超昂大戦SS 合縁奇縁! はみ出し閃忍たちと頭領の決断   作:環 藍河

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※原作第2部10章(2023年4月現在最新章)直後の時間軸です。ネタバレ懸念の方はご注意ください。


第1章 因果応報! 口の減らない閃忍に誅罰を

「あ…あのお~、お言葉ですが、皆さまちょ~っと前のめりが過ぎませんか?」

「そりゃあ、駆け出しとはいえ、想破上弦衆の…それも未熟な候補生ならいざ知らず、閃忍の端くれが、逐電なんてやらかしたんだもの。

再教育は、甘やかせないわよねえ?」

 

想破七閃が二位・フウカがジト目で諭すのは、三日三晩にわたり逃避行と追っ手の攪乱を繰り返し、上弦衆をはちゃめちゃ捕り物劇のカオスに叩き落とした張本人・ライカ(拘束済み)。

 

だが、むしろフウカは、後ろの怒れる閃忍たちを…今にも食ってかからん勢いの3人をなだめる立ち位置だった。

 

「おうおう、オレの狐狗狸號に手ぇ出したツケはデカいぜえ。ヘタに弁解しやがったら、ケツに繋いで市中引き回しにしてやんぞコラあ!」

「うふふっ、当店のホットドッグ、大量ご注文ありがとうございました~。でも、先輩を翻弄した罪は、上弦衆ではそれなりに重いですからね~。」

「大体その注文、あなたのお金じゃないでしょう! ホットドッグは戦費で落ちません! しっかりお給料から弁済していただきますよ!」

 

「…閃忍じゃない方も混ざってますが。」

「日頃からご迷惑かけまくりの、あなたの出向先の経理責任者でしょうが。」

「私…外法天の違法ハッキングまで片棒担がされたんですよ…!

今日という今日は、許しません!」

 

マユリ、フワワ、そしてクラリス…。ライカ被害者の会は、会員ネットワーク絶賛拡大中。

次のお祭りに向かった鶴子や、官兵衛さんの嗅覚を戻すため帰ったこいぬ、心臓移植(?)で療養中のりるか…彼女たちもいたら、折檻部屋に収まりきらないところであった。

 

「ライカ。弁明があるなら今のうちよ。」

「辞世の句でもいいんだぜ?」

「今からでも入れるNAUの生命保険、紹介しましょうか?」

 

「デ…デッド・オア・デッドじゃないですかーーーっ!?」

包囲網で逃げ場を塞がれるライカ。

だが…このまましおらしく降参するタマでは無かった。

 

「そっちがその気なら! こっちもとことんまで言わせていただきますよ!」

《【(?!)】》

まさか、ひよっこ閃忍のライカが、本当に七閃に歯向かって弁明を始めるとは…!

(…こいつ、マジでイカレてやがる…!)

 

「私だって上弦衆を裏切るつもりは一切なかったんです!

ただ、フウカ様がイノリを叩っ切ろうとするから、思わず防ぎました!

弁解の余地も何にもなかったから、クールタイムが必要だって思って、一時撤退しただけですっ!

そしたら『抜け忍だーっ』てレッテル張られて…こうなったらもう、引っ込みもつかないし、自首のしようも無い。よくて切腹・ヘタすりゃ打首獄門…。

私の行為は、イノリを…仲間を護り、そのために自分が生き延びるための緊急避難! 正当防衛なんです!」

「…よくもまあ、責任転嫁を…。

それでも抵抗をやめて、頭領に処遇を委ねるのが上弦衆でしょう?」

「だって、頭領は消息不明だったじゃないですか? それがわかっていたから、私は逃げ続けたんですよ?」

(ぐっ…!)

 

(うわあ…全部「元はといえば貴方がたが…」の論法にねじ込んでいる…ズルいです…!)

箱船の対外交渉で百戦錬磨のクラリスさえもが、ライカの詭弁術に舌を巻く。

 

「『世の乱れを糺し、刃に慈悲を忘れず、正しきをもって悪を止める』…。

この鈴森ライカ、誓って頭領への忠義や、想破の掟に反する行為はありません!」

 

「黙って聞いてりゃ…じゃあ実害はどうすんだよ!? オレの狐狗狸號、ぶっ壊しやがって!」

「私…自宅と美門市、2往復したんですよ! 用事だって言って戻るのも大変で…!」

「税務署に何て言えばいいんですか! ノロイを倒すホットドッグが千本必要だったとでも!?」

 

「…フッ。」

《【(!?)】》

ライカの顔がよこしまに歪み、瞳の端はどす黒くもイキイキと輝く。

 

「え~、まず、フワワ様は被害者じゃありませんね。」

「…はあああっ!?」

「だって、民法上の契約は成立してますよね? こっちは注文した、お金も払った。

そしてお店が…旦那さんが納品を約束した。

それ以外に何か、私の守るべき義務ってありますか? ありませんよね?」

「うっ…!?」

「従業員を呼び戻すとか休みなしに働かせるとかは、客のあずかり知らない話しですよね?

それとも、従業員を酷使させる目的で出前を取ってはならない、なんて法律はあるんですかあ〜?」

「ぐっ…くううう~~っ!!」

「いいじゃないですかぁ、実利は取ったわけで。私を追いかけたことで大量注文ゲット! 昨日の敵は今日の友! まさにウィンウィン!」

「む…ムカつくんですけどお~!」

 

「次にマユリ様。壊したって言っても、糸だけですよ?

バイクや車で言えば、ヒューズやプラグ外しただけ、すぐ戻せる範囲で細工しただけですって。」

「お…おめえっ…!!」

「本気の抵抗なら、廃ビルに誘い込んで足場を吹っ飛ばして、ついでにイノリに攻撃させて狐狗狸號を破壊することもできました。

でも、そこまでやったら私もイノリもいよいよ、想破に戻れなくなりますから。たとえ頭領が許しても、マユリ様が許して下さらない一線は、超えたくなかったんです。」

「しゅ…殊勝なことを、言いやがって…!」

「…まあ、イノリも皆さんと戦いたくなかったから、ですけどね。

…そっか、あのとき私、『まずは生き延びる! 明日を勝ち取るには、こっちも本気でっ! マユリ様たちを倒すのっ!』とかイノリに言ってたら、今ごろは皆さん、無傷じゃ済まなかったかもしれませんねえ?

…ね? 私がイノリを止めたんですよ! むしろ褒めてくださいっ!」

「か…かわいく、ねえええっっ!!!」

 

「最後にクラリスさん。戦費にホットドッグがダメでも、福利厚生費ならアリですよね?」

「ふ…福利っ!?」

「だってあのホットドッグ、昨日は基地詰めのスタッフさんの陣中見舞いになったんですよね?」

「そ…それはっ…廃棄したらもったいないから…!」

「残りも冷蔵保存してますよね?

いいじゃないですか! みんなで大スクリーンでWBC観ながら、コーラとホットドッグで侍ジャパンを応援!

あ~、これぞ野球の本場の楽しみ方! 最高の戦勝慰労になりますよっ!」

「あ…あなたねえっ…!」

「それとも、皆さんで美味しく食べたのに実損害が出たって言うんですかあ?

仮に私が全額払ったら、それって私のオゴリ…いや、クラリスさんはそれを強要してますから、これってカツアゲですよねえ?」

「ひっ…ひどいいいっっ!!」

 

……

………。

(あ…あれっ?)

 

フウカの追及が止まる。

マユリたちの追及をすり抜け、むしろ弁舌で優位に立つライカ。

武力で有無を言わさずやり込めれば早いのだが、それができるのはライカに武力があってこそ…。

皮肉なことに、ライカの戦闘力の無さがフウカをためらわせる。

 

だが、フウカもこのまま引っ込んでは、上弦衆に示しがつかない。

 

(や…ヤバいっ、やりすぎたかもおおおおっっ!?)

一方、ライカも内心焦っていた。

フウカの面目を潰すつもりは無く、程よい妥協点でそこそこお仕置きを受けて「サーセン」と詫びを入れて決着…と思っていたのに、引っ込みがつかなくなっていた。

 

互いに手詰まりかと思われた、その時。

 

「…フウカ、ライカは俺が預かる。」

「頭領!?」

「ここに至っては、頭領裁量しか無いだろう。」

「…頭領のお手を煩わせ、申し訳ありません。」

 

くるっ。

「ライカ、来い。」

 

(こ…これはっ?!)

そこに割って入ったトキサダの思惑を…。

 

(む…無罪放免! 司法の正義は、護られたあああっ!!!)

 

ライカは脳天気にも勘違いしていたのだった。

 

……

 

ぱたん。

(あ…あれっ?)

通されたのは、ライカの自室。

マスターキーで扉を開け、先に入るトキサダに続く。

おっかないフウカたちをやり過ごした安堵もあり、(まあ、個別面談でお説教を受けるくらいなら…)と、どこまでも気楽だったライカの希望は。

 

  ぶつん。

 

(えっ…停電っ!?)

文字通り、暗転した。

 

がちゃっ。がちゃがちゃっ…!

(げっ、カギがっ…!!)

本能的に脱出を試み、回れ右で扉を開けようとするも、ライカの思いに反して扉は動かない。

 

(と…頭領っ?)

がばっ…きゅうっ。

(あ…あはあっ、はひっ…?)

どくんっ、どくんっ、どっどっどっ、どどどどどど…っ!

 

「あ…ひいいっ、

 ああーーーーーーっっ!!!」

 

とにかく脱出を…その思いにとらわれ、先に入ったトキサダに背中を向けてしまったことを、ライカは後悔した。

暗闇の中、羽交い締めを食らったかと思われた次の刹那、ライカの全身をほとばしったのは、甘美な痺れと淫力の疼き。

 

 (りゅ…龍輪…功…っ!!)

 

注ぎ込まれた力は、ライカの体の芯まで瞬時に染み渡る。

その抜きんでた相性が、ライカの抵抗を削ぎ、そのまま扉にへたり込ませる。

 

「とうりょ…っ、な…なんで…え?」

「抜け忍の罪は証拠不十分だが、俺が居なくとも、七閃が俺に黙って勝手にお前達を消すはずが無いだろう?

イノリに下ろしたフウカの扇も、首を刎ねる強さじゃなかった。

そこを取り違えて、勝手に『フウカ様はイノリを消す気だー』と思い込んだのは、お前の未熟だ。」

「そ…そんなあっ…!」

 

「鈴森ライカ、想破上弦衆頭領・戦部トキサダが裁定を言い渡す。

明日からお前の力で、閃忍の忍具すべてを手入れしろ。ゴウカの籠手と斧、フウカの扇、オウカの爪、チルカの手裏剣…フワワのナイフにマユリの狐狗狸號、自分のクナイまで全部、お前の力で鍛え上げろ。」

「そ…そんなのっ、気休め…!?」

「いいから励め。必要な淫力は、手入れが完了するまで何度でも、俺が龍輪功で注ぎ込んでやる。」

「ひっ…ひいいいいっ!」

 

青ざめるライカ。

トキサダの裁きは、ライカにとっては天罰てきめんなお灸であった。

なにしろ…。

 

(頭領の…龍輪功を…明日から何度も…!?

…ヤバい…!

ヤバいヤバいヤバいヤバい、ヤバい…っ!!)

 

ぐっ。

ちゅうう…っ…

「あはあああーーーーっっ!!」

 

首筋を吸われるだけで、視界に雷撃が落ちる。

(な…何でっ…こんな…)

既に幾度も受けたはずの、そろそろ慣れて耐性が備わってもおかしくない龍輪功。それなのに…

(おかしいよおっ…頭の先からつま先までぇ…ぜんぶ頭領にぃ…!)

全く抗えない。

それどころか、総身を焦がし尽くす拍動が、回を重ねるほど増幅され、逃れられない。

 

「それとも、労役だけじゃ罰にならないか?

この龍輪功も、もっと激しく注ぐか? ほら…」

 

どくっ! どくどくっ!

 

「ひゃ…ひゃめてえーーーっ!?

ああっ、あひっ、はひゃっ…

もう、りゅうぶん、はげしっ、はひっ…!」

 

びくんっ! がくっがくがくっ!!

 

三日三晩の逃避行ですっからかんの乾き切った躰に、淫力をこれでもかと注がれ、身も心も龍輪功の虜にされるライカ。

 

(ひっ…ひどいいっっ!!

国の正義を体現する、想破のっ、上弦衆の頭領がっ…、

こんなドSのっ、外道っ、なんてええぇぇっ!!)

 

 ぐにゅっ、きゅうううっ、れろっ…

「あっあっあっ、あはああーーーっっ!!」

 

内心で毒づくも、体は楯突くことができない。

揉まれ、撫でられ、舐められるだけで、神経を無防備に直に貫かれる。

 

「いい反応だ。だが、まだ序の口だ…。」

「そんなああっ! お…終わらないいっ、終わらないよおおおっ!」

 

……

補給に名を借りた、ライカへの折伏はその後も行きつ戻りつを繰り返し…

 

(は…はひいっ…ふひっ…!)

ぺたんっ、がくん。

「や…やりまふからっ、武具の、手入れぇ…。」

はあーっ、はあーっ…。

動悸と陶酔が入り混じり、視界は仕掛け花火のようにスパークが止まらない。

 

ちゅうう…っ…

「んっ…んくっ…んんん〜〜っ!!」

抵抗する減らず口を塞がれ、とどめの淫力を満たされたライカは…そのまま静かに、闇に溶けた。

 

……

 

 

気絶したライカが目覚めたとき、トキサダはシャワーを終えていた。そのまま交代でライカが3日ぶりのシャワーを念入りに浴び、寝巻きに着替えて部屋に戻ったのだが。

「あっ…頭領っ…?」

ここはライカの部屋。とっくに自室に戻っていてもおかしくないトキサダが、湯浴みを終えるのをわざわざ待つなんて…?

 

「大事なことを、言い忘れていたからな。」

(えっ…?)

 

「イノリを護ってくれて、ありがとう。」

「なっ…!!」

そんなつもりじゃ…、と言おうにも、この逃亡劇の理由が他に思いつかない。不意打ちを喰らうライカのうろたえぶりは、図星の証拠。

「イノリに反撃させなかったのは…全部お前が引っ被ったのは、あいつを上弦衆に戻すためだろう?」

「そ…そこまでは…」

 

思えば、あいつが来てから余計なことばかりしている。

今回だってそうだ。ああ…何でこうなった。

フウカの扇を止めないで、イノリを打ち据えられるままにしておけば。

その後だって、脱走なんてしなければ…いや、脱走後だって、イノリを撒いてひとり投降してもよかったのに。

何で、なんであんな野生児の世話を焼いて、むざむざこんな目に…!?

 

少し前まで、想破の落ちこぼれ。

いいんだ。それなりに、そこそこに生きれば。

…それが。それなのに。

 

『よーしライカー、出撃だー。

 行ってみよー、殴ってみよー!』

 

今やイノリに引きずられ、そこそこどころかメインもメイン。上弦衆の長きにわたる宿敵退治に、首から上までずぶずぶ関わり…。

鈴森ライカの毎日は、今や思ってたのと真逆の、リスキーライフ最前線…!

 

 

「イノリに免じて、明日の龍輪功は優しくしてやるからな。労役、しっかり励めよ。」

「頭領…!」

 

……

「ジゴロみたいですよ?」

「君はっ! 頭領に言うかっ!?」

 

想破の規格外トリックスター・鈴森ライカ。

彼女の平穏ならざる日々は…自業自得である。

 

なお、翌日。

(と…頭領が諭したの? あのライカを?)

(あの問題児が…ちゃんと働いてる…!)

(ゴウカ様やフウカ様でもままならないのに…)

黙々と労役に励むライカの姿にざわつく上弦衆の間で、トキサダの株が爆上がりだったという。

 




筆者の環藍河(たまき・あいか)です。
3週間のブランク…もとい充電を経て、新作はライカ・イノリ・ムツカの2部主役デコボコトリオのSSをお届けします。
メインストーリーが進むに連れて味わいの出てきた3人の魅力を描けるよう、頑張ります。
次章はイノリ主役、前みたいに連夜投稿といかないかもですが、何とか3日間隔くらいで投稿できるよう頑張ります。
敵は本業デスマのみ(助けてー)乞うご期待、です!

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