。
リムル「なぁ。いつまでこの街にいるつもりだよ。」
アルビノ「まだ、納得してない感じですか?」
フューズ「えっ?あ…………いえ。リムル殿とアルビノ殿の疑いは、とっくに晴れているんですがね。」
アルビノ「晴れてんのかい。」
リムル「じゃあ、何でだよ。」
フューズ「いやぁ…………。ここは、実に居心地がよろしくてですな…………。ろくに休みも無かったですし、ゆっくり羽を伸ばすのも、良いのではないかと…………。」
居心地良いのは、ありがたいな。
今後、人間との取引も増えるだろうし、そう思ってもらえるのは、嬉しいもんだ。
リムルは、呆れ顔で言う。
リムル「お前なぁ………。『あなた方が本当に人間の味方なのかどうか…………しっかりと、確かめさせて貰う事にします。』とか、かっこいい事言ってたくせに。」
フューズ「ふぅ…………。」
アルビノ「聞いてないね。」
リムルの言葉に対して、フューズは息を吐きながら、お酒を飲む。
俺が苦笑していると、リムルは、きつめにフューズに聞く。
リムル「おい!」
フューズ「え?」
アルビノ「そういえば、ヨウム達の件は、どうなってるんですか?」
リムル「そうだぞ!俺たちの代わりに英雄に仕立て上げる協力をしてくれる約束!」
フューズ「ああ………。」
リムル「ああ………じゃないって!もうヨウム達は旅立ったんだぞ。英雄として、各地で名を売る為にな。」
リムルは、青筋(?)を浮かべながらそう聞くと、フューズは答える。
フューズ「それなら、問題ないですよ。既に仕込みは終わらせております。」
アルビノ「そうなのか?」
フューズ「ええ。ちゃんと、豚頭帝を倒した英雄として、名を広められる様に、根回ししてあります。そして、リムル殿とアルビノ殿達は、それを手伝った害のない魔物達だ………と、噂になる様に。」
リムル「そっか………なら良いや。」
流石はギルドマスター。
仕事が早いな。
ただ、一つ懸念点があるとしたら………。
アルビノ(やっぱり、他の異世界人が、この街をどう思うかだよな………。)
そう、この街は、魔物の街。
異世界人は、人間だから、ゲームをやっている人からしたら、絶好の獲物といえるだろう。
何せ、俺とリムルが定めた掟によって、こちら側から、仕掛ける事はないからな。
まあ、今、そんな事を考えても意味はないか。
すると、フューズが風呂から上がろうとする。
ちなみに、ヨウムに、ランスのバックルを渡した。
フューズ「さて、私はお先に…………。」
フューズが上がろうとすると、リムルが声をかける。
リムル「ああ、そうだ。お前達のブルムンド王国へも、道を作ろうかと思ってるんだけど。」
フューズ「えっ?いや………えっ?いやいや…………。それは、ありがたい事ですが、大規模な国家事業になりますぞ。莫大な予算が…………。」
リムル「そこだよ、フューズ君。」
フューズ「く………君?リムル殿にそう呼ばれると、何だか、背中がむず痒いのだが………。」
アルビノ「まあ、そんな事はいいさ。要は、今後の取引の為にやるんだろ?」
リムル「ああ。当然だが、作業は、俺たちが引き受けようじゃないか。ただし。」
フューズ「ただし?」
リムル「我が国の特産品を、他の国にも売りつけたいので、諸々の相談ができる人物の紹介を頼みたい。」
フューズ「分かりました。お安い御用です。」
アルビノ「ありがとうございます。」
すると、女湯の方から、ミリム達の声が聞こえてきて、リムルは頬を赤く染める。
そんなリムルに、俺は呆れていた。
俺たちも、風呂から上がる事にした。
俺たちが風呂から上がると、ベスターが話しかける。
ベスター「アルビノ様。リムル様。」
アルビノ「ベスターか。」
リムル「どうしたんだ?」
ベスター「いえ、お見せしたい物がありまして。」
アルビノ「完成したのか!」
ベスター「はい。」
リムル「何が完成したんだ?」
ベスター「こちらです。」
遂に完成したか。
リムルが首を傾げる中、ベスターはある物を取り出す。
それは、リムルにとっても見覚えのある物の筈だ。
リムル「あっ!ラウズアブゾーバーか!」
ベスター「はい。まずは、シズ殿と水華殿の為の物が完成しました。」
そう。
そこにあったのは、2基のラウズアブゾーバーだった。
俺は、ベスターに確認を取る。
アルビノ「それで……………人工アンデッドの件はどうなってる?」
ベスター「申し訳ありません……………なかなか上手くいかず……………。」
アルビノ「分かった。焦らずに行ってくれ。」
ベスター「はっ。それでは、失礼します。」
やっぱり、そう簡単にはいかないか。
すると、リムルが話しかけてくる。
リムル「お前、そんな事を頼んでたのか。」
アルビノ「ああ。流石に、グレイブの強化が無いとキツくなるかもしれないからな。」
俺とリムルはそう話す。
グレイブの強化を行っておくのは、悪く無い筈だ。
やはり、その為には、あの人の力も必要か。
俺は、ある物を思い出していた。
以前、サンタさんからのプレゼントで来たのは、ブレイドで登場したある人物のデータなのだ。
俺はそんな事を考えながら、移動していく。
一方、フォビオ達は、カリュブディスが封印されている場所に着いた。
フォビオ「ここに?」
ティア「そうだよ〜。」
フットマン「まだ、復活していませんが、破壊への渇望が漏れ出ています。そうした感情が大好物な我々だからこそ、発見できたのですけどね。」
フォビオ「確かに………異様な妖気を感じるな。カリュブディス………。」
フォビオは、カリュブディスの妖気を感じ取っていた。
フットマンは、フォビオに声をかける。
フットマン「カリュブディスの復活には、本来、大量の死体が必要です。」
フォビオ「死体?」
フットマン「カリュブディスとは、精神生命体の一種です。この世界で力を行使するには、肉体を与えてやらねばなりません。」
フォビオ「なるほど…………それで?」
フットマン「貴方の役目は…………。」
フットマンは、その先を言わなかった。
だが、フォビオは、それだけで察した。
フォビオ「まさか、お前………!」
フットマン「従えるとは…………つまり、カリュブディスをその身に宿し、ご自身と同一化するという事なのですよ。」
フォビオ「俺の体に………!?」
ティア「辞めるなら、今だよ。」
フォビオ「うっ………!」
ティア「でも…………。」
フォビオ「でも?」
ティア「この封印は、もう長く持たないかも………。」
ティアの言葉に、フォビオが質問をする。
フォビオ「持たなかったら、どうなる?」
ティア「いずれ、自動的に復活しちゃう………かな?」
フォビオ「死体が必要なんだろ?」
ティア「そうだけど…………封印されてても、自分の復活に必要な魔物の死体ぐらいは、用意出来ちゃうんじゃないかな………。そうなったらあたい達は、くたびれ損になっちゃう!」
フットマン「そうですね〜。」
ティア「けど、復活しちゃったら、制御は無理だろうし、純粋な破壊の意思だから、誰の命令も聞かないだろうし………。」
ティアとフットマンがそう話す中、フォビオが口を開く。
フォビオ「復活する前に封印を解き、その力を奪わないとダメという訳か?」
ティア「えっ?あ………うん。そういう事。」
フットマン「流石です。」
フォビオ「良いだろう。カリュブディスの力、我が物としてやろう!」
そう言って、フォビオは洞窟の中へと入っていく。
その時に、フォビオは呟く。
フォビオ「やってやるぜ。カリュブディスを俺の体に従えて、あの小生意気な魔王ミリムと、あのアルビノって奴を………!」
フォビオの決意は固かった。
一方、フットマンとティアは。
フットマン「行きましたねぇ。」
ティア「行ったねぇ。」
フットマン「流石は、脳が筋肉で出来ているカリオンの部下ですねぇ。」
ティア「簡単だったねぇ。」
そう言った直後、2人は高笑いする。
フットマンは、ティアに尋ねる。
フットマン「これで終了ですか?」
ティア「クレイマンからは、『カリュブディスを復活させて、ミリムに向かわせろ』………としか、聞いてないよ。………あっ!」
フットマン「ん?」
ティア「用意してた
フットマン「………しかし、備えあれば憂いなしですからね。」
2人は、再び高笑いをする。
フォビオは、クレイマンの策略に利用されたのだ。
その翌日、俺たちはテンペストに戻っていた。
実は、ミリム、エレン、カバル、ギドに付き合って、魔物狩りをしていたのだ。
魔物達が入った袋を台車に乗せて、動いていたギドが、息を吐きながら言う。
ギド「はぁぁぁ……………重かった〜〜〜。」
ミリム「ワ〜ハッハッハッハッ!今日も大量なのだ!」
リムル「ほう。」
シズ「本当に大量だね。」
エレン「ミリムちゃんは凄いんですよ。すぐに魔物を発見するので、今回も狩りが楽々でした!」
ミリム「ワッハッハっ!魔物の発見くらい、余裕なのだ〜!今夜もご馳走なのだ!」
まあ、魔王だからね。
俺も、グレイブに変身して、魔物を倒していった。
リムルは、ギド達に労いの言葉をかける。
リムル「うんうん。お疲れさん、お疲れさん。」
ギド「本当、疲れやしたね〜。」
カバル「風呂入って、一杯やるか!」
ミリム「一杯やるのだ!はっはっはっ!あ?」
アルビノ「ん?」
カバル達がそう話していると、殺気に近い気配を感じる。
俺たちは、その方向へと向く。
紫苑「何者です!」
その際、紫苑はリムルをミリムに渡したが、ミリムもリムルを放り投げ、シズさんがキャッチする。
紅丸、蒼影、白老、水華も現れる中、俺たちの目の前に、緑色のオーラが現れる。
そこには、トレイニーさんに似た人がいた。
というより、トレイニーさんの妹、トライアさんだろう。
ギド「ド……………
カバル「初めて見た……………。」
ギドとカバルがそう言う中、その
トライア「私は、
リムル「トライアさん。」
アルビノ「それにしても、どうしたんだ?その殺気と姿は、どういう訳だ?」
トライアさんがそう言うと、俺とリムルはそう聞く。
すると、トライアさんは口を開く。
トライア「緊急事態でございます。厄災が近づいています。」
リムル「厄災?」
トライア「
アルビノ「
カラミティって言われてるって事は、かなりやばそうだな。
それを聞いた途端、皆が顔を見合わせる。
トライア「魔王に匹敵する暴威であります。我が姉、トレイニーたちが足止めを行っておりますが、まるで歯が立ちません。」
アルビノ「マジか………………。」
トライア「そして、
リムル「なっ!?」
それを聞いた俺たちは、驚愕する。
何だって、そんなヤバい奴がここに向かってるんだ?
そう思う中、トライアは言う。
トライア「天空の支配者たる
天空の支配者か。
確かに、地上戦力では、限界があるな。
俺たちは頷き合い、至急、会議室に皆を招集する。
トライアは、
トライア「カリュブディスは、はるかなる昔に生まれ、死と再生を繰り返しております。凶暴なる天空の支配者。流石は、森の支配者にして、守護者たる、暴風竜ヴェルドラ様の申し子と言えるでしょう。」
リムル「ヴェルドラの申し子?」
アルビノ「どういう事だ?」
トライア「カリュブディスは、ヴェルドラ様から漏れ出た、魔素だまりから発生した魔物なのです。」
じゃあ、俺とリムルとカリュブディスは、兄弟みたいなもんか?
俺とリムルも、ヴェルドラと縁がある魔物だしな。
すると、フューズが立ち上がる。
フューズ「カリュブディスが復活したのなら、魔王以上の脅威となりますよ。何しろ、魔王と違い、話が通じる相手ではないのです。」
ベスター「言ってみれば、知恵なき魔物。固有能力の
メガロドンねぇ………。
これは、豚頭帝よりも厄介な気がするな。
トライアさんは、悲痛な表情で語る。
トライア「状況は最悪です。召喚されたメガロドンは、なぜか近くにあった
アルビノ「なぜか………?」
トライア「その数は、13。」
リムル「魔王並の化け物一体と、召喚された空飛ぶサメが13体。それは、一体何の冗談だ………。」
何故か、近くにあった
これは、何者かが、カリュブディスを復活させた可能性が高いな。
朱菜が、俺とリムルに話しかける。
朱菜「リムル様、アルビノ様。」
リムル「ん?」
朱菜「どうなされます?」
アルビノ「そりゃあ、迎撃だろうな………。」
ミリム「フッフッフッ………!」
すると、ミリムが笑い出す。
ミリム「何か、重要な事を忘れてはいないか?」
アルビノ「何だ?」
ミリム「カリュブディス如き………この私の敵ではない!軽く捻ってやるのだ!」
ミリムはそう言って、服を脱ぎ捨てて、魔王としての服装になる。
確かに、ミリムは強いからな。
心強いな。
そう思っていると。
紫苑「その様なわけには参りません。」
ミリム「い………!?」
水華「そうですね。これは、私たちの街の問題ですし。」
アルビノ(断るんかい。)
ミリム「えっ?だが、私はマブダチ………。」
朱菜「そうですよ。友達だから、何でも頼ろうとするのは、間違いです。リムル様とアルビノ様が、どうしても困った時は、是非とも、お力添えをお願い申し上げます。」
朱菜がそう言うと、ミリムは露骨に落ち込む。
アルビノ「ま、まあ………その…………なんだ。俺たちを信じてくれ。」
リムル「そ、そうだぞ。」
ミリム「折角………折角………私の見せ場がやって来たと思ったのに………。」
リムル「カリュブディスを倒す!準備しろ!」
一同「はっ!」
俺とリムルがそう言うと、皆はそう返す。
すると、ベスターが口を開く。
ベスター「シズ殿!水華殿!これを使って下さい!」
シズ「これは…………!」
水華「アルビノ様が言ってたラウズアブゾーバーでしたっけ?」
ベスター「はい。相手は空を飛んでいます。ジャックフォームで行った方が宜しいかと。」
シズ「ありがとうございます!」
水華「使わせてもらいますね!」
ベスターは、2人にラウズアブゾーバーを渡して、2人はそう答える。
全員がカリュブディスの迎撃の準備に動く中、フューズが俺たちを見る。
フューズ「倒すって………。あの、分かってるんですか?相手は、
リムル「盟約を結んだガゼル王の応援も期待出来るし、やるだけやってみるさ。」
アルビノ「ああ。この街は、絶対に守ってみせるさ。」
フューズが呆れ気味にそう言うと、俺とリムルはそう答える。
そして、フューズは質問をする。
フューズ「…………逃げないのですか?」
アルビノ「…………逆に聞くけど、逃げてどうするんだ?」
リムル「俺たちが、この国で一番強い。絶対に勝てそうもないなら、すぐに逃げて、次の策を考えるけど、そうじゃないなら、正面から自分の目で、敵の強さを確かめるべきだろ?」
それを聞いたフューズは、納得したかの様に笑う。
フューズ「…………なるほど。魔物の主達。そうでしたね。」
リムル「王を失ったら、終わりの人間とは、その辺りは違うんだよな。」
アルビノ「そうだな。」
フューズ「しかし、あれですな………。リムル殿とアルビノ殿は、我々人間の様な考え方をされるのですね。とても、魔物とは思えませんよ。」
まあ、元人間だからな。
すると、リムルが口を開く。
リムル「う〜ん。そうかもな。信じられないかもしれないけど、実は、俺たち、元人間なんだよ。」
アルビノ「…………俺たちは、シズさんと同じ異世界人だったんだ。………多分な。」
リムル「向こうで死んで、俺はスライムに、アルビノはアルビノジョーカーに生まれ変わったんだけどね。」
そう言って、俺たちは、人間態になる。
フューズは、シズさんに問いかける。
フューズ「そうなんですか?」
シズ「ええ。あの2人も、私と同じ異世界人。」
リムル「俺は、シズさんの肉体を複製させてもらった。シズさんと似てるのに、情けない真似は出来ないしな。」
アルビノ「そうそう。」
エレン「やっぱり、2人は信じられるよ!」
フューズ「うん。」
それにしても、リムルは唐突に話すな。
まあ、俺も話す予定だったし、別に良いか。
そうして、ジュラ・テンペスト連邦国首都、中央都市リムルと、武装国家ドワルゴンの中間地点で、カリュブディスとメガロドンとの戦いが始まろうとしていた。
今回はここまでです。
カリュブディス戦が始まろうとします。
ラウズアブゾーバーも完成しました。
シズさんと水華も、ジャックフォームになります。
ギャレンのジャックフォームは、弱いと言われますが、ちゃんと活躍しますから。
ちなみに、アルビノのクリスマスプレゼントは、ブレイドのある人の記憶です。
さて、誰でしょうか。
次回、カリュブディス戦に入っていきます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
アンケートは、この話で締め切らせていただきます。
あと、精霊の棲家で、アルビノも悪魔を召喚しますが、もし、どの原初の悪魔の眷属を召喚するかのリクエストがあれば受け付けています。