EDは『Destined Rival』で。
…両曲とも、アプリ使って1分半くらいのTVサイズ風に編集したものがデータとしてあったりします。
著作権もろもろあるので、お出ししたりはしませんが…
「あ、この子、ケガしてる…」
メイは、意識を失って倒れたアサヒを助けようと抱き起こした。
その身体のあちこちには、大小様々な生々しい切り傷が刻まれ、痛々しい様相を呈している。
それは、VVアサルトへと変身を遂げた際、急激な身体変化についてこれないがために起こったものだった。
一方、メイの様子を見ていたサイバノイドゼロ。
その脳裏に、ある男の声が響き渡った。
『あれが、競澤の秘蔵っ子…ザイオスの変種か』
興味深いよ、と男は浮足だったような声色で呟く。
その、わざとらしささえ漂う研究者めいたムーブに、呆れた様子でサイバノイドゼロは言い返す。
『何が秘蔵っ子よ、こっちは何も聞いてないんだけど?…あんなデカブツに変身できるザイオスの存在なんて、普通に考えたら有り得ないでしょ』
『いや、こっちも想定外だ…競澤のレポートにも詳細は記録されてなかったからねえ』
『はっ、口つけば想定外、想定外って…そのあんたの想定外に何度巻き込まれたと思ってんのよ、この安楽椅子主義者』
しかし口は閉じたままだ。男との会話…否、通信はそれでも成立するのだから。正直目の前にいる、やたら戦闘能力の高いあっけらかんな部外者の少女には、あまり自分達に深入れして欲しくはなかった。
─────これ以上、巻き込むわけにはいかない。何とかこのゴゥレム=シティからのご退場を願わないとね。
自分が毛嫌いする男に悟られないよう、心中でサイバノイドゼロは呟いた。
しかし、男は矢継ぎ早にサイバノイドゼロへ言った。
『そうだ、君に頼みがある』
『今度は何を押し付けようっての?』
『眠ってるザイオスの変種と、そこにいる旅人さんを私のもとへ連れてきてくれないか…話がしたい』
『は?』
『いいだろ、それぐらい好きにさせてくれよ…なあフユコ、私が君を助けた事を忘れたのか』
『忘れてないわよ、恩に着てる』
『そう思っているなら、言う通りにするんだ…いいな』
ブツリ、と通信が切れた音がした。
男と、サイバノイドゼロ…フユコの関係はただならぬ物であった。
だがそれ故に、フユコの自由意志を認める気は男にはなく、結局、言いなりになるしかなかったのである。
フユコは、男に逆らえなかった。
ふと見ると、メイが懸命にアサヒのケガを応急処置ながらも治療しようとしていた。サイドカーから降ろしたバッグから、絆創膏やタオルを持ってきて、傷口を塞ごうと必死なのだ。
サイバノイドゼロは、深く息を吐くとメイに告げた。
「その子の治療はここじゃ無理、あてがあるからついてきて」
******
白を基調とした研究用ラボの一室に、その男はいた。
雑多かつ雑然と物が置かれ散乱したデスクに、情報機器やモニターがずらりと並んでいる。
「フユコ、だいぶ怖くなってきたなあ…まあ、現場でザイオス狩りまくってたらそうなるよな」
そう言いつつケラケラと笑ってみせたその男こそ、先程サイバノイドゼロ=フユコと通信していた、
電子工学や生物学に長ける彼は今、この死に絶えた街…ゴゥレム=シティを根城にしながら、とある研究を行っている最中であった。
そのモニターには、【ANTI MASKED RIDER】と題された物々しい機械の設計図や、自身が書き記したであろうレポート【電子生命体・通称"ストレイド"に関する研究と詳細】が並んでいた。
「それにしても、面白い再会の仕方もあるもんだなあ……今まで会えなかった分だけいっぱい話そうぜ、メイ」
そう嘯いた男の手には、メイと同じ金属製のタグが握られている。《PRO.AM@DEUS NO-0424》の文字が彫り込まれたそれが、室内の灯を反射しながら、ギラリと閃いた────
*****
『ううう…っ!ああっ!私は、私はなんという事を…』
その頃、夜に包まれた沼で、グレイズはひとり悔いていた。
自らの人間への怒りがコントロールできず、図らずも同じ細胞を持つ同胞たるアサヒに呼応し、慣れないザイオス態への変貌という、凄まじい負荷を負わせてしまったのだから。
グレイズは、同じ細胞を持つザイオスたちの感覚を捉える事ができる。
無論、痛みといった不快な感覚も例外ではない。余す事なく、その身に実感させられる。
その分だけグレイズの感情は、人間のそれにより近くなっていった。
自身の同胞が痛めつけられる度、苦痛と悲嘆がないまぜになった物が、波となって自身に伝わるのだ。
『お願い、許してぇ、こんな私を許してぇええええ!!!』
その叫びに呼応するかのように、ザラザラとしたグレイズの体表から何かが無数に勢いよく飛び出す。
それはみな、ぶよぶよとした感触の皮膚に包まれた一つ目の生命体…ザイオスである。
もともと、グレイズは実験生物としてこの世に生を受けた。
しかしその異常な独自進化の過程で、本来持ち得るはずのない感情まで獲得した。
しかしその代償は大きく、感情を顕にするたび、身体に有害な悪性物質
が体内に生成されてしまうようになった。
だが、グレイズの肉体は、本人の意志とは関係なく、またもや進化する。精神的負荷から生まれる悪性物質を肩代わりし、排出される存在を作ろうと。
それが、ザイオスの正体である。
しかし、グレイズはそんなザイオスたちを「同胞」として認識していた。仮にも、自らが生み出したモノ、だったからだ。
同胞に対する、コントロールできない有り余る感情。
そして自らも抑制できない歪な母性…それがこのグレイズの本性だ。