転生ハンターぐだぐだ狩猟記〜猫と祖龍を添えて〜   作:犬社長

6 / 10

バイオの空耳についての予備知識があると、1%位は面白さが上がります。


ペットはよく考えてから飼いましょう。

 

 

 

「なぁ、タクトさんよ。ーーーームーファ飼ってみないか???」

 

「へ??」

 

 

…とある昼下がりのベルナ村。

 

特にする事も無く村をブラブラ歩いていた俺は、突然の声掛けに驚いてしまった。

 

目の前には、俺の知り合いのムーファ飼いのおじさんが居る。腕には小さな子供ムーファを抱いていた。

 

…それを飼えと言う事だろうか?

 

「ん…?何でだよ。俺はムーファ飼いじゃないぞ?本職の人が育ててやった方が良いんじゃないか??」

 

そう言うと、おじさんが説明を始める。

 

ーーー曰く、このムーファは生まれつき体が弱く、とてもでは無いが上手く成長出来ない。オスだからミルクも取れないし、体の弱いムーファの毛は、ごわつきが出て品物にもならないそうだ。

 

…かと言って放っておくわけにも行かず、誰かに引き取って貰おうと言う事で、俺に白羽の矢が立ったらしい。

 

「なるほど……。ムーファも苦労してるんだな。」

 

 俺がチビムーファに話しかけると、チビムーファはおじさんの腕の中で鳴いた。

 

「モリィィィィィィィィィィ!!!」

 

………変な鳴き声だな。なんか今にも倒れそうな位プルプルしてるし……ま、良いや。

おじさんがチビムーファを撫でながら口を開く。

 

「ま、あんたなら優しくしてやってくれるだろうと思ってな。ーーーー飼ってみないかい?無理そうなら、その時考えれば良いさ。…な?」

「う──ん……分かった。やってみるぜ。」

「お!本当か??…いやぁ助かったよタクトさん!ーーーーちゃんと可愛がってくれよ?」

「おう、勿論だ。」

 

 

ーーーーこうして、俺は思いがけずチビムーファを手に入れたのだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ーーーーて、事でムーファが新しい家族になったぞ白の助!」

 

「モリィィィィィィィィィィ!!!!」

 

「その鳴き声どうにかならなかったのかニャ…。」

 

そんな事言ってやるな、白の助。……まぁ、確かに変な鳴き声だとは思うけどさ。

 

「まぁまぁ、良いじゃないか。…これからは、ムーファの世話も頼んだぞ白の助。」

「ーーー了解ニャ……ん?アレ?もしかして、押し付けられた??」

 

ジト目になった白の助。ーーー勿論、俺だって手伝うつもりさ。…本当だよ???

 

「と、とにかくよ。……コイツは家族だ。ーーー何か名前を付けてやろうぜ?」

「…あぁ。そうニャね。なまえ…名前……うーーん。」

 

白の助はプルプルしているチビムーファの方を見て、口を開いた。

 

「モリィィィィって鳴くし、『モリー』でどうかニャ?」

「安直ぅ!…だが、俺の考えた『中田バーガー』よりかはマシかもしれんな。……モリーで行こう。」

「何を思ってそんな名前にしたニャ……。」

「モリィィィィィィィィィィ!!!!!」

 

 

ーーーーこうして、チビムーファ改めモリーとの新しい生活が始まった。

 

 

しかし、素人がムーファを飼う事はとても難しい事なのだという事を、俺たちは分からされる事になる………。

 

 

 

◇◆◇次の日の朝◇◆◇

 

 

 

ぷ──────ん……。

 

 

鼻につく臭いで、俺たちは目が覚めた。

 

「…何だこの匂い?」

「ババコンガの糞みたいな臭いがするニャ…。」

 

起き上がった俺たちは、臭いの元へ向かう。……向かった先にはーーーー

 

 

「モリィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)」

 

 

……モリーが机にウ○コしていた。

 

 

「汚いのしてます!!!」

「ウ○コだ捨てろぉ!!!」

 

慌ててモリーを机から下ろす俺たち。そして、素早く袋でウン○を処理する。

 

「うわwけっこう臭うwww」

「言ってる場合かニャ!…さっさと綺麗にするニャ!」

 

白の助にどつかれながらも、俺は机を綺麗にしていく。ファブリーズが欲しいぜ……。

 

 

◇◆◇1時間後◇◆◇

 

 

……糞処理で朝からてんやわんやだったが、なんとか机は綺麗になった。

 

 

「モリィィィィィィィィィィ!!!モリィィィィィィィィィィ!!!」

「はぁ…はぁ……くそ。コイツ、俺たちの苦労も知らずにモリモリしやがって……。」

「…取り敢えず、モリーの体も綺麗に洗って、朝食の準備もするニャ。」

「おう。そうだな。」

 

モリーの為に朝食を用意する俺達。…正直、ムーファの食事って何やれば良いのか分かんないが……

 

「ーーーーでも、コイツは体が弱いらしいからな。…やっぱ、ちゃんと良いもん食ってなるべく育って貰いたいよね。」

 

ーーーーと、言う事で大事なのは食事!!貧弱な体を少しでも強くする為に、モリーにはたくさん食べて貰うゾ!

 

 

「レタス!!(食わせる)」

バリバリ。

「ーーー牛乳!!(飲ませる)」

ゴクゴク。

「ーーーー泡パワー!!!(ウ○コで汚れた体を洗う)」

ワシャワシャ。

 

「モリィィィィィィィィィィ!!!(喜)」

ピカピカ✨

 

…こうしてモリーは俺の与えたレタスと牛乳を食べ、ゴシゴシ洗われて綺麗になった。

 

「お、喜んでる喜んでる。…可愛いなコイツ。」

「……それは否定しないニャ。」

 

ーーーーなんだかんだ可愛いが、また机にウ○コされても困るので裏庭で買う事にした。

裏庭なら広々としているし、モリーにもちょうど良いだろう。ーーーーなんて思ったのが、行けなかったのかも知れない。

 

…事件は突然に起きた。

 

 

◇◆◇3週間後◇◆◇

 

 

その日は、白の助と一緒に狩りに行っていた。もちろん、モリーは1匹ぼっちでお留守番だ。

…仕事上仕方の無い事とはいえ、ちょくちょく家を空けなきゃいけないのは、少し心苦しい事でもある。

 

「ただいま〜。」

「ニャ〜。」

 

帰って見ると、裏庭にモリーが居ない。

 

「…あれ?モリー??」

「居なくなったニャ??」

 

念の為に家の中を探して見るが、モリーは居なかった。ーーーもう一度裏庭を見てみると、庭の柵が一部壊れていた。……子供ムーファなら、通り抜けられそうな大きさの隙間が出来ている。

 

「あぁ!モリーのヤツ…まさかこっから外へ?!」

「うニャニャ?!なんてこったニャ!!」

 

俺たちは、慌ててモリーを探すために村へ飛び出した。…モリーは体がそんなに強くない。何処かでくたばって無いと良いのだがーーーー。

 

「モリー!何処だーー?!」

…広場には居ない。

 

「居るのなら返事くれニャ〜!」

…オトモ広場にも居ない。

 

「子供のムーファ??…いやぁ…知らないわねぇ。」

…村人に聞き込みもしてみたが、ノーヒットだった。

 

ーーーーその内、雨が降り出してしまう。

 

「…やべ。雨だぞ白の助。」

「分かってるニャ。…でも。」

 

雨の中、俺達はモリーを探して歩き回った。…ふと、目が近くの家のムーファ小屋に向かう。

 

この村では大体の住民がムーファを飼っているから、あちこちにムーファ用の小屋が建てて有るのだがーーーー。

 

「あ、モリー!!」

 

…なんと、その小屋の中にモリーが居たのだ。

 

小屋に俺達は駆け寄ろうとして、ふと気付く。モリーの側には沢山のムーファが居た。…そして、モリーを可愛がる様に子供が1人、小屋の中でモリーの世話をしていたのだ。

 

…その様子は手慣れている。きっとムーファの扱いに長けた、ムーファ飼いの子供なんだろう。

モリーも周りに沢山のムーファ仲間に囲まれて、喜んでいる様に見えた。

 

「……喜んでるニャ。モリー…。」

「あぁ………。」

 

その時、俺は気付いた。

 

ーーーー俺達はハンターだ。ムーファ飼いにはなれない。…遠い狩場へ行けば、何日も戻ってこれない事もある。その間、モリーは1人ぼっちになる。

…それに、俺達は他にムーファを飼っていない。モリーはムーファの子だ。…同じムーファの中で生きた方が、きっと彼の為になる筈なんだ…と。

 

 

「…やっぱり、ムーファはムーファ飼いの所で育つべきだよ。白の助。」

「旦那さん……。」

 

白の助が見上げて来る。…良いのか?と視線で問われている気がした。

 

雨の中俺は頷く。

 

「いいんだ。……見ろよ白の助。モリー、幸せそうじゃ無いか。俺たちがモリーを飼っても、きっとアイツの幸せにはならない。なら、このままあの少年の元で飼われた方が良いに決まってる。」

「…………。」

「優しさだけじゃ、生き物は飼えないんだよ白の助。…コレはモリーの為さ。…アイツのため、なんだけど……なんだろう……」

 

俺は小さく笑った。…頬を伝うのは雨だろうか?

 

軽く目頭を拭って俺は呟いた。

 

 

「泣けるぜ。」

 

 

 

 






みんなも、ペットはよく考えてから飼うんだゾ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。