めっちゃ狩って 狩猟狩猟♪
狩猟狩猟 メチャクチャ狩った♪♪
「白の助よ。チュール食べるか?」
ある日のベルナ村。
アイテム調合に勤しんでいた俺は、ふと白の助にそんな事を言っていた。
もちろん、モンハンの世界にチュールなど有る筈も無く。
「何を言ってんだニャ、旦那さんは。」
白の助から白い目で見られた。白目の助だね。なんちゃって()
「いやぁ、ワンチャンこの世界でもチュールって作れるんじゃ無いか、って思ってね。」
「無理ニャ。旦那さんはチュールの原材料知ってるのかニャ?」
……そういやあ知らないな。
「じゃあ無理ってヤツニャ。」
そう言って引っ込んでいこうとする白の助を、俺は呼び戻した。
「いや待て待て、祖龍なら知ってるかもよ??」
「何を馬鹿げたことを…いくら祖龍がーーーー」
『鶏肉(ささみ)、鶏脂、チキンエキス、(マグロ味なら、マグロとマグロ抽出エキス)オリゴ糖、酵母エキス、魚肉抽出物、殺菌乳酸菌、増粘安定剤(加工でん粉、増粘多糖類)、ビタミンE、紅麹色素、緑茶エキスよ。あとはモノによって変化するわ。』
「何で知ってんの?」
白の助の目が点になった。点の助だね()
「ありがと祖龍〜。」
脳内擬人化銀髪ロリ祖龍に感謝してから、俺はメモを取り始めた。
「さてさて。鶏肉やマグロなら、モンハンの世界でも揃えられるぞ?オリゴ糖だって代用がある筈だ。酵母エキスも……パン屋行けばあるだろ(適当)。乳酸菌は…乳ーーーーつまり、ミルクってことだろ?(無知)ニャンコックのとこ行けば大丈夫だぁ。加工でん粉は何を以って加工なのか知らんが、でん粉って事は………ジャガイモだな!(多分)」
俺はメモを取りながら、白の助に嬉々とした表情を見せる。
「作れるぞ!白の助!!よっしゃぁ!作りにいくぞ〜!!」
「不安しか無いニャ。」
白の助の呟きが虚空に消えるのだったーーーーーーーー
◇◆◇
『グギャア!!グギャア!!』
耳をつん裂く様な咆哮が、森に木霊する。
「ーーーーよし!コレで終わりだ!イャンクック!!」
俺のそんな掛け声と共に、落とし穴に掛かって暴れている桃色のモンスター〈怪鳥 イャンクック〉が、その首を大剣で叩き斬られて一生を終えた。
しん…とした静けさが戻る森。
俺は大剣ーーーーチェーダアルザバルを納刀すると、近くの切り株に腰を下ろした。
「ふぅ〜、思ったより強個体だったな。」
「お疲れ様ニャ。旦那さん。」
白の助が、水筒を差し出してくれた。
「お、ありがとな。」
水筒から水を飲む俺に、イャンクックを剥ぎ取りながら白の助が問い掛ける。
「しかし、何で急にイャンクック狩りニャ???」
「そりゃお前……イャンクックは鳥だろ。ささみ肉の代用だよ。」
「いや……ガーグァとかで良かったんじゃ……」
俺は首を振った。白の助よ。ロマンがわかっとらん様だねぇ。
「どうせなら、イャンクックのささみ肉で作りたいじゃ無いか。野生を元気いっぱいに駆け回ってた個体だ。絶対美味いって!」
それにロマンがあるしね!
「真にロマンを求めるのならば、イャンガルルガで作れば良かったのでは…?」
「死にたく無いからパスで。」
白の助よ。遠回しに旦那さんを殺そうとするな。アレとサシでやり合うのは勘弁だよ。
こうして、俺はささみ肉()を手に入れた。
◇◆◇
続いて俺は、マグロを取る為に船に乗って遥々『モガの村』まで行くことにした。
もちろん目的はーーーー
「マグロニャね!マグロ!魚はテンション上がるニャ〜!」
「半分合ってるが、半分違うな。」
「え??」
俺はドヤ顔で白の助に
「只のマグロじゃないぞ!!『
俺が指差した先にあるのは、
「いや…旦那さん?」
「いやぁ!楽しみだなぁ!!見ろよ白の助!パッキパキに凍ってやがる!鮮度抜群じゃないかぁ〜!」
「いや、だから旦那さん??」
「鮮度の良い素材のためには、やっぱコレぐらいしないとなぁ〜!」
「いや…あの……。」
しどろもどろになる白の助。
「旦那さん。………
「おう!そうだが、何か??」
ーーーーもちろん分かっておりますとも。
だからさっき、『半分違うな』って言ったんだよ。
「……何言ってんニャ、コイツ。」
あ、遂に白の助が俺の事『旦那さん』って呼んでくれなくなった!悲しいね!
「いやさ。白の助。やっぱ食材って鮮度が大事じゃん?…この世界には、まだ飛行機みたいな迅速な輸送手段が無いし、折角のマグロが途中で傷んだらダメじゃないか?…だから、レイトウ本マグロを使う事にしたのさ。」
俺は『瞬間レイトウ本マグロ』をペシペシと叩く。
鋼の様に硬く、氷の様に冷たいソレは、もはや金属の刃と何ら変わりなかった。
「前代未聞ニャ……一応それ大剣ニャ…。武器を食おうとする変人がオイラの旦那さんだなんて、あんまりニャ〜〜!」
……酷い言いようだが白の助、食べるのはお前だよ??
あと、一番の変人は冷凍したマグロを大剣にしようと最初に考えて、実行したヤツだから。
こうして俺は新鮮なマグロ(武器)を手に入れた。
◇◆◇
それから、俺は食材を探してあちこち駆け巡った。
オリゴ糖の代わりに、『岩砂糖』を。
乳酸菌は、ニャンコックから新鮮な『クヨクヨーグルト』を貰って代用する。
デン粉用のジャガイモは、『ポッケポテト』をポッケ村から手に入れてきた。
あと、酵母エキスに関してはよく分からなかったので、パン屋から酵母を直接お借りする。
そして、遥々『タンジアの港』のハンターズギルド公認三つ星レストラン『シー・タンジニャ』に俺達は赴き、そこの
当の本人からはメチャクチャ引かれたが。(…主に瞬間レイトウ本マグロと、瞬間レイトウ本マグロに、瞬間レイトウ本マグロのせい。)
◇◆◇Now loading…◇◆◇
職人に試行錯誤してもらう事2時間半。
「取り敢えず…出来ましたニャ。」
遂に『チュール』が完成した。
ーーーーコト…と置かれた平皿の中には、俺たちが持ってきた食材全てが煮込まれたモノが入っている。
チュールっぽくする為に、形が無くなるまで煮込んでくれと言ったからか、トロッとしたスープの様な見た目になっていた。
「チュールにしては水分が多い気もするが、まぁこんなもんか。」
「これ以上煮込めば、水分が抜けて焦げますニャ〜。肉も硬くなってしまうので、コレが丁度良いと思いますニャ。」
なるほど。料理のプロが言うのならば間違いないな。
「…というか私は肉焼き職人であって、『ちゅーる』なるモノなど作ったことも無く……」
「いやいや。ありがとうな。マジで感謝してる。はいコレ
「オッホータマンネ~」
「…よし。」
俺は、白の助の前に皿を差し出した。
「ーーーーって事で、コレがこの世界初のチュールだ。たんと食え白の助!」
「う…うニャ。まぁ、料理のプロが作ったからか、見た目は悪くニャいけどーーーーーー」
白の助は皿を手に取ると、ゆっくりとトロッとしたスープを口に運ぶ。
ゆっくりとスープを嚥下した後、白の助は暫く目を閉じーーーー
「…思ったより美味いニャ。」
ーーーーそう言ったのであった。
◇◆◇
ーーーーこうして、この世界初のチュールは、それなりの成功を収めた。
もっとも、商品化はまぁ無理だろう。コストが高い。
「主に瞬間レイトウ本マグロのせいニャ。」
うん。それはそうだね。
「ーーーーで、あっちの世界じゃあ、ネコはチュールに夢中だったが、こっちの世界のチュールは、夢中になりそうか?」
白の助は顎に手を当てて考える。
「ん〜…アレはどっちかと言えば、鶏肉とマグロとジャガイモの煮込みたいな感じだったからニャ〜。上手い料理人が、有り合わせで作った賄い飯…ってとこかニャ。夢中になる程では無いニャ。」
「なるほどね。」
なら、もっと改良が必要だな!目指すは、全てのアイルーが七転八倒する程の旨さだ!
「…旦那さん。七転八倒の使い方ミスってると思うニャ。」
「次はニャンコックと協力してみるか〜!よっしゃ!やる気出てきたぜ〜!!」
「聴いてないニャ……。」
こうして俺のチュール作成へのさらなる挑戦が始まり、次の日に飽きた。
俺は三日坊主なんだよ()