「うぅ…なぜこんなことに…」
白雪のように透き通った肌に整った目鼻立ち。
手入れが行き届いた綺麗な栗毛色の髪。
身体はほっそりとしているものの女性らしい柔らかな曲線を描いている。
頭頂部に生えた三角の耳に、臀部から伸びるふわりとした尻尾は感情を表すかのように不安気に大きく振られていた。
そんな一人のウマ娘が、胸元が大きく開いた露出の多いSFチックな衣装に身を包んでいた。
「マスター、宜しければこちらを」
「え、とブルボン。これは……」
「はい。マスターの誕生日プレゼントです」
「わざわざ用意してくれたのかありがとうブルボン?……開けてもいい?」
「どうぞ、マスター」
自信満々の表情を浮かべるミホノブルボンから受け取った箱を開ける。
その中には白いレオタードにSFチックな装飾が施された衣装が入っていた。
「ぶ…ブルボン、こ、これは?」
「はい。私の勝負服です。……何か問題がありますでしょうか」
「いやそのだな……どうしてこれを俺に?」
「はい。マスターの誕生日プレゼントに悩んでいたところ、ライスさんに相談しました。その時にアドバイスを頂きまして、彼女はトレーナーに自身の勝負服をプレゼントしたと聞き、それならばと」
「あー、うん。そうなんだ……」
(まぁ確かに誕生日プレゼントって言ったら自分に関係するものが定番かもしれないが…)
この身体がウマ娘に変わってから初めて迎える自分の誕生日に複雑な思いを抱くトレーナーだった。
「マスター…?」
彼女の表情は不安気で尻尾はゆらゆらと左右に揺れている。
その様子はまるで主人の様子を伺う子犬のようで、心の底からの善意で行動している事が分かるだけにトレーナーも強く拒否できない。
結局、彼女から手渡された勝負服を着るしか選択肢はなかったのだ。
「……よしっ!」
覚悟を決めたトレーナーはその場で勝負服に袖を通した。
サイズ感はピッタリ。鏡の前で一回転してみればスカート部分がひらりと舞う。
鏡に映る自身の姿にトレーナーは頬を赤らめる。
“ミホノブルボン”彼女の勝負服は白いレオタードにメカニカルな装飾が施してあり、全体的に近未来的なSFチックなデザインではあるのだが…
「これは…思った以上に恥ずかしいな……」
胸元は大きく開き、ネクタイで隠れてはいるが胸部は谷間がくっきりと見える。ピッタリと張り付いた衣装は腰のくびれを強調し、尻や太股はむっちりとしていて肉感的であった。そして何より、スカート部分が極端に短くスリットが深く入っているため、少しでも脚を動かせば股下の締め付けにより食い込んでしまう。
普段履いている衣服よりも数倍羞恥心を煽られる感覚にトレーナーは身悶えるが同時に不思議な高揚感を覚えていた。
鏡に映る自身の姿に頬を引き攣らせながら、なんとか着替えを終えたトレーナーは恐る恐る彼女の前に姿を現す。
「な、なぁ…ブルボン…その、この勝負服、凄く食い込んじゃうんだけど……」
トレーナーは内股気味になりながら、顔を真っ赤にしてミホノブルボンに問いかけた。
「マスター、それは当然です。その衣装は私がレースで走る際に着用する勝負服を模しています。そのため、機動性を高めるために生地を極限まで身体にフィットするように依頼しております」
ミホノブルボンは淡々とした口調で答える。
「そ、そうか……。いやまぁそれはいいとして、ちょっとこれ動きにくいというか……もう少しゆったりした方が……」
「問題ありません。レースの際にはこれよりさらに激しい走行を行いますので、多少の動き辛さには慣れてもらう必要があります」
「あ、あぁそうなのか……」
恥ずかしげに短いスカート部分を手で押さえるトレーナー。
だがミホノブルボンは不思議そうな顔をしながら首を傾げた。
すると、彼女はおもむろにトレーナーの背後に立ち、後ろからトレーナーの腰に手を置いた。
トレーナーは突然の行動に驚き、ビクリと体を震わせる。
すると、ブルボンはレオタードの食い込みを直すようにゆっくりと指先を這わせた。
布地越しに伝わるブルボンの細い指の感触にトレーナーは声にならない声を上げる。
「あぁ…ブルボン……ッ!?」
「……? マスター、どうかされましたか?」
「い、いや何でもないよ……」
「そうですか。ではこのままの状態で調整を続けます」
ブルボンはそのままの姿勢で手を動かし、トレーナーの腰回りの筋肉を確認するかのように優しく撫で回していく。
「んぅ……ふぅ……っ!」
ゾクゾクとした刺激に襲われ、思わず甘い吐息が漏れてしまう。
しかし、ブルボンはそんなトレーナーの様子など気にも留めず、真剣な表情で作業に没頭する。
「ふぅ……これで問題無いでしょう。マスター、いかがでしょうか」
しばらくして満足したのか、ブルボンはようやくトレーナーを解放した。
「……あ、ありがとうブルボン」
まだ僅かに残る余韻にトレーナーは呼吸を整えるのに必死になっていた。
「いえ。マスターのお役に立てて光栄です」
「しかし、本当に似合ってるか? その、こういうのは初めて着たので勝手が分からなくて……」
「はい。今のマスターの姿はとても魅力的です」
「あ、ありがとう……」
自身の男性としてのアイデンティティが削らていくような気がしなくもないが、ミホノブルボンは満足そうに微笑んでいる。
担当が喜んでくれるならそれでもいいのかなと思うトレーナーであった。
その後、学園では担当とお揃いの勝負服を身に纏ったトレーナーとウマ娘のツーショット写真が密かに出回ったり、ウマスタに拡散したりしたがそれはまた別の話である