みんな、調合って知ってるか?
ーーーなんか色んなアイテムを組み合わせて、新しいのを作るアレだ。
ハンターなら必修科目のヤツだな。
…ゲームじゃ、ボタンぽちぽちしてりゃ調合が出来たけど、リアルになったこの世界じゃそうもいかねぇ。
回復薬1つを作るのにも、薬草すり潰して、アオキノコすり潰して、
ーーーんで、調合ってたまに失敗する。…回復薬ならいざ知らず、トラップとか秘薬とかになると、結構難しいんだなコレが。
ただ、調合の仕方とか載ってる『調合書』ってのがあるし、熟読すれば大体の調合は上手くいくんだがーーーーーーーー
「ーーーーリコの場合、そうも行かないんだよなぁ……。」
「ん?何?何の話??」
「いや。なんでも無い。」
ーーーココは古代林の一角。俺はリコとフィールドを歩いていた。
ココに来たのはテッちゃん…失礼、テツカブラの狩猟の為だ。
ーーーどうも、調査隊の野営地を何度も荒らし回っているらしく、これ以上の被害が出る前に何とかして欲しいとの事。
最近金欠気味だった俺は、取り敢えずその依頼を受ける事にした。ーーーそしたらリコも同じ依頼を受けたらしく、被ってしまったので2人で来たって訳。
ーーーーん?白の助?あぁ、アイツはニャンター家業で孤島に行ってるよ。
アイツはアイツで、慢性的な金欠を何とかしようとしてるらしい。
…家事も出来るし、頼もしいオトモだね〜。何でそこまでしてくれるんだろ?
『ーーーーそれは貴方がいつもだらしないからよ。』
……おっと。擬人化祖龍さんからの有難いお言葉だ。心に響くよ。
「…タクト?」
隣でリコの声がした。
「んん??」
「
その言葉だけで俺は察する。
「お。そうか。」
次の瞬間、目の前の地面をぶち破って巨大なオレンジ色が飛び出してきた。
ーーーーでっかい牙を備えた凶悪そうな顔。
…見た目は巨大な蛙と言った感じだ。
コイツが今回のターゲット。『鬼蛙テツカブラ』である。
「おぉ!!テッちゃん!!こんちゃ〜〜!!」
「…貴方ってモンスターに変な渾名付けるの好きよね……。」
リコの呆れた様な声。
目の前に現れたテツカブラは、やる気満々と言った所だ。
リコがその背中から『イカリハンマー』を抜刀して構える。ーーー彼女みたいな小柄な女性が、ゴッツイ錨を振り回してる姿はまるでギャグみたいだ。
…だが、コレは現実だ。
「で、どう狩るんだ?」
俺も背中から太刀の『ガノスラッシャー』を抜刀しつつ、リコに問いかける。
「ーーー近付いて、殴る!!!!」
わー脳筋()
さすが脳漿全部筋肉女。脊髄にプロテイン流れてるに違いない。そうに決まってる。
前に飛び出していくリコ。ーーーテツカブラも彼女に向かって突っ込んでいく。
普通に考えれば、モンスターと人間が正面からぶつかり合っても、勝敗はハナから見えているが………
「おりゃあッッッ!!!!」
ーーーー相手が
バキィンッッッ!!ーーーと、すんごい音と共にテツカブラが横に吹っ飛んだ。
リコの振り回したイカリハンマーが、顔面にクリティカルヒットしたのである。
倒れ込むテツカブラに更に追撃をかけていくリコ。…あー、テッちゃんの厳つい顔面がボコボコにされてるぅ…。
「…が、頑張れ!立って!!立つんだテッちゃん!!このままじゃ死んじゃうぞ!?まだライフは残ってる!!立ち上がれば勝てるんだから!!」
「ーーーーなんで、モンスターの方を応援してんのよッッ?!」
「うっせー筋肉の悪魔め!!お前の方がモンスターなんだよ!!弱い者イジメはやめるんだ!!」
「貴方の顔も部位破壊するわよ?!」
やめてくれ。これ以上俺の顔を崩壊させるな。
しかし、俺の声が届いたのかテツカブラは起き上がった。ーーーーそして、素早く地面を掘ってその場から逃げ出す。
「逃げる気?!ーーーータクト!!ペイントボール!!」
「うぃ、了解!」
リコの声に合わせて俺はポーチから丸い球を取り出し、テツカブラに目掛けて投げつける。
球はテツカブラの後脚に命中しーーーー
………ぽて。
情け無い音を立てて弾かれ、地面に落ちた。
「あれ??」
完全に地面に潜り込み、見えなくなったテツカブラ。ーーーもちろん、ペイントは出来ていない。
「タクト??」
「あー………俺、ペイントボールと間違えて『素材玉』持って来てた。」
…やっちまったZE☆
リコの目が、信じられないと言わんばかりに見開かれる。
「……あなたバカぁ?!」
「ーーー仕方ないって!素材玉とペイントボールは、見た目がクリソツなんだからよ!?」
リコがため息をついた。
「しっっかた無いわねぇ……素材玉貸しなさい。ーーー丁度そこにペイントの実があるから、私がペイントボールを調合するわ。」
「おう。分かった。……ん??」
「なに??」
「…リコ…お前、ペイントボール…調合出来るのか……??」
リコの顔がムスッとなった。
「それぐらい出来るわよ。…ほら、貸して。」
「あ、あぁ。」
取り敢えず、彼女に素材玉を渡す俺。ーーー彼女は、近くの茂みの中からペイントの実を取ってくると、早速調合を始めた。
やり方は至って簡単。素材玉を開けて、ペイントの実の殻をとり、中に詰め込むだけ。失敗する要素など何処にも無いがーーーー
コトン。
『もえないゴミを入手しました。』
「……リコさん??」
「…手が滑っただけよ。」
…うん。だよね。一回ぐらいなら……
コトン
『生ゴミを入手しました。』
…グレードアップ(ある意味)してね??
「リ、リコーーー」
「つ、次で作るから黙ってて!」
コトン
『粗大ゴミを入手しました。』
「どうやったら素材玉から粗大ゴミが出来るんだよッ?!」
コレがマカ錬成ってヤツなのか?!?!違うよね?!?!
あと『素材玉』と『粗大ゴミ』で無駄に語呂良いのやめろ!!
「喋らないで!気が散る!」
「そこまで集中する程のモノじゃ無いって!?」
コトン
『マイクロプラスチックを入手しました。』
「あれ、環境破壊始まってね????」
モンハン世界でその名を聞くとは思わなかったよ??SDGsをこっちの世界でも意識する時が来たのか???
……この世界ほどSDGsしてる世界、俺知らないけどね!
「…………。」
黙っちゃったリコ。
「あの〜リコさん?…調合書ちゃんとLv1〜5まで持ってます??」
「も…持ってるわよ…。」
「……嘘だぁ。」
持っててコレなら、もうリコの存在そのものが調合成功率−100%とか、そんなんじゃないの??
調合成功率を犠牲に、筋力を得るタイプの天与呪縛かな??
「…悪かったわね。調合が下手くそな女で。」
あーあ、リコがいじけちゃった。ココはフォローに回っとくか。
「大丈夫さリコ。ーーーハンターにとって
「………それ、フォローになって無いよね???」
めっちゃ睨まれた。
…あれ?リコにとっては最大級の褒め言葉を使ったつもりなんだけどなぁ〜〜???
………結局、ペイントボールは俺が調合しましたとさ。おしまい。
因みに、リコの装備はジンオウシリーズですね。ジンオウガのヤツ。
タクトはゼクスシリーズです。ライゼクスの装備っす。