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遥か昔の事。もう、随分と遠い昔の事。初代護廷十三隊が創設されて間もない時の事だった。
「……」
瀞霊廷に有る、護廷十三隊の総隊長である山本重國が受け持つ一番隊の隊舎の中で、「山本重國」は突如として険しい顔をした。
「あぁ?」
護廷十三隊二番隊の隊長である「四楓院千日」は、降ろしていた瞼を上げ、自らが寝転んでいた縁側の床から体を起こす。
「…なんだ?」
護廷十三隊三番隊の隊長である「厳原金勒」は、筆を動かす手を止めて彼方を見る。
「これは…」
護廷十三隊四番隊の隊長である「志島知霧」は、気怠げな表情を浮かべて肩を落とす。
「荒れるな、こりゃ…」
護廷十三隊五番隊の隊長である「尾花弾次郎」は、隊舎の窓から曇った空を見上げてそう確信する。
「久々に楽しめそうな奴が来たな…!」
護廷十三隊六番隊の隊長である「齊藤不老不死」は、心の底から愉しそうな笑みを浮かべて斬魄刀を肩に担う。
「かかかっ……」
護廷十三隊七番隊の隊長である「執行乃武綱」は、不敵な笑みを浮かべて喉を鳴らす。
「あぁ…これは、大変になりそうです」
護廷十三隊八番隊の隊長である「鹿取抜雲斎」は、困った様に頬を撫でながら溜息を漏らす。
「誰か死ぬかな、これは。」
護廷十三隊九番隊の隊長である「久面井煙鉄」は、それを感じて誰か死ぬのではないか、と予想する。
「…」
護廷十三隊十番隊の隊長である「王途川雨緒紀」は、静かに斬魄刀の柄へと手を伸ばし、戦意を洩らす。
「これはまた…随分と、物騒な殺気ですね」
護廷十三隊十一番隊の隊長にして尸魂界史上最悪の大罪人「卯ノ花八千流」は、三日月の様に口角を上げながら颯爽と駆け出す。
「やべぇ気配だな。鳥肌が止まねぇ」
護廷十三隊十二番隊の隊長である「善行寺有頻」は、珍しく真顔で戦々恐々とした。
「ほっほっほ…何やら荒れそうな…」
護廷十三隊十三番隊の隊長である「逆骨才蔵」は、不気味に笑う。
そして―――
「これは…“同じ”感覚がするな。」
霊王の親友「兵主部一兵衛」は、自分と同類であろう気配を感じ取って、その元へと走った。
❖
流魂街。瀞霊廷を取り囲む様に存在する、死人や尸魂界に送られた霊達が暮らす場所。
流魂街は80区に別けられており、数字が大きければ大きい程にその区域の治安は悪く、80区の「更木」は殺し合いなど日常と言っても過言ではない殺伐とした場所だ。
そんな、殺伐とした場所ではあるが――――――もう、そう呼べる場所ではなくなっていた。
「これは…最早、殺伐としているなんて生易しい言葉では、言い表せんな。」
その場所を、その惨状を見た山本重國は、感心した様にそんな感想を零す。
砂色の地面はズタズタに切り裂かれ、分かたれている。空洞、渓谷の様に真っ二つに綺麗に割かれている。
岩の山は切り崩され、もはや砂と何ら変わらない。微塵切りにされた玉葱と言っても良い。原型など、全く残っていない。
そして、そんな荒れ果てた惨状よりも注視すべき惨状は――――――
無造作に積み上げられた、幾千幾万の屍。この更木という区域に存在する…否、存在“していた”者達だった“モノ”で積み重ねられ、作り出された屍山血河。
その頂天に―――尸魂界史上最強の死神として君臨し続けていた山本重國ですら悍ましいと思う程の、禍々しい妖気を纏った斬魄刀を持った『死神』が、呆然としながら立っていた。
「おぉ、やはり来とったか、重國。」
「おんしも来たか、和尚。」
兵主部一兵衛と山本重國。尸魂界において最強と言える二人の死神が、此処に現れた。
されど、屍山の頂に立っている『死神』は呆然としたままだ。
「和尚、彼奴は何者だ。」
「恐らく、儂や霊王と同類の存在よ。誕生した時期こそ異なれど、その存在は同じ。魂の規格も似とる…」
「つまり――」
「手加減は無用。“本気”で挑んだ方が善いぞ、重國。」
ゆらり…と。頂の上に立つ死神が、二人の方へと振り返る。
禍々しい妖気を纏った野太刀の斬魄刀。一般隊士の誰もが身に纏っている死覇装。
無表情だった顔は―――口角が上がって、笑顔となる。
直後――――――二対一の戦争が始まった。