超昂大戦SS 合縁奇縁! はみ出し閃忍たちと頭領の決断   作:環 藍河

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※原作第2部11章(2023年5月現在最新章)までのネタバレを含みます。
特に第6章「時超えし咎人」の内容を多く含みます。


第3章 行雲流水! 孤高の閃忍に親愛の絆を

(う…くうっ…?)

イノリの寝顔を見届けながら、眠りに落ちたはずのトキサダは、下腹部から手足の先に広がる違和感に、朧げな意識を振り絞る。

(何だ…これは…っ…)

男の朝の生理現象…にしては、自分以外の他からの手管に導かれ。

だが肝心の高みには達しない…麻酔でもかけられたような、隔靴掻痒のもどかしさ。

 

(誰だ…っ?)

がばっ。

目を開ければ、昇りかけの朝陽と木綿のシーツに包まれながら、寝込みを襲う閃忍が一人。

「お目覚めでごさるかな、あるじ殿。」

「…お前か。」

トキサダの寝床へは通算二度目の闖入となるムツカが、上目遣いで主君に迫る。

 

「拙者も淫力が空っぽでござって。然るに、今日のあるじ殿は終日、不在でござった3日分の龍輪功で忙殺されましょう。ゆえに、このムツカはあるじ殿の軽〜い腕慣らしに…と。」

「…腕慣らしで燃え尽きるぞ、俺は。」

「ああ、そこは案ずるに及ばず。今風に言うところのリミッターを掛けてござるから、今のあるじ殿には本気の淫力注入はできぬでござるな。」

「…それはそれで、この時代では『生殺し』と言うのだが…。」

道理で、一向に勃たないわけだ…。

 

「拙者は食客。ゴウカ殿たちを出し抜くわけにもいきませぬゆえ。

母屋の皆様のおこぼれにあずかれば十分でござるよ。」

戦国の世でノロイ討伐まであと一歩のところを果たせず、時渡りの鐘で当世へ流れ着いたムツカ。上弦衆では伝説と語られる存在なのだが…本人は余所余所しく。

「なあに、たかだか3日ほどのお預け、むしろご褒美でござる。ささ、前菜をご堪能あれ。」

 

「…ムツカ。」

「はい?」

 

 きゅっ…!

 びくんっ!

「はう…っ!!」

主君に見据えられた次の瞬間、ムツカの下腹部に力が迸る。

「あ…あるじ殿っ、何を…?」

「俺は君を離れに追いやったつもりは無い。

閃忍ムツカ。上弦衆の要の一人として、胸を張って龍輪功を受けろ。」

「なっ…そんなっ、…はうううっっ!!」

組み伏せたトキサダから湧き上がる淫力が、上に跨がるムツカに沁みわたる。

直に触れる腹筋から、両掌がさする背筋と臀部から、吐息のかかる首筋からさえも、静かな炎があっという間にムツカの五体を侵略していく。

 

「くふううううっっ!!」

ばね仕掛けの玩具のように、背筋を反らせるムツカが、胸の双丘をトキサダの眼前に差し出す。

攻守を入れ替えたトキサダは少しだけ躰をベッドに潜り込ませ…絶頂から落ちてくるムツカの両胸を、いささか乱暴に両の掌で受け止め、揉みさすりながら更に淫力を注ぐ。

 

「んはああーーっ!! あうっ、はふっ…!!」

「ムツカ…受け止めろっ…!」

寸止めを掛けたのはトキサダにだけ。体がすっかり出来上がっていたムツカは、なすがまま。

「なりま…せん、あっ、あるじ殿っ…!」

「何故だ? 龍輪功は頭領の務め、上弦衆閃忍を閃忍たらしめる営みだろう? 閃忍の君に拒まれる理由が無い。」

「そ…それ、はっ…!」

 

すっ…。

(あ…えっ…?)

小刻みのリズムで力を注いできた手を緩めるトキサダ。

(はあっ…はあっ…)

ムツカは静寂の中で息を切らし、全身に山びこのごとく響いては返す、淫力の余韻を噛み締める。

(…?)

 

 ぐっ! ちゅううっ…!

「は…あああーー〜っっ!!」

 

思わず愉悦に溺れるムツカの隙を突くように、

トキサダは緩めた五指に力を入れ、胸に顔をうずめ…深き谷間に口づける。

ねぶり尽くすような唇と舌の動きで、人工呼吸のようにムツカの胸から直接淫力を充填していく。

「こ…こんな、こんな龍輪功が、ある、なんてえ…っ…!」

接吻での注入とは異なる、違う経路から迸る未知の刺激に翻弄されるムツカ。

 

高鳴る心の臓の血潮が、怒涛の如くうねる。

揺れ惑う左右の乳房からしたたる汗。

抑えきれない嬌声は間欠泉のように響き、時折り飛沫を噴く。

上からも下からも、ムツカの雫が頭領に注がれては流れ、顔を、髪を、全身を汚してしまう。

だが、それにも構わず龍輪功を続けるトキサダ。

止まらない淫力注入に、ムツカは昇り詰める。

「ひっ…はひっ、あっあっ…熱っ…!

 ああっ…あーー〜〜っ!」

 

……

「こ…これで寸止めとは…。

頭領は…、大食漢でござるな…!」

前菜をおかわりして平らげたトキサダへ、せめてもの憎まれ口をたたくムツカ。

溢れた力が双丘の尖端から、喉から、臍からも噴き出すかのような、法悦の痺れを浴びながら。

暁の陽光の温もりを背に、ムツカはトキサダの胸に崩れ落ちた。

 

「…ムツカの引く一線を、壊してやりたくてな。」

「…はい?」

「君は今でも、ゴウカたちに遠慮しすぎのきらいがある。今だって、龍輪功を『自分は最後で』などと…。」

「…申した通りでござるよ。拙者は食客。さらに云わば、はぐれ者ゆえ。」

 

ムツカは…現代の上弦衆とは付かず離れずだった。レジェンド組のハルカ、ナリカ、スバルとは通じるものを互いに秘めつつ、想破の面々には水臭いほど、二歩も三歩も引いた言動を取る。

その委細を深く問うことはしなかったが、ムツカがその生い立ちに後ろ暗さを背負っていることは推し量ることができた。

 

「…ムツカ。一つだけ心に留めてほしい。

俺は、君のそのわだかまりが…凍てつく大地のようにかたくなな、その謙虚が…いつか、淡雪のように溶けて消える日が来ると信じている。」

「あるじ殿…?」

 

「この時代の閃忍たちにとって、君は伝説の生き証人であり、何より敬愛すべき存在だ。そのことは自分でもわかるだろう?」

「…然り。」

「みんな、ムツカが手を握り返してくれる日を待っている。今すぐとは言わないが…。」

 

懐が深い。

情に篤い。

数百年の時を経て相見えた上弦衆の子孫たちは、あの日と変わらずムツカを受け容れる。

いや、口伝で尾ひれが付き、ノロイを追い返した閃忍として伝説と語り継がれたせいか…ある者は憧れ、またある者には敬われる。

 

「…存じておりますが…ゆえに拙者は、そこに甘え、すがるわけにはいかぬのでござる。」

その厚意は。優しさは。

ノロイを仕留め損じ、悠久の時に攫われた自分には。

その後の十何代にもわたり、上弦衆の子々孫々をノロイに備える宿命の枷に繋ぐという、償いきれぬしくじりを侵した自分には。

その陽だまりこそが、いっそ辛い。

 

「あるじ殿、一つ問うことをお許し下され。」

「…どうした。」

「あるじ殿は、なぜ拙者にイノリの後見を命じられたのでござるか?」

炎斎に操られてとはいえ、自らの馘首も覚悟で頭領の身柄を拐い、イノリを討とうとしたムツカ。その償いとしてトキサダが命じたのが、イノリの監視だった。

「拙者はノロイを討つために生まれたも同然。あ奴を討ち取ろうと前のめり…。斯様な拙者に、イノリを護りたいあるじ殿がその御目付け役を命じた真意を…知りとうございます。」

 

 

(…。)

真摯に迫るムツカに、わずかに沈思黙考した後。

 

「俺は…みんなを繋ぎたいだけさ。」

 

「皆を…繋ぐ…?」

「それが上手く行かないところに、君が現れた。そして君がイノリを導くなら、色々なことがピタリとハマると思った。…頭領の勘だな。」

悪戯っぽくにやけ、すぐ真顔に戻して、トキサダは語る。

 

「上弦衆にとって異端児のイノリを、今までは俺が頭領の権威で絆を繋いできた。

だが、その強制は隅々には届かない。現に今回は内紛の種になった。

だが、君なら…上弦衆の信が厚く、俺とは違う立場でイノリを変えられる君なら、想破の中でイノリの立ち位置を落ち着かせることができる。」

「はて…あやつを変える、とは?」

 

「イノリにとっても、上弦衆は単に俺が統べる集団というだけ。俺に懐いてくれてはいるが、想破に忠義を誓っているわけではないんだ。

想破の何たるか…それどころか自分自身すら分からない。そして、力はあっても、技には疎い。

…イノリは、一人のままでは危ういんだ。」

 

トキサダは空を仰ぐ目線で、どこかモノローグのようにイノリと上弦衆への懸念を語る。

そこから改めて、諭す目線をムツカへ。

 

「…君は、そんなイノリが足りないものを兼ね備えている。

改めて頼む。ムツカ、イノリを導いてくれ。」

「…あるじ殿の下知であり、拙者の咎への罰でござるから、是非もござらぬ。

しかし、ならばその御目付けは、七閃のいずれかが相応しいのでは。」

「いや。やはり君が一番だ。それを想破の正統から押し着せず、傍流から伝えることができる君が…な。」

「あっ…!」

「七閃や想破の指南役…想破の正義を幼少から叩き込まれてきた者では、正義の前提から疑うイノリとは噛み合わない。体術や戦闘技術も、幼少から基礎を磨く前提の上弦衆では、イノリを鍛えようにも異質すぎて手に負えない。

その点ムツカなら…閃忍の心技体もノロイの力も両方知る君なら、イノリの素質を上弦衆とは違う角度から引き出せる。」

 

「…そもそもあやつ、拙者の言葉に耳を貸さないでござるよ。」

「いや、イノリはあれで素直だ。良いと認めたものは意固地にならず受け容れる。

現にイノリは、君に反発しながらも、力押しの外法天を君の技で打ち破った。師として早くもお手柄じゃないか。」

「…拙者が? あやつの? …師…。」

ムツカの眼差しが、たちまち死んだ魚の目に。

 

「…ともかく。俺はイノリと上弦衆を繋ぎ、想破の新しい形を作りたい。

その中に…君も居てほしいし、居なくてはならない。」

「…!!」

「今のままの上弦衆にムツカが添えないなら、上弦衆だって形を変えねばならない。

ましてや、まだ戦は終わっちゃいないんだ。

ムツカ。君がわだかまり無く手を握り返せる上弦衆を、俺は必ず作る。その時こそ、想破は新時代を迎えることができる。

そしてその力で、カンザエルやクチナワや炎斎がどんな陰謀を描こうと…ノロイの残渣ごと断ち切ってやる。必ずだ。」

「…あるじ殿…。」

 

この方は。

一度は身柄を拐った私のような者さえも、受け容れなさるのか。

 

……

 

(木組みは人組み、人の癖組み。

その度量無くば、速やかに棟梁の座を降りよ。)

(…頭領…?)

(宮大工の口伝だが、けだし名言。上弦衆頭領も、かくありたいものよ。)

それはムツカの脳裏によぎる、近くて遠い記憶。

 

(千年の時に耐える雄大な社は、太く頑丈な柱だけでは作れない。北に生えたひょろひょろの樹を敢えて社の北側に用いると、日陰で何千年と縁の下を支える辛抱強い柱になる。これ無くしては、見てくれ豪勢な塔も、ものの数十年で倒壊するという。

まして、人の世を護る上弦衆。閃忍のひと癖ふた癖くらい束ねられずして、頭領など務まらぬよ。)

 

閃忍を孕ませた怪忍の落胤などという忌まわしき存在を…なぜ想破上弦衆頭領ともあろうお方が目を掛け、育てて下さるのか。

そんなムツカの疑問を察してか、頭領様が独りごちた口伝。

日陰者の…私のような者も、想破に必要な柱だとおっしゃるのか。

 

……

 

(あるじ殿の目指す想破の姿は…!)

きっと、前の世の頭領と…恩人と通底し。

(時代を超えても…頭領の頭領たる志は、継がれてきたのでござるな…。)

注がれた淫力だけではない。

胸を熱く焦がし、閉じた瞼の裏を潤ませるムツカ。

 

 

「気は済んだか、びしょうじょやろう。」

「『!?』」

 

ごろん。

背後…ベッド下から転げた小動物を、横目で追うトキサダ。

 

「トキサダ頭領、ハロー。」

「イ…イノリ、お前どうして…」

「あ〜…こやつがあるじ殿の隣ですやすや寝入ってござったから、ふん縛って術で金縛りにして、放り込んでおいたでござるよ。」

「やっぱりお前かーーーっ!! 殴るっ!」

「黙れこわっぱ。お主ごときがあるじ殿の寝伽など、身の程知らずの狼藉を働くからでござるよ。」

「んなモン、資格がいるかーーーっ!」

「本当に、俺の部屋のセキュリティ、どうなっているんだろうな!?」

 

……

自らを失い、ノロイと同じ力を持ち、時に忌み避けられ、道に迷い続けたイノリ。

生まれに縛られ、掟に意義を見いだせず、才覚の無さにうなだれ、道に迷い続けたライカ。

呪われた出生に挫けず心技体を磨いたにも関わらず、使命をしくじり、何十代もの子孫を枷に繋いでしまった過ちに煩悶し、道に迷ったムツカ。

 

3人の閃忍はつい先日まで、各々の来た道を嫌悪し、消え入りそうに俯いていた。

それが今や、曲がりなりにも瞳を上げ、進むべき道を進んでいる。

そしてそこには、頭領代行の見事な采配があった。

彼が導く閃忍たちが、未だ見ぬ巨悪を討つ未来は、もう目の前のはずである。

【本編に続く】

 

 




筆者の環藍河です。
第2話から3週間も読者様を放置プレイしてしまいました…伏してお詫び申し上げますっ!
…いえ、本業でデスマが…! 執筆放棄じゃないんです〜っ!

さてさて、原作では第2部11章リリース済、ムツカの淫力空っぽでしたね…こちらのSSは矛盾してしまってますが、あくまで当方はifストーリー、生暖かくご寛容を賜れば、と。
あと、りるかは閃忍に善堕ち、ヨカッタデスネー。当サイトでは「転生計画」「瑠璃よ掴め!」と、りるかSSを2本上げる程度には、行く末を心配していましたもので。この後もイノリ、ライカ、ムツカと仲良くケンカしながら、第2部後半を駆け抜けて貰いましょう。

【予告】
この後は(本業デスマをかい潜り)温めている超昂大戦SSが3本。
新キャラの後日談ネタ1本、これから旬の6月ネタが新規短編1本、リメイク1本です。
これから文章起こしていきますので、お時間頂戴します。皆さまはのんびりと2.5周年ハーフアニバーサリーの合間に、時々チェックのお立ち寄りを。
いろいろ遅くなってすみませんが、アクセス回るだけでもエナジーいただいております。読者様は神様です〜!
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