とあるオタク女の受難(裏世界ピクニック編)。 作:SUN'S
・月〉日
閏間冴月の捜索を始めて三日ほど経った頃だ。
なにか雰囲気が変わったような違和感を感じる。これは閏間がなにかしているのか。もしくは別の何かが違和感を引き起こしているのか。
私は木の上に登り双眼鏡を構える。ヘンテコな生き物と遭遇したのは初日だけ、今日を含めた二日間でくねくねしたやつ以外は見ていない。
いっそのことエイリアンとか出てきたら納得できるんだけど。小桜曰くどうも此処にいるのは化け物らしく友好関係を築けるやつはいないそうだ。
徐に拾った小石を前に投げると「ボシューッ」と嫌な音を立てて空中で静止した小石が溶けた。もっと正確に言えば腐敗したように表面が腐り、急速に削れていく。そんな光景を間近で私は見ている。
え、やだ、こわっ。私は適当に拾った小石や枝を前方に投げたり転がしたりしながら進む。閏間のやつ、これに巻き込まれたとかないよな?
私は閏間の溶ける姿を想像した。だが、あいつならそのまま動きそうだと思った。実際にあいつは此処のどこかにいるのだろう。
私が見えないだけで彼女はすでに私の隣にいるのかもしれない。そうあり得そうであり得ない現実に深いふ溜め息を吐き出す。
⊥月∋日
小桜邸に向かう途中で買ってきたフライパンや包丁、お鍋等の調理道具を台所に設置する。実質、ここも私の家みたいないものだ。
私がそう言うと「お前が住み着いたら寝れねえよ」なんて不機嫌そうに言われた。閏間だったら普通に喜んで囲うだろ?と聞けば黙った。まったく、そういうところも本当に変わってない。
小桜に明日と明後日の分までご飯の作り置きは用意してあると伝えると「……からあげ?」とつぶやき、アルミホイルで包んだ今日の分をテーブルに持っていき、爪楊枝で食べ始めた。
そろそろ私も行ってくるよ。そう言うと彼女はパソコンとタブレットを弄る手を止める。少し面倒臭そうに「まあ、気を付けろよ」と吐き捨て、またパソコンを弄り始めた。
∩月∈日
今日はくねくねしているやつに近付いてみた。私の予想と違って、それはふんどしではなく人のようにも見える化け物だった。
すごい身体をくねらせている。私も身体をくねらせればいいのかと考えたが、さすがに恥ずかしいのでやめた。少し気分が悪くなってきた気がする。こいつのせいだろうか?と思うも見続けるのをやめる。
なんだかヤバい気がした。もしかして小桜の言っていたやつはコレなのか。私の目の前で身体をくねらせて踊っている化け物をもう一度だけ見る。
こういう生き物は殴ったりすればいいのか。それとも逃げることを優先すればいいのか。私は朦朧としてきた意識の中、その化け物の眼球らしき部位に向かって全力でビンタした。
……濡れたタオルっぽい感触?
私は化け物を叩いた手を見ながら首を傾げる。べつに濡れていないのに濡れたような感触がまとわりついている。無味無臭なのに濡れた感覚はある。
えぇ、なにこれ、気持ち悪い。
ぷらぷらと化け物を叩いた方の手を揺らしながら顔を上げると化け物は消えていた。まさか、さっきの眼球ビンタが効いたのか。